スリザリン生の優雅な生活   作:モンコ

7 / 13
飛行訓練Ⅰ

「ぃ……っ、う、ぁ、はぁ……っ」

 

熱い。冷たい。

なんだっけ。ここどこだっけ?

 

星が。月が。雲が、空が、綺麗で、ああそうだ、舞踏会。

くるくる、くるくる、狂狂、狂狂――――

 

――――――あ。

後ろから、誰かが。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」

 

久々の、“あの夢”だった。

 

「ラーニャ、大丈夫……?」

「……えぇ」

 

心配そうに、ロザリーが声をかけてくれる。

 

“あの夢”を見る理由なんて、明白だ。

あまりにも、あまりにも。

―――あまりにも。

 

「今日って、飛行の授業があったよね? 楽しみぃ~」

 

ロザリーの声とともに、心臓がドクンとなる音が聴こえた。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

「箒を上に! あげて!」

 

あがれ、と命令する。

 

箒はすぐにあがった。

 

「またがって、三メートルほどですぐに降りてきなさい。いいわね?」

 

素早く上がって、またすぐ降りてくる。

 

よし、うまくいった。

 

「そこの貴女。うまいわね、ミス・ギルティク。次の段階のお手本になって頂戴」

「………え」

「なにをしているの? ほら、早く!」

 

周りで拍手が起こる。

くらくらしながら、先生の傍に行って、箒にまたがった。

 

「なるべくまっすぐ上まで上がって、ゆっくりと降りてきなさい」

 

はい、と返事をしたのかどうか。

よく分からない。

 

大丈夫、落ち着いて。

 

ゆっくりすればいい。

落ち着け。

 

「いち、に、さん!」

 

ふわっと浮いて、30メートルほど上がる。

それからゆっくりと降りて、残り10メートルほどになった。

 

――――――あ。

 

下、草原だったな、そういえば。

 

 

あの時も。

あの時も?

 

視界がくるりと反転して、意識が途絶えた。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。