翌日、朝のSHR。
「はーい、という訳で……一年一組代表は織斑一夏君に決定です! あ! 一繋がりでいい感じですね~」
山田先生は喜々と喋っている。そしてクラスの女子も大いに盛り上がっている。
パーン。
一夏は拍手とは別に手を叩く。
その音に気付いた山田先生は一夏の方を向いた。
『代表をやるのは別にいいんですが、参加できない時はどうするんですか?』
手話でそう伝えると、その横にいた織斑先生が動く。
「その点は問題ない。オルコットに代わりに全てやらせる」
『そうか』
一夏は更識の従者と言う立場があるため、週に一回あるか無いかの位で学校を休んでいる。
主に楯無との手合せだ。従者の為の基本作法などを教え込まれていた。
本来ならみっちりと教え込む予定だったのだが、ISを動かしたことによる案件で少しづつ教える羽目になってしまったのだ。
「クラス代表は織斑一夏。異存はないな!」
「はーい!!」
クラス全員一丸となって返事した。
◇
「一夏くん。『リンドヴルム』を使ったんだ」
放課後、一夏は寮に戻る帰り道にプライベート・チャンネルから声をかけられた。
曲がり角から楯無が姿を現す。
「お久しぶりですね。楯無お嬢様」
一夏は待機状態の剣の柄を掴むと、そう言葉を発した。
ISを持ったことにより、常にISネットワークを使えるようなった一夏は言葉を喋ることができるのだ。
ISネットワーク。ISが独自に持つネットワークであり、
一夏はその内部のネットワークを並列接続させ、言語能力処理を代わりに行うことで声と耳を正常に戻しているのだが、これは部分展開に該当する為、常に使うことができない。IS学園のルールで部分展開は禁止されているからだ。
「今はフリーだからいいわ」
「そうか。で、何の用だ?」
一夏は敬語をやめ、いつも通りに楯無と会話する。
「貴方がクラス代表になったと耳にしてね」
「まあ、成り行きでな」
一夏はやれやれと手を振る。
「その
「もちろん、そのつもりはない。クラス代表の時には仕上げるつもりだ」
「なら、いいけど。ついでに全勝もして頂戴ね」
「はん。言われなくてもそうするつもりだ。俺は
そう言って、一夏は行ってしまった。
その後ろを楯無は一夏の背を眺める。
「……。最強か……。そう簡単に譲るつもりはないけどね」
楯無はそう呟き、その場を後にした。