テイルズ オブ フェータリアン ー希望を紡ぎ出すRPGー 作:逢月
扉は人の手を借りることなく、自動的に開き、そして閉じた。かなり珍しい設備ではあるが、ここトゥリモラは『科学の拠点』と呼ばれている場所である。このような最新技術を用いた設備は沢山あると考えて良い。
「す、すごいな……! なあ、エリック!」
「ははは、お前、本当こういうの好きだな」
とはいえ、珍しいものは珍しい。エリックに背負われたディアナは非常に楽しそうだ。大人しくしてくれているが、自力で動ける状態ならばもっとはしゃいでいたことだろう。
「何だかよく分からないが、魔力やら精霊やらの生体云々が関わっていないと安心してしまう私がいるんだ。その点、科学技術はとても良い。何か安心できる気がする。あと純粋に見たことの無いものを見るのはとても楽しい」
「それ、この世にある大体のもの除外しているし、むしろここって昔はそういうのを取り扱う施設だったんだが……まあ、楽しそうで何よりだよ」
この研究施設そのものは何十年も昔から存在しているのだが、近年改装が入ったのだろうか。古びた外観に反して内部は無機質な鉄製の壁が鈍く光を反射し、埋め込まれた機材のランプがチカチカと点滅していた。機材そのものが動く気配は一切無いため、どこかで何かが動いているのだろう。
フェリシティが話を通してくれているらすき、途中ですれ違う研究員らしき者達はエリック達のことを気にすることなく動き回っている。彼らが手にしているのは薬品であったり、機材であったりと様々だ。しかし、人間や魔物といった生物を運んでいる者はどこにもいなかった。
「フェリシティ、単刀直入に聞くが、ここは元々人体実験の施設だったんだよな? 今は、そういうのはしていないのか? ……ていうか、お前ここと関係あるのか?」
フェリシティの後ろを歩きながら、エリックは彼女に問いかける。フェリシティは戦士ではあるものの、研究者ではない筈だ。あまりにも、この施設と彼女の関係が不明瞭過ぎる。とはいえ、素直に答えてもらえるだろうか――。
「そうだね。今のここは大体普通の研究施設さ。黒衣の龍に所属……してるのは良いんだけど、戦闘能力皆無の頭でっかちだったり、元々実験体だった人間が働いてる。あと下っ端はここで寝泊まりしてるな。管理者は、一応アタシになってる。研究にはそんなに参加してないけどね」
「え?」
……答えてもらえた。
思わず唖然としてしまったエリックのことには気にも留めず、フェリシティはアレコレと語り始める。
「表向き黒衣の龍って名乗っちゃいないし、アタシも普段はそこまで黒衣の龍として活動してないからバレない……というか、ここで作ってるモノって、結構便利で使い勝手の良いモノなワケよ。安く手に入ったら、嬉しくないかい?」
「ん? あ……ま、まさか」
「近場のアドゥシールとセーニョ、それからシャーベルグなんかはほとんど共犯だよ。まあ、アタシらの正体を知ってるかどうかは別として」
「ラドクリフの街ほぼ網羅してるじゃないか……!」
どうりで黒衣の龍の人間がロクに捕獲されていないわけだ。これならば、振る舞いに気を付けていれば余程目立つことをしなければ捕まらないだろう。恐らく、気を付けなければならないのは容姿が目立つゾディートと、彼と一緒に行動することの多いダリウス、それから顔が比較的知られているヴァロンくらいだ。
「特にアドゥシールなんかは……あー、これは流石にマズイか。でもまあ、ここは基本的には無害だよ。ヴァロンが何かしてることはあるから、多分それは有害だけどさ」
「ヴァロンが何かって……アイツは仲間じゃないのか? お前らの関係性は一体どうなってるんだよ……!」
「え? 幹部なら殿下とダリ、状況見つつどっちかに着いていくアタシ、ヴァロンとベティみたいな感じ? 仲間っちゃ仲間みたいなもんなんだろうけど、互いのことにはあまり介入しないよ。少なくともアタシはそうしてる」
「そうか、余計分からなくなったんだが……」
お前に守秘義務とかその辺は無いのかと言いたいほどにアレコレ喋ってくれるが、色々と意味が分からない。チラリと視線を後ろに向けると、難しげな顔をしているポプリと目が合った。彼女も何が何だか分からない、とでも言いたげな様子だ。
「ゾディート殿下派とヴァロン派と中立派、みたいな感じかしら……? ひょっとして下っ端達も内部で分裂してるの?」
「そういうこと。黒衣の龍は内部で二つに分かれててな。ヴァロンに着いていく奴らと、殿下側に着いていく奴らがいる。勢力的には明らかに前者の方が多いかな。後者はアレ、そもそも殿下かダリの人間性に惹かれて着いて行ってるだけだわ。あの二人は何考えてんのか分かんねーし、大体二人で動くから置き去りくらうし……だから実質、黒衣の龍ってヴァロンのもん。前王から引き継いだ、みたいな形になってるから、表向き殿下が率いてるっぽくなってるけどね」
「はぁ……っ!?」
ここに来て全く予想していなかったことをフェリシティは口にした。彼女にこちらを欺く意図があるのならば話は変わるが、今の発言はエリック達の中にあった常識を覆すものであった。
「!? ……ッ!!」
「お、おいアル! 無理に喋ろうとするな!!」
衝撃のあまり、声を発そうとしたのだろう。アルディスは自身の喉を抑え、酷く咳き込んでしまった。その背を摩りながら、ポプリはフェリシティに言葉を投げ掛ける。
「黒衣の龍の兵士の大半は、ヴァロンの指示で動いてるってことかしら?」
「そんな感じ。第一、気性が荒い馬鹿な奴ら何かは特にそうなんだけど、ダリはともかく殿下の言うこと聞きたがらないしね」
「えっ!? そ、そうなの……?」
フェリシティの言い方からして、黒衣の龍には一定数ゾディートには一切従わない層がいると考えて良さそうだ。一体どうしてかと言いたげなポプリの表情を見て、フェリシティは「やれやれ」と肩を竦めてみせる。
「アタシはちゃんと殿下の言うこと聞くよ? だけどさぁ、無礼を承知で言うけど殿下はアタシよりよっぽど女っぽい顔してるじゃん。近くで見ると肌も髪もつやつやで綺麗だし、目なんか睫毛バサバサだし。アレ見てると、流石にちょっと悲しくなっちまうよ」
「……。あなた、いきなり何を言い出すの……」
本当に、「いきなり何を言い出すの」である――本人がこの場にいたならば口が裂けても言わなかっただろうが、それにしても酷い爆弾発言である。しかし、フェリシティも意味もなくこんなことを言ったわけではなかったようだ。
「殿下は頭が滅茶苦茶良いのも、見た目に反してすごく強いのも分かるよ。でも明らかに
「なるほど、な……」
確かに、自分が黒衣の龍所属兵だとすれば、兄やダリウスより貫禄もあってカリスマ性のあるヴァロンに着いて行きたくなるのかも知れない。真っ二つに分かれるということは、恐らく兄とヴァロンは頻繁に意見が違えるのだろう。
加えて兄はどうやら部下にさえ自分の目的を明確化させていないようである。これで「着いてこい」というのは少々無理があるように思えた。
「というわけで、黒衣の龍は実質ヴァロンのもんだな。まあ、そのヴァロンも基本的に何考えてんのか分かんないし、どっかに攻め込めに行く時くらいしか下っ端は連れて行かないんだけど。アタシはベティ連れてかれた時に着いて行くことが多いかなぁ……ほら、あの時もそう。イリス嬢拐った時の。何か戦う流れになったから戦った」
「ああ……あの時の。ところで、何というか。結局、あなたも組織の事情よく分かってない……?」
「ま、つまりそういうことだな!」
「……」
能天気そうに笑うフェリシティの姿を見て、「こいつ何でこの組織に所属してるんだろう」と思った者は間違いなくエリックとポプリだけではない。戦う流れになれば戦う、ということは彼女、ただ単に戦闘が好きなだけで、普段はこれといって何も考えていないのだろうか……?
(兄上とダリウスが何してるか分からない、ヴァロンも何してるか分からない、か……組織の上が意味不明なら、こうもなるんだろうか……)
何故か色々と話してくれるのはありがたいが、彼女自身がほぼ状況を理解していないせいでエリック達の頭の中は次第に混沌とし始めた。それでも、少しずつ見えてくるものはある。
「フェリシティ、黒衣の龍による王都襲撃の件は把握してるか?」
王都襲撃の真実については何故か事情に詳しかった一般人、ハルモニカや漆黒の翼が教えてくれた――実際に動いていたのは、黒衣の龍ではなく王国騎士団の者が大半であったと。
フェリシティは一応“敵側”であると認識している以上、彼女の話を全て信じて良いのかは考えものだ。そのため、彼女がこの質問にどう答えるかで今後の出方を考えようと思ったのだ。
「ん、ああ。信じてもらえるかは別として、今回の王都襲撃は黒衣の龍ほとんど関係ないってことは分かってる。アタシ含めほとんどここにいたし。幹部の人間で王都に行ったのは様子を見に行った殿下とダリだけだし。ヴァロンとベティはどっか行ったし」
(そ、そんな気はしていたが……やっぱりコイツ、守秘義務とか無いのかな……)
あれこれ考えていたエリックに対し、フェリシティは黒衣の龍がほぼ無関係という件に加え、聞いてもいないことまであっさりと口にした。
ここで大嘘を吐いてきたらどうしようかと思っていたのだが、杞憂だったようだ。今までのあっけらかんとした態度が演技だとは到底思えなかったのだが、やはりアレは素だったと考えていいだろう。
「状況はよく知らないんだけどさ。アンタがここに来てるってことは、少なくとも城や女王陛下は無事だったんだろ?」
「あ、ああ……もし、城が落とされていたらって考えると、ゾッとするよ。下手な侵略行為より恐ろしいことになっていたかもしれない……まあ、城は無事だったとはいえ、被害は結構大きかったと思うけどな」
王都襲撃事件による被害者の数は明らかになっていないが、一人や二人の犠牲ではないはずだ。多くの建物が破壊され、修復には時間が掛かるだろう。本来、このような有事の際には王国騎士団が駆り出される。しかし今回は襲撃が王国騎士団によって行われていた以上、彼らの手を借りることはできない。生き残った民衆や、他の街に要請を出して何とかするしかないだろう。
厳しい状況ではあるが、本当に城が落とされなかったことだけは幸いだった。戦を望む者の手で、平和を願う女王ゼノビアが殺害されるような事態になれば、ルネリアルどころかラドクリフ王国全土が大混乱に陥っていたはずだ。
(謁見ができない状態とはいえ、母上一人残して来てしまったからな……)
今回の襲撃が無ければ、エリック達は全く別の場所へ向かっていたに違いない。別に女王に会わなくてはならない用事も無かったため、彼女に会えるまで王都に留まる必要性は無かった。とはいえ、誰が敵かもよく分からない、そんな状況の中に母を置き去りにしてしまったのも事実だ――エリック自身も、彼女目線では“絶対の味方”とは言い切れないため、残ったところで何も出来なかったとは思うが。
気にはなるが、今考えたところで仕方がない。ゆるゆると頭を振るったエリックの視界に、申し訳無さそうに肩を竦めてみせるフェリシティの姿が入った。
「ところでアンタ、ペルストラ領主の娘らしいじゃないか……悪かったね、前に“羨ましい”なんて言ってさ。アンタも大変だったろ、今まで」
彼女が話しかけている相手はポプリだ。その言葉にも覚えがある。以前、セーニョ港で彼女は『アンタにはアタシの気持ちは分からない、同能力者の癖に羨ましい』とポプリに告げていた。その時の状況から考えれば、今のフェリシティは随分とポプリに対して友好的だ。その理由はポプリの素性を知ったことにあるのだろう。フェリシティに謝られ、ポプリは驚きながらもすぐに首を横に振った。
「謝る必要は無いわよ。実際にあたしは捕まったことはないもの。この能力者であることを考えたら、それだけでもかなり運が良いことよ。あの時の言葉も、あなたになら言われて当然だと思っていたから……第一、先に喧嘩売ったのはあたしじゃない」
「別に名前聞かれるくらい、どうってことないさ。アタシの容姿はそう目立つものじゃないし、アタシがやらかした時から大分経ってるから気付かれることもないし、仕事の時は『フェレニー』って名乗るから本名で気付かれることもないし……モニカくらいだよ、黒衣の龍関係者以外でアタシの本名知ってる奴」
エリックとディアナの脳裏に、楽しげに笑みを浮かべるハルモニカの姿が過る。そういえば彼女、黒衣の龍関係者なのかと思えば、そうではないらしい。つまり彼女は何故か黒衣の龍と接点を持つ謎の一般人だということだ……尚更意味が分からなくなってしまった。
「フェリシティ。あなたはどうして、あんなごく普通の一般人と面識があるんだ?」
たまらず口を開いたのはディアナだ。エリックの頭の横からひょっこりと顔を出し、フェリシティと視線を合わせる。フェリシティは一瞬目を丸くしたが、すぐにニヤリと悪戯めいた笑みを浮かべてみせた。
「何年か前の話なんだけど、ちょっと夜遊びし過ぎて面倒な男に追い回されちゃって? 逃げる途中で足を銃で打たれちゃったから、たまたま開いてたドアに飛び込んだらモニカの店で、結果的に匿って貰った感じ? その後も居心地良いから通いまくって入り浸りまくってたら何か仲良くなった。いやー、あの子本当に天使だから。癒されるんだよねぇ」
「そ、そうか……」
――言いたいことが多過ぎて何を言えば良いのか分からない。
聞いておきながら何も返せなかったのが気まずかったのだろう。ディアナはそそくさとエリックの頭で顔を隠す。ついでにエリックやポプリも何も発する気になれなかった。一応良い友人関係が築けているらしいことだけは良かったと思う。
「えー、何この変な空気。嫌だよアタシ、こういうの」
まだディアナと話したかったのか、フェリシティは歩く速度を落としてエリックの横に並んだ。女性にしては高身長な彼女の視線が丁度ディアナの目の高さと一致する。
「顔隠さないでよ。そういえばさっきからずっとおぶられてるけど、やっぱり足は動かないのかい?」
「! あなたは、私を知っているのか? 私は、昔から足が動かなかったのか?」
そうディアナが問えば、フェリシティは「しまった」とでも言いたげに顔を微かに歪める。
「うん、少なくともアタシがアンタを始めて見た時には、既に動いてなかったよ」
「そう、なのか……じゃあ、私は……」
セーニョ港で会った時もそのような素振りを見せていたが、やはりフェリシティは記憶を失う前のディアナを知っているらしい。他にも何か聞きたそうなディアナの額を人差し指で軽く突き、フェリシティは軽く首を傾げて笑ってみせた。
「アタシから話降っといて悪いけど、これ以上は聞かない方が良いよ。アンタは『自分を守るために過去を忘れてる』んだからね」
「確かに、思い出したいわけではないんだ。だけど……!」
「だけど、何かを思い出そうという意思があるから、アンタはここに着いて来たんじゃない? 特に何も無いんだったら、引き返した方が良いと思うんだけど……でも多分、言っても着いてくるんでしょ? 話は通してるから、飛んで良いよ。ヴァロンも今はいないから、大丈夫」
今は
エリックから離れ、ふわりと宙に浮いたディアナを見て、フェリシティは優しげに目を細めて口を開く。
「ただ、機械はアンタの血やら魔力やらに反応することあるから触ったりぶつかったりしないようにね。後ろのノア皇子と顔色の悪いダリウスの弟も気をつけるんだよ。多分ノア皇子は大丈夫だろうけど、後の二人は絶対に下手な行動起こすんじゃないよ」
機械は人間ではないから権限など関係ない、入力されたシステム通りに勝手に動いてしまうのだとフェリシティは肩を竦める。
特に昔からある古い機械はフェリシティの指示など一切聞かないのだそうだ。廃棄すれば良いのにとは思うが、施設側にも事情があるのだろう。
ディアナは素直に「分かった」と頷き、アルディスも無言で頷く。そんな中、クリフォードが壁に手を付き、そのままずるずるとその場に座り込んでしまった。
「っ……ぅ、く……ッ」
「おい、ダリウスの弟! 大丈夫か。顔、本当に真っ青だし、呼吸が……!」
フェリシティの忠告がトラウマを刺激したのだろうか。今までずっと黙り込んではいたが、止まることなくエリック達の後を着いて来ていたクリフォードが動かなくなってしまった。俯き、肩を震わせる彼は苦しげに喉元を押さえている。
「クリフ、大丈夫よ。あたし達が一緒だから。何かあっても必ず助けるわ。だから安心して、ゆっくり呼吸してみて……大丈夫、大丈夫よ」
独特の荒い呼吸音が聞こえてくる。ポプリが駆け寄って何とか落ち着かせようとしているが、場所が場所だけに、時間がかかるかも知れない。
「いや、弟。お前すげー強いわ。お前の兄貴は殿下が一緒でもこの施設入れないから。おかしくなるから。ここまで入ってこれた時点ですげーよ。お前の兄貴は即蹲るから」
「そういうこと言うの、やめてやってくれよ……ッ!!」
そうじゃない。
優しいのは分かるのだが、守秘義務が無さ過ぎるフェリシティのせいでダリウスが大変可哀想である。しかも弟と片想い相手の前でそんなことを暴露される酷さ。思わずエリックは、この場にいない男のために少し声を荒らげた。
「ふふふ、アベル王子」
ディアナはクリフォードの傍まで飛んでいき、アルディスとマルーシャもそれに続く。ブリランテの失敗を繰り返さないためにその場に留まったエリックの傍に、フェリシティが寄ってきた。
「ダリウスの弟がメンタルやられてくれたお陰だな……何となく、察したんじゃないか?」
「ん?」
「気を付けてやってな、“ダイアナ”のこと」
そう言われ、エリックはハッとした。先程フェリシティが「アルディスはともかく、ディアナとクリフォードは気を付けろ」と言った意味に、“ダイアナ”の過去に、勘付いたのだ。
「忠告、感謝する……クリフォードの毒が抜けたら、すぐに撤退するよ」
「それが良い。変なタイミングでヴァロン帰ってきても困るし、そうしてくれ」
具体的に何があったのか。それをフェリシティは話さなかった。彼女が『事実を知らない』のか、『話せない』のか、『話したくない』のか――どちらにせよ、気を付けるべき案件に変わりはない。
「……」
何故かディアナは『思い出さなければならない』と薄々感じ始めているようだが、それはきっと、彼女の心を壊すことに、耐え難い絶望を与えることに繋がってしまう。
恐らく、かつてディアナの記憶を封じ込めたフェリシティもそれを望んでいないのだろう。そうでなければ、こんな忠告はしてくれなかった筈である。
(思い出してはいけない記憶……か……)
エリックは宙を飛び回るディアナの幼い横顔を見つめ、静かに目を細めた。
―――― To be continued.