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飛行訓練Ⅰ
「ぃ……っ、う、ぁ、はぁ……っ」
熱い。冷たい。
なんだっけ。ここどこだっけ?
星が。月が。雲が、空が、綺麗で、ああそうだ、舞踏会。
くるくる、くるくる、狂狂、狂狂――――
――――――あ。
後ろから、誰かが。
◆ ◆ ◆ ◆
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
久々の、“あの夢”だった。
「ラーニャ、大丈夫……?」
「……えぇ」
心配そうに、ロザリーが声をかけてくれる。
“あの夢”を見る理由なんて、明白だ。
あまりにも、あまりにも。
―――あまりにも。
「今日って、飛行の授業があったよね? 楽しみぃ~」
ロザリーの声とともに、心臓がドクンとなる音が聴こえた。
◆ ◆ ◆ ◆
「箒を上に! あげて!」
あがれ、と命令する。
箒はすぐにあがった。
「またがって、三メートルほどですぐに降りてきなさい。いいわね?」
素早く上がって、またすぐ降りてくる。
よし、うまくいった。
「そこの貴女。うまいわね、ミス・ギルティク。次の段階のお手本になって頂戴」
「………え」
「なにをしているの? ほら、早く!」
周りで拍手が起こる。
くらくらしながら、先生の傍に行って、箒にまたがった。
「なるべくまっすぐ上まで上がって、ゆっくりと降りてきなさい」
はい、と返事をしたのかどうか。
よく分からない。
大丈夫、落ち着いて。
ゆっくりすればいい。
落ち着け。
「いち、に、さん!」
ふわっと浮いて、30メートルほど上がる。
それからゆっくりと降りて、残り10メートルほどになった。
――――――あ。
下、草原だったな、そういえば。
あの時も。
あの時も?
視界がくるりと反転して、意識が途絶えた。