【完結】 遊戯王 5D's 転生者と未来のカードたち 作:DICHI
【アンケートや投票、コラボについての活動報告を載せます。この話を見た後、活動報告もご覧ください】
このお話、本当なら169話に載せるつもりでしたが、一つに纏めるとちょっと長くなりそうになったので別投稿になりました。
このお話の投稿後、アリアのプロフィールを乗せて順次他の人たちのプロフィールも改定します。
遊輝 side
『ウワアアアアアア!!!!!!』
ソル・ホープの攻撃を食らったベルモンドは悶絶しながら飛ばされていく。その途中で悪魔の化身とも言える怨念みたいな分身がアリアの身体から飛び出て、アリアの背中から飛び出した魔導書の中に吸い込まれていき、魔導書が閉じる。
「ソル・ホープ!!あの魔導書を焼き尽くせ!!」
『ギャアアア!!!!』
ソル・ホープは周りに白と黒、二色の太陽を作ってその本目掛けて放つ。二つの太陽の攻撃を受けた魔導書はそのまま燃えて灰となって消えてしまう。一方、アリアは目が醒めることなく、フェンスを突き破ってしまいタワーの頂上から落ちてしまった。
「まっず!?」
直感的にそう思った俺は怪我の痛みを押して、霊力を解放。そのままタワーの頂上からフェンスを越してジャンプ、アリアに向かって加速しながら落下する。
「ま、間に合えええええ!!!!!!!」
俺の思いを乗せてさらに加速をして、アリアの右手を掴み、無理矢理引っ張り上げる。そのまま地面にぶつかりそうなところで上下を反転、足を地面の方に向けてそのまま上へ上へ飛んでいく。
「あ、危な・・・・・かった・・・」
「・・・・ん、んん・・・・・・」
「!!おいアリア!!しっかりしろ!」
「ん・・・・わ、私・・・・・私・・・・・生きている・・・・?」
「ああ、ちゃんと生きている。あの訳わからない悪魔はぶっ倒した」
「・・・・倒した?あいつを?」
「ああ」
「・・・・・・・・・」
「ちょっと待ってろ。今地面に降りるから」
このままの状態では俺の足や腕も悲鳴をあげるので俺はゆっくりと下降していき、地面に足をつける。固まっているアリアをゆっくりと地面に座らせる。
「ハァ・・・・や、やっと解放された・・・・・」
「・・・・・・きちゃん」
「えっ?何か言った?」
「遊輝ちゃん!!!!」
「オワッ!?」
ドスン!!!!グキッ!!
「いってええええ!!!!!」
怪我をしている俺も地面に座ってゆっくりしようとした時、アリアが突然飛びついてきた。俺はその勢いを止めることができずに背中は地面と激突、その衝撃で骨が折れていた足や腕はさらに悪化してしまう。
「い、いててて・・・・ど、どうしたんだよ」
「ゆ、遊輝ちゃん、ヒグッ・・・・わだじ、わだじ・・・・・・ごわがった!!!」
「!?お、お前・・・・・・」
「わだじ、わだじ、ごわがった!!また一人になるのがごわがった!!!」
「ア、アリア・・・」
「ぐ、暗い空間に一人でどり残されてごわがったよ!!!うわあああ!!!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・」
アリアの目からには大粒の涙が沢山流れて、顔がグジャグジャになっていた。そんな事を関係なく、アリアは俺の顔を見た後、顔を俺のお腹に当てて延々と鳴き続けた。俺はそれを見て、聞いて、アリアの感情を察して優しく頭を撫でた。
「遊輝!!!」
「お前大丈夫だったか!?」
そんな時に限って空気読めない四人組がやってきた。
「シイィ、空気読めKY供」
「け、KYは失礼「これを見ろ」ん?」
「ヒグッ・・・・ヒグッ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
泣いているアリアの姿を見て四人とも察して、そのまま無言になった。とりあえずアリアが泣き止んで落ち着くまでそっとしてあげよう。
〜〜(数十分後)〜〜
「ヒグッ・・・・ヒグッ・・・・・・」
「よしよし・・・・やっと落ち着いてきたか」
「ヒグッ・・・・私・・・・私・・・・」
「何も考えるな。とりあえずこれからのことを言うぞ」
「・・・・うん・・・」
ようやく泣き止んで顔を上げたアリアの表情は怯えている。自分が犯した罪の重さを凄い実感しているのだろう。
「とりあえず今から速攻でグリモワールに行ってジュノンのところに行く。そこでお前は謝罪しろ。俺たちも掛け合って罪を軽くするように言ってやるからさ」
「でも・・・・わ、私・・・・・」
「大丈夫!!私がいればどんなことでも」
「響が発言したら逆に問題が起こりそうね」
「奏!!!」
「まぁアリアさん、そんなに心配しなくていいよ。ちゃんと事情を話せばいいし、魔法使いとしては優秀なんでしょ?」
「遊輝から聞いた話によれば、ジュノンって奴、心優しい人じゃないか。何とかなるって」
「なっ、みんな言ってくれているんだから」
「・・・・何で」
「?なんだ?」
「何で・・・何でみんな、私にこんな優しくしてくれるの?」
「優しくって・・・・当たり前じゃないかよ」
「「「「「困った人を助けるのは当たり前だろ(じゃない)。それが人間なんだから」」」」」」
俺たち全員は当たり前だと心から思っていることをアリアに向かって言った。その言葉を聞いたアリアはとても驚いたような表情をした後、凄い安心したような顔になった。
「(ああ・・・・これが、これが私が本当に心から望んでいた友というものなんだ・・・・)」
「よし、今から行くぞ。プラチナとフェザーで大体ぶっ飛ばして4時間、今は・・・・げっ、もう9時かよ・・・・」
「今夜は徹夜ね・・・・」
「(始めて・・・・・こんなにもたくさんの暖かい人との会話だなんて)」
「よし行くぞ。お前らも付いて来いよ」
「分かった分かった」
「フワァ・・・フェザーの上でゆっくり寝ようか」
「アリア、お前も行くぞ」
「・・・・・うん」
「プラチナ、頼んだぞ」
「フェザー、あんたもよろしく」
『分かりました』
『御意』
アリアをプラチナの背中に乗せて、他のメンバーはフェザーの背中に乗せ、俺たちはジュノンがいるグリモワールに向けて飛び立った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あの・・・・ごめんなさい!!」
「・・・・・・・・・」
「ジュノンさん、ここは一つお願いします。アリアは確かに禁忌を犯しましたがそれは訳ありなんです。どうか許してやってください」
現在、深夜2時。
グリモワールの被害もかなり大きく、中心部のラメイソン以外はほぼ機能を失ってしまっている。この街だけでなく、ほとんどの街がこのような被害を追っているので、アリアの罪が無くなるとは思ってもいないが何とか軽くしてもらうよう、眠たい目を擦りながら俺はジュノンに頭を下げてアリアの罪の許しを願う。
・・・・・ちなみにレミ達はラメイソンの入り口で門前払いされました。よくよく考えたらこの建物、関係者以外立ち入り禁止でした。
「・・・・・・遊輝さん、あなたのお気持ちは分かりますし、私もこの子を救いたいです。ですが今回ばかりは被害の規模が大きすぎます。いくらこの街を救った魔法使いとはいえ、魔法使いとしての禁忌を犯した上、主要都市の機能を停止させた罪はなかなか軽くなりません」
「そこを何とか!!」
「・・・・・・・・分かりました。エンディミオンを説得してみましょう。彼がこっち側につけば、罪は大分軽くなります」
「あ、ありがとうございます」
「あ、ありがとうございますジュノン様!!」
ジュノンもアリアの事を気にしてくれていた様子なので何とかしてくれるところまではやってくれると約束してくれた。
「幸いにも彼はあなたの精霊と仲が良いですし、交渉は難しくならないでしょう。ただ、それなりの資料や条件を提示する必要があります。今からその資料作りを行いますので二人とも手伝ってください」
「は、はい!!」
「分かりました」
俺とアリアはジュノンについていき、ジュノンの部屋に入った。
「まずはエンディミオンに禁忌の魔法使いがやったという証拠の資料を作成するところから始めましょう。そのあと、アリアさんの処罰に対する条件資料を作成して、すぐにエンディミオンに向かいます。遊輝さんは処罰に関する本を持ってきてください」
「はい」
「アリアさん、あなたは私と一緒に資料作成をしてください。あなたの証言一つ一つも非常に重要です」
「はい!」
そこから夜を徹しての資料集めと資料作成が始まった。アリアの身の潔白の証明と今回の事件に対するアリアの罪の重さの条件等、とにかく片っ端から資料をジュノンが読んでそれに関する資料作成を俺とアリアの二人で行う。地味で辛い作業を目を擦りながら誰も寝ずに無事に朝方には資料を作ることができた。
「出来ました・・・・ではこちらの資料をエンディミオンに渡して交渉しましょう。アリアさん、貴方は来てください。事件の当事者として全てを話してもらいます」
「は、はい・・・・」
「遊輝さん、本当にご苦労様でした。あなたの役目はこれで終わりです。家でゆっくりとしてください」
「ふ、ふわい・・・・」
非常に眠い目を擦りながら俺はジュノンに返事をする。すぐにジュノンとアリアは部屋を出ていってしまった。俺も足をヨボヨボとしながらジュノンを部屋を出て、ラメイソンの建物の外にへと出る。そこにはレミ達が待っていた。
「遅いわよ!!おかげで私たち寝袋無しの野宿をする羽目になったじゃない!!」
「ヘックション!!か、風邪ひいてしまいまそう・・・・・」
「ス、スマンスマン。資料作りに時間がかかってしまって・・・・」
「どうなの?」
「ジュノンが何とかしてくれるってさ。多分、そんなに大きな罪にはならないと思う」
「良かった・・・・」
「とりあえず・・・・帰ろう、そして寝たい。久しぶりに徹夜した、身体がしんどい」
「まぁ・・・私たちも十分に睡眠が取れてないしね。早く人間世界に帰って遊星さん達がどうなったか知る必要もあるわね」
「それじゃ帰りましょう」
「ダイヤ、パール・・・ふぉろしく」
『分かりました。行きますよ』
ダイヤとパールが俺たちの足元に魔法陣を作り、光り輝き始める。そのまま俺たちの身体は魔法陣に包まれていった。
〜〜(人間世界)〜〜
目をゆっくりと開けると目の前にあるのはグリモワールの象徴、ラメイソンではなく遊星さんとハグをしている皆の姿だった。
「遊星さん!!」
「・・・・!!遊輝!!お前達も帰ってきたんだな!!」
「ってことは遊星さん達も・・・・」
「ああ、アーククレイドルの衝突を阻止することはできた」
「や、やったああああ!!!」
アーククレイドルの衝突回避、その一言で俺たちの方も盛り上がる。お互いにお互いの偉業を健闘・讃えあい、それぞれに何が起こったのか情報交換をする。
「・・・・なるほど、ZONEがね」
「そうだ。俺たちは今後、ZONEの使命を果たさなければならない。シンクロ召喚に行き着く未来が破滅の未来へと進まないように」
「そっちもそっちで大変だったな。特に遊輝、お前なんか」
「ク、クロウ!!お願いだから怪我のことは!!「遊輝・・・・」(ビクッ!!)は、はい!!」
クロウの余計な一言で隠していた怪我のことがバレてしまい、俺は龍可の一言で硬直状態になってしまう。そのままゆっくりとロボットのようにカタカタと体を反転させる。そこに写っていたのは怒っている龍可ではなく心配そうな表情をしていた龍可だった。
「遊輝・・・・・」
「え、えっと・・・」
そのまま龍可は俺の所まで歩いてゆっくりと抱きついてきた。
「良かった・・・・・無事でよかった・・・・」
「・・・・・・・」
「心配したんだから・・・・」
「・・・・・龍可」
「・・・・何?」
「・・・・・ただいま!」
「・・・・おかえり!!」
俺のただいまという言葉に少し驚いたような表情を見せたが、すぐに龍可は笑顔になって返事をしてくれた。
これで全ての事件を解決・・・・・したわけだが、
「しかし・・・・この街の様子ではWRGPの続行は無理だな。これだけ街の被害が大きい以上、中止せざろうえんだろ」
「そうだな・・・・消化不良だがこれじゃ仕方ないか」
「そのような心配は貴方方はしなくても大丈夫ですよ」
「!?い、イェーガー!?」
ジャックやクロウはネオドミノシティの街の被害を見てWRGPの続行は不可能と思い、落胆をするがすぐにそれを否定する声が聞こえた。みんなでその声の方に振り向くとネオドミノシティのセキュリティ長官を務めるイェーガー、その後ろに狭霧さんと牛尾さんがいた。
「この度のあなた達の活躍、本当にありがとうございます。ネオドミノシティの住民を代表して、私からお礼を申し上げます」
「気にするな。皆、この街のことが好きで救ったんだ」
「しかしイェーガーさん、WRGPの続行はこの被害状況じゃ」
「確かに今のこの街でWRGPを行うことは不可能です。しかし、私はネオドミノシティのセキュリティ長官としてWRGPを最後までやり遂げるとシティの皆様に宣言しました。その約束を破るつもりはありません」
「そ、それじゃ・・・・・」
「まずは街の復興を優先します。それがどのくらいかかるか分かりません。ですが、必ずWRGPをこの街で行います。これが、私の長官としての使命です」
イェーガーは頭を下げて俺たちにそう宣言した。その言葉を聞いたジャックやクロウ、スバルやレミ達は喜んでハイタッチなどをした。
「良かったな遊星」
「ああ、何とか俺たちの目標は繋ぐことは出来た」
「おっと、俺たちもそう簡単に負けるつもりはないぞ。俺はフォーチュン・カップのリベンジも兼ねて」
「フッ・・・・・楽しみにしてるぞ」
「ああ」
俺と遊星は握手を交わす。その背後には綺麗な朝日が昇り始めた。
その後、この町はイェーガー長官率いるセキュリティを中心にネオドミノシティ、サテライトの復興が始まった。街の損傷はかなり大きく、全ての公共施設はまだその機能を果たしていないがこの街の住民は皆希望に満ち溢れた目をして、お互いにお互いを助け合って生活をしている。
そして俺たちもあの精霊世界からの決戦から1週間、主に俺の怪我が思っていたよりもひどく、しばらくは怪我の回復のために休養することになった。そして・・・・・
「おはよう・・・・・」
「違うだろ、もう昼の12時だぞ。いつまで寝ているんだよ」
「だってアカデミアもWRGPもないし、みんな街の復興で忙しそうにしているんだもん・・・・せっかくの休みなんだからゆっくり寝かせてよ」
「そう思うならお前も寝てないで手伝いに行けよ」
「遊輝、ご飯が出来たわよ」
「サンキュー龍可。ほら、龍亞もさっさと顔を洗って《ピンポ〜ン》?誰だ?」
昼近くまで寝ていた寝坊助の龍亞、そして昼メシを作るのを手伝ってくれた龍可、それぞれに声をかけていた時、突然インターホンが鳴った。
「こんな時間に声をかけるなんて・・・・一体誰だ?は〜い」
バタバタと音を立てながら俺は廊下を走っていき、玄関の扉を開ける。
「どなたさんですか?」
「は〜い遊輝ちゃん♪お邪魔するね♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
そこにはスーツケース一つを持った腰まで伸びた青い透き通った髪とそれと同系色の三角帽子、さらに青い目をした小顔の女性が杖を持って笑顔で手を振り、俺の返事を待たずに家の中に入っていった。
「・・・・・・!?ちょ!?ちょい待ち!?」
「は〜い♪」
「・・・えっ!?」
「ア、アリアお姉さん!?!?」
家に入り、廊下を歩いた女性・・・・・アリアはそのままリビングへと入っていきリビングにいる龍亞と龍可に挨拶をした。俺は慌てて玄関を閉めてリビングに戻った。
「ア、アリア!?お前なんでここにいるんだ!?グリモワールで更生していたんじゃねぇのか!?」
「ジュノン様が気を利かせて条件付きで更生を終わらせてくれたのよ♪」
「じょ、条件付き?」
何だか凄い嫌な予感がするなか、アリアはスーツケースを置いて俺たち三人の前に立つ。
「私、今日からここに住むことになったから!!」
「「「・・・・・・え、ええええ!?!?!?」」」
どうやら、この家が静かになるにはまだまだ時間がかかるようです。