ハイスクールヒーローズ-THE ULTIMATE HERO'S-   作:絶狼ゼロ

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ちょっとした詐欺です…申し訳ありません。

本来ならこの一話でレーティング・ゲームを完結させようとしたのですが…自分の文才を考え、
“前中後編”
に分ける事にしました。
どうかご容赦下さい。

今回はその“前編”です。

OPテーマ
ウルトラマンパワード

EDテーマ
W-B-X


第10話 開幕(前編)

特訓を始めた日から、遂に10日間目に入った。

 

この10日目は、最後の仕上げとして、

 

イッセー、祐斗、小猫の前衛組は、

雪菜、美琴、翼を相手にして最後の戦闘特訓に励んでいた。

この10日間の特訓で、三人は特に近接戦闘に置いては、

かなり上昇した!

祐斗は鋼賀の特訓により、腕力が上がった事によって、己の武器であるスピードを損なわずに、巨大な魔剣を操る事が出来ただけでなく、普段使う魔剣を二刀流で操る事も可能になったのだ。

 

そして小猫も同じように、涼太郎と戦闘訓練を行うことで、持ち前のバカ力に、臨機応変の戦い方を身につけた。

中でもイッセーは、ケンイチの地獄特訓を受けたことにより、特に体力が段違いに上がったのだ。

 

更にはケンイチしか知らないが、

神器に宿るドライグと取引を行った事で、未完成だが

バランス・ブレイクを発動する事が可能になり、極めつけはケンイチから一撃必殺技、

(ケンイチ命名)

“ドラゴニック・カウンターブラスト”

を授けられたのだ。

 

そしてケンイチを相手に、残りの日数を使い、近接戦闘の特訓を行っていたのだ。

 

そして最終日である本日は、まさに最後の仕上げである。

 

 

イッセー

「オウリャアァァッ!!」

 

雪菜

「ハアッ!」

 

イッセーは雪菜に向かって、拳を繰り出すが、雪菜は冷静に雪霞狼で上手く受け止める。

 

小猫

「えい…!やぁー…!」

 

美琴

「おっとっと、

危ない危ない!

よっと!」

 

小猫も美琴に突撃していくが、美琴も負けじと回避しつつ、

 

美琴

「ハアァァァァァッ!!」

 

己の武器である電撃を放つ。

しかし小猫も的ではなく、必要最低限の動きで回避しつつ、美琴に接近する。

 

祐斗

「でやぁッ!!」

 

「フッ!!ハアッ!」

 

 

祐斗の方も、魔剣二刀流を駆使して翼に迫るが、翼は見事に

天羽々斬のアームド・ギアで防ぎきる。

 

両者共に剣の使い方に長けている者同士、

並みの戦士ではそう簡単に目視できるモノではない。

 

だが2人は、目視するのではなく、剣の音と気配、そして敢えてお互いに出し合っている“殺気”を感じ取りながら、

攻撃しては受け止める行為の連続だった。

 

この光景を見ているケンイチ達とリアス達は

 

リアス

「凄いわ!たった10日間で此処まで強くなれるなんて!!」

 

朱乃

「ええ!それに

雪菜ちゃん達も凄い戦闘力の持ち主ですわ!流石は、

ケンイチ君達の妹さん達ですわね!」

 

ケンイチ

「まあな。」

 

涼太郎

「俺も美琴があんなに強いとは、考えても見なかったよ。」

鋼賀

「当然だ、翼は鍛練を怠らないからな。」

 

アーシア

「本当に凄いです!!」

 

各々ビックリから感想やら自慢やらを上げていた。

 

そして、雪菜達とイッセー達の模擬戦は…

 

イッセー

「どおぅりゃあぁぁっ!!」

 

雪菜

「ッ!甘いです!」

 

ギンッ!!

(イッセーの突きを雪霞狼で受け止める)

 

イッセー

「なにッ!?」

 

雪菜

「揺らぎよッ!!!!」

 

(両手に纏った電撃を掌底にしてイッセーの腹部に放つ)

 

イッセー「グワアァァッ!?」

 

雪菜の一撃を受けた

イッセーは、かなり吹き飛んだ!

 

小猫

「えい…!…ッ!?」

 

美琴

「よっと!…はいもらった!

(レールガンを構える)

動いたらアウトだよ?」

 

小猫

「…負けました。」

 

祐斗

「ハアァッ!」

 

「ハアッ!」

 

(お互いの剣が首に寸止めされる)

 

 

イッセーが吹き飛ばされたのを機に、

小猫も美琴に敗れ、祐斗は翼とまた相討ちになったのだ。

結果としては、

グレモリー前衛組は、

最強の兄を持つ妹組に敗れたのだ。

 

イッセー

「だああああ!

結局勝てなかった!」

 

小猫

「本当に強いです…。」

 

祐斗

「やはり隙が無い…凄いです、まだまだ強くならなければ。」

 

イッセー、小猫、祐斗はそれぞれ悔しさを口にするが、

ケンイチ達とから言わせれば、著しい成長である

 

ケンイチ

「何言ってんだお前ら?ちゃんと特訓の成果が出ているじゃねぇか。

まあイッセーの場合は、木場みたいに相手が女でも遠慮する事なく、果敢に攻めりゃあベストなんだよな。」

 

イッセー

「やっぱそうですよね…」

 

ケンイチ

「だがそれでもお前らは、見事に強くなったな。

そう思うだろ?

涼太郎。鋼賀。」

 

涼太郎

「ああ、戦いの場では、予測不能が多いから、臨機応変に且つ、大胆不敵な行動を取るというのも有りだしな。」

 

鋼賀

「そして其処に瞬足且つ、破壊力抜群の攻撃を加えれば、

相手は必ず動揺する。

一人が学んだ事は、後の二人にも大事な所は共有させるんだ。」

 

ケンイチ

「と言うわけだお前ら、例えお前らが負けても、心が折れてなけりゃあ、それは負けではない。

どんなに絶望的でも、どれだけボロボロになっても、勝利を信じて立ち上がってみせろ!

それこそが生物の持っている“可能性”なんだからな!

お前ら絶対にできる!“諦めるな”よ!!!。」

 

イッセー、小猫、祐斗

『は、はい!先輩!(先輩…!)』

 

ケンイチ達から誉めの言葉と助言、そして激励を受けたイッセー達は、打倒ライザーに再び志す!

 

雪菜

「あの~、お兄ちゃん?」

 

ケンイチ

「ん?どうした雪菜?」

 

すると雪菜がケンイチの側による。

 

同様に美琴と翼も

己の兄に寄る。

 

雪菜

「私達も頑張ったんですよ?

せめて頭を撫でてくれても良いじゃないですか?」

 

美琴

「あたしもおんなじ気持ちよ、兄さん。小猫のヤバいバカ力を避けつつ相手をしてたんだから。」

 

「わ、私もその…お兄さまから誉め言葉が欲しいです。

悪魔である木場さんと互角の戦いを繰り広げたのですから。」

 

なんと雪菜達が、

ケンイチ達におねだりしてきたのだ。

 

ケンイチ

「いやオイ。

なんで今更…ッ!?」

 

雪菜

「ひ、ヒドいです!?

お兄ちゃん!

美琴さんと翼さんはご褒美を貰っているのに!

(手で顔を覆い泣き顔になるが嘘泣きである)」

 

雪菜が顔を覆いつつ、美琴達を指差しながら嘘泣きスキルを使う。

 

ケンイチ

「グアッ!?(クソォ!?雪菜め!何時からこんなスキルを身に付けやがった!?俺はこの手のスキルは本当に苦手なんだよ!?)…ッたくわーったよ!

(雪菜の頭を撫でる)

本当に甘えん坊な妹だぜ。

ドコで育て方を間違えたかな?」

 

雪菜

「えへへ。

お兄ちゃん、大好きです!(ケンイチに抱き付く)」

 

ケンイチ

「ハァ…。」

 

あまりにも甘えん坊な雪菜に、ケンイチは溜め息を漏らした。

 

その光景を見ていたリアスと朱乃は、微笑ましくも羨ましく思っていた。

 

雪菜は妹という特権を最大限に使い、

ケンイチに甘えまくるのだから、

ケンイチの恋人にでもならない限り、ケンイチに甘えるのは難しいだろう。

 

因みに、左兄妹と道外兄妹はというと、

 

涼太郎

「ほれ、こんなんで良いか?(小遣い“二千円”を渡す)」

 

美琴

「うん、ありがと!

兄さん!」

 

鋼賀

「これで良いか?

(優しく頭を叩いて、撫でる)」

 

「はにゅぅ…お兄さま、嬉しいです!」

 

明らかに仲睦まじかった。

 

だが涼太郎君、小遣いを与えるとは!?

 

そして時間が経ち

その日の夜、

ケンイチは、

メモリーディスプレイから量子変換させて取り寄せたギターを持って、

庭に出ていた。

 

ケンイチ

「やれるかどうかわかんねえけど、

やってみるかな。」

 

そう言うと

徐にギターを弾き、

歌い出した。

 

ケンイチ

「♪青空がある限り~、風は、時を運ぶよ~、勇気がある限り~、夢は必ず、叶うよ~、

誰よりも~何よりも~、君だけを守りた~い、いつ~までも~何処まで~も、君だけを守りた~い、WOW×3叫ぼう~、世界は終わらない~。」

 

そう、彼が歌ったのは『君だけを守りたい』である。

 

別にケンイチは心が折れそうになった訳ではなく、

只純粋に歌ったのだ。

 

ケンイチ

「やっぱ良い歌だなぁ。」

 

とそこへ、

 

“パチパチ”

 

ケンイチ

「ん?」

 

拍手が聞こえたので、振り返ると?

 

リアス

「聞かせてもらったわよ。良い歌ね。」

 

ケンイチ

「リアス、何時の間に。」

 

そう、リアスが居たのだ。

 

リアス

「ドコで覚えたのかしら?その歌を。」

 

ケンイチ

「この歌は、別次元に存在する伝説の英雄が歌ったモノなんだ。

本来は

“心が折れそうになった”

時にそっと口ずさめばいいものなんだが、結構気に入ってな。」

 

リアス

「へぇ~、伝説の英雄がねぇ。

その英雄は、今は何をしているのかしらね?」

 

ケンイチ

「自分の宇宙を守り抜いた後、旅人になって別次元を渡り歩いては、邪悪と闘っているよ。」

 

リアス

「…もしかしてその英雄って、ケンイチと同じ…?」

 

ケンイチ

「ああ。

俺から言わせれば、

先輩の“ウルトラマン”

『ウルトラマンダイナ』

だ。」

 

ケンイチの言葉にリアスは驚く。

ウルトラマンは何人居るのかと。

 

 

リアス

「素敵な話じゃない。何時かその

ウルトラマンに会えると良いわね?」

 

ケンイチ

「ああ、会ってみたいものだぜ。

オマケに本家本元の歌も聞きたいぜ。」

 

ケンイチに一つの目標できた。

何時かオリジナルの

ウルトラマン達に会ってみたいという想いが。

 

ケンイチ

「そう言えば、リアスはなんで外に。」

 

とここでケンイチは、リアスが此処に居ることを質問した。

 

リアス

「少しね、ライザーを倒す作戦を練っていたの。

外の方が風が気持ちいいからね。

そしたら、あなたの歌が聞こえたのよ。」

 

リアスが外に居たのは、風にあたりながらレーティングゲームの作戦を練っていたのだ。

 

ケンイチ

「そうだったのか。

で、どうだ?」

 

 

 

リアス

「正直、無意味だったわ。

どんなに考えても

ライザーは不死身、

あの伝説の聖獣である

“不死鳥・フェニックス”

の名を持つ者。

やっぱり勝には、

ケンイチの力が無いとって考えてしまうわ。

どんなに身体をバラバラにされても、

驚異的な生命力で直ぐに再生するし、

もう既に詰んでいるわね。

倒すには、精神を折るか、神クラスの攻撃を与えるしか無いわ。」

 

リアスは、少し残念気味に言っていたが、ケンイチはある部分を聞いて、こう言った。

 

ケンイチ

「いやリアス、

他にも奴を倒せる方法はあるぞ。」

 

リアス

「えっ?どういう事?」

 

ケンイチの言葉に、驚きを隠せない。

 

精神を折るか、神クラスの攻撃をぶつける以外あるというのか?

 

ケンイチ

「その方法は、

奴の再生能力を逆手に取るんだ。」

 

リアス

「と言うと、どういう事?」

 

ケンイチ

「奴をバラバラに吹き飛ばした後、

強烈な灼熱の“竜巻”を奴にぶつけるんだ。」

 

リアス

「するとどうなるの?それで再生されたら…「いや、再生出来ないぜ。」えっ!?」

 

ケンイチ

「何故なら再生する際には、相当な集中力が必要になる。

其処にその集中力を阻害する攻撃を与えれば、再生できず、逆にダメージを受ける。しかもその時、奴の質量は極端に低いから、地獄の苦しみになるんだ。」

 

リアス

「ま、まさかそんな方法があったなんて!?でも、どこでそんな方法を!?」

 

リアスの問いに、

ケンイチはこう答えた。

 

ケンイチ

「それはな、

この方法で

ウルトラマンと人間が力を合わせて、

ライザー以上の再生能力と戦闘能力を持つ邪悪な宇宙人を撃破したんだ。」

 

リアス

「ウルトラマンと人間が、力を合わせて…。」

 

そう、

ケンイチがリアスに教えた戦法は、

嘗て、暗黒大皇帝に仕えていた

冷凍星人

グローザ星系人で

暗黒四天王の豪将の肩書きを持つ

“不死身のグローザム”を撃破した戦法であった。

 

そしてこのグローザムも、豪将の肩書きの名の通り、強力な戦闘力を持つ上に、再生能力を持った不死身である。

ライザーと比べたら、天と地の差である。

 

ケンイチ

「まあ、そう言う訳だ。まだまだ希望は有るぜリアス!

俺たちだって参加しない訳じゃないんだ。それに、俺が戦いに参戦するきっかけは、イッセーに有るぜ。」

 

リアス

「イッセーに?

どういう事?」

 

ケンイチ

「彼奴がドコまで根性を見せるか、最後まで諦めないでいるか、この二つを俺に示したら、俺は必ず戦う。

だから、リアスも諦めるなよ。」

 

リアス

「そういうことなのね。解ったわ!」

 

ケンイチ

「んじゃあリアス、

寝る前にこの歌を聞いてくれ。

夢を諦めるなよ。」

 

そういうとケンイチは、再びギターを手にし、弦を弾く。

 

ケンイチ

「♪夢を追いかけて~、全てがか~わ~る、何時だ~ってき~みを、心は~見ている~、愛は何処にあ~る?、そ~の答え~から~、君だけ~のゆ~う~き、かな~らず~、探しだせ~るさ~

 

夢を追いかけて~、全てがか~わ~る、

つ~よくな~る意味をここ~ろは~、

しぃってる~、

愛は何処にあ~る?

気付いたと~きに~、君だけ~にで~き~る~、なに~かが~、さ~が~しだせ~るさ~♪」

 

今ケンイチが歌ったのは、

“ウルトラマンコスモス

~君にできるなにか~”

 

であった。

 

この歌の簡単な意味は…夢を諦めずに追い続ければ、必ず叶うという意味である。

 

そしてリアスは…歌の意味を、悟った。

 

リアス

「ありがとう、ケンイチ(若干涙目)

私は決して、夢を諦めないわ!

私を

“グレモリーのリアス”、

“魔王の妹・リアス”ではなく、

“只一人のリアス”と見てくれるヒトと結婚するのが夢なんだから!」

 

ケンイチ

「ああ!頑張れよ

リアス!

お前は“お前”なんだ。

“他の誰でも無いんだから”。」

 

リアス

「ありがとう。

(小さい声)

最もその理想の相手が、“目の前”に居るのだけどね。」

 

ケンイチ

「ん?何か言った?」

 

リアス

「ううん、なんでも無いわ。

お休み、ケンイチ。」

 

ケンイチ

「おう、お休み。」

 

ケンイチとリアスはお互いにお休みを掛け合い、部屋に戻った。

 

そして時が流れ…遂に11日目の深夜11時、

 

部室にはケンイチ達を含んだオカ研メンバーが集合した。

勿論雪菜達も一緒である。

 

リアス

「みんな集まってるわね?準備は良い?」

 

朱乃達

『はいっ!部長!』

 

雪菜達

『はいっ!先輩!』

 

鋼賀

「何時でもいける!」

 

涼太郎

「問題無い!

既にフルスロットルだぜ!」

 

ケンイチ

「ああ!やってやろうじゃねぇか!!」

 

リアスの言葉に、ケンイチ達は気合いが入っていた。

と、其処へ白い魔法陣が出現し、グレイフィアが現れた。

 

グレイフィア

「失礼しますリアスお嬢さま。

少しの間“櫂ケンイチ様”をお借りしてもよろしいでしょうか?」

 

リアス

「どういう事よ!?

グレイフィア!」

 

流石にこれは予想外なのだから、リアス問うと、

 

グレイフィア

「魔王・サーゼクス様が、櫂ケンイチ様に会談を申し出ていられますので。」

 

リアス

「お、お兄さまが!?」

 

イッセー

「ホントに先輩って何処まで規格外のすげぇ人なんだよ!?」

 

グレイフィア

「よろしいでしょうか?お嬢さま。勿論開始時間は延長しますので。」

 

リアス

「わ、わかったわ。

お兄さまがケンイチに何のようなのかしら?

申し訳無いけど、

お兄さまに会ってあげて、ケンイチ。」

 

ケンイチ

「ん?まあ別にかまわねぇけど。」

 

グレイフィア

「それではケンイチ様、此方へ。

会談が終わり次第、

ケンイチ様を送った直後にゲームを開始致します。」

 

そう言うと、グレイフィアはケンイチを連れて、転移した。

 

朱乃

「一体サーゼクス様は、ケンイチ君に何のようがあるのでしょうか?」

 

リアス

「流石に今回ばかりは、お兄さまの会談は読めないわ。」

リアスと朱乃は、若干不安になる。

なんせ、自分の想い人が現魔王と会談をするのだから。

 

因みに涼太郎や鋼賀、そして雪菜達もそんなに心配はしていなかった。

なんせアイツは…………ウルトラマンだから。

 

 

一方此方はVIPルームに転移したグレイフィアとケンイチである。

 

グレイフィア

「此方で暫しお待ちください。

サーゼクス様をお連れしてまいります。」

 

そう言うと、退出して行く。

 

ケンイチ

「何のようだか?

現魔王殿が俺に用とは。」

 

そうぼやいていると、

 

グレイフィア

「お待たせしましたケンイチ様。」

 

グレイフィアが戻り、その後ろに

リアスと同じ紅髪の青年、

現魔王サーゼクス・ルシファーが居た。

 

ケンイチ

「アンタが、

リアスの兄貴の

魔王・ルシファー殿か?」

 

ケンイチの問いに、サーゼクスは肯定する。

 

サーゼクス

「その通りだ。

初めまして櫂ケンイチ君。

いや、

“ウルトラマン殿”と言った方が良いかな?」

 

するとサーゼクスが、ケンイチを

“ウルトラマン”と呼んだため、ケンイチ補足する。

 

ケンイチ

「ウルトラマンの名は、俺がウルトラマンに変身した時に言って欲しいんだが。

なんせ、俺は

“ウルトラマン”でもあり、

人間の“櫂ケンイチ”でもある。」

 

サーゼクス

「わかった。

では櫂ケンイチ君、

今回の私の個人的会談に応じてくれてありがとう。」

 

サーゼクスがケンイチの言葉を聞いた後、御礼の述べる。

 

ケンイチ

「前置きは要らない。俺を呼んだのは何だ?」

 

ケンイチが今回会談したい理由を、

サーゼクスに問いた。

 

サーゼクス

「では聞こう。

君は…、

“あの時”に悪魔、天使、堕天使を二天龍の脅威から救ってくれた“あの”ウルトラマンなのかい?」

 

サーゼクスの用件は、ケンイチが嘗て、悪魔、天使、堕天使の三大勢力が二天龍の脅威に晒され、全滅しかけた時、

其処に横槍を入れるかのように乱入した

 

『ウルトラマン』

 

を名乗る光の巨人が姿を現し、瞬く間に二天龍を撃破し、

三大勢力に戦争を停止するように呼び掛けたのだ。

 

 

そして、

リアスとグレイフィアの前で、彼が自分をあのウルトラマンと名乗ったのだ。

 

そのため、確かめたかったのだ。

 

もし彼が、

あの時自分達を救ってくれたあの

“ウルトラマン”

なのか、否か…。

 

ケンイチ

「(やはり夢じゃなかったか…あれは。)……。」

 

サーゼクス

「どうなんだい?」

 

ケンイチ

「…ああ、

確かに俺が…“あの”戦いに乱入した

“ウルトラマン”だ。」

 

 

ケンイチの告白に

サーゼクスは、

 

サーゼクス

「そうか…、

ならばお礼を言わなければいけないな。

あの時我々を救ってくれた事を感謝する。

ありがとう。」

 

ケンイチ

「まあ礼には及ばない。当然の事をしただけだ。」

サーゼクスはお礼の言葉を述べるが、

ケンイチはあたりまえの事をしたまでだという感じだ。

 

サーゼクス

「それから…、

ライザー君の事なのだが。」

 

ケンイチ

「何だ?」

 

サーゼクス

「私達現4大魔王が人間を見下さぬよう呼び掛けていたのだが、ライザー君が人間達を見下しただけでなく、あまつさえ侮辱し、さらには無知な事に君の怒りを買ってしまったのだ。

だから私に謝罪させてくれ。

非常に申し訳ない事をした。

本当にすまない。

どうか私に免じて、我ら悪魔を“人間の敵”として見ないで欲しい。」

 

サーゼクスは最も本題である

“人間”と“悪魔”の関係である。

 

人間を愛する

ウルトラマンにとって、人間を見下し、下等な種族などと侮辱する者は決して許さない。

 

故にサーゼクスは、

ウルトラマンの力を、あの戦争で知った為、可能な限り怒りを買わないよう心掛けていたのだが、

己の才能で調子に乗っていたライザーの愚行によって、水の泡になりかけているのだ。

 

だからこそ、

魔王である自らが、

ウルトラマン=ケンイチに、土下座してまで謝罪していたのだ。

 

隣に居るグレイフィアも、主であり夫でもあるサーゼクスを尊重して、横槍を入れないのだ。

 

対してケンイチは…こう答えた。

 

ケンイチ

「何か勘違いしてねぇか?」

 

サーゼクス

「えっ?どういう事だい?」

 

ケンイチの予想外の言葉に、サーゼクスは驚きを隠せない。

 

ケンイチ

「確かに俺は人間を見下す者を許せない。

例え何者であろうと例外は無い。

だがな魔王サーゼクス、悪魔が人間を見下しても、

“その全て”の悪魔が人間を見下している訳ではない。

そう、アンタやアンタと同じ他の現魔王達に、

グレモリー家と

シトリー家、

そして、ソーナにリアスのような人間に友好的な悪魔が居ることを知っているんだ。

だから俺が許せないのは、人間を“完全に見下す者”だということだ。」

 

サーゼクス

「っ!?」

 

ケンイチのその言葉は、サーゼクス達悪魔にとって、正に救いの言葉でもあった。

 

それと同時に、彼の人柄がよく解った。

 

“優しすぎるが故のお人好し”だということだと。

 

しかし、彼に“黒い”部分は一切感じられない。

正に純粋の塊と言える程に。

 

サーゼクス

「そうか…ありがとうケンイチ君。」

 

ケンイチ

「話はそれだけか?」

 

サーゼクス

「後もう一つ聞きたい。

何故、妹のリアスに加担するようにこのレーティング・ゲームに参加したんだい?」

 

最後にサーゼクスが質問したのは、彼が何故リアスに加担したのか?

 

ケンイチ

「…大した理由じゃないな。

“筋”が通ってないんだよ。

アンタは勿論、

グレモリー家の者も

リアスが人間界の大学を卒業するまで、自由に過ごして良いと約束していたのにも関わらず、まだ高校生のリアスに

縁談を強引に持ち込むなんざ、筋が通ってないにもほどが有るんじゃないのか!

 

しかも言わせて貰うが、アンタ等は相手を“みる”目があんのか!?

あのライザー(ゲス)が、いくら自分が王だからと言って自分の下僕は女ばかり!あまつさえ、仮にもその婚約者の立場の者が己の下僕をリアスを含んだ俺達の目の前ではしたない行為を行ったのだぞ!

そんな奴が“この縁談は悪魔の未来の為”だなんて口にしているが、俺にはそうは見えねぇ!

あのゲスは、完全にリアスの“身体”目当てで縁談に乗ったんだろうな。

いやリアスだけじゃない!

このゲームに勝てば、リアスだけじゃなく、朱乃や小猫、そしてアーシアすらも手篭めにする気だ!イッセーと木場は男だから、“排除”してな!

もしアンタ等が本当にリアスの幸せを考えているなら…リアスを信じろよ!」

 

サーゼクス

「っ…!?」

 

ケンイチの言葉を聞いて、サーゼクスは言葉を返せなかった。

ライザーがとんでもないことをしていたということに。

 

しかもリアスの身体目当てで縁談を承諾しただけでなく、

リアスの心友である朱乃や、妹とも言える小猫、そして新参者のアーシアをも手篭めにするつもりなのだからと言われれば。更にリアスの下僕であるイッセーと木場を排除してまでと来たから。

 

ライザーの愚行を聞かなければ、反論していたかも知れないが、グレイフィアからの事前報告と、

ケンイチの言葉を合わせれば、有り得る話だった。

 

サーゼクスは

 

“自分達は、間違っていたのか!?”

 

と自覚した。

 

ケンイチ

「それと、さっき言ったのは、

“ウルトラマン”としての理由だ。

そしてコレが、人間としての俺の“本心”だ。

 

理由なんか無いんだよ!

仲間が、友だちが困っているのなら助けてやる。

それが仲間、友だちってもんだろ!」

 

サーゼクス

「ッ!」

 

そしてケンイチは、人間としての本心のを、サーゼクスにぶつけた。

 

その言葉に、サーゼクスは心を打たれた。

 

サーゼクス

「…わかった。

君の思いは凄い程に。私から聞きたいことは以上だ。

グレイフィア、ケンイチ君をリアスの元に送ってくれ。」

 

グレイフィア

「畏まりました、サーゼクス様。

それではケンイチ様、此方へ。」

 

サーゼクス

「改めてありがとうケンイチ君。

有意義な時間だったよ。

リアスを頼むよ。」

 

ケンイチ

「まあ俺も言いたいことは言えたからな。

それと、よく考えておけよ。本当にリアスの幸せを思っているのなら。」

 

ケンイチはそう言うと、グレイフィアの魔法陣に入り、リアスの元へ戻った。

 

サーゼクス

「もしかしたら、

リアスは彼に惚れたのかも知れないな。」

 

―――――――――――

 

そしてケンイチはグレイフィアに送られて来たのだが、

ソコには、カオスが存在していた。

 

ライザー

「どうよリアス~。

フェニックス家が誇るゴージャスなドレスは?」

 

リアス

「いい加減にしてライザー!もう直ぐ始まるのよ!

今すぐ陣地に戻ってちょうだい!!」

 

なんとライザーが、余裕綽々とリアス達の陣地にやってきては、もう自分は勝ったも同然の如く、

リアスに婚約パーティー用のドレスを着せようとしていた!

 

はっきり言おう!

 

エクストリーム(極限)なまでのバカな上に、エクストリーム(極限)なまでの悪趣味なドレスであると!

 

ケンイチ

「何だ、この状況は?」

 

雪菜

「あ!お兄ちゃん!」

 

ケンイチが戻ってきたのに気づいた雪菜が、瞬時にすがりついた。(若干涙目)

 

ケンイチ

「…雪菜、あのゲスに何かされなかったか?」

 

ケンイチが雪菜に、ライザーから何かされなかった聞いたのだ。

 

雪菜

「…うん。

汚らわしい手で、

私だけじゃなく

美琴さんに翼さん、

朱乃先輩に小猫ちゃん、アーシアさんに触って来たの。

その後、“品定め”と言いながら、馴れ馴れしく…」

 

此処まで雪菜が言った途端に、

 

バキャァァァン!!

ケンイチの瞳から、ハイライトが消えた!

 

ライザー

「なんだお気に召さないのか?

なんならフェニックス家が誇る冥界1のゴージャスなウエディングドレスでどうよ?」

 

とライザーがリアスに迫った途端!

 

ケンイチ

「ディバイドランチャー転送。」

ケンイチがメモリーディスプレイを操作し、

ディバイドランチャーを量子変換させて転送し、それを持って構える!

 

ガチャリッ!

 

ケンイチ

「ウルティメイトパニッシャー!!」

 

ライザーの用意したドレスに向かって、ぶっ放した!!

 

ウルティメイトパニッシャーは、歴代の地球防衛組織が持つ火器の中でも、

最もウルトラマンの光線技に相当する程の物である。

 

そんな物を、

高々悪趣味なドレスに命中すれば、言わずが通り…微塵も残さず、消滅する。

 

ライザー

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!?

フェニックス家の冥界1のドレスがぁぁぁぁぁ!?」

 

 

自慢のドレスが消滅したことに奇声を上げたライザー!

 

そして同時に全員がケンイチに気づいた。

 

ケンイチ

「ヒュ~っ。

一丁上がり!」

 

リアス達

『ケンイチ(君)(先輩)(さん)!!!』

 

涼太郎

「戻ったか!」

 

鋼賀

「悪いな、この状況下で。」

 

ケンイチ

「しゃーねぇさ。

美琴、翼。

大丈夫か?」

 

美琴

「先輩…!」

 

「不覚を取りました…すみません。」

 

己の兄の背中に隠れるかのような位置にいた美琴と翼に、心配の声を掛けた。

 

ライザー

「貴様あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!?

よくも“リアスのドレス”を消してくれたなあ!!

くたばれぇぇぇぇッ!!!!!」

 

と突然ドレスを消しさせられたライザーが逆上して、火炎弾を放った!

 

リアス、朱乃

『あっ!?危ない!?避けてケンイチ(君)!?』

 

リアスと朱乃が同時に叫ぶ!

 

勿論ケンイチは迎撃しようとすると!?

 

ギャオンッ!!

 

オカ研全員(ケンイチ達以外)

『えッ…!?』

 

ライザー

「な゛!?何ぃ!?」

 

ライザーの火炎弾が消え去った!

 

その正体は…ケンイチの前で雪霞狼を構えた雪菜だったのだ!!

 

雪菜だって、兄に護られるばかりじゃない!

 

少しでも兄・ケンイチの負担を減らす為に、今このように前に立ち、ケンイチを守ったのだ。

 

雪菜

「お兄ちゃんに…手を出さないでいただきますか…?

さもなくば…“消滅”しますよッ!!

“2つ”の意味でッ!! 」

 

ライザーを睨みながら、雪菜が言い放った!

 

更に恐るべき殺気まで出していたのだ!

 

しかもその殺気は、

怒りが爆発した

ケンイチと非では無かったのだ!

 

リアス達は勿論驚くと同時に、再確認した。

 

やはり雪菜は、ケンイチの妹だと!

 

ライザー

「お、己!?人間の分際で!!」

 

グレイフィア

「ライザー様、

これ以上騒ぎを大きくしないでいただきたいのですが?

(背後に黒いオーラを出す)」

 

ライザー

「し、しかしグレイフィアさん!

此奴等は無礼な事を!!」

 

グレイフィア

「私から見ても、

無礼が有るのは、

明らかにライザー様です。」

 

ライザー

「な!?何故俺なのですか!?

明らかに!」

 

グレイフィア

「何度も言います。

無礼なのはライザー様、貴方自身です!

ケンイチ様はリアス様のご友人として、当然の事をしたまでです。

さらに言えば、今すぐにレーティング・ゲームを始める筈が、貴方様のせいで長引いているのです!しかも貴方様は既に勝った気で、リアス様に無理矢理“こんな悪趣味なドレス”を着させようと言うのなら、それは魔王・サーゼクス様に対する冒涜行為です!

おわかり頂けますでしょうか?」

 

ライザー

「ぐう!?」

 

グレイフィアの此処まで迫力を、リアスと朱乃は久し振りに感じ、イッセー達下僕は後退り、

ケンイチ達は、感服していた。

 

 

 

ライザー

「チィッ!

覚えていろよ

“偽り”の最強!

貴様はレーティング・ゲームで燃やし尽くしてやる!

灰すらも残さずにな!!」

 

グレイフィアの迫力に負けたライザーは、退き際にケンイチを挑発し、陣地に戻った。

 

ケンイチ

「ば~か、やってみろや糞鳥野郎風情が!

才能に頼った“なまくら”な奴がどれほどアホな奴か、身を持って知ることになるぜ。」

 

グレイフィア

「それでは皆さん、

今回の

レーティング・ゲームの会場に転移します。

尚、

レーティング・ゲームが終了しない限り、人間界に戻る事は出来ませんので、

ご了承ください。」

 

リアス

「ある程度の事は私から涼太郎達に言っておいたわ。

だから、始めましょう。」

 

グレイフィア

「しかしケンイチ様は宜しいのですか?」

 

ケンイチ

「問題はねぇさ。

バトル中に聞きゃあ良い話だからな。」

 

グレイフィア

「解りました。

では皆様、御武運を…。」

 

グレイフィアがそう言った途端、

全員がオカ研の部室から消えた。

 

その様子を見ていた……黒い陰。

 

???

「グッヘッヘッヘ!

なかなかに面白いイベントが起こるようだなぁ?」

 

部室の外にある木にもたれかかるように立っていた存在。

 

その者の見た目は………はっきり言って人間ではない!

 

と其処へ、

 

溝呂木

「よお。

暫く振りだな、“兄弟”。」

 

???

「溝呂木か?

どうした?俺に何かようか?」

 

溝呂木

「手筈は整ったか、見に来てな。

俺達の宿敵が、どれほどの強さを持っているか、

今回の“ゲーム”は、それが目的なんだからな。」

 

この溝呂木なる男、一体何を考えている!?

宿敵とはまさか、

ケンイチ達の事なのか!?

 

???

「だが良いのか?

俺に任せたら、

“2人”は兎も角、

あの光の戦士の魂を宿した男は、俺にとっても復讐の対象だぞ?

もし俺“兵器”共が抹殺しちまったら、お前としても困るのじゃないか?」

 

溝呂木

「その時はその時だ。其処までの男だったと言うことだ。」

 

???

「…わかった。

ならば俺の好きなタイミングでやらせてもらう。」

 

溝呂木

「ああ、吉報を待っているぜ?

“ヤプール”。」

 

ヤプール

「ああ。

我が兄弟溝呂木…いや、“メフィスト”よ。」

 

な゛!?なんということだ!?

溝呂木が兄弟と呼んでいた

相手は……………………“異次元人ヤプール”だった!!

 

長き渡って、

ウルトラ戦士と因縁深い“本物の悪魔”が……“D×Dスペース”にて復活した!

 

この

レーティング・ゲーム…ヤプールの罠になるのか!?

 

ヤプール

「グッヘッヘッヘ。

早速月影から貰った

“ネオ生命体”に、

溝呂木から貰った

怪獣達の死体を“合成”させて

“タイラント”と、

“ファイブキング”

を造るか?

くっくっく、

奴らは勝てるかな?」

 

果たして、レーティング・ゲームの行方は!?

 

そして、ケンイチ達の運命は!?

 

 

つづくッ!!

 




BGM
牙狼~SAViOR IN THE DARK~(サビVer.)

ザルバナレーション

遂に始まった
レーティング・ゲーム。
人間を見下すバカ共に、一泡吹かせてやれ!!

次回!中編へ、続く!

ておいドラゴンの坊主!?
なんだそのいかがわしい技は!?

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