【完結】 遊戯王 5D's 転生者と未来のカードたち 作:DICHI
このお話は本日(2018年2月3日)2回目の投稿です。ご注意ください。
遊輝 side
「ん、んん・・・く、首が苦しい・・・」
「ダメだよ遊輝ちゃん、今日ばかりはキチンと襟を正さないとダメなんだから」
「お前は母親かよ。っていうか本当に来るのか?」
「当たり前じゃん!!みんな来るんだし!」
「・・・・おかしいんだよなぁ、ただの形だけの卒業式なのに」
リビングの前にある大きな鏡でキチンと襟元まで止めたYシャツのボタンとネクタイ、その上から着慣れたアカデミアの制服を着る。いつもなら前は全開しているんだから、今日はキチンとボタンを閉める。
ピンポ〜ン
「あっ、みんな来たよ」
「ん、じゃあ行くか。おおい!」
「こっちはもう準備OK!」
「私も」
「それじゃ行くか」
インターホンが鳴ったので、机の上に置いてあったリュックサックを持つ。すでに同じアカデミアの制服を着ている。アリアも普段着ではなく、清楚なワンピースを着ている。玄関の鍵を閉めて、エレベーターを使って下まで降りる。そこには軽音部のメンバーに祈と恭輔、そして遊星やジャック、クロウにアキさん、さらには牛尾さんや狭霧さんがいた。
「よう、今日はキチンとしているんだな」
「そういうクロウこそスーツなんか似合わない物を着て」
「仕方ないだろ、上司にちゃんとした服を着ろって言われたんだから」
「卒業式と言う晴れの舞台であんな不良感満載の服を着て行くバカがいるか」
「ねぇ遊輝!早く行こう!」
「分かった分かった、それじゃ行くか」
・・・・・本日3月9日、アカデミア中等部の卒業式、小等部は一昨日、そして高等部の卒業式は昨日行われた。
アカデミアに着くとすでに多くの生徒が家族や親戚、または友達と一緒にワイワイとしている。生徒たちは靴箱へ、それ以外の人たちは式が行われるアカデミアのホールへと向かって行った。
「それじゃ、俺たちはこっちで待っておく」
「良い卒業式を期待しているわよ」
「まっかせてください!」
「響が言うと信用ないんだよねぇ・・・」
「奏!!!」
「ハハハ、おいクロウ、行くぞ」
「厳しい上司だぜ・・・・じゃあな」
「お前たちの晴れ舞台、楽しみにしてるぞ」
「また会おう」
「遊輝ちゃん、楽しみにしているから」
「分かったから」
ここで一度遊星さんたちとはお別れ、ホールの方へと向かっていった。俺たちは靴箱で靴を履き替えてそれぞれの教室に行く。
「おっはよう!」
「おお!軽音部のやつら来たぞ!」
「おはよう!遊輝君!卒業生代表の言葉決まった!」
「何とか、徹夜で考えた・・・誰だよ、俺を卒業生代表にした奴・・・」
「生徒会と先生たちで満場一致って言ったじゃない。当たり前といえば当たり前だけど」
「遊輝っち、WRGPの優勝チームとのキャプテンな上に成績学年1位なんだから」
「納得いかねぇ・・・・」
「席につきなさい!ホームルーム始めるわよ!」
前の扉が開いて加藤先生が入ってくる。それを見た俺たちは慌てて自分たちの席に着く。
「皆さん、おはようございます!」
『おはようございます!』
「みんな元気よく、今日という日を迎えることができて先生はとても嬉しいです。この後のお話はこの後にすることにして、早速ホールに向かいましょう」
『は〜い』
加藤先生の合図で俺たちは教室から出て、ゾロゾロとホールへと向かう。隣のクラスともう一つ隣のクラスも同時タイミングで教室から出て、かなりの大所帯でホールへと向かう。ホール近くの階段で名前順に並べ、その時まで出番を待つ。
『卒業生、入場!!』
ホールの外まで響き渡る執行役の先生の声、あんたちょっとマイクのボリューム考えて喋ろよ。何でもかんでも大声出せばいいもんじゃないぞ。そんな愚痴を心の中で並べながら1組の俺たちから先頭にホールの中へ入っていく。
パチパチパチパチ!!!
ホールには保護者や他の中等部の生徒、さらに高等部や小等部の生徒たちがいて、全員で拍手をして卒業生たちを迎え入れてくれた。所定の席に着いて、全員が座ったところで音楽と拍手が止まった。
『これよりデュエルアカデミアネオドミノシティ校、中等部の卒業式を始めます。保護者の方、ご起立お願いします。在校生、卒業生、起立!例!』
司会の挨拶で全員が立ち上がり、頭を下げる。そのまま国家斉唱が行われて、
『続きまして、卒業証書授与。なお、人数が多いため、今回はそれぞれのクラスから代表者2名が授与されます。ご了承ください。3-1組、遠藤遊輝!水野奏!』
「はい!」
「はい!」
司会の人に呼ばれて俺と奏は立ち上がり、階段を上ってステージに立つ。目の前には校長先生と補佐として一人の先生が卒業証書を手にしている。
「卒業証書、遠藤遊輝。貴方は本校での過程を修了したことをここに証明します。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
『続いて、水野奏!』
「はい!」
「卒業証書、水野奏。貴方は本校での過程を修了したことをここに証明します。おめでとうございます」
「ありがとうございます」
パチパチパチパチパチパチ!!!!
俺と奏は校長先生から卒業証書を受け取り、握手をする。会場から拍手が巻き起こり、奏とタイミングを合わせて回れ右をした後、一度例をしてからステージから降りた。
『続きまして、3-2・・・・・』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『卒業生、答辞!卒業生代表!遠藤遊輝!』
「はい!」
色んなプログラムが終わっていき、いよいよ最後の卒業生の答辞。俺はもう一度ステージに立ち、胸ポケットに入れていた紙を取り出す。
「答辞、私たち、3年生は本日を持って中等部を卒業します。この3年間、楽しい日々もあれば苦しい日々もありました」
「2年前、小等部から中等部に進学した私たちは新たな期待と不安で満ち溢れていました。しかし、先生方や先輩方の支えがあって私たちはこの中等部の生活を楽しく過ごすことができました」
「最後になりましたが、先生方や事務員の方々、3年間お世話になりました。先生方や後輩たちのさらなるご健闘を期待して、卒業生の答辞とします。卒業生代表、遠藤遊輝」
パチパチパチパチパチパチ!!!!
『以上をもちまして、デュエルアカデミアネオドミノシティ校、中等部の卒業式を終了します』
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!
〜〜(その夜)〜〜
「んん〜〜、やっと堅苦しい式とか終わったよ!自由って最高!」
「何言ってるのよ・・・・はい、ご飯よ」
「サンキュー龍可」
卒業式が終わった後もクラスのみんなと話したり、軽音部内で集まって色々としていたらこの家に帰ってきた時にはもう夜になっていた。晩御飯は龍可とアリアで作ってくれて、他の3人はすでに食べ終わっていた。
「・・・・この家も物が無くなったらもっと広く感じるな」
「そうね・・・」
明日、龍亞と龍可、いやチーム5D'sのメンバーは遊星さんを除いてこの街を旅立つ。この家も明日には引き渡されるため、すでに不必要な家具や家電は龍亞と龍可が新たに住む家に送った。
「遊輝はこの後、どこに住むの?」
「近くに安い家賃で借りれるアパートがあったからそこで住む。家具や家電は必要最低限買えばいい。アリアは茜の所に住み込みだ。あいつはまだ住民票ないからな」
アリアの住民票が無い問題をなんとかしたいが・・・イェーガーさんも渋い顔してたしな・・・ちょっと難しそうだ。
「そう・・・・」
「な〜に暗い顔してるんだよ。別に一生会えないわけじゃ無いんだからさ」
「そっちは心配ないんだけど・・・遊輝がアリアお姉さんに乗り換えないか」
「そっち!?」
「だってあの人、やる事全てめちゃくちゃだから・・・」
あ〜・・・わかる気もする、あいつめちゃくちゃだからな・・・
「何二人して話しているの?」
「出た、元凶・・・・いたたたた!!!!」
「元凶ってどういう意味?えぇ?」
部屋からアリアが降りてきて、ついボソッと元凶っていたのが聞こえたのか、すぐさま俺のところにきて両頬をつねってきた。
「いたたたた!!わ、悪かった悪かった!!」
「ちょっと目を離したすきにアリアさんの悪口ばっか言うんだから、だから私と一緒に住もうって」
「絶対に嫌じゃ!!あんな地獄に誰が好んで住むか!!」
「いいじゃない。給料入るし、食事代諸々、全てタダよ!」
「その給料入るためにやる事が嫌なんじゃあ!!」
「ちょ、ちょっと二人とも、もう9時回っているんだから静かに」
「何騒いでいるんだよ、明日は早いんだからもう寝たいんだけど」
「「だってこいつが」」
「・・・・・似た者同士ね、この二人」
「そうだな」
〜〜(翌日 早朝)〜〜
「・・・・ここからだったよく見えるな」
「ああ、チーム5D's最後のラストランを見届けるにはふさわしい所だ」
「いい景色ね。モーメントが見えて、6人の姿も肉眼で捕らえられて」
次の日、まだ陽が昇る前、6人は誰も走っていないライディングデュエル専用のレーンで待機していた。俺たちはそれがよく見える高台に待機している。チーム5D's、ラストランを俺たちはこの場所で見届けることにした。
遊星さんたちの声が聞こえるように、許可を取ってDホイールの画面をつないでいる。
「・・・・やっぱ寂しいですね、仲間が遠くに行っちゃうなんて」
「それはみんな一緒さ恭輔、でも、あいつら一歩踏み出すために道を選んだ。その邪魔をしちゃいけない」
「そうですね、師匠」
「わ、私も・・・・一歩踏み出しました。ファッションデザイナーに向けて、だから、みんな、頑張ろう・・・」
「おいおい祈、肝心なところで恥ずかしがってちゃダメだろ」
「おっ、朝日が昇ったわよ」
「いよいよだな・・・・みんな、頑張れよ」
『行くぞみんな!これが俺たちの・・・ラストランだ!』
チーム5D's、リーダーの遊星さんが先陣を切って走り、その次にジャック、クロウ、アキさん、龍亞と龍可が順番に走って行く。
『俺は必ず帰ってくる!真の王者となって!』
『見てろよガキども!!俺の活躍を!!』
『ありがとうネオドミノシティ!!』
『私たちの故郷!!』
『(・・・さよならは言わない。また会える日まで)』
「カッコいいこと言うわね〜」
「・・・!ねぇみんな!!あれ!!」
「・・・赤き龍・・・」
遊星さんたちのラストラン、その上空に赤き龍が現れる。そして龍亞たちシグナーの証である痣が赤き龍に吸い取られていき、赤き龍は天空へ消えて行った。
「なん・・・で・・・」
「きっと自分の役目を果たしたのだろう。この時代のシグナーのやることはもう終わったってことだ。次の世代に託すのだろう」
「・・・・ちょっと待った!!じゃあ私たちの痣は!?」
「・・・・・消えてない」
赤き龍がシグナーの痣を回収したことで、響が俺たちの痣はどうなってるのっと聞いて、奏が確認、すぐさま、俺たちも自分の痣を確認したが確かに消えてなかった。
「・・・・何で?」
「いや、私に聞かれても・・・」
「・・・・俺たちは赤き龍を補佐する秘密のシグナー、きっと、これからも影に隠れながら、赤き龍の補佐でもするんじゃないのかな」
「えぇ〜、あれを見たら普通の生活出来ると思ったのに」
「もう慣れちまったからいいだろ」
シークレットシグナーのことはまたダイヤから詳しく聞かないとな、そんなこと思っていたら遊星さんがみんなとハイタッチしていた。
「さて、ラストランを見届けたんだし、練習に行くわよ!」
「うっす」
「はぁ〜、今年もツアー頑張るか!」
チーム5D's、ラストランを見届けた俺たちは自分のDホイールに乗って、今日もアカデミアに向けて発進する。
遊輝 side out
No side
〜〜(数年後)〜〜
「・・・き、遊輝!!」
「ん、んん〜〜・・・」
「いつまで寝てるのよ!ロンドンついたわよ!みんな降りちゃったわよ!」
「ふわぁ・・もう着いたのか?早いなぁ・・・」
飛行機の機内で寝ていた一人の男性は女性から揺さぶられて起床する。手早く荷物を取り出して、CAに挨拶した後すぐに機内から降りて、入国手続きを行いスーツケースを手にして空港内を歩く。
「えっと・・・しばらくレコーディングして、2ヶ月後にロンドンからスタートなんだな?」
「そうよ。あと半分ほどだからスパートかけるわよ」
「あっいたいた」
「おおい遊輝!!レミ!!早く来いよ!!迎えが待っているぞ!」
遊輝とレミと呼ばれた男女、そして彼らを呼んだ4人組のグループは全員サングラスをかけていた。
「遊輝、あなたレミより爆睡してたわよ」
「しゃあねぇだろ、昨日、恭輔の電話の相手をしていたんだから」
「そんなことより、すみれさんと祈ちゃん待っているからさっさと行くわよ」
彼らは少し話し合ったあと、空港の外に出た。彼らは6人組バンドグループ、SECRET。デュエルアカデミアネオドミノシティ校から生まれたこのバンドグループは高等部に進学した時期からデビュー、そこから着々と人気が上がっていき、ついにワールドツアーを開催することが決定した。
「あっ、いたわよ」
「お母さ〜ん」
そのメンバーの一人、栗城茜が遠くにいる2人の女性と一人の男性に手を振った。一人は歳めいてうっすらと白髪が見える。もう一人は黒髪が色鮮やかにそして元気よく手を振っている。男性の方は眼鏡をかけてカジュアルな服装をしていた。
「すみれさん、わざわざ来ていただいてありがとうございます」
「良いわよ別に、ロンドンの仕事がまだまだかかりそうだしね」
「祈も久しぶりだな。聞いたぞ、この前賞を取ったんだな」
「い、いえいえ、賞を取ったと言っても入賞しただけですから」
「恭輔、お前寝る前に電話はするなよ、てかよく来れたな?」
「言いましたよ?僕ツアーのスタッフとしてしばらく同行しますって」
「店の許可は取ったのか?」
「降りてますよ。オーナーからしばらく休んでいいって」
「それお前、遠回りにクビ宣告だろ」
遊輝はその男性の言葉を聞いて若干の苦笑をした。
この3人組、男性の方は成田恭輔、遊輝という男性に師匠と言い、共に生活をして来た。遊輝の影響から料理の道へと進み、海外のレストランの料理人にまで成長した。もう一人、恭輔と同じ年くらいの女性は櫻井祈、ファッションデザイナーの栗城すみれに弟子入りしてファッションデザイナーになるために勉強をしている期待の新人だ。そしてその栗城すみれが少し白髪の入った女性だ。
「もう一人はどうした?」
「スタジオで待っているわよ。なんせ準備してしなくちゃいけないこと多いからね」
「じゃあ皆さん、スタジオに行きましょう」
恭輔の案内で遊輝たちは付けてあったマイクロバスに乗り込んで空港から出る。
「テレビ、テレビっと・・・」
『それでは2年連続学生チャンピオンになりました龍亞さんへのインタビューです。龍亞さん、今日のデュエルはどうでしたか?』
『序盤、危ない場面が何回かありましたがそこを耐えて終盤に畳み掛けたことは大きいですね』
「へぇ〜、あいつ2年連続学生チャンピオンか、派手なことをしたな」
「龍亞さんすごいですよ。もうプロチームとの契約を結んで、来年度からクロウさんの後釜として入りますから」
「世界一のチームのキャプテンの後釜、ね。龍亞君も成長したわね」
『いよいよ来年度から今年世界一になったチームにプロ選手として所属されます。チームは個人リーグ出場のため、離脱することになったクロウ・ホーガンに変わる期待の新星として期待してますがその辺りはどのような心境でしょう?』
『そうですね、まだまだアマチュアな自分がいきなりリーダーと同じレベルの境地に達することは難しいと思いますが、そこに少しでも近づくように頑張りたいと思います』
『ありがとうございました。現場から以上です』
『ありがとうございます。それでは本日の特集です。チームIBFのリーダー、クロウ・ホーガンがライド・リーグの参戦を表明しました。これにより、ライド・リーグの構図がどう変わるのか、専門家たちの議論を・・・』
「あっ、そう言えば今年のキング戦どうなったんだろ、確か今日だったわね」
ピッ
『強い!!やはり強い!!この世界最高峰と言われるライド・リーグに出場わずか2年でデュエル・キングに上り詰め、そこからずっとキングを守り続けた男の実力は伊達じゃない!!WINNER!!キング!!ジャック・アトラス!!』
『ワアアアアア!!!!』
「うわぁ・・・・今年もジャックさんが優勝したんだね」
「すごいね、これで何年連続年間チャンピオンなんだろ?」
『キング、来季はクロウ・ホーガンが参戦を表明していますが、かつての仲間と戦うのはどのような心境ですか?』
『クロウはキングは自分がなると言っていますが』
『ならばクロウに伝えておけ、たとえ束にかかって来ても俺には土をつけることはできないと、』
「かっこいいこと言うじゃない、ジャックさん」
「みんな、着いたわよ。早速迎えが来ているわ」
マイクロバスを運転していたすみれさんが目的地に着いたことを報告、それを聞いて全員荷物を手にとってマイクロバスから降りる。そこには赤い髪の女性と青い髪の女性が立っていた。
「ヤッホー!みんな元気!?」
「体調は大丈夫?心配だったら私に相談して」
「アリアさん、それにアキさんも」
「私も今回、あなたたちのツアーに医療スタッフとして携わることに決まったわ。何より面白そうだしね」
「いいんですか、医者がそんな長期休暇取っちゃって」
「上司にこっ酷く怒られたわ。無視したけど」
「肝座ってますね、大した根性ですよ」
青い髪の女性、彼女はアリア。遊輝に助けられて精霊世界という異次元から人間世界に戻った少し変わった経歴の持つ女性、今は栗城すみれの下でパタンナーとして働き、その腕前は世界一と言われている。
もう一人の女性、十六夜アキ。かつてチーム5D'sのメンバーとして行動していた彼女は現在、医者として多忙な日々を送っている。
「さあ中に入って、今日はみんなにサプライズがあるんだから」
「サプライズ?」
「いいから入った入った!」
「みんなも早く入ってちょうだい」
「ちょ、アキさんも急かさないでくださいよ」
アリアとアキに急かされるようにSECRETのメンバーは今回の拠点となるスタジオに入っていく。何かを急かすようにメンバーをメインスタジオへと押していき、そしてレミが扉を開ける。
パ〜ン!パ〜ン!
「えっ?」
『おめでとう!』
「みんな、久しぶりだな!」
「おめぇら元気にしてたか!?最近忙しいと聞いていたからさ!!」
「えっ!?えっ!?クロウさんに龍亞君!?」
そこにいたのは今回一緒に帯同するツアースタッフ、さらに先ほどまでテレビに出ていたプロデュエリストのクロウ・ホーガンとアマチュア学生チャンピオン、龍亞の二人がクラッカーを鳴らして出迎えていた。
「な、なんでここにいるの!?クロウさん、確かフランスに」
「何言ってるんだよ!お前らを祝うためにわざわざ飛んで来たんだぜ!この後にジャックと遊星もこのためだけに駆けつけてくれるってよ!」
「い、祝うって・・・・何?」
「何言ってんだよレミさん!今日はバンド結成日って言っていたでしょ!?」
「・・・・・あっ!?」
「そう言えば・・・・そうだっけ」
「ここ最近忙しかったから、忘れていたわ・・・・・」
「さあさあ!!今日のために恭輔が腕をふるってくれたんだから食べまくろうぜ!!」
龍亞が手にしていたクラッカーをゴミ箱に捨てて、全員に皿を回す。スタッフやアキさん、メンバーにも回ったところで後ろに隠れていた豪華なご馳走が振舞われた。
「いや〜美味しい。ほんと、恭輔君の腕すごいわね」
「遊輝も遊輝で美味しいけど、遊輝よりも美味しいんじゃない?」
「それは俺、ちょっとショックなんだが・・・」
「・・・・遊輝!!」
「?・・・!!る、龍可・・・」
声をかけられた遊輝が後ろを振り向く。そこには緑色の髪をした、龍亞と同じ顔をした女性、龍可が立っていた。
「あ、・・・その・・・ひ、久しぶり」
「久しぶり・・・・大分時間かかっちゃったね」
「ああ・・・色々と忙しかったから」
突然現れた女性に顔を赤くしてキョロキョロする遊輝、それを周りのスタッフやメンバーはニヤニヤしながら見ていた。
「会いたかった・・・・・ずっと会いたかった」
「あ、ああ・・・俺もだ」
「ほらぁ遊輝〜、お前龍可に渡すものがあるのだろう?」
「早く渡しちゃいなさいよ〜」
「う、うるせぇ!!こ、心の準備が・・・・」
「早くしないと逃げちゃうわよ〜」
「わ、分かったよ!!る、龍可・・・・」
「は、はい・・・・」
遊輝はカバンから小さな黒い箱を取り出して、龍可の目の前で跪く。「キャー」という黄色い歓声が飛ぶ中で、遊輝は黒い箱を開けた。
「これ・・・・・指輪?」
「お、俺と・・・・・結婚してください!!」
「・・・・はい!!」
『ワアアアアア!!!!』
「こいつは愛でたい!!!早速飲もうぜ!!」
「良かったわね龍可ちゃん!!遠距離恋愛が実って!」
「は、はい・・・」
「う、うるせぇ!!お前らもう少し大人しくしてろよ!!」
顔を真っ赤にして喚く遊輝、それを見ながら龍可は微笑んだ。
ーーーーーー彼らの物語はこれからも続く
本編、完結しました。
ここまで読んでくださり本当にありがとうございました。
色々と話したいことあるのですが、後書きでやるには長すぎるので、活動報告の方に後書き談をやります。