不老不死の氷噺   作:アンフェンス

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エピローグ

 

再び目を覚ますとそこは和室だった。

布団から体を起こすとそこにいた女性が俺が目を覚ましたことに気づいた。

 

「あら、目を覚ましたんですね」

「青娥、久しぶり」

 

そこにいた女性は懐かしの顔である霍青娥だった。

 

「ところでここはどこだ?」

「永遠亭よ。びっくりしたわ。いきなり倒れるなんて聞いた時は肝が冷えたわ」

「俺がどうなったか想像が付くか?」

「ええ。あなたが布都と再会したら倒れたと聞いたし、大体の予想はついているわ。大方閻魔様にでもあったんでしょ?」

「まぁ、そんなところだ」

「それでどんなことを言われたのかしら?ここにいるということは悪くない話だったんでしょうけど」

「無期限の執行猶予だそうだ」

「それはよかったわね」

「何がいいんだか。悪いことができなくなったからな」

「でも顔は嬉しそうよ」

「ほっとけ。ところで、妹紅と布都はどうしたんだ?」

「彼女たちはあなたを看るのに疲れたのかねむちゃったわよ。なんなら今から見に行く?」

「そうする」

 

立ち上がってから彼女たちがいる部屋まで誘導される。

襖を目の前にすると、青娥が話かけてきた。

 

「それじゃ、後は三人でゆっくりとしてね」

「…ありがとうな」

 

それだけを返し、襖を開く。

中では二人の女性が布団の上に座っていた。

 

「ただいま。迷惑をかけたな」

「「おかえりなさい」」

 

彼女達を思わず抱きしめた。

突然の行動に驚いた彼女たちだが、静かに抱き返してきた。

 

「いきなり死んだように動かなくなって、びっくりしたぞ」

「本当に心配したんだから」

「ごめんな。そしてありがとう」

 

そのあとに続いた言葉は思わずこぼれてしまった。

今まで言えなかったのに、言うときはこういう時だとイメージしてたのに、いざ言ってしまうときは思いかげないタイミングだった。

 

「あと、二人とも、愛してる」

 

「やっと言ってくれたんだ…」

「我も愛してるぞ、良喜」

 

三人で静かに、互いの体温を確かめ合いながらずっと抱き合っていた。

 

 

数日後。

永琳に大丈夫だとの太鼓判を貰った俺たちは竹林内のいつもの小屋の中にいた。

 

「それで良喜は今までどう過ごしてきたんじゃ?我たちみたいに尸解仙でもないということはずっと意識があったんじゃろ?」

「途中からは妹紅と一緒にいたなぁ…それまではほぼ一人ぼっちで過ごしていたけど」

「むぅ~。そこの妹紅だけ知っていて我が知らないのは許嫁として少し思うところがあるんじゃが」

「聞きたいか?」

「聞きたいか聞きたくないかで言うと聞きたいんじゃが、ダメじゃろか?」

「妹紅、いい?」

「私はいいよ。久しぶりに聞きたいし、良喜が何を考えながら過ごしていたか気になるし」

 

話さないという選択肢は存在しないらしい。

それならしょうがないな。

 

「長くなるから覚悟しとけよ」

 

それでは始めようか。

氷漬けの不老不死の男の噺を。

千年を超える小さな噺を。

 

 

 

 

 

――――不老不死の氷噺、完




これにて完結です。
とは言ってもあとがき兼キャラ紹介であと一話は投稿する予定ですが。
ここまで読んでくださってありがとうございました。

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