【完結】 遊戯王 5D's 転生者と未来のカードたち   作:DICHI

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今回は真面目な話をしたいですので最強カードの紹介は無しにさせてください。

昨日の活動報告を見てくださった方、コメントくださった方、ありがとうございました。応援コメントとかは非常に嬉しかったです。

今現在、まだ大学病院には行ってないので何とも言えませんが、80%〜90%以上の高確率で左目は白内障だと思います。不幸中の幸いだったのは利き目では無かったこと、まだ左目の視力があるうちの発見だったことです。

今後とも、ご心配をお掛けしますがこの小説の完結を目指すという目標だけは変わらないのでそこだけは安心してください。

今回は早めに投稿できましたが、これ以降は本当にどうなるか分かりません。ご了承ください。


第168話 龍の魔術師vs四龍の魔術師 前編

遊輝 side

 

 

目の前に続く螺旋状の階段、それをひたすら登り続ける。窓から外を見上げるとビルでいう5階か6階ぐらいの高さまで登ってきているがまだまだ少し続きそうだ。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・・い、一体どれだけ登ればいいんだよ・・・・」

 

一向に終わる気配が見えないこの長い長い螺旋階段に俺はうんざりとしてしまう。しかし、そこは気力と根気で駆け上がっていく。

 

「ハァ・・・ハァ・・・・や、やっとゴールだ・・・・」

 

そこからさらに登り続け、ようやく屋上へと繋ぐ扉が見えた。両手を膝に付けてまずは息を整える。

 

「スゥ〜・・・・ハァ〜・・・・・・よし」

 

何回か深呼吸をして息を整えたところで目の前にある扉に手をつける。

 

「(・・・・・いよいよだな。みんな、俺に繋いでくれたんだ。俺が最後に決めてこないと)いくぞ・・・・」

 

取っ手を時計回りに回して扉をゆっくりと開ける。強風が吹いてきたのでバランスを取りつつ、屋上に足を踏み入れる。屋上には高さが1.5mくらいのフェンスに囲まれている以外は何もない。タワーの頂上とはいえ、なかなかな広さがある。そして俺の目の前の先には一人の女性・・・・・・アリアが立っていた。俺は歩いてアリアから少し距離を取って対峙する。

 

「・・・・やっと来たわね」

 

「しんどかったんだぞ。あの階段登り」

 

「飛べばよかったじゃない。遊輝ちゃんなら楽勝でしょ」

 

「あれは公には秘密だ。いついかなる時でも飛ばない」

 

「面白くないわね・・・・・・」

 

「・・・・なんでこんな事をしたんだよ。お前は何をしたいんだよ」

 

「・・・いいわ、教えて上げる。私はね、子供の頃からずっと一人だったわ・・・・・・一人だけ、人間で魔法が使えずにみんなから仲間外れにされてどうしようにもなく自暴自棄になったわ」

 

ああ・・・・やっぱりあの時見た映像通りなんだな。あの映像はアリアで、あいつは孤独な人生を送ってきたんだ・・・・

 

「もう嫌気がさしたからあの街を飛び出した。毎日死ぬ思いで森にさまよっていたわ。食料も十分に取れず、寝るところの確保すら難しい。そんな生活をずっとしていたある日、洞窟で雨を過ごしていだ時に洞窟の奥で禍々しいオーラが放った書物を見つけたわ」

 

「書物?」

 

「これよ」

 

アリアは背中に手を回してそこから一冊の分厚い本を取り出した。遠目でしか分からないが何かしらの魔導書っぽい感じと不気味なオーラが漂っているのが分かる。

 

「・・・・・気味が悪いな」

 

「普通はそうでしょうね。でも、当時の私には救世主にしか思えなかった。だからこの書物を手にしたわ。そうしたらこの書物から不思議なエネルギーが私の身体に入ってきたわ」

 

「おいおいおい・・・・・マジで呪われた書物とか変な物じゃねぇのか?」

 

「そうよ。後からわかった事だけどこの書物、大昔前にひと暴れした悪の魔法使いの能力を閉じ込めた書物だったわ」

 

「ブゥゥ〜〜!?!?」

 

アリアがとんでもない事を言ったせいで俺は思いっきり唾を吐いてしまった。

 

「ゲホッ、ゲホッ・・・・・・・」

 

「私は魔法使いとして禁忌を犯した。でも、それでもよかった。私は禁忌を犯した代わりに膨大な魔力を得て、魔法使いとしての第一歩を踏み出すことができたわ。そこからは修行、修行、修行よ。山にこもって自給自足の生活をしながら魔法の精度を高めていったわ。足がけ2年ね、今の魔法の基礎を極めたのは」

 

「ゲホッ、ゲホッ・・・・・・物語みたいな事がマジで起きてる・・・」

 

「遊輝ちゃんからすればこの世界のお話だって物語でしょ」

 

「俺からすればこれは物語に似たパラレルワールドだな」

 

本編でフォーチュン・カップに登場するはずのボマーはなく、レミやスバル達だっていなかった。龍亞のシグナーとしての覚醒もめちゃくちゃ早かった。そして何よりも、俺という存在が明らかにこの世界では異物だ。こういう点を考えれば、この世界は俺の知っているアニメとよく似たパラレルワールドっと言った方が良いだろう。

 

「パラレルワールド・・・・か、表現的には合ってるかもね・・・・・・・」

 

アリアは俺のパラレルワールドという言葉に少し頷いた。

 

「ああそうそう、何で私が遊輝ちゃんの正体も教えてあげる。私がこの禁忌の書物を手にした瞬間、この本に眠っていた魂が私の中にエネルギーと同時に取り込まれたのよ」

 

「・・・・・・悪魔か」

 

「そんな解釈でいいわ。私が魔法を使えるようになったのもある意味その悪魔のおかげ。でも、私が魔法を教わった代わりに私はその悪魔に絶対服従をしなくちゃいけなくなったのよ」

 

なるほどな・・・・・・それでグリモワールの時、運命とか訳のわからない事を言っていたのか。世界の王になるって言っていたのはその悪魔がアリアにそうするように指示をしたのか。

 

「悪魔は私に魔法以外の色んな事を教えてくれたわ、生きるために必要なことに重要人物の細かな情報・・・・・・・そして私が精霊世界に来る前の情報も」

 

「ほう・・・・ずいぶん物知りな上に過去も見通すことのできる悪魔か」

 

「そうよ、その時に初めて知ったわ。私は別の世界の生まれ変わり・・・・・遊輝ちゃんのいた世界のね」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「遊輝ちゃんのような転生ではなく、私はちゃんと寿命で死んで輪廻転生を経てこの世界に生まれたわ、()()()()()()()()()()

 

「・・・・・今の言い方はカチンっとくるな」

 

「・・・・前世も酷かったわ。産まれてすぐに親に捨てられて孤児院に入れられ、学校ではイジメられて、碌に勉強もできず、来る日も来る日もその日の食料を確保するために窃盗や強盗の日々、アルバイトしたくても字が書けないと何も始まらないわ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「私の寿命はすぐだったわ、雨に打たれて風邪を引いて、そのまま何もできずに症状が悪化して死んだわ。思えば私の人生って本当に孤独ね・・・・・前の世界もこの世界も誰一人として私の味方はいなかったわ」

 

「違うだろ!!お前にはこの世界にたった一人だけ、確実に味方をしてくれる人がいるじゃねぇか!!!お前を育ててくれた義理の母が!!」

 

「味方じゃない!!!トールモンド叔母さんも私の魔法を見た瞬間に怖いって言って逃げ出したのよ!!!血も繋がってなくて逃げ出したあの臆病者なんか私の母じゃない!!!」

 

「んなことねぇ!!!義理の母はお前の事を本当に大事そうに俺に話しかけていた!!!本当に逃げ出したんなら俺にお前の事を色々と教えたりしないだろ!!」

 

「だったらどうして!!どうして私の前でそんな事を話してくれないの!?」

 

「目の前で話す機会はお前が潰したんだろ!!お前があの街を出たっきりであの異変の時しか帰らなかったからだろ!!」

 

「だったらその時でも私に対して言ってくれたら良かったじゃない!!!結局、私には・・・・・・私には仲間なんて最初からいなかったのよ!!!」

 

「!!お、お前・・・・・・」

 

大声で叫ぶアリアの目にはうっすらと涙が流れていた。悲しい、そして孤独をずっと味わってきたアリアの涙が・・・・・・・

 

「だから!!だからこそ!!私はこの悪魔の忠実な僕として世界の王になってみせる!!誰も私の味方になってくれないならそれで充分!!!私がこの世界からみんなを消してあげるわ!!!」

 

「んな事したところで、結局お前一人のままじゃねぇか!!!お前は何をしたいんだよ!!世界を征服したいんか!?仲間が、友達が欲しいのか!?」

 

「世界を征服することよ!!でもそうね・・・・・この一年で一つだけ、気分を変えたわ」

 

そう言ってアリアは右手を突き出して人差し指で俺を指差す。

 

「遊輝ちゃん、あなただけは私の世界に生き残らせてあげる」

 

「何だと?」

 

「遊輝ちゃん、あなただけは私についてきた。私のぽっかり空いた心を埋めてくれたわ。だからあなただけ、アリアさんの忠実な下僕として生き残らせてあげる」

 

「却下だ、俺には大切な仲間がいるんだ。そいつらをほっといてお前の世界に行きたくない」

 

「・・・・・そう、だったら力尽くでも遊輝ちゃんを連れて行ってあげるわ!!!」

 

「却下だと言っているだろ!!」

 

「じゃあ私を止めてみせなさい!!!」

 

「やってやるさ!!!お前に勝って、全てが無かったことにしてやる!!!」

 

お互いにデュエルディスクを起動させてデッキをセットする。デッキはオートシャッフルされて5枚の手札が飛び出した。

 

「デュエル‼︎」 「デュエル‼︎」

 

遊輝 LP 4000 アリア LP 4000

 

「先行は私よ!私のターン!」

 

アリア 手札 6枚

 

「レフト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師を、ライト・Pゾーンにスケール2の賤竜の魔術師をセッティング!」

 

相手のPゾーンに慧眼の魔術師と賤竜の魔術師がセッティングされて、天から射す青い一筋の光に慧眼の魔術師と賤竜の魔術師が上空から降りてきた。

 

「魔術師・・・・」

 

「さらに魔法カード、デュエリスト・アドベント!Pゾーンにカードがある場合、デッキから《ペンデュラム》カードを手札に加える!私は永続魔法の星霜のペンデュラムグラフを加えてそのまま発動!慧眼の魔術師のペンデュラム効果!Pゾーンのこのカードを破壊してデッキからスケール8の虹彩の魔術師をセッティング!」

 

慧眼の魔術師が破壊されて代わりにオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンと同じような感じの服を着た魔術師がPゾーンにセットされた。

 

「この瞬間、星霜のペンデュラムグラフの効果発動!自分フィールドの《魔術師》PモンスターがモンスターゾーンまたはPゾーンから離れた場合、デッキから《魔術師》Pモンスター1体を手札に加える!私は調弦の魔術師を選択!さらに賤竜の魔術師のペンデュラム効果!エクストラデッキの慧眼の魔術師を手札に加える!そしてLv3から7までのモンスターが同時に召喚可能!」

 

エクストラデッキにあった慧眼の魔術師がアリアの手札に戻ったところでアリアの真上に大きな穴が開いた。

 

「Here we go!!It"s show time!!振れろ!輝きしペンデュラム!長き封印から目覚め私に栄光よ!ペンデュラム召喚!現れよ!私のモンスターたち!手札から調弦の魔術師をペンデュラム召喚!」

 

調弦の魔術師 攻0

 

大きな穴の中から一つの光が飛び出してきて調弦の魔術師がフィールドに現れた。

 

「調弦の魔術師の効果発動!手札からペンデュラム召喚した場合、デッキから《魔術師》Pモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する!2体目の慧眼の魔術師を特殊召喚!」

 

慧眼の魔術師 守1500

 

調弦の魔術師が持っている杖が震えて、慧眼の魔術師がアリアのデッキから飛び出してきた。

 

「Lv4の調弦の魔術師と慧眼の魔術師でオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!星と時を刻み彼方の地より舞い降りろ!エクシーズ召喚!ランク4!星刻の魔術師!」

星刻の魔術師 攻2400

 

慧眼の魔術師と調弦の魔術師がブラックホールに吸い込まれていき、その中で爆発。中から星刻の魔術師が杖を振り回しながらフィールドに現れた。

 

「星刻の魔術師の効果発動!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いてデッキから闇属性・魔法使い族モンスター1体を手札に加える!」

 

星刻の魔術師 OVR 2→1

 

「私はこの効果で召喚師アレイスターを手札に!」

 

「また面倒臭いモンスターを・・・・」

 

「召喚師アレイスターを召喚!」

 

召喚師アレイスター 攻1000

 

「アレイスターの効果発動!デッキから召喚魔術を手札に加えて、そのまま発動!フィールドのアレイスターと墓地の慧眼の魔術師で融合!」

 

アリアの後ろに融合の渦が現れてフィールドにいたアレイスターと墓地の慧眼の魔術師がその渦の中に吸い込まれていった。

 

「融合召喚!Lv9!召喚獣メルカバー!」

 

召喚獣メルカバー 攻2500

 

「さらに墓地の召喚魔術の効果!このカードを墓地からデッキに戻して除外されているアレイスターを手札に戻す!カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

アリア 手札 4枚 LP 4000

【モンスターゾーン】

星刻の魔術師 攻2400

召喚獣メルカバー 攻2500

【魔法・罠ゾーン】

星霜のペンデュラムグラフ

伏せカード 1枚

【Pゾーン】

レフト:虹彩の魔術師 (スケール8)

ライト:賤竜の魔術師 (スケール2)

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

遊輝 手札 6枚

 

さて・・・・どうやってメルカバーを対処するかなんだが・・・どうやら解決しそうだな。

 

「EM ドクロバット・ジョーカーを召喚!」

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果発動!このカードの召喚時、デッキからこのカード以外の《EM》、《オッドアイズ》、《魔術師》Pモンスターのいずれか1体を手札に加える!」

 

「召喚獣メルカバーの効果発動!手札のアレイスターを墓地に送り、ドクロバット・ジョーカーの効果を無効にしてゲームから除外する!」

 

「チェーンで速攻魔法、禁じられた聖杯!メルカバーを対象にして攻撃力を400ポイント上げるかわりに効果を無効にする!」

 

召喚獣メルカバー 攻2500→2900

 

「ぐっ!?」

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果は有効!俺はデッキから慧眼の魔術師を手札に加える!そして俺も手札から魔法カード、デュエリスト・アドベント!デッキから星霜のペンデュラムグラフを加えて発動!レフト・Pゾーンにスケール8の龍穴の魔術師を、ライト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師をセッティング!」

 

今度は俺の両隣に天空から青い光が射して、慧眼の魔術師と龍穴の魔術師がセットされた。

 

「慧眼の魔術師のペンデュラム効果発動!デッキから賤竜の魔術師をセッティングして、星霜のペンデュラムグラフの効果!俺も調弦の魔術師を加えるぜ!」

 

「その瞬間、リバースカードオープン!罠カード、次元障壁!私が宣言した召喚方法は使えずおよびその宣言したモンスターは効果は無効になる!私が宣言するのはペンデュラム!」

 

アリアが発動した次元障壁によって俺たちの周りにバリアが張られる。これでペンデュラム召喚を封じたわけか・・・・まぁ関係ない!

「賤竜の魔術師のペンデュラム効果!エクストラデッキから慧眼の魔術師を手札に戻す!そして魔法カード、ガガガ・ゲット!デッキからガガガマジシャンを特殊召喚!」

 

『ハアアアア!!!!』

 

ガガガマジシャン 攻1500

 

ガガガ・ゲットの効果により、目の前にできた魔法陣からダイヤが鎖を振り回しながら現れた。

 

「行くぞ!Lv4のドクロバット・ジョーカーとガガガマジシャンでオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!現れろオーバーハンドレッドナンバーズ!!No,103!!神葬令嬢ラグナ・ゼロ!!」

 

No,103 神葬令嬢ラグナ・ゼロ 攻2400

 

フィールドの中央にブラックホールにドクロバット・ジョーカーとダイヤが吸い込まれていき、かわりにラグナ・ゼロが周りの空気を凍らせてフィールドに現れた。

 

「ラグナ・ゼロの効果発動!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除いて、攻撃力が変化しているモンスター1体を破壊して、1枚ドローする!ガイダンス・トゥ・フューネラル!」

 

No,103 神葬令嬢ラグナ・ゼロ OVR 2→1

 

ラグナ・ゼロがオーバーレイ・ユニットを一つ吸収してメルカバーの前に移動して、メルカバーを凍らせる。そのまま杖でメルカバーの氷の像を粉々に壊した。

 

遊輝 手札 3枚→4枚

 

「チッ!だけどラグナ・ゼロじゃ星刻の魔術師まで倒せないわよ!」

 

「装備魔法、エクシーズ・ユニットをラグナ・ゼロに装備!装備モンスターの攻撃力をランク×200ポイントアップする!」

 

No,103 神葬令嬢ラグナ・ゼロ 攻2400→3200

 

「バトル!ラグナ・ゼロで星刻の魔術師に攻撃!」

 

No,103 神葬令嬢ラグナ・ゼロ 攻3200

星刻の魔術師 攻2400

 

アリア LP 4000→3200

 

「ぐぅぅ!!!!」

 

「カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

遊輝 手札 2枚 LP 4000

【モンスターゾーン】

No,103 神葬令嬢ラグナ・ゼロ 攻3200

【魔法・罠ゾーン】

星霜のペンデュラムグラフ

エクシーズ・ユニット (ラグナ・ゼロ)

伏せカード 1枚

【Pゾーン】

レフト:龍穴の魔術師 (スケール8)

ライト:賤竜の魔術師 (スケール2)

 

 

「私のターン!ドロー!」

 

アリア 手札 4枚

 

「速攻魔法、揺れる眼差し!フィールドのPゾーンのカードを全て破壊する!」

 

「なっ!?」

 

フィールドにあった全てのPゾーンのカードは大きな竜巻に飲み込まれていき破壊されてしまった。

 

「この時、破壊したPゾーンのカードの枚数によって追加効果を得る!1枚以上の時は相手に500ポイントのダメージ!」

 

「ぐっ!」

 

遊輝 LP 4000→3500

 

「2枚以上の時はデッキからPモンスター1体をサーチ!デッキから2枚目の調弦の魔術師!さらに3枚以上の時、フィールドのカード1枚をゲームから除外する!私はラグナ・ゼロを除外!」

 

さらにアリアのデッキから1枚のカードが飛び出してそれがアリアの手札に来たり、ラグナ・ゼロが揺れる眼差しの効果でフィールドから除外されてしまった。

 

「そして破壊された虹彩の魔術師、チェーン2で星霜のペンデュラムグラフの効果!」

 

「こっちも星霜のペンデュラムグラフの効果!チェーンの逆順処理でこっちから解決だ!デッキから2枚目の慧眼の魔術師を手札に加える!」

 

「チェーン2で私は黒牙の魔術師を手札に加え、虹彩の魔術師は破壊された場合デッキから《ペンデュラムグラフ》魔法・罠を1枚手札に加える!私は時空のペンデュラムグラフを手札に!」

 

ちっ・・・・一番厄介な永続罠が手札に加わったな・・・・・

 

「ライト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師を、レフト・Pゾーンにスケール8の黒牙の魔術師をセッティング!慧眼の魔術師のペンデュラム効果!このカードを破壊してデッキからスケール1の白翼の魔術師をセッティング!これでLv2から7までのモンスターが同時に召喚可能!」

 

「させるかよ!リバースカードオープン!罠カード、次元障壁!」

 

「っ!?」

 

「俺もペンデュラムを選択!そう安々と大量展開されてたまるかよ!!」

 

「仕方ないわね・・・・・・EM ドクロバット・ジョーカーを召喚!バトル!ドクロバット・ジョーカーでダイレクトアタック!」

 

「ぐぅぅ!!!!」

 

遊輝 LP 3500→1700

 

「メインフェイズ2、カードを1枚伏せてターンエンド!」

 

アリア 手札 2枚 LP 3200

【モンスターゾーン】

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800

【魔法・罠ゾーン】

星霜のペンデュラムグラフ

伏せカード 1枚

【Pゾーン】

レフト:黒牙の魔術師 (スケール8)

ライト:白翼の魔術師 (スケール1)

 

 

「俺のターン!ドロー!」

 

遊輝 手札 4枚

 

「魔法カード、壺の中の魔術書!互いのプレイヤーは3枚ドローする!」

 

遊輝 手札 3枚→6枚 アリア 手札 2枚→5枚

 

「さらに魔法カード、アメイジング・ペンデュラム!自分のPゾーンにカードが存在しない場合、エクストラデッキの《魔術師》Pモンスターを2種類手札に戻す!俺は賤竜の魔術師と龍穴の魔術師を選択!」

 

アメイジング・ペンデュラムの効果によりエクストラデッキの2枚のカードが飛び出して俺の手札に来る。

 

「レフト・Pゾーンにスケール5の慧眼の魔術師を、ライト・Pゾーンにスケール2の賤竜の魔術師をセッティング!慧眼の魔術師のペンデュラム効果!自身を破壊してデッキから龍穴の魔術師をセッティング!さらに星霜のペンデュラムグラフの効果!デッキから相克の魔術師を手札に加える!これでLv3から7までのモンスターが同時に召喚可能!」

 

Pゾーンにセットされた龍穴の魔術師と賤竜の魔術師の間に大きな振り子が現れて揺れ始める。その揺れた軌跡から大きな円が描かれた。

 

「揺れろ!魂のペンデュラム!天空に描け!光のアーク!ペンデュラム召喚!!現れろ俺のモンスターたち!!」

 

大きな円から4つの光が飛び出してきて、俺の周りを囲むようにモンスター達が現れる。

 

「エクストラデッキから慧眼の魔術師!手札から調弦の魔術師、EM ペンデュラム・マジシャン、相克の魔術師!!」

 

慧眼の魔術師 攻1500

EM ペンデュラム・マジシャン 攻1500

相克の魔術師 攻2500

 

「チェーン1で調弦の魔術師、チェーン2でペンデュラム・マジシャンの効果発動!ペンデュラム・マジシャンの効果でPゾーンの賤竜の魔術師と龍穴の魔術師を破壊してEM ギタートルとEM リザードローを手札に加える!」

 

ペンデュラム・マジシャンが持っている振り子を投げ飛ばして賤竜の魔術師と龍穴の魔術師を破壊、その後デッキから2枚のカードが飛び出して俺はそれを手にする。

 

「調弦の魔術師の効果!デッキから龍脈の魔術師を守備表示で特殊召喚!」

 

龍脈の魔術師 守900

 

調弦の魔術師が持っている杖が振動してその音色に導かれて龍脈の魔術師がフィールドに現れた。

 

「Lv4のペンデュラムマジシャンと龍脈の魔術師でオーバーレイ!」

 

☆4 × ☆4 = ★4

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4!Em トラピーズ・マジシャン!」

Em トラピーズ・マジシャン 攻2500

 

「チッ!!流石にそれは許せないわね!!リバースカードオープン!!永続罠、時空のペンデュラムグラフ!!自分のモンスターゾーン・Pゾーンの《魔術師》Pモンスター1体とフィールドのカード1枚を選択して破壊する!私は黒牙の魔術師とトラピーズ・マジシャンを選択!」

 

アリアが発動した時空のペンデュラムグラフにより、黒牙の魔術師とトラピーズ・マジシャンが時空のペンデュラムグラフに吸い込まれていき、壁みたいなところから透明な矢を放たれて破壊されてしまった。

 

「そして黒牙の魔術師の効果!このカードが破壊された場合、墓地から闇属性・魔法使い族モンスター1体を特殊召喚する!星刻の魔術師を特殊召喚!」

 

破壊された黒牙の魔術師の服に怨霊みたいなものが取り憑いて、そこから星刻の魔術師がフィールドに戻ってきた。

ああ・・・・あいつはそんな効果だったのか・・・・虹彩の効果しか覚えてなかったから忘れていたよ・・・それだったら予定変更だ。

 

「Lv4の慧眼の魔術師にLv4の調弦の魔術師をチューニング!」

 

☆4 + ☆4 = ☆8

 

「極夜の地に潜む漆黒の太陽よ!暗黒の世界から舞い降りて、この世界の闇の神となれ!シンクロ召喚!染まれ!ブラック・サン・ドラゴン!!」

 

ブラック・サン・ドラゴン 攻1000

 

『・・・・・グオオオオオオ!!!!!』

 

調弦の魔術師が作った4つの緑色の輪の中に慧眼の魔術師が入って一つの光とる。やがてそれは漆黒の太陽へと代わり、上空に登っていき、その漆黒の太陽が変形しいってブラックが姿を現した。

 

「ブラック・サンの効果発動!このカードの特殊召喚成功時、墓地のエクシーズモンスター1体をこのカードの装備カードとして装備する!俺はトラピーズ・マジシャンを選択!」

 

『ギャアアアアア!!!!!!』

 

ブラックが大きな咆哮を上げ、地面からトラピーズ・マジシャンが姿を現し、その魂を吸収した。

 

「この効果で装備したモンスターの攻撃力分、このカードの攻撃力はアップする!」

ブラック・サン・ドラゴン 攻1000→3500

 

「ブラック・・・・・舐めた真似を・・・」

 

「舐めているわけじゃない!!こいつで倒してお前のその腐りきった考えを治してやる!!レフト・Pゾーンにスケール6のEM ギタートルを、ライト・Pゾーンにスケール6のEM リザードローをセッティング!!」

 

ペンデュラム・マジシャンの効果で空になったPゾーンに新たな2体のモンスターがセットされた。

 

「EM ギタートルのペンデュラム効果!このカードがPゾーンに存在して、もう片方に《EM》Pモンスターがセットされた場合、1枚ドローする!さらにEM リザードローのペンデュラム効果!もう片方のPゾーンに《EM》Pモンスターが存在する場合、このカードを破壊して1枚ドロー!」

 

遊輝 手札 3枚→5枚

 

「バトル!ブラック・サンで星刻の魔術師を攻撃!ダークネス・ブラスト!」

 

ブラック・サン・ドラゴン 攻3500

星刻の魔術師 攻2400

 

アリア LP 3200→2100

 

「グワアアア!!!!!!」

 

「続いて相克の魔術師でドクロバット・ジョーカーに攻撃!」

 

相克の魔術師 攻2500

EM ドクロバット・ジョーカー 攻1800

 

アリア LP 2100→1400

 

よし、大分削れた。あともう一息だ。

 

「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

遊輝 手札 3枚 LP 1700

【モンスターゾーン】

相克の魔術師 攻2500

ブラック・サン・ドラゴン 攻3500

【魔法・罠ゾーン】

星霜のペンデュラムグラフ

Em トラピーズ・マジシャン (ブラック)

伏せカード 2枚

【Pゾーン】

レフト:EM ギタートル (スケール6)

ライト:なし

 

 

「ぐっ・・・・や、やるわね・・・・」

 

ブラックと相克の攻撃を受けたアリアは左手を押さえながら立ち上がる。少し身体がポロポロになっている。

 

「だからと言ってこっちも『モウイイ・・・・・』!?」

 

「?何だ?」

 

アリアが気合を入れ直そうとしたところで突然、頭の中に男性の低い声が響いた。突然のことで俺は辺りをキョロキョロとする。一方で、アリアは凄い焦ったような表情をしていた。

 

「な、何で!?出てこないって約束したはずじゃ!?」

 

『オ前ハコノ男二優シサヤ情ヲ抱イタ。ソンナ奴ハ我ハ求メナイ。オ前ハモウ用済ミダ』

 

「い、いや!!何するの!?来ないで!!」

 

「!?ア、アリア!?おいアリア!?どうしたんだ!?」

 

突然アリアが頭を抱えて膝から崩れ落ちてしまう。何事かと思って駆け寄るがその途中、アリアの身体からドス黒いオーラみたいな物が飛び出してきた。

 

「な、何だこれは!?」

 

「い、いや・・・いや・・・・・乗っ取られたくない・・・・一人になりなくない・・・・」

 

『オ前ハモウイラナイ。コレカラハ我ガオ前ノ身体ヲ使イ、コノ世界ヲ支配スル。オ前ハ心ノ中デ眠ッテオケ』

 

「おいアリア!!しっかりしろ!!どうした!?」

 

「ゆ、遊輝ちゃん・・・・助けて・・・・・私、私じゃない誰かに乗っ取られる・・・」

 

「しっかりしろ!!意識を強く持て!!!」

 

「嫌だ・・・・せっかく遊輝ちゃんと出会ったのに・・・・また一人になんてなりたくない・・・・」

 

「アリア!!!アリア!!!!」

 

「遊輝ちゃん・・・・・た、助けて・・・・・・」

 

「アリア!!!アリア!!」

 

・・・・ドン!!

 

「ウワッ!!!」

 

その言葉を最後にアリアはガクッと落ちてしまい、意識を失ってしまった。その瞬間、禍々しいオーラがさらに強く放たれて、俺を吹き飛ばした。

 

「い、いつつつっ・・・・・」

 

『・・・・久しぶりに肉体を手に入れることができた。こんな感覚は2000年ぶりか』

 

「・・・・誰だ、お前?」

 

壁にぶつかって頭を抑えているとオーラを放っているアリアがゆっくりと立ち上がり自分自身の身体を見つめていた。いや、アリアではない・・・・アリアという身体の器を使った全く別の人格だ。

 

『我の名はベルモンド。その昔、世界を闇に陥れようとした偉大な魔法使いだ』

 

「自分から偉大とか言う奴は大概大したことしていないんだな」

 

『ふん、まあいい。今まではあの女が我の野望のために働いてくれたが、余計な感情を抱いた今、あいつはもう用済みだ。ここからは我一人でやる』

 

「・・・・・ハァ、何で俺はこうも面倒臭いことに巻き込まれるのかね・・・・いててて・・・・」

 

壁に激突した時にできた足の痛みや擦り傷に手を押さえながら俺は立ち上がり、あのアリアを乗っ取った野郎に対峙する。

 

『ここからは我が続きをやる。そして貴様は我に敗れて我の野望のための最初の生贄となる』

 

「生憎、俺はそんじょそこらの普通の人間と同じようにしてもらっては困るんでね・・・・・お前をぶっ倒す!!」




フラン「本当に魔術師ってどっちも強いよね〜」

文「新マスタールールのおかげでエクストラデッキからエクシーズモンスターを大量に特殊召喚出来ないのが惜しいですよね。特に闇属性中心の魔術師は覇王関係のモンスターを出せたのに」

遊輝「ルール改定後にあのカードが出ちゃったからな・・・・ルール改定前だったら皆喜んでザァークさんのデッキを作っていたのに。まぁ今でも普通にエクストラに入れていたら強いけど」

フラン「あとはこのファイアウォール・ドラゴンがヤバイ」

文「あれは強過ぎですね。早めの再録が決まって良かったです」

遊輝「あれはどうなるかな〜・・・主人公の切り札になるんかな?」

フラン「と言うわけで次回!!いよいよ最終決戦決着の時!!」

文「【龍の魔術師vs四龍の魔術師 後編】。次回もよろしくお願いします」

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