インフィニット・ストラトス ~未定~   作:ぬっく~

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第20話

簪とのお出かけを途中で中断されて、日が暮れかかった時だった。

 

「さて、と。始めましょうか」

 

そう言った楯無も、隣に立つ一夏も、IS学園の制服だった。

場所はIS学園から近い臨海公園。なにかと曰く付きの場所である。

 

「先程、亡国機業らしき工作員の所在を突き止めることに成功したと、本家から連絡を受け取ったわ。よってこれから私たちは彼らのいると思われる場所に突入する。私と一夏くんは本艦に突入。他は警戒線を張って頂戴」

 

「了解しました」

 

一夏の他に集められた更識家の者が楯無の命を聞き、解散する。

 

「さて、私たちも行きましょうか」

 

一夏は楯無の口読みし、頷く。

それを確認した楯無は臨海公園の柵をひょいっと乗り越えて、海に着水する。

一夏もそれに続いて降りた。

 

 

 

 

「さて、と。ここまではいいわね」

 

一夏と楯無はびしょ濡れの髪をかき上げながら、何でもない様子で楯無が言う。

 

「それにしても、妙ね」

 

一夏と楯無は少し疑問を感じた。

ここまで、来るのに誰人と会っていないのだ。

 

「(運が良かったのかしら? いや、でも……)」

 

罠だったのか。

そして、それはどうやら後者だった。

 

「出て来たらどうだ? 更識楯無」

 

「っ!?」

 

声からして女だろう。気配を消していた楯無がいとも簡単に見つかったことから、この女は相当できる奴だと確信した。

そして、楯無は何かに掴まれたような感覚に落ちる。

楯無は仕方ないと出ようとした瞬間、

 

『外れだよ』

 

機械的なボイスを放ちながら、一夏が女の背後から刺突剣を引き抜いていた。

 

「はっ! バレバレの攻撃だよ」

 

女の背後から伸びたアームのような物に阻まれ、一夏は一気に距離を離す。

 

「なんだよ。楯無かと思ったんだが、犬の方かよ」

 

女はガッカリしたように手を腰に当て、めんどくさそうに頭を下げる。

だが、女は一夏のある物を見て、目を開く。

 

「おいおい。更識家って、あんなの物まで飼い馴らしていたと思わなかったな」

 

そう言って、女は首元からある物を取り出す。

それを見た一夏も目を大きく開く。

 

()()()()()。このオータムが相手してやるよ」

 

オータムが取り出したのは、二つのタグだった。

そして、その一つに、

 

『B2……』

 

B/2と刻まれていた。

そして、一夏もタグを相手に見せる。

 

「(……刺突剣(レイピア)。まさか、このISのご時世に、仕込みか? まあ……こんな華奢な野郎だ。どんな獲物にしろどうせ低級。……精々D―――)」

 

だが、オータムは一夏のタグを見て、驚かされた。

一夏のタグに、A/0と刻まれていたからだ。

 

 

 

 

「…………」

 

オータムは一夏のタグを見て、息を呑む。

 

「(A0級? こいつが!? 更識家め……とんでもねぇ物を飼い馴らしてやがるんだよ)」

 

このタグの意味を知る者なら、一夏は相当な化け物だ。

しかし、それの意味を知っているのは、オータムだけだった。

 

「(……はったり。そうだ、ハッタリに決まって―――)」

 

バシィイッ! という雷鳴と同時に一夏の背後が輝き、黄金のISが現れる。

オータムが驚きに目を瞬かせている隙に、更にその半身を装甲が覆った。

 

「っ!? ISだと!? 男がISって……まさか、お前!!」

 

『対暗部。更識家の守護者、《雷帝》。織斑一夏が参る』

 

そして、狭い船室で同時に瞬時加速に入ったIS二機がぶつかり合う。


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