【完結】 遊戯王 5D's 転生者と未来のカードたち 作:DICHI
私の活動報告でちょっとした募集をやっております。よければそちらもどうぞ。
遊輝 side
「ねぇ〜、次どこ行くの?」
「エッフェル塔も凱旋門もみたし・・・・ルーヴル美術館なんてどう?」
「あれは1週間でも全部見れないって有名な美術館だよ。それに今からじゃチケットを買うだけで時間が取られるし」
「おい、そろそろ昼飯行かないと。遅くても2時には空港なんだろ?」
「う〜ん・・・・じゃあシャンゼリゼ大通りに行こう。あそこにはカフェや雑貨屋とかあるし場所的にも歩いて10分だよ」
軽音部の年越しでの海外遠征も今日が最終日、昨日はゆっくりと過ごして(全然過ごせなかったけど)今日1日は観光巡りとお土産を買いに朝からパリ市内をずっと移動している。移動手段はバスや路面電車、徒歩だ。現在、11時半、そろそろ昼飯を食わないといけない時間なので茜の案内でパリで有名な大通りへと向かう。
「あっ、ここのカフェに行こう!ここ凄く混んでいてなかなか入れないから!」
「じゃあここで食べて、お土産とかはシャンゼリゼ大通りで買って・・・・・丁度良いくらいね」
「早速入ろう!」
茜の案内でオススメのカフェに入っていき、皆席についてメニューを決める。8人用の大きなテーブルなんてないから、適当に見つけた5人用と3人用に別れて座る。俺と龍亞・龍可の3人というもうお決まりとかしたグループだ。
「Avez-vous décidé l'ordre ?(ご注文はお決まりでしょうか?)」
「メニュー決まった?」
「うん、私これ」
「俺はこれ!」
「え〜と・・・・this one,this one,and this one,please」
「Le nombre d'articles ?(品数は?)」
「Can I have one of each?(全部一つで)」
「BIEN」
店員がメニューのメモを取っていきカウンターの方へと歩いていった。茜達の方もメニューを取り終わったみたい。
「この後のお土産どうやって買いに行く?」
「せっかくだし分かれて行こうぜ。皆買いたい物はちがうだろうし」
「スバルに賛成」
「俺も」
「じゃあそうしようか」
《*・・・・その後は昼飯が来て皆で食べて店を出て大通りを目指すだけなのでカット!!》
「それじゃ1時間後にここに集合ね」
「分かった」
シャンゼリゼ大通りにあるコンコルド広場に付き、そこであらかじめ決めておいたグループに別れてお土産を買いに行く。俺の相手?もちろん龍可だ。
「で、何処に行きたい?」
「とりあえず普通のお土産を売っている所に行って、その後に色々と見ていきましょう」
「そうだな」
シャンゼリゼ大通りのコンコルド広場から凱旋門に向けてゆっくりと歩いていく。そこには外人相手にやってそうな高級店だけでなくスーパーやショッピングマーケットもある。適当に歩いて一つのお土産店を見つけた俺と龍可はそのまま店の中へと入っていく。龍可と一緒にキーホルダーやらクラスメイトに渡すチョコレート、マグネットなどを適当に手に取って気に入って値段が高くない物は買い物カゴへと入れていき、取っては入れての作業を繰り返す。
「ゆ、遊輝・・・・こんなに買って大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫。ちゃんと値段見てるし」
「す、スーツケースに入るの?」
「・・・・・・・・全く考えてなかった。返すか」
スーツケースの事を考えてなかったから本当に欲しい物だけ仕分けして後は店の陳列棚に返していく。商品を買った俺たちはそのまま店を出てシャンゼリゼ大通りを真っ直ぐ凱旋門に向けて歩いていく。
「いや〜・・・・・今日で最終日、年越しを海外で過ごすだなんて人生初めてだったけど以外と呆気なかったな」
「そうね。テレビとかで花火の打ち上げとか色々やっていたけど、もう過去のような事だわ」
「ウィーンがほぼ弾丸で後はパリで過ごして・・・・・時間が無かったけどパリ以外の所にも行きたかったな」
「そうね。ほとんどファッションショーの準備だったし」
「・・・・・頼むからそれは言わないでくれ」
もう・・・・・・あれは本当に思い出したくない・・・・・・・二度とあんな目には会いたくない・・・・・・(涙)
「ご、ごめんね・・・・」
「まぁ・・・・わざとじゃない・・・・し?」
「?どうしたの?」
「・・・いや、ちょっと・・・・・こっち入っていいか?」
「え?い、いいけど、裏道に入ってどうするの?」
「いや・・・・何か・・・・」
俺を呼んでいるような声がする・・・・・と言っても多分分からないだろうからとりあえずてきとうに濁して裏道に入る。大通りの裏道とはいえ、人は少なくどちらかというと本当にこの辺で仕事をしていたり住んでいる人が通りそうな道だ。辺りは昼間なのに少し暗い。俺は声が聞こえた方向へ直感的にあるき、やがて一つの店の前で止まった。そのお店は古道具屋だろうか、色んな道具が埃を立てていた。
「このお店に何かあるの?」
「いや・・・・・何か呼ばれた気がして」
「呼ばれた?」
「分からない・・・・・とりあえず入っていいか?」
「私は大丈夫だけど・・・・・」
龍可の許可を得た俺は店の扉を開ける。チラリ〜ンと鈴の音が店内に小さく鳴り響く。中を見ても外を変わらずに骨董品や古道具屋・古本などがお世辞にも綺麗とは言えないくらい、どちらかと言うと散らかっているくらいに並べてある。そして、扉を開けた目の前には店主らしき白髪で老眼鏡を掛けているお爺さんが本を読んでいる。
「あっ・・・・え、えっと・・・・Bonjour」
「Bonjour・・・・大丈夫じゃ、日本語は話せる」
「あっ、そ、そうですか」
「それにしてもお客さん、若いのによくこんな古ぼけた店に入ったね」
「い、いえ・・・・・何かに呼ばれた気がしたので」
「ほっほっ、お主もまた、この道具に導かれた者なのですね」
「導かれた者?」
お爺さんは持っていた本を机の上に置いて立ち上がり、色々な道具を見つめながら俺達に話しかけてくる。
「ワシが取り扱っている道具は不思議な力があるのでしょうね・・・・適合する持ち主を探しているのです。そしてここに導かれた者は必ず『呼ばれた』と言うのです。丁度お主のように」
「・・・・・・・・・・・」
「そんな人達にこの不思議な道具を差し上げたり売ったりする役目なのがこのじじいなんですよ。さて・・・・・お客さん、お主が導かれた物はこれじゃないか?」
お爺さんが俺に出してくれた物は黒い鞘に入った三本の刀。鞘には金色の紋章があり、柄は赤・黒・薄茶である。俺はお爺さんから3本の刀を受け取って、その内赤い柄の刀を鞘から引き抜く。中は漆黒に染まった日本刀だった。日本刀ついてはあまり詳しく知らないが刀独特の綺麗な弓を描いたような形、そしてあまりにも綺麗過ぎるこの漆黒の色・・・・・・・一瞬で分かった。こいつが俺を呼んでいたと・・・・・・・
「確かにこの刀ですね・・・・・・この刀は三本セットで?」
「その通りじゃ。いつ、どこで、どうやってこの店に着いたのかはワシも分からん。じゃが、こんな綺麗な刀を捨てるのはワシには出来ん。それにワシ、刀の捨て方なんて知らない」
「おい・・・・・・」
「ともかく、その刀達がお主を呼んだのならその刀はお主が持っておくべきじゃな。その刀はくれてやる」
「へっ?良いんですか?」
「構わん。ワシが持ってたって何の意味もない。ただお主、この国には住んでないだろ?」
「あっ、そうですね」
「手続きもワシがしてやるが、流石にお主の家に届くのは1週間くらいかかるが構わんか?」
「全然大丈夫ですよ。タダで刀を貰って手続きまでしてくれるなんて・・・・」
「ホッホッ、気にするな。さて、ここにお主の家の住所を書いてくれ」
お爺さんが木の机の引き出しから国際宅急便の伝票を出してくれたので、俺はボールペンを借りて俺自身の名前と住所を書き込む。
「・・・・・はい」
「ホッホッ。じゃあこの紙でお主の住所を見ないようにして・・・・あとはワシに任せてくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
後のことを全てお爺さんに任せて店を出る。そして大通りへと戻っていく。
「遊輝・・・・・あのお爺さんを信用しても大丈夫?」
「多分大丈夫でしょ。それに飛行機に刀を持ち込むには面倒くさい手続きがいるし。んなこよりより早く戻ろう。ちょっと時間がやばい」
「それもそうね」
「あっ、いたいた」
「お〜い、二人とも何してるんだ〜」
「悪い悪い」
スバルと龍亞が手を振ってくれたのでそれを目印に進む俺たち。レミや奏・響や茜達は見当たらない。
「龍亞、レミさん達は?」
「この店で買い物してるよ。何かパリに来た記念だし、皆でトレードマークみたいな物を買おうって」
トレードマークか・・・・・・あいつら髪が特徴的な色をしているからそんな物しなくても大丈夫だと思うんだけど・・・・
「ちなみに遊輝や龍可のも選ぶみたいだぜ。もちろん俺と龍亞のも」
「はっ?」
「えっ?えっと・・・選ぶのはありがたいのですけど、何で勝手に・・・・」
「いつもの事じゃねぇか」
そ、そりゃそうだが・・・・・(汗)
「お待たせ〜〜。遊輝達もちょうど戻ってきたのね」
店内から出てきた4人は既にこの店で買った物を頭に付けてある。レミは緑色のバレッタで髪をポニーテールにまとめて、響は水色のシュシュを付けている。奏はレミ達と違って黄色の伊達メガネを掛けていて、茜は紫色のクリップみたいなものだ。
「お〜、似合うじゃん」
「そりゃ真剣に選んだんだからね、似合わなかったらこんな風に付けないよ」
「それよりもこれ4人の、まずスバル。オレンジのバンダナね」
「バンダナ?これ、普通に巻けばいいのか?」
「そうよ。んで、龍亞君と龍可ちゃん、お揃いの黄緑のゴム」
「龍亞君も髪を結んでるし丁度いいでしょ?」
「サンキュー!」
バンダナを貰ったスバルは頭で巻いて端を縛る。ゴムを貰った龍亞と龍可は今付けてあるゴムを外して貰った黄緑のゴムに付け替えた。
「うんうん、3人とも似合ってる!」
「龍亞と龍可はゴムの色を変えただけじゃん」
「龍可っちならともかく、龍亞っちは難しかったんだからね。じゃあ最後、これが遊輝っちの」
茜が紙袋から取り出した物を俺に渡してきた。・・・・・・・うん、何でだろう、嬉しくない。
「なぁ・・・・・・何でカチューシャなんだ?」
「えっ?素直に遊輝っちに似合うと思ったから」
「それに赤のアイテムってゴムかそれぐらいしか無かったし」
茜に手渡された赤のシンプルなカチューシャに戸惑う俺。だってカチューシャだよ?俺、男だよ?いや、確かに昔見たパンを作るアニメの主人公がカチューシャをしてたけど、それでも俺男だよ?
「とにかく付けたら?はい!」
「ちょっ!?おまっ!?」
響がカチューシャを手にとって俺の頭へと装着した。
「お〜、違和感無いわね〜」
「これくらいならまだ男って言われても納得できるよ」
「ほら、こんな感じよ」
奏がカバンに入れていた手鏡を開いて俺に見せてくれる。鏡の中に写っていた俺は赤のカチューシャに少しの違和感があったがまぁ普通に似合っている。
「・・・・・・・まぁ、これくらいならいいか」
「でしょでしょ〜。流石にゴムにする訳にもいかないしカチューシャにしたけど正解だったわね」
「それじゃ帰りましょう。そろそろいい時間よ」
茜が携帯で誰かに電話を掛けて、その5分後にワゴン車が来た。中には正月明けの翌日に大量の服を運んでくれたあの男の人だった。
「やぁ茜ちゃん。ちゃんと荷物も乗せてあるよ」
「じゃあ空港までお願い。皆乗って」
茜が運転手に指示をして俺たちをワゴン車に乗せていく。全員乗ったところでスライドドアが閉まり、車が動き始める。
〜(空港 出発ゲート)〜
「・・・・・・はい、手続き完了しました。北ゲートから出国してください」
「分かりました」
空港に着いてロビーで手続きを済ませた俺は飛行機に乗せるカバンを背負って皆の所へと行く。
「よっし、もういいぜ」
「それじゃ、お世話になりました」
「パリでの生活楽しかったよ茜!」
「バイバイ!」
茜との最後の挨拶を済ませた者から出国ゲートへと入っていく。なんせこの時間、人が多いから早い所入っていかないと飛行機に乗り遅れてしまう。
「それじゃ茜、また会おうね!」
「バイバイレミっち!」
最後までいたレミが手を振りながら搭乗口へと入って俺たちを追いかけて来る。
「お待たせ〜」
「やっと来た、早い所行こうぜ」
「うん」
レミを先頭にして俺たちは日本へと向かう飛行機の搭乗ゲートまで歩いて行った。
今回は最後の後書きは私が。
すぴばるの方をご覧になった方は知っていますが、この後の話から後書きのコーナーに東方キャラを出すことになりました。
元は第78話の時、ボス戦とのデュエルだったのですがあんまりにも内容が薄すぎるので『まぁ一回ぐらい良いかな?』という軽い気持ちで魔理沙とフランを出したのです。そうしたらとある読者様から「今後も後書きで出すのですか?」と言われて、ちょっと考えてしまいました。一応、遊戯王の作品なので東方projectのキャラを出すつもりはなかったですし、そもそも知っている人おるのか?っていう現状もありました。
しかし、番外編の方は既に終わったのでこのまま何もしないのはあれだと思ったので、アンケートをとったところ、出して欲しいという意見が多数でしたので出すことになりました。ハーメルンでもアンケートをとった方が良いのだと思うのですが、いちいち後書きを変えることになって正直面倒くさいです。ので、ハーメルンでも東方のキャラを出していこうと思います。
後書きにでてくるのは私が執筆した「遊輝と神様の東方放浪記」に出てきたキャラだけとします。私の気分で決めたキャラを最大2人まで呼んで、その話に出てきたキャラと適当に会話をしてもらおうと思います。
さて、今回の話で海外編の本編みたいなところは終わりました。次回からは3学期ですが、わざわざ章に分けるほどの量ではないのでそのまま海外編の続きとさせていただきます。イリアステル編は遊輝達が新学年になってからスタートします。
あっ、因みに言っておきますけどこの話から軽音部+龍亞・龍可はトレードマークを普段から付けてます。つまり、遊輝はカチューシャをしながら東方の世界に入ってます。え、誰得の情報だって?そんなの知らねぇよ(キリッ)
それでは次回、【海外から帰って来てからの軽音部の日常】。お楽しみに待ってください。それでは、次回もよろしくお願いします。