東方小傘物語   作:寂しい幻想の刀鍛冶

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第13話 酒呑童子

 ~多々良小傘side~

 

 

ふぅ、今回はあまりないわね~。

 

まぁ、チルノちゃん達が持ってきてくれたので何とか幽香さんの如雨露は直す事はできるんだけど予備としていくつか集めて置きたかったんだけど、今日の無縁塚にはあんまり無いみたいね。

 

「そろそろ帰りましょうかね。・・・っ!?」

 

後ろに気配を感じて振り向いたけど何にもない・・・

 

「誰かいるのですか?」

 

そう問いを言ってみるが返答は無い。

 

「気のせい・・・ですかね」

 

『いいや、気のせいじゃないよ』

 

「っ!?」

 

声のした方を振り向いているとそこに周りから霧が集まってきて人型をつくった。

 

だが、頭に二本の角が生えていた。

 

「いや~、私の存在に気が付かれるなんて久しぶりだな~」

 

そして、腰に酒が入っていそうな瓢箪を提げていた・・・・・・って、角に酒って・・・

 

「貴方は・・・もしかして酒呑童子!?」

 

「おっ、良く知っているな!そうさ、私は鬼の酒呑童子である伊吹萃香さ!萃香って呼んでおくれ」

 

「わ、私は多々良小傘です・・・」

 

えぇ~と、鬼は酒と喧嘩と宴会が好きだったはず・・・

 

とすれば、今回起きている異変はもしかして・・・

 

「一つ訊いてもいいですか?」

 

「うん?構わないよ」

 

「この頃よく宴会がひらかれているのは貴方が原因ですか?」

 

「へぇ~、私の存在に気付いただけでなくそこまでわかっちゃうなんてアンタ中々頭が回るみたいじゃないかい・・・」

 

今の返答は認めたということだから・・・もしかしたらあの人の言葉からしてもあの人の知り合いかもしれないわね・・・

 

「もしかして、八雲紫と知り合いですか?」

 

「おう!アイツとは随分昔からの知り合いさ!」

 

やっぱり!もしかして紫さんは萃香さんと私を合わせたかったのかしら?

 

でも、理由が分からないのよね~。何でかしら?

 

 

 ~多々良小傘sideout~

 

 

 

 

 

 

 ~伊吹萃香side~

 

 

此奴、中々見どころがあるじゃないかい。

 

そう思いながら小傘を見た。

 

私の存在に気付くだけでなく、鬼の、しかも酒呑童子の事について知っているなんてな。

 

私達鬼の事は天狗達や紫ぐらいしか覚えている奴はいないと思っていたんだけどな~。

 

「そういや、なんで私の種族が分かったんだい?」

 

「そ、それはですね・・・阿求さんのところの書籍を見た時に載っていたので・・・」

 

阿求?・・・あぁ、幻想郷縁起を書いている稗田家のところか。

 

それなら知っているのは納得だわぁ。

 

そう思いながら私は酒を仰いだ。

 

だが、此奴は頭の回転ははやいらしいな。私の言動だけで今回の異変の主犯であることに気づいたんだからな・・・。

 

「そういやさ~、アンタはなんで私が今回の異変を起こしているって分かったんだい?」

 

「・・・それは貴方が霧の状態から人型になりました。それはまるで散らしていた体を集めたような感じに・・・」

 

「ほぅ・・・」

 

「それで貴方が能力を持っていて、その能力は何かを集めたり散らしたりできると私は考えたわ。たとえば・・・宴会をしたくなるように人を集めたり・・・ね」

 

ホント、此奴はすごいね~。

 

「確かに私は能力を持っている。名前は言うなら『密と疎を操る程度の能力』って言ったところかな?」

 

「そして、貴方達鬼は酒や宴会が好きであり、意図的に宴会をひらかせて地底にいる鬼たちを地上に呼びたかった・・・と言ったところかしら?」

 

「はは!その通りだよ!よく分かったな!」

 

「だけど、確か地底と地上には何か条約がひかれていて妖怪は地底から出て来る事が出来ない筈ですけど・・・」

 

「っなんだって!?」

 

紫の奴そんなのを作っていたとは・・・。

 

それじゃあいつまで経っても彼奴らが来ないわけだ。

 

「そうだったのか~。だったら偶にこっちから会いに行くしかないかな~」

 

「あの~、そろそろ帰っても宜しいですか?」

 

「うん?あぁ、もう構わないよ・・・」

 

そう言うと小傘は帰り始めたが・・・

 

「そう言えば、今回の事で多くの人達が解決に乗り出している様なので注意した方がいいですよ」

 

「そうかい、一応覚えておくよ」

 

私の言葉を聞いた後に小傘はこの場を去っっていった。

 

さ~て、そいつらは楽しませてくれるのかねぇ。

 

 

 ~伊吹萃香sideout~


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