不老不死の氷噺   作:アンフェンス

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今回は東方二次界隈ではそれなりに有名なキャラクターが出てきます。
彼女は東方project本編では出てきてないので外伝扱いです。


外伝一

 

拒んだ少年と拒まれた少女は山の中で出会う。

その出会いが何を生むかは二人だけのお話で、二人にしかその出会いが影響を与えることはない。

 

 

霍青娥と出会って気付いたことがあった。

あまりにも人と接してない時期が長すぎる。

そのせいか彼女と会った時には会話に対して疲れたレベルである。

元々ここに引きこもっていた理由は俺を知っている人に会いたくないためである。

流石に数十年たってればみんな死んでいるだろう。

たとえ知っている人がいたとしても俺と同じ不老不死ぐらいである。

彼女の置手紙でもあったようにいい加減人に会うべきなのだろう。

誰が何と言おうが俺はまだ人間のつもりだから。

 

と思って山を下りていると一人の少女が倒れているのに出くわした。

その少女はどうもけがをしているらしく、足を押さえていた。

 

「大丈夫か?」

 

心配になった俺は彼女を助けようと声をかけて近づく。

俺の声に気づいたその少女はこっちを見るなり怒鳴った。

 

「私に近づくのを禁止する!!」

 

その瞬間、俺の足が凍り付いた。

決して彼女の声や剣幕に押されたわけではない。

例えるならば目の前に壁が現れたみたいであった。

このまま硬直していても埒が明かないと判断した俺は優しく声をかける。

 

「おい、足を怪我しているんだろう?」

「あんたには関係ない!とっとと帰ってくれ!!」

「足が動かないんだが?」

「嘘つけ、私から離れることはできるだろう?」

 

事実、彼女から離れることはできる。

ただ単に彼女に近づくことができないだけだ。

けど、ここで俺が引くことによって彼女が猛獣とかに襲われたなら目覚めが悪いという話だ。

 

「お前、ここで何している?」

「何を言っているんだ?あんたらが私をこうしたんだろ!?」

 

彼女、なんか勘違いしていないか?

 

「俺はお前のこと知らないんだが?自慢ですらないが俺はここ数十年人には一人ぐらいしかあってないぞ」

 

俺の言葉に彼女は目を丸くする。

しかしそれもつかの間。

すぐに彼女は敵意むき出しの表情に戻った。

 

「そんなこと言って私を退治するつもりなんだろ!あんたらの魂胆なんてすぐにわかる!」

「退治?お前は妖怪かなんかか?」

「違う!私はあんな化け物とかとは違う!」

「じゃあなんで退治されるとか言っているんだ?」

「うるさい!あんたはそれを知っているんだろ!」

「いや、お前の事情なんて知らないし」

「え?……」

 

ここまで来て彼女が落ち着いてきた。

何かぶつぶつ呟いているが、そのうちこっちにも心を開くだろう。

なら待つのが正しい選択だ。

暫くすると彼女はおずおずと聞いてきた。

 

「あんた、本当に私に会ったことないんだよね?」

「さっきも言ったろ?碌に人には会ってないって」

「それで退治に来たわけじゃないって」

「そっちの事情は知らないしな」

 

そうして彼女は考え込む。

暫く待っていると彼女はぽつりとつぶやいた。

 

「禁止しているのを解除する」

 

漸く彼女に近づくことが許されたようだ。

 

 

 

「半人半妖?」

「そう。私の両親は河童と人間。その子供として生まれた私は他種族の架け橋として生まれたはずだった」

「はずだった?」

「…そのうち私は人間でもなく、妖怪でもない半端物として扱われ始めた。そしてある日ついに私は妖怪として退治される対象になっていた」

 

人里に住んでいたからな、と彼女は乾いた笑いを浮かべていた。

 

「それで命からがらこの山に逃げ込んできたと」

「そんなところだよ」

 

その後は単なる身の上話になった。

人と会わないのはやっぱり寂しいとか、禁止する能力ってずるいとか、いやそっちの凍結する能力の方が汎用性高いじゃないかとか。

そんな話をしていると夕方になっていた。

彼女にどうするか聞いてみるとこう答えた。

 

「私もあんたを見習ってほとぼりが冷めるまで山かどこかに引きこもることにするよ」

「俺みたいに人と会話せずに気づけば百年とかなるなよー」

 

彼女は笑って手を振った。

 

そうそう、彼女の名前だが。

どうやら河城みとりというらしい。




今回出てきたキャラクターについて気になった方は某大百科で検索検索ぅ!
次回からは平安時代の話になります

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