オーバーロードと大きな蜘蛛さん   作:粘体スライム狂い

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目次にボールペンの絵をおいてみました。
姿がイメージしにくい方は見てみると雰囲気はつかめるかもです。


14話

ロンデス・ディ・グランプは18名の仲間と共に今日の標的である村の住民達を一箇所に追い込んでいた。

村の中央、広場として使用されるその場所には60人弱の村人達が怯えた表情でこちらを見つめている。

 恐怖に萎縮した村人達は自分達がどうなるか悟っているのにも拘らず、村の行事などに使われる質素な木製の台座の後ろに子供達を隠し小刻みに震えた手で棍棒を掴んでいる。

隣人を、家族を、仲間を殺されながら此処まで逃げてきた村人達は疲労の極地でありながら、その心は抗えない運命への諦めを必死に拒否しようとしている。

自身の無力さを痛感し折れそうになる心をどうにか繋ぎ止め子供達を守るため武器を手に取る彼らの精神は、殺戮者であるロンデスにも一定の感動と尊敬を抱かせる。

だが、彼らは死ぬ。

人間の持つ勇気の輝き。その儚くも尊きものを、ここ数日で何度踏み潰してきただろうか。

いまさらそれに罪の意識を感じることは無い。任務だからだ。

村は焼かれ、僅かな生き残りを選び、残りの村人は殺される。

何度も繰り返された任務だ。

それが今回もまた例外なく繰り返される。

そのはずだった。

 

 

一瞬の出来事だった。

遅れて逃げてきた村人を後ろから切りつけようとした仲間の一人エリオン。

十分訓練された剣の一撃が哀れな村人の背に到達しようとしたその瞬間、エリオンの体をなにか白い物が覆い尽くした。

 

「へ?」

 

剣を振り下ろそうとする格好のまま突然動きを止めたエリオンが呆然と声を漏らす。

そして、エリオンが姿を消した。

 

「助けてくれえぇぇぇぇえええェェェェ!!」

 

装甲に覆われていない頬を巻き起こった強風が撫でていくなか、

徐々に遠ざかっていく悲鳴を追って仲間達が唖然とした表情で首を動かす。

何が起こったのか理解できず、ロンデスも周りに追従する形で村人達に背を向けて今も聞こえる悲鳴の発生源を探す。

いた。エリオンだ。

 全身を絹のような光沢を放つ白い布に覆われたエリオンが、砂埃を巻き上げながら地面を引き摺り回されている。

 よく見れば日光を反射する純白のロープがエリオンを拘束する白い布に繋がっていた。

 そして彼が引き摺られて行く先。砂埃の向こう側に化け物がいた。

見知らぬ相手ではない。この辺りでは見かけない生物ではあるが、場所によっては腐るほど生息しているそれとはロンデスも戦ったことがある。

 

「ジャイアント・スパイダーだと?なぜこんな平原に?」

 

 本来の生息域である森や洞窟とは全く異なる環境にも拘らず出現したモンスターの姿にロンデスは驚愕しつつも仲間を救うべく走り出す。

ジャイアント・スパイダーは強敵だ。

素早い動きと鎧をも貫通する毒の牙、放たれる糸の脅威はもはや言うまでもない。

一対一ならば勝利を手にすることは難しい相手だ。

その上エリオンを捕らえている個体はロンデスが見たことも無い程の巨体を持っている。

 

「リリク!デズン!モーレット!やつの周りを囲め!毒の牙と爪に注意して関節を狙え!」

 

強大な敵と仲間の危機を前にして棒立ちになっているまぬけな隊長に先んじてロンデスは命令を出す。

ジャイアント・スパイダーは確かに強敵ではあるが、その強さは奇襲や蜘蛛特有の罠に拠るところが大きい。

攻撃方法は前方に対する噛み付きと爪による引っ掻きぐらいしか無いので多方面からの攻撃には対応できない。

つまり誰か一人がヤツの攻撃を引きつけていれば此方は一方的に攻撃を仕掛けることが出来る。

強固な外骨格は剣などの刃物による攻撃に対して非常に強固で、出来ることならばメイスなどの殴打武器を使用するほうが望ましい。

しかし剣であっても外骨格に覆われていない間接部を狙えば十分な効果が見込める。

肢を3本も断ち切る事が出来れば勝利はその時点でついたも同然だ。

 

「ぎゃあああああああ!!」

 

絶叫を上げて身を捩るエリオンがついにジャイアント・スパイダーの前肢に捕らわれた。

もはや助かるまい。

眼前にせまった仲間の死に歯軋りしつつロンデスは全力で走った。

エリオンが犠牲になっている時がチャンスだ。

一番の脅威である毒の牙が獲物に食い込んでいる隙にヤツの息の根を止めてやる。

 

「うおおおおおお!」

 

 真っ先にジャイアント・スパイダーの下へとたどり着いたリリクが関節めがけて剣を振り下ろした。

 走ってきた勢いを乗せた見事な一撃は関節目掛けて正確に振り下ろされる。

ジャイアント・スパイダーの肢の一本を切断するには十分な一撃だ。

ロンデスの推察が正しいことを証明するように、ジャイアント・スパイダーの肢の一本がその醜い胴体から切り離される。

しかし――。

 

「な、なに!?」

 

切断面から伸びた何本もの白い糸が切り離された肢を繋ぎ、引き戻す。

ほんの一瞬でジャイアント・スパイダーは元通りの姿に戻ってしまった。

なんだそれは。ありえない。

ロンデスは即座に足を止めると目を見開いた。

ジャイアント・スパイダーにあるまじき再生能力に怖気づいたわけではない。

再生力が高くとも、それを上回るダメージを与えることは数に勝る此方としては容易な事だ。

だが、そんな有利を覆すような常軌を逸した光景がロンデスの目の前で発生したのだ。

 

「ひぃ!!」

 

剣を振り切った姿勢のリリクに向かって、ジャイアント・スパイダーから出現した黒い塊が飛び掛った。

煙にも泥の塊にも見えるそれは、キィキィと不快な音を出しながらリリクの全身を覆い鎧の中へと侵入していく。

そして絶叫が上がった。

 

「ぎゃああああああいたいいたいいたいぃぃぃぃ!!」

 

その光景はアリに集られ解体されていく蜥蜴に酷似していた。

地面を転がりもがき苦しむリリクの体はたった数秒で動かなくなる。

鎧の隙間からは血が漏れ出し、布地の部分は大きく弛み中身が無くなったという事実を克明に示していた。

クソッたれ。こんなことってあるのか?

ロンデスは神を罵った。

彼は見たのだ。リリクを覆ったあの黒い塊の正体を。おぞましい蜘蛛の群れを。

やつらはその刃のような顎で吐き気を催すほど簡単に肉を裂き、毒で溶かし、啜り、リリクを物言わぬ骸骨へと変えてしまったのだ。

なんと恐ろしく苦痛に満ちた死に様だろうか。

様々な死を目撃し、自らも死を振りまいていたロンデスをして幼い子供のように恐怖せざるをえない凄惨極まりない光景だった。

 

「皆、止まれ!ヤツに近づくな!」

 

ロンデスが言うまでもなく、リリクと同じようにジャイアント・スパイダーに近づいていたデズンとモーレットは踵を返して距離を取り始めていた。

ロンデスも距離を取りながら油断無く敵を観察する。

見た目は馬鹿でかいジャイアント・スパイダーそのものだ。

しかし実際はそうではないのだろう。

リリクを貪り食った黒い蜘蛛の大群がジャイアント・スパイダーの外骨格の中に滑り込んでいく。

その光景にロンデスは恐怖した。

まさか、あのジャイアント・スパイダーの中にはあの蜘蛛の大群が犇いていて、内部からジャイアント・スパイダーの外骨格を操っていると言うのか?

それはどういう理屈だと文句を言いたかった。

蜘蛛が大量に集まったところでそれは個々の集まりに過ぎない。それがどうしてあのように一つの意思を持っているかのような動作でジャイアント・スパイダーの外骨格を動かすことが出来るというのだ?

自然界に存在しないであろう余りにも異質な存在。もしかするとあの怪物はどこかの魔法詠唱者(マジックキャスター)が作り上げた人工の魔獣なのかもしれない。

もしそうだとすれば、その魔法詠唱者(マジックキャスター)こそが自分が属する国が全力を挙げて滅ぼすべき真の邪悪だろう。

 

「ちくしょう……エリオンもか」

 

胸に牙を差し込まれ声も上げる事無く絶命していたエリオン。

彼の遺骸もまた例の黒い蜘蛛に覆われていた。

リリクを貪り食った蜘蛛達と比べ、エリオンの口から濁流の如く漏れ出している蜘蛛は小型のものばかりだった。

恐らくは打ち込まれた牙に存在する本来は毒が分泌される穴を通って直接体内に蜘蛛の群れが雪崩れ込んだのだろう。

毒よりも尚恐ろしい必殺の手段を持つ怪物にロンデスは戦慄を禁じえなかった。

 

「お、お前達!あの化け物を近づけさせるなぁ!」

 

隊長であるベリューズから命令とはいえない叫びが上がる。

どうやって?という疑問はあるが、ベリューズの言っていることは間違っては居ない。

あの化け物との接近戦は自殺行為だ。

此方がどんなに剣を振るっても、殺せる蜘蛛の数はその総数に比べれば雀の涙。

そんな事をしている内に急ぎ足で這い出てきた蜘蛛の大群に食い尽くされるのがオチである。

剣では戦えない。かと言って弓騎兵を呼んでも矢による攻撃もまた効果的とは言いがたかった。

 

「油だ! 錬金油を持っているものはヤツに投げつけろ! それと火種を持ってこい! ヤツを火達磨にするんだ!」

 

ロンデスのその声を受けてすぐさま動き出す仲間達。

本来は村の建物を焼く為に用意していた錬金油だったが、部隊に魔法詠唱者(マジックキャスター)が居ない現状、あの蜘蛛が寄り合わさった化け物を倒しうる面制圧可能な攻撃手段はそれしかない。

あの恐ろしい死に様を目の当たりにしておいて、出し渋る理由は無かった。

 

「くらえ化け物!」

 

次々と投げつけられる錬金油を入れた壷。

今は個人携帯が可能な量しかないが、4つも合わさればあの化け物を炎で覆う事の出来る量ではある。

投擲された壷から一呼吸遅れてロンデスは仲間が持ってきた火種を投げつける。

頼むから効いてくれ。

ロンデスの切実な願いを神が聞き届けたのだろう。

投擲された壷と火種は偶然吹いてきた追い風により予想外の速度でもって化け物へ向かう。

そして、着弾、着火する。

しかし――

 

「オオオオォォォォオオオオアアアアー!!」

 

巻き起こる紅蓮の炎は蜘蛛の化け物を焼く事は無かった。

まるで黒く色づいた風のように滑り込んできた巨体。

巨体が掲げる巨大なタワーシールドによってその悉くを防がれてしまったのだ。

唸るような風切り音を立ててタワーシールドが振るわれると、その表面で燃えていた錬金油が跳ね除けられ周囲へと飛び散った。

 

「か、神よ……」

 

仲間の誰かが神に救いを乞うた。

そんな彼を誰が軟弱だと笑えようか。

蜘蛛の化け物を守るように現れたその巨体。

仮に呼ぶならば「死の騎士」という名が相応しい、この世の邪悪が形を成したかのようなおぞましいアンデッドを前に平常心を保てる人間など居よう筈も無いのだから。

 

腐り落ちかけた顔面を更に歪ませ笑う死の騎士と、その後ろで蠢く蜘蛛の化け物。

二体の怪物が、ロンデス達に向かって近づいてくる。

互いに目配せしながら、歩調を合わせてやってくる。

 まるで共通の目的を持つ熟練冒険者のように、脆弱な人間を遥かに超える力を持った強大な怪物達がタッグを組んでやってくる。

そして、絶望が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一番早く異変に気付いたのは子供達だった。

大人達に庇われるように村の行事で使う台座の影に隠れていた彼らは、二重三重に襲い来る恐怖の光景から逃げるように耳を塞ぎ地面を見つめていた。

人が上げるものとは思えない濁音塗れの泡だった絶叫、皮をはがされ剥き出しになった筋肉を溶かされのたうち回るアンデッドよりも悲惨な姿になった人間の悶え苦しむ様。

それらは自分達の村を襲った憎き敵であろうと、哀れみを感じさせるほどの惨状だった。

もしあの恐ろしいモノが自分の身に降りかかったとしたら。そう考えただけで子供達は泣き出しそうになるほど恐ろしかった。

 

 そんな恐怖を噛み締めながら地面を見つめる子供達の視界に、なにか動くものが映りこんだ。

 

「ひいっ!」

 

小さな悲鳴が上がる。

なぜならばソレは少しはなれた場所で猛威を振るっている怪物と同じ姿をしていたから。

そして、たくさん、居たから。

 

子供達が見つめる地面にはいつの間にか大量の蜘蛛が這い回っていた。

ただ数が多いだけではない。種類も豊富だ。

大きな蜘蛛、小さな蜘蛛、地面を歩く蜘蛛、巣を張る蜘蛛、木の上に棲む蜘蛛、地中に棲む蜘蛛。

子供達が生活の中で見かけたことのある、村に生息する蜘蛛という蜘蛛が一列になって移動していた。

 

 

 

次に気付いたのは村の大人達だった。

 村の彼方此方から延びる黒っぽい線。それが地面を伝って今も猛威を振るう蜘蛛の怪物の下へと向かっているのだ。

次々に起こる異常な事態に恐怖しながらもその正体を知ろうと凝視すれば、それは蜘蛛で構成された幾つもの列だった。

一体この蜘蛛は何処から来たのだろうか?

蜘蛛達が襲い掛かってくる様子を見せない事に安堵しつつ周囲を見渡せば、どうやら蜘蛛達は村の中から現れているらしい。

半壊した家の中から、樹上に張られた蜘蛛の巣から、草むらから、野花から、地中から。

カルネ村に棲んでいただろう蜘蛛という蜘蛛がお互い喰らい合う事もなく、整然と列を組み蜘蛛の怪物へと向かっている。

そしてその体内へと潜り込んでゆくのだ。

 

「……村の蜘蛛達が、あの化け物になってるのか?」

「戦ってる……守ってくれている、のか?」

 

村人達がそれぞれ感じた考えを口にする。

言葉は違えどその内容は大よそ似通っていた。

 

――村の危機に蜘蛛達が立ち上がり、戦ってくれている。

 

なぜ戦うのかは分からない。

守ってくれているのかも定かではない。

だが精神的に追い詰められていた村人達は突如として現れ騎士達を殺戮していく怪物と、村の蜘蛛達が見せ不思議な行動を希望的に結びつける。

 

「きっとそうだ。村の蜘蛛達が、同じ村に住む俺達を助けに来てくれたんだ!」

 

誰かが興奮気味に呟いたその言葉は伝染病のように周囲に広がっていく。

追い詰められていた精神にとって、希望を持たせるようなその言葉はあまりにも心地よく染みこんでいく。

いまや村人達は誰もが熱く潤んだ瞳で、恐るべきアンデッドの騎士と共闘し村を襲った殺戮者達を駆逐していく蜘蛛の怪物を見つめていた。

盾で殴られその身から零れる蜘蛛の何匹かが潰されようと、怯む事無く戦うその姿に誰もが胸を熱くしていた。

騎士達が死に絶えたとき、次の標的は自分達なのではないかという疑念から目を逸らしながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アインズ」

 

虚空からの呼び声にモモンガ――アインズは頭を上げた。

その周囲には村からの逃亡者を確実に狩る為に配置されていた弓騎兵達の死体が散乱している。

 

「どうした?」

「残りの連中が掃討されそうだ。そろそろ止めるべきではないか?」

 

透明化した上に複数の隠密系スキルを発動させて姿を隠したクーゲルシュライバーの言葉にアインズは自身が実験に夢中になっていた事に気付く。

クーゲルシュライバーの言うとおり全滅させてしまってはうまくはない。

 

「そうだな。情報を引き出さねばならん」

 

アインズは手に持っていた剣を投げ捨てる。

かつては綺麗に磨き上げられていた剣の刀身は今では見る影も無く腐食し朽ち果てており、地面に落ちた衝撃でバラバラに砕け散ってしまった。

 

『デスナイトよ、それぐらいにしておけ。デスウェブに騎士の捕縛を任せ待機せよ。抵抗するものがいれば多少痛めつけても良いが殺しはするな。利用価値がある』

 

アインズの思念に反応し、受諾の意が伝わってくる。

先ほどまで行われていた実験中に発見したこのテレパシーに似た力は便利である一方で、離れた相手がどのような状況でどのような気持ちでいるのかが分かってしまうという形容しがたい感覚をアインズに与えていた。

不快とまでは行かないが慣れない感覚であるそれを感じながら、アインズは魔法を発動させる。

飛行(フライ)

アインズの体がふわりと宙に浮かび上がる。

 

「昔は物理ダメージ軽減とかの、恒常的にダメージを減少させる能力の方が羨ましいと言っていたのだがな……」

「こうもレベルの低い連中ばかりだとな。今となっては私がお前を羨ましく思うよ」

 

クーゲルシュライバーの声が真横から聞こえてくる。

 既に地上5メートルまで上昇しているにも拘らずだ。

おそらくは空中での歩行を可能とする魔法《空歩き(エアウォーク)》を使用しているのだろう。アインズが驚く様子はない。

 

「それでも防御力に対して攻撃力が低すぎる場合そのダメージは0になる。この程度のレベル相手ではどの道同じ結果だろうよ」

「そうかもしれないがな……アルベド、来い」

「えっ?」

 

至高の存在同士の会話を邪魔しないようにと無言で控えていたアルベドだったが、突如かけられたクーゲルシュライバーの声に困惑した声を出した。

その様子にアインズはまたか、と内心ため息を漏らす。

 

「お前一人を歩かせるわけには行かないだろう?乗せてやるから早く来い」

「そ、そのような事は出来ません!」

 

それ見ろこうなった。

思いがけない内容だったのだろう、大きく取り乱しながらも拒否するアルベド。

自覚しているのかしていないのか。どうもこの友人はNPC達を弄る悪癖があるように思える。

比類なき忠誠を誓い、ゆがめられた設定により愛を捧げるようになったアルベドに対して、自分の背に乗れなどと命令すればこうなるのは目に見えているではないか。

自分の勤める会社の社長か会長に突然、コンビニ連れてってやるからこっち来い、おんぶして行ってやる……などと言うわけのわからない命令をされるのと同じ事だ。

 

NPC達の背後にかつての仲間達の面影を見ているアインズにとって、彼らは愛すべき友人達の息子や娘のような存在だ。

 そんなNPC達を玩具にし、右往左往する姿を楽しんでいるというのであればそれはたとえ大切な仲間であるクーゲルシュライバーが相手でも嗜めるべきだろう。

単純に透明化して姿を隠しているだけなので、透明看破能力を有するアインズは見ようと意識すればクーゲルシュライバーの姿が見ることができる。

これで見えた姿が愉快そうにしているのであれば一言注意するところだが、クーゲルシュライバーにそんな雰囲気は微塵も無い。

そこにあるのは言葉どおり、一人仲間はずれになるアルベドへの気遣いと善意しかなかった。

 

「それはそれで厄介だな……」

「うん?なにが厄介なんだ?」

 

首を傾げるクーゲルシュライバーに対してなんでもないと短く答えると、アインズはアルベドにも《飛行(フライ)》の魔法を付与する。

最初からそうしておけばクーゲルシュライバーが余計な気を使うことも無く、アルベドがこうも慌てる事もなかった。

アルベドには悪いことをしたと反省しつつ、アインズは村に行く前の身支度を開始する。

露出している胸部をローブで覆い、骸骨の手を無骨な篭手をはめることで隠す。

そして最後に頭をすっぽりと覆うタイプの仮面をアイテムボックスから取り出す。

バリ島の仮面に似た泣いているようにも、怒っているようにも見える表情のその仮面には装飾が過剰なほどに施されていた。

嫉妬する者たちのマスクと呼ばれるその仮面を被れば、アインズの骸骨の見た目は全て覆い隠された事になる。

 これで準備万端。さぁ生き残り達の下へ行こう。

そう思った時、背後に控えるアルベドからなにやら押し殺した声が聞こえた。

 

「くふふ……やっべぇアインズ・ウール・ゴウン様かっわえぇ……」

 

――さっきアルベドはなんて言ったんだ?アインズ・ウール・ゴウン様……としか聞こえなかったが。

聞き逃した部分はそれほど多くは無いだろうが、アルベドが隠すように呟いた言葉がなんなのかアインズは非常に気がかりだった。

まさか陰口ではないだろうか?

そう考えた時、アインズの脳裏に電撃が走った。

 

(な、なんという事だ。アルベドはギルメンを愛している。つまりクーゲルシュライバーさんの事も愛しているわけで、さっきのアレはアルベドにとってはそんな愛している相手と触れ合うことの出来る絶好のチャンスだったんだ!そ、それを俺が《飛行》なんて唱えちゃったせいで台無しにしてしまったんだ!それでアルベドは怒っている……最低でも不満に思っているに違いない!)

 

 横目でアルベドの様子を窺ってみれば、兜のせいで表情は読み取れないがその鎧に覆われ肩を小刻みに震わせているのが見えた。

まるでそれは怒りを堪えているようにも見え――

 

「……アルベドよ。クーゲルシュライバーの傍に居たいというお前の気持ちもわからんでもないが、今は未知の危険が蔓延るナザリック外だ。防御力に劣る私の傍に居てもらわねば困るぞ?」

 

気付けばいい訳めいた言葉を発していた。

言ってしまった事は無かったことにはできないが、それでもその内容におかしな部分は無い。

前衛職であるクーゲルシュライバーよりアインズの方が耐久力に劣っているのは事実であり、より耐久力が低いほうを盾役が守るというのも間違っていない。

そして護衛対象であるアインズが空を飛んでいる以上、盾役であるアルベドが自在に空を飛べるか否かというのは防衛上非常に重要となってくる。

だからさっきの失態は危険な領域で行動するに当たって当然の行為であり、決してアルベドとクーゲルシュライバーのイチャイチャタイムを妨げるつもりは無かった。

アインズはそうアルベドに伝えたかったのだ。

仕事上必要な事なのだから仕方ない。そう納得して欲しかった。

 

「そ、それとだなアルベド。私の事はアインズでいい。長い名前だからな」

 

アインズがそういった瞬間。

アルベドの頭部を覆う兜の隙間から突風のような息吹が噴出してきた。ナザリック地下大墳墓守護者統括であるアルベドの持つ肺活量のなんと強大な事か!

突如香るフローラルな香りにアインズは人間が瞬きするかのように瞼のない目を点滅させながらアルベドを見た。

 

「くっふぅーー!」

 

――なにこれもう可愛すぎて幸せすぎて私どうにかなっちゃう!これがぶくぶく茶釜様とペロロンチーノ様が度々仰っていた萌えという感情なのね!あぁ私はなんて幸せ者なのかしら!至高の御方マジ至高!分かっていたけどちょー至高!アインズ・ウール・ゴウン万歳!アインズ・ウール・ゴウン万歳!

 

再び吹き出る芳しい突風に伴う騒音によって、アルベドが小声かつ凄まじい速度で捲くし立てたであろう言葉はアインズに届くことは無かった。

何を言っているのかは不明だったが、それでもアルベドが全身から発散する喜びの感情はアインズにも見て取れた。

どうやら機嫌を直してくれたらしい。

些か腑に落ちないところはあるが、アインズは一応問題は解決されたと判断して安堵する。

そこへアルベドが興奮した様子で詰め寄ってきた。

 

「あの!あの!あのっ!よ、よろしいのでしょうか?至高の41人の方々を指す、栄光あるお名前を略すなどという、ふ、ふ、不敬をおこにゃって!」

 

不敬もなにもあるものかとアインズは思う。

むしろこうして興奮の鼻息荒く主人に詰め寄っている事の方がよっぽど不敬に当たるような気もするがアインズにはそれを指摘するつもりは全く無い。

この名前を尊いモノと捉え、それを略して呼ぶことにここまで興奮して喜びを顕にするアルベドに対してそんな意地悪な事をするほどアインズは捻くれた性格をしていなかった。

 

「構わないとも。この名を名乗ることはクーゲルシュライバーとも相談済みだ。ならばこの名は私の名前。自分の名前である以上、この私が許そう。その名で呼ぶことをな」

「畏まりました、で、ですが敬称をつけさせていただきます。で、では。……わ、私のご主人様であり愛するお方、ア、イ、ン、ズ、様。く、くふふふ……」

 

愛する、などと。

顔は見えていないが普段のアルベドの姿を知っている以上、彼女の水蜜桃の如き感情がたっぷりと詰まっている「愛するお方」という言葉にアインズは少なくない気恥ずかしさを感じた。

挙動不審気味に視線を左右に動かせば、無表情のはずなのにどこかニヤニヤ笑っているような雰囲気のクーゲルシュライバーが目に入る。

やめろ、見るな。余計に恥ずかしい。

 アインズは湧き起こってきた羞恥心から、ローブを翻す勢いでアルベドに背を向けた。

精神作用無効化が発動し平常心を取り戻したアインズの背に、またもやフローラルな風が吹き付けられる。

 

「し、死ぬ、萌え死ぬ……と、ところでアインズ様?」

 

背後から鎧がたてるガシャガシャという音に紛れてアルベドの声が聞こえてくる。

首を動かし見てみれば、全身鎧を着たアルベドが内股になって身をくねらせている。

普段の姿ならいざ知らず、今は彼女の目もくらむような美貌は一切外に出ていない。

そのためアインズでも引くほどにその姿は異様に見えた。

 

「も、もしかして、くふふふ……私だけ、あ、あのー至高の御方々を除いて、特別……略して呼んでいいとかで……」

「勘違いするな。いちいち長い名前で呼ばれるのがこそばゆいだけだ。全員同じ呼び方で統一するつもりだ。お前だけ特別扱いするというわけではない」

「……そうでしたか。これは失礼いたしました」

「?」

 

――これがツンデレ!なんという威力なの!?

 

アルベドを落ち着かせる為にあえて強く冷たい言葉を使ったつもりなのだが、アルベドの浮ついた様子は一向に収まる気配を見せない。

その事に疑問を抱きながらも、アインズは移動を開始する。些か時間を浪費しすぎていた。

 デスナイトから得た情報を基に村人達がいる広場とそこにある質素な台座を目指して飛行する。

風がバタバタと吹きつける。明らかにユグドラシルでは出ないほどの速度が出ていた。

 他の二人はちゃんとついてきているだろうかと振り向けば、そこには足場も何も無い空中で素早く足を動かしまるで滑るように移動するクーゲルシュライバーの姿と、鮮血のような赤に染められたマントをはためかせながら飛行するアルベドの姿があった。

誰一人はぐれる事無く追従できていることを確認し再び前方へと向き直れば既に目的地上空に到着していた。

 

広場の上空から下を見下ろせば、大地の所々に黒と白に染められた部分があった。

そこにあったのは複数の死体。蜘蛛の糸に捕らわれながら悲鳴を上げる複数の騎士。よろめきながらも生きて立っている数名の騎士。そしてデスナイトとデスウェブだ。

息がある騎士はデスウェブに捕らえられた者達を含めると8人。

 アインズが必要とする数を大きく超えていたが、まぁ多い分には構わない。

それよりも問題なのは、いや、疑問が一つあった。

 

(……なんで村人達はデスウェブに祈りを捧げてるんだ?)

 

広場の中央。質素な台座を中心に集まる60弱の村人達は皆地面に跪き両手を胸の前で組んで――エンリとネムがやっていたアレだ――デスウェブを見つめていた。

彼らの真摯な姿と目に宿る畏敬の念。

それはついさっきエンリとネムの両名に実践され教えられた、神を信仰する人間の姿だった。

 

(ぇぇぇぇぇえええ?なんでそうなってるの?)

 

 よく見ればデスナイトに対してもそのような姿勢を見せる村人もいる。

いくら命を救ってくれた恩があろうと、アンデッドに対して信仰の姿勢をとるのはなにか間違っていないだろうか?

いや、折角助けたのにアンデッドであるという理由で排他的になられても困るのでこれはこれでありがたい展開ではある。

 

(でも面倒ごとの予感がするなぁ。宗教関係に踏み込むのはまだ早いって言うのに、なんでこうなるんだよ)

 

アインズは心中で現状への不満をぶちまけると、それを感じさせない威厳ある声であるよう心がけ口を開いた。

 

「デスナイトよ。そこまでだ」

 

アインズはアルベドを伴って、ゆっくりと地上に降り立った。

広場に居た人間全ての視線が自身に向けられているのを感じ、アインズはクーゲルシュライバーの存在が完全に隠蔽されている事を確信した。

デスウェブに対して祈りを捧げるような村人にクーゲルシュライバーの存在を知られたらまた面倒な事が起こる。

そういった心配があったが、どうやら杞憂だったようだ。

 

(よかった。恐怖の本質(エッセンス・オブ・ホラー)より数段性能が劣る隠蔽らしいけど、十分な効果があったみたいだ)

 

余計な騒動が起こらなかった事に満足しつつアインズは生きている騎士達を見つめた。

騎士達は表情の抜け落ちた虚ろな表情でアインズ達を眺めている。

 剣を掴んだ手は力なく垂れ下がっており、抵抗する気力が皆無である事を窺わせる。

 希望の欠片も存在しない絶望の中で、さらなる絶望がやって来たかのように、ただ彼らは無抵抗で立ち尽くしていた。

 

「はじめまして、諸君。私はアインズ・ウール・ゴウンという」

 

その言葉に誰も返事を返さない。

 

「投降すれば命は保証しよう。まだ戦いたいと――」

 

その言葉にすぐさま剣が投げ捨てられる。立っている騎士達全員が剣を捨てるのにかかった時間は一秒にも満たなかった。

蜘蛛の糸にグルグル巻きにされている騎士達も、枯れ果てた声で投降の意思を叫んでいる。

 

「……よほどお疲れのご様子。だがデスナイトの主人でありデスウェブを遣わした者の友である私を前に頭が高いな」

 

その言葉に騎士達は黙して跪き頭をたれる。

投降を叫んでいた捕らわれの騎士達も叫ぶのを止めて沈黙していた。

その姿は最早どうにもならぬと悟り、ただ斬首される時を待つだけの囚人と同じだった。

 

「諸君らには生きて帰ってもらう――そして諸君らの上司、いや、飼い主に伝えろ」

『モモンガさんオーラオーラ!ここで絶望のオーラⅠですよ!』

(えー……)

 

アインズが跪いた騎士の兜を剥ぎ取った時に飛んできたクーゲルシュライバーの<伝言(メッセージ)>。

その暢気な内容に演技も忘れて気の抜けた声を出しそうになったがアインズはそれ心の中だけに留めることに成功した。

たしかに脅しの効果を高められるような気もするのでここは仲間からのリクエストに答えるとしよう。

アインズはそう思い、絶望のオーラⅠを発動させる。

その瞬間、疲労に濁った瞳がこぼれ落ちるのではないかという程に見開かれ、ブルブルと震えだした。

元々浅かった呼吸は更に浅くなり、途切れ途切れになっている。

長引かせれば命を失ってもおかしくないほどに怯えた騎士の体調を慮り、アインズは速やかに用件を伝えた。

 

「この辺りで騒ぎを起こすな。騒ぐようなら今度はお前達の国に死を告げにいくと伝えろ」

 

騎士は震える体で白目を剥き舌を飛び出させた頭を何度も上下に動かす。

今にも死にかねないその姿に、やはり演出過剰だったかとアインズはマスクの目の部分から立ち上る絶望のオーラを納めた。

 

「行け。そして確実に主人に伝えろ」

 

顎でしゃくると騎士達は文字通り転がるように一目散に走り出す。

それを見ていたのだろう、拘束された騎士達から悲痛な叫びがあがった。

 

「わ、私も投降しました!どうか!どうか慈悲を!そ、そうだ!私はこれでも国では資産家です!お望みの額を必ずお渡しするので、なにとぞ!なにとぞ命だけはお助けください!」

 

そういえばそういう奴らも居たなとアインズは思案する。

別に先の騎士達と同じように逃がしても良いのだが、さてどうするか?

 

『モモンガさん。あいつら貰ってもいいですか?』

 

クーゲルシュライバーからの<伝言(メッセージ)>だ。その声色には欲しいものをねだる子供のような純粋さがあった。

 

『貰うって、どうするんですか?』

『エーテル化の魔法をかけて、ネムにつけた転移蜘蛛の大群(フェイズ・スパイダー・スウォーム)の餌にしようと思いまして』

『えぇ?でも投降すれば命は保証するって言っちゃいましたし……』

『じゃあ殺さないように加減して食べろって言い聞かせますから!ある程度食べたら治療して何処かに捨ててきますから!ね?お願いします!』

 

いつになく熱心なクーゲルシュライバーにアインズは首を傾げる。その姿を見た騎士達が絶望的な表情を浮かべるが、アインズは全く気にしない。

 

『どうしたんですか?その拘り様』

『いや、なんというかですね。自分が作ったモンスターが妙に可愛くって……モモンガさんはそういうのありません?』

 

アインズは自らが創造したデスナイトを見る。

腐り落ちかけた顔を凝視するが、クーゲルシュライバーが言うような可愛さは全く感じない。

むしろ気持ち悪い。

 

『いや、そういうのはないですね』

『そうですか……。なんといいますかね。精神的な繋がりから伝わってくるあいつらの気持ちが、なんとも素朴というか、和むというか』

『うーん。デスナイトからはそういうのはあまり感じられませんが……』

『となると私だけなんですかね。なんかこう、ガンバル!とかママー!パパー!みたいな子供っぽい感じですっごい慕ってくれてるんですよあいつら』

 

クーゲルシュライバーの言うような感覚はアインズには全く無かったが、彼の言わんとする事は理解できた。

純粋に自分を慕ってくるモンスター達が可愛くなってしまったと。

そして転移蜘蛛の大群(フェイズ・スパイダー・スウォーム)達が腹を減らしているのだろう。

それを感じ取ってしまい彼らを可愛く思っているが故にその要望を叶えてやりたくなってしまった。きっとそういう事なのだろう。

クーゲルシュライバーの、自身を慕ってくる子供のような存在を可愛がりたい大切にしたいという気持ちはアインズにも十分理解できた。

つまり、アインズ自身がナザリックの全NPC達に感じる愛情のようなものだろう。

その結論に至ったとき、アインズの答えは決定された。

 

『いいですよ。でも命を奪わないように気をつけてくださいね。約束した事はできるだけ此方から破りたくはないので』

『ありがとうモモンガさん!あいつらもきっと喜びます!それじゃ、サクッとエーテル化させちゃいますね!』

 

伝言が切れるのと同時に、捕らわれていた騎士達――金がなんだと騒いでいたやつも当然含む――の姿が消えうせた。

 中身を失った蜘蛛の糸が音も無く潰れていく。

エーテル化(イセリアルネス)》の魔法によってエーテル化し、エーテル界へと連れ去られたのだろう。

暫くは苦痛に満ちた残酷な時間を味わうことになるだろうが、命は保証されているので約束を破ったことにはならない。

此方に落ち度は無い事を再確認すると、それ以上アインズは別次元に拉致されていった哀れな騎士達を気にかけることはなかった。

そんな事(・・・・)より優先すべき事があるのだ。

 

アインズは頭の中でデスナイトに従者の動死体(スクワイア・ゾンビ)の片づけを命じると、村人達にむかって歩き出す。

距離が近づくにつれ村人達の表情に恐怖と混乱がはっきりと交じり合っていく。

怯えが限界に達した数人の村人がデスウェブに向かって一心不乱に祈りを捧げ始めるのを見て、アインズは自分の失敗を悟った。

今の自分は彼らを恐怖のどん底に叩き落した騎士達よりも強い力を持った恐ろしい存在。

弱者である彼らからすれば敵か味方かも分からない正体不明の怪しい人物だろう。

 アインズは村人達を無駄に――情報が得づらくなるという意味――怖がらせた事を反省しつつ、彼らからある程度の距離を置いて立ち止まると、親しみを込めた優しい口調で語りかけた。

 

 

 

 




今回は犠牲者とモモンガ様視点でお送りしました。

あの村はずれでのシーンをアルベド視点で見ると、まるで自分が乙女ゲー主人公になってしまったかのような愛されっぷりでしたね。
まさかあの死の支配者であるアインズ様が、あんなにやきもち焼きで寂しがりん坊でテレ屋でツンデレだとは流石のアルベドも夢にも思うまいて。


脇役になってるにも関わらずボールペンが色々と慈悲深い回でした。
相変わらずやってることは大迷惑そのものですけど、自分の作ったモンスターに対する優しさだけは変に捩くれる事無く発揮されてましたね。
デスナイトとデスウェブ、そしてフェイズ・スパイダー・スウォームの違いがそのまま結果に反映されています。
デスナイトは完璧アンデッドですけど、ボールペン作のあいつらは半アンデッドだったり普通の生き物ですからね。

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