不老不死の氷噺   作:アンフェンス

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第十五話

 

「まぁ、コイツが俺と同じだということは分かった。でだ。何故俺とコイツを知りあわせようなんて思ったんだ?青娥」

 

場所は変わらず輝夜姫の部屋。

一通り彼女の話を聞いた俺は出てきた疑問をぶつけることにした。

 

「そうね。不老不死の人間にとって最も気を付けなければいけないことは何だと思う?」

「周囲との距離か?」

「あー、ちょっと聞き方が悪かったかしらね。ならこう聞きましょう。不老不死の人間にとっての最大の敵って何だと思う?」

「…思いつかないな」

「答えは()()よ。」

「分かるような、分からないような…」

「長く生きていればそのうち分かるわよ」

「まぁ、そういうことだとして。それと引き合わせた理由が関係するのか?」

「簡潔に言うと何か生きることにすら飽きてきたら同類と話すのも悪くないということよ」

「それは経験談か?」

「さて、どうでしょう?」

 

露骨にはぐらかされた。

こうなってしまったら聞き出せないのは以前同居していた時に学んだ。

つまり『この話はここでおしまい』ということなのだろう。

…非常に気になる話ではあるが。

 

「そういうことにして置くぞ」

 

俺が言った言葉に青娥は満足そうにうなずいた。

この話はこれで終わり、というのなら別の話を今からやっても問題ないということだ。

さて、普通ならば一番初めにするべき話をしようか。

 

「それで輝夜姫。護衛とは具体的にどうすればいい?」

 

輝夜姫も青娥の意図を察していたのかすらすらと答えた。

 

「いつでもそばにいて、というのは世情として少し問題があるからね…近くにいて何か嫌な予感があったら対処してもらえればいいわ」

「どのレベルまで対処すればいい?」

「そこは任せるわ。けど守ってほしいのは、私が不老不死だとばれない程度には守ってほしいわね」

「世間体では『翁が拾って来た可愛らしいお嬢様』で通しているからか」

「そういうことよ。まぁ何回かばらしてやろうかと考えたこともあったけどね」

「お、おう…」

 

ドン引きした。

 

「それをしたら拾ってくれたあの二人に悪いからしないけどね。ま、暫くはそんな感じでかまわないわ」

「了解。なら俺は隣の部屋で仮眠でもとらせてもらうとしますかね」

 

もう話すことはないと思った俺は立ち上がって部屋を出ようとした。

けどそれは叶わなかった。

 

「あら、淑女にだけ話させて自分は話さないつもりかしら?」

「…聞いててもつまらない話だぞ?」

「百年生きている人の話がつまらないわけないじゃない。ささ、夜は長いしまだまだこれからよ」

「…はぁ」

 

それから俺は自分が今までしてきたことを話した。

流石に自分が前世の記憶があるところは伏せたが。

 

布都とのじゃれあいのところでワーキャー騒がれた時にはぶん殴ってやろうかと考えた。

青娥とのくだりで青娥が顔を赤くしていたのは気のせいとしておこう。

みとりとの邂逅についてはすごく納得されたような顔をされたのは釈然としなかった。

鵺との一件の話を噂程度でも輝夜が知っていたのは正直驚いた。

 

「…とまぁ、こんなところだ」

「もう終わり?ふふ、随分と面白い話が利けて楽しかったわ」

「そりゃあ何よりだ。さて、さすがにもう寝てもいいか?」

「引き留めて悪かったわ。それじゃあ、これからよろしくお願いするわね」

「ん、了解」

 

俺は彼女らから逃げるように自分の仮眠室へと向かっていった。

 

――――――

――――

――

 

 

「それで?私と彼を合わせた理由は何かしら?」

「あら、私は言ったはずよ。不老不死同士、知り合っていて損はないと」

「本当にそれだけかしら?」

「ふふ、あなたがそう思うのならそうでしょうね」

 


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