よろしくお願いします。
ラーニャ・ギルティク
「ふぅ……」
ホグワーツ行きの列車の中で、ため息をつきながら、少女は窓の外を見る。
(……私、ハッフルパフに入りたい)
少女の名はラーニャ・ギルティク。
名門中の名門、ギルティク家の次女である。
黒い艶やかな髪、長い睫、みどりの瞳がその証だ。
(私なんて、きっと落ちこぼれてしまうわ……。お母様のご学友のスネイプ先生は、とても厳しい方だと聞いたし……)
悩ましげに頬杖をつく美少女の姿は、まるで一つの絵のようだった。
「よーっす」
「お隣、じゃましていいかい?」
「あ、ああ。どうぞ」
「あんがとさん」
二へへ、と笑いながら双子の少年が入ってきた。
燃えるような、赤い髪である。
「お名前は?」
「フレッド・ウィーズリーだよ。こっちはジョージ。見てわかるとおり、双子さ」
「そちらは?」
「ラーニャ・ギルティクと申しますわ。よろしく」
にっこりと笑って、握手をする。
私自身でそんなつもりはないのだが、私はどうも顔が怖いらしい。
「綺麗ですね」「可愛らしい」とはよく言われるし(こんな言い方をするとナルシストっぽいが)、鏡を見てもそこまでひどい顔ではないように見える。
だがしかし、どうも、なんというか……顔が、悪役っぽい。
悪そうに見える。
ふわふわとした白いドレスよりも、シックな黒いドレスがしっくりきてしまうのだ。
だから、第一印象でちゃんと笑顔を見せ、悪い印象をもたれないようにしなくてはならない。
「ギルティクって言えばお嬢様じゃん? すげぇな」
「そんなことありませんわ。特に私は。今年新入生なのですけれど、貴方がたも?」
「そうなるな。ははは、同級生だ」
「キミ、どの寮に入りたいの?」
「そう……ですわね、私は、ハッフルパフがいいです。家族はみんなスリザリンなのですけれど、スリザリンって、ちょっと怖くて……」
「ふぅん? 俺はグリフィンドールがよかったんだけど……、こんな美人がいるなら、ハッフルパフにしようかな」
「あっ、ずるいぜジョージ」
しばらくして、列車がとまった。
あの二人がいるならグリフィンドールもいいかなと、少し思った。