【完結】 遊戯王 5D's 転生者と未来のカードたち 作:DICHI
まずはアリーナツアー、そして文化祭、あとは忘れ去られたアカデミアデュエル大会、そうですね・・・・冬休みに卒業旅行とかですかね。今のところ、大枠で決まっているのはそんなところです。
第182話 日常に戻った学生、ツアーと最後の文化祭に向けて
遊輝 side
「あ〜・・・・あ、頭いてぇ・・・・なんで決勝の翌日の日に9時から練習なんだよ・・・」
頭を抑えながらアカデミアの制服に着替える。
昨日・・・・・WRGPで優勝した俺たちはその後がもう・・・・あの表彰式の後に優勝会見をさせられて、その後にすみれさん主催で優勝パーティをやって、そこから二次会とか行って俺の家でカラオケ大会をして・・・・2時ぐらいまで馬鹿騒ぎしてたっけ・・・
【*・・・16歳未満は親同伴でも22時までに帰らなきゃダメです】
「ふわぁ・・・・決勝の次の日ぐらい休みにして欲しいもんだよまったく・・・」
9時練習開始とはいえ部屋の掃除や機材チェックしなくちゃいけないので部室には最低でも1時間前に行かなくちゃいけない。つまり、夜遅くまでどんちゃん騒ぎをしたのに朝はクッソ早いんだ。
「ふわぁ・・・・さてと、行きますか」
リュックを背負い、その後ろにギターが入ったケースを背負う。そのまま静かに家の扉を閉めてアカデミアに向かう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「う〜す」
「う〜す」
「おはよう」
「あっついなこの部屋〜・・・・クーラー付けてないのか?」
「さっきつけたばっかだよ」
アカデミアについて部室に入る。すでにスバルとレミが部屋にいたがまだ来たばっかなのか部屋が蒸し暑い。全く、8月のこんなクソ暑い日に丸一日練習とか地獄でしかない。
「さっさとチューニングしちゃおう・・・・チューナーある?」
「ちょっと待って・・・・これこれ」
カバンを机の上に置いた後、レミからチューナーとコードを借りてギターに繋げる。ギターの方で音量を調整した後、6弦からチューニングを始める。
♪♪♪〜〜〜〜
「・・・・・・・高いな」
チューナーを見てそう思い、一度ペグを回して弦を緩め、わざと低くしてから音程を合わせる。
♪♪♪〜〜〜〜〜
「・・・・・・あんた、ギターの弦変えた?」
「へっ?こいつの?う〜ん・・・・・3ヶ月くらいは変えて「今すぐ変えなさい!!」え、えぇ・・・・」
チューニングをしている途中、レミがギターの弦について聞いて来たので3ヶ月って言ったら怒鳴られた。
「あれほどギターの弦はどれだけ伸ばしても1ヶ月って言ったでしょ!!あんた、ツアー中も変えてなかったの!?」
「いや、ツアー中はこいつ留守番だったから・・・」
「ひっどいわね・・・・ギタリストとしてなってないわよ」
「いや、俺プロじゃねえし・・・」
「・・・・それもそうね。いい加減このうざったいメディアの取材許可も何とかならないかしら」
ハァ〜とため息をつきながらレミは大量にある封筒の山から一つを手に取りポイっとゴミ箱に捨てる。
「ったくあの校長先生・・・・・あれほどこの類の手紙は回さないようにって言ったのに・・・」
レミが何を愚痴っているのか簡単にいうと、メディアが俺たちに取材を申し込んで来ている。ただ、俺たち全員は全部断っている。その窓口はこの学校の責任者である校長先生を介してちゃんと言っているんだが、ご覧の有様で・・・・・
まぁしかし、リーダーのレミも校長先生には頭が上がらない。何せ部費を私物に回しているのにお咎めなしなのはほとんど校長先生のおかげだからだ。
「おはよ〜う」
「おはよう」
「う〜す。奏〜、弦変えるの手伝って」
「また〜?いい加減一人で出来るようになってよね」
「おっは〜!!」
「おっは〜、響っちが最後だよ。と言うわけでジュース奢り〜」
「ええぇ!?!?」
「はいはい、さっさと掃除して練習しましょう。スタッフが来る前に片付けるものは片付けてしまいましょう」
そう言ってパンパンと手を叩くレミ、掃除用具入れから箒を数本出したスバルから箒を一本取って掃除を始める。
「うっわ〜、埃多い〜」
「しょうがないでしょ、1ヶ月以上も離れていたんだから」
「テレビの裏とかゲーム機とかヤバそうだな・・・・なんかカバーかけとけばよかった」
1ヶ月もこの部屋を使わなかったせいで部屋の隅や荷物の裏には埃が溜まりに溜まっている。これじゃ掃除するだけで1時間とられそうだな・・・・・
「よっと・・・ああ、アンプのコードが絡んじゃって」
「奏〜、濡れてない雑巾取って〜」
「は〜い」
〜〜(1時間後)〜〜
「ふぃ〜・・・・なんとか掃除が終わったな」
全員で協力し合い、部室はピカピカに・・・・輝いてないな。何せここ、今の時代では珍しい木の机とかあるし、
「これでようやく準備ね。アンプの配置はこの図の通りにお願い」
「失礼します。皆さんおはようございます」
扉が開く音が開いて男の人2、3人が中に入って来る。
「小林さん、ツアー後半もよろしくお願いします」
「こちらこそ、すでに別の部屋の準備は終わってます」
「えっ?じゃあ早くやらなきゃ・・・」
「慌てなくていいですよ。掃除も準備も大切なことなんですから」
「小林さん!油売ってないでコード繋げるの手伝ってください!」
「はいは〜い、全く・・・・俺が上司だって言うのに相変わらず硬いな」
そう言って男の人は苦笑いをしている。この人たちはレミの会社の社員さん、1年の頃から俺たち軽音部の音響を担当している裏方で一番偉い人。もちろん、今回のツアーも帯同してくれて、リーダーを務めている。
「え〜・・・・それでは音合わせからはいります。頭から通し、途中で問題があれば止めますね。奏さんはどうしますか?」
「最初から歌います」
そう言ってマイクスタンドにさしてあるマイクを手にする奏。俺はピックを手に取り、新しく貼った弦の感触を確かめる。
「喉潰さないでくださいよ。じゃあお願いしま〜す」
「1・2・3・4」
♪♪♪♪♪♪〜〜〜〜
スバルが声と同時にスネアドラムをリズムよく叩く。タイミング良く俺がギターを弾き始め最初の曲のイントロから入る。
「ウッ!!!」
ギターのみのイントロが終わるタイミングで奏の低い叫び声が部室に響き、開幕ナンバーのイントロが本格的に始まる。
♪♪〜♪♪〜♪♪〜
「(・・・・・さすがに1週間近く間が空いたら少しズレて来るか・・・にしても相変わらず凄い団結力だ)」
左手のコードを意識しながら右手のピックを使って弦を弾く、時に早く激しく、時に遅くゆったりと・・・・
「ごめんストップ!!」
「えっ!?」
♪♪♪〜〜〜〜
「!!!ゆ、遊輝さん!!止めて!!」
「は、はい!!」
突然、レミがストップと言ってきた。その反応に止めることができずにギュイーンと大きく引いてしまい、ヘッドフォンをしたスタッフがヘッドフォンを外して俺に止めるように言ってくる。
「ど、どうしたのよレミ!?いきなりストップって!?」
「いや・・・・前々から気になっててさ、アリーナの開幕、変えようと」
ベースを持ったまま、レミが黒板に貼ってあるツアー曲の開幕ナンバーをコンコンと叩く。
「えっ!?お前ツアー曲を変えるのか!?」
「元の開幕ナンバーは・・・・・ここにして、これを無くすの。その代わりにこのライブでやるこれを開幕ナンバーにするの」
そう言ってレミは別のライブで歌う予定の曲の紙を黒板からはがして開幕ナンバーの場所にする。
「・・・・・・ああ、確かに」
「演出は変えなくていいのよ。確かこの曲はこのライブに向けて録音したイントロがあるから最初の演出の後にこれを流して私たちが出てくる」
「いや、でも・・・・その曲はそのライブのための秘蔵にしたんじゃねぇのか?」
「アリーナツアーの曲も数曲こっちでやる予定は言ったよね?そうなるともう一曲、強い曲が欲しいのよ」
「いいんじゃない?私はレミっちの意見に賛成よ」
「私も、ホールと同じ開幕はどうも気が引けたから」
「まあいいんじゃね?ツアー回っている時にお客さんの反応が悪かったら元に戻せばいいし」
「じゃあこれを開幕にしてこの曲はここに移動ね。すみません小林さん、ちょっと手間かけてしまって」
「構わない構わない。ただ、準備するのに時間かかるから待っておいて欲しい」
「じゃあその間に私たちだけでセッションしよう。やっぱり間空くと感覚が狂っちゃう」
「ごもっともだな」
1週間近くも練習していないとこうも調子が狂うんだな・・・・俺も弦を替えたばかりとはいえ、微妙に左手のコードを抑える指に違和感を感じるし。
「じゃあこの変わった開幕ナンバーの練習をしましょう。奏、ギターは?」
「これでしょ?」
「それそれ。じゃあスバル」
・・・♪♪♪♪!!
スバルのスネアドラムのリズムからリードギターの俺と茜のギター音が入り、それに合わせるようにリズムギターの奏の音が入る。響のキーボードのメロディに合わせてテンポを整えて奏が歌い始める。
♪♪♪♪〜〜〜〜♪♪♪♪〜〜〜〜
いつもよりも高い声を出している奏、テンポも早くリズムギターとしてはかなり難しめな曲のはずだがそれでもすんなりとこなしてしまっているあたり、さすがだと思う。俺?こんな高くてテンポの速い曲をギター弾きながら歌うとかまだ無理。
♪♪♪♪〜〜〜〜♪♪♪♪〜〜〜
「・・・・フゥ」
「続けるわよ」
「1・2・3・4!!」
♪・♪・♪♪♪♪〜〜〜〜〜〜
ペッドボトルの水を一口飲んな奏がレスポールギターからフォークギターに持ち替える。スバルのバチの合図ですぐにフォークの伴奏から始まり、エレキギターとベース、ドラムのイントロが入る。先ほどと同じくテンポが早い、疾走感のある曲だ。
バン!!!
「レミ!!」
「ぶっ!?」
練習の途中、部室の扉がバンと大きく音を立てて開く、そこには少し慌てた様子のクラスメイト、彩がいた。
「な、何よ彩!?どうしたのよ!?」
「どうしたもこうしたも練習どうするの!?もう10時よ!?」
「えっ!?」
慌てたレミ、いや全員が一斉にこの部屋に一つしかない壁に掛けられた時計を見る。針はすでに10時10分を指していた。
「ま、まずっ!?」
「小林さん!!練習は午後から!!」
「はいはい、劇の練習も頑張ってね」
慌ててカバンを持って部室を飛び出る。場所は体育館、この部室から少し遠い場所だ。
「ごっめ〜〜ん!!!」
「すみません!!」
体育館について早々、クラスメイト全員に謝る。
「・・・・何かこうやって見ていると、お前らも普通の生徒なんだな〜って思う」
「分かるわ〜、こいつら化け物の上に昨日世界一になったのにな〜」
「・・・・ぐうの音もありません」
「はいはい、台本覚えてきたのでしょう。早速最初から」
「・・・・・役を変えることをきぼ『絶対にダメ!!!』む、むぅ・・・・」
この野郎・・・・クラスメイト全員に案を却下されるなんて・・・・民主主義じゃねぇ・・・
ほぼ強制連行で体育館の舞台に立たされる。一応、セリフは覚えてきたがまだうろ覚えなので台本は丸めて後ろポケットに入れてある。
「まずはシーン1、ラビットハウスの日常風景よ」
「・・・・ねぇ彩、今更なんだけどさ、遊輝って棒読み感が凄かった」
「大丈夫大丈夫、チノちゃんは無表情・棒読みだから。それじゃ用意スタート!」
「ねえねえチノちゃん!!私この前お客さんに『ココアちゃんはシスター・コンプレックスだね』って言われちゃった」
「えっ・・・・・」
「響がカッコいいよね!」
「コ、ココアさん、シスター・コンプレックスっていうのは」
「リゼちゃん聞いて〜〜!!私シスター・コンプレックスなんだって!!」
「・・・やばい意味を分かってない。早く止めなきゃ」
「はいカット!!チノちゃ〜ん!!いくら無表情でいいとはいえもう少し驚いてちょうだいよ〜〜!!棒読みは別にいいんだけどさ〜〜」
え、ええ・・・・・無表情で良いっていたのは誰だよ・・・
「それとリゼちゃ〜〜ん!!もっとこう・・・・男らしく!」
「男らしくって?」
「う〜ん・・・・なんか奏のやるリゼちゃんって少し乙女チックなんだよね・・・ライブでやるような」
「あんな歌っている低い声でやれっていうの!?」
「あれの1/3程度でいいからさ」
「え、ええと・・・・・『えっ?おいココア』」
「さっきよりは近いね。また動画見て声覚えてね」
「こんな声ずっと出していたら喉潰れちゃうよ!」
「関係ない関係ない。じゃあもう一回シーン1!アクション!!」
〜〜(数時間後)〜〜
「次のクラス来たわよ〜〜」
「じゃあ今日はここまでね。お疲れ様〜」
「「「「「お疲れ様〜〜」」」」」
「あっそうそう、チマメ隊。明日はダンスと歌の練習だから」
「お、鬼だ・・・・」
おかしい・・・・ツアー開始まであと5日しかないのに、5日しかないのに・・・・
「じゃあ私たちも1時間昼休憩をして練習再開しようか」
「ねぇレミ!!練習見ていっていい!?」
「ダメ、非公開じゃないとどこから情報が流れるか分からないじゃない」
「えぇ・・・・チケット手に入らなかったんだからさぁ・・・」
「知らないわよそんな事。自己責任だから」
プイッとレミは振り向いてさっさと体育館を出ていってしまった。
「あ〜あ・・・・まぁ最近忙しくてカリカリしちゃうし、自己管理も出来ないよな」
「軽音部って学生なのに今年は全然学業に専念出来ないよね」
「私は大いに嬉しいよ!勉強しなくていいから!」
「あ〜〜・・・・・響を見ていたら勉強が大事と思って来た」
「京子〜〜!!!!!」
「あなたたち!!さっさと出て行きなさい!!時間がないんです!!」
「げっ!?生徒会長!?」
「お前ら!!早く出て行こうぜ!!」
「俺も部活だから!!」
後ろがつかえているのが支えているのが気になったのか、このアカデミアの生徒会長が体育館に入って来た。みんな、生徒会長を見て慌たらしくカバンをまとめて体育館から出て行く。俺たちもカバンを持って体育館から出ていった。
「ふぃ〜危ない危ない・・・・あの生徒会長固いから苦手なんだよな」
「分かるわ・・・・私もああいうタイプ苦手・・・・」
「ガミガミしてて、なんか時代遅れな感じが・・・・」
「時代遅れは言い過ぎだろ。とにかく部室戻って昼飯食おうぜ。腹減った」
同感だわ・・・・飯食って昼寝して、ゲームして帰りたい・・・・・あれ?俺、何のためにアカデミアに来たんだっけ?
とりあえず部室に帰り、先に帰って打ち合わせをしていたレミを尻目にみんなで弁当を出し合って食べ始める。俺は今日はコンビニ弁当だ。
「なんか遊輝がコンビニ弁当なんて意外ね〜」
「作ってる暇無かったんだぞ。3時に寝たのなんか久しぶりだったわ」
「2年ぐらい前までは夜更かし当たり前だったのに最近は健康的ね〜」
「おかげで最近は12時過ぎたら眠たくてたまらない」
「いや、その前に12時まで起きているのかよ」
「それ以前に健康的な生活を送りたいのだったらコンビニ弁当だけって言うのもどうなのよ」
全くもってごもっとな意見を奏が言った。そうだな・・・・ケチらんとなんか野菜のサラダとか買うべきだったな・・・でもコンビニのサラダ高えんだよな・・・
「うん・・・・うん・・・・じゃあこれを・・・」
「・・・・いや、そんな所にこれはちょっと」
「無理?じゃあ・・・・」
「レミもレミで忙しいわね。リーダーってあんなにもやる事あるんだね」
「普通はマネージャーとかプロデューサーがやるべき事なんだけどそんなものねえからな」
「レミ〜〜、忙しかったら私たちも手伝うわよ」
「そんな事してもらう必要ないわよ。全部書類仕事だし」
「・・・・・うん、これでいいでしょう。あとはツアースタッフにお渡しします」
「お願いします」
ようやく会議が終わったのか、トントンと紙を整えたスタッフが椅子から立ち上がって部室から出て行った。
「ふぃ〜、ようやくお昼ごはん〜」
嬉しそうな表情を浮かべながらレミは自分のカバンから弁当箱を取り出し・・・・・?
「お前?カレーでも入れたのか?」
「?そうだけど?何かあるの?」
「いや、すんごい強烈な匂いが・・・」
「別にいいじゃない。カレー食べたって」
そう言って弁当箱の蓋を開けて電子レンジで温めるレミ。いや、別に食うのは構わないんだけど、匂いが部屋に籠るぞ・・・・
この後の午後の練習、案の定というべきか部室はカレーの匂いでこもってみんな腹が空いているような顔で練習しました。
霊夢「カレーって何?」
遊輝「料理の一種だよ。好きな人は多いけど嫌いな人は絶対にいないと言われるある意味魔法の料理」
魔理沙「へぇ〜、食べてみたいぜ!」
遊輝「その代わり、美味しいカレーを作るには手間がかかる。一般的な家庭用でも最低3〜4時間はかかる」
魔理沙「そんなに!?」
霊夢「面倒くさいわね・・・・・」
遊輝「でも料理初心者が手を出す最初の関門みたいな感じがあるし、ちゃんとやれば誰だって美味しくできるよ」
魔理沙「へぇ〜」
霊夢「次はホールツアーに続くライブツアー、アリーナツアーよ」
遊輝「夏休みは基本的に劇の練習とライブだけだから一気に千秋楽、埼玉の二日目のライブをやるぞ。千秋楽だから派手にやる予定だぜ。会場はまさかまさかの埼玉スーパーアリーナ】
魔理沙「【Arena TOUR 千秋楽 Live Fes in Show Time!!】 次回もよろしく!」