【完結】 遊戯王 5D's 転生者と未来のカードたち   作:DICHI

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絶賛、次のデュエルで躓いています。
キーメイスを20ターン、しかもリレーしながら守るって超大変・・・・原因は奏さんなんですけどね。


ちょっとストーリーを変えましたがそこはご愛嬌で。

R18の方はもう少々お待ちを・・・・あればかりはちゃんとネタを吟味してから執筆しないと痛い目にあうので・・・・


第155話 その名はチーム太陽

龍亞 side

 

 

『・・・・・というわけで、中等部に上がってからはより一層、学校生活を楽しんでください』

 

『ありがとうございました』

 

「・・・・・長え」

 

「またですか・・・・話が長いのはいつものことですよ」

 

「だって校長の話を聞くのは今日2回目だぜ」

 

「る、龍亞さん、少し声を小さくしてください・・・・」

 

今日は4月8日、デュエルアカデミアの始業式の日。無事に俺たち4人は小等部から中等部に進学。楽しみのクラス替えの結果、俺たち4人組が同じ中等部1-1となり、天兵やパティ達は中等部1-2になり、担任は今までのマリア先生から全く知らない先生へと変わってしまった。えっと・・・・・・更科先生だっけ?そんな女性の先生に変わってしまった。

 

とまぁ、そんな事は置いといて、今は始業式が終わり中等部に上がった俺たちに待っているもの・・・・それは部活紹介だ。

 

『それではこれより中等部に所属している部活を紹介します。まずは運動系の部活から』

 

「・・・・俺、軽音部以外に興味はないのだけど」

 

「龍亞・・・あれほど言ったじゃない。軽音部は部員を募集しないって・・・」

 

「何言ってるんだよ魔法少女龍可ちゃん、校長先生に押し込めばワンチャンあるって」

 

「///////そ、それを言わないで!!!!」

 

『そこ!!!」

 

「る、龍可さん!?」

 

「////・・・・す、すみません」

 

俺が龍可に魔法少女龍可ちゃんという言葉を耳元で言うと、龍可は顔を真っ赤にして立ち上がり反論してきた。しかし、司会進行をしていた先生に怒られてすぐに静まり座ってしまった。

 

あの後、すみれさんの迅速な対応により魔法少女姿の遊輝と龍可を乗せた雑誌が販売されると即座に完売した。元々人気モデルだった遊輝と龍可の魔法少女姿に女性ファンだけでなく男性ファンも女性のファッション雑誌を買い漁ったとか。んで、この魔法少女龍可ちゃんはすぐにアカデミアに広まり、登校初日に色んな生徒から揶揄われる自体となった。・・・・・ん?遊輝?バレてないよ?すみれさん曰く、「もしバレたら事務所の利益が減ってしまう」とのこと。まぁでも、すでに遊輝の女装姿はアカデミアでも結構有名だし、薄々感づいている人はいるんじゃないかな〜〜?

 

「(これでしばらくは龍可を揶揄うネタがあるな)」

 

『え〜、続きましてバスケ部の紹介になります』

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『ありがとうございました。以上を持ちまして部活動の紹介を終わりたいと思います。続きまして、10分後に中等部軽音楽部による新入生歓迎コンサートが行われます』

 

「う〜〜ん!!!!やっと終わったよ!!!」

 

ようやく全ての部活紹介が終わって腕を伸ばす。部活紹介が終わったことで後ろの扉が開き、軽音部のライブを見たい生徒たちが流れ込むように入ってくる。

 

「興味もない部活の説明を聞くのは暇だったな・・・」

 

「2時間も座りっぱなしですし、さすがにお尻が痛くなってきました」

 

「そ、それより・・・・龍亞さん、本当に軽音部に入れると考えているのですか?」

 

「もちろん!!あれ以外だったら俺は部活入らない!!」

 

「むしろ遊輝たちからすればその選択にして欲しいっていうんじゃない?帰宅部って」

 

「僕も龍亞さんと一緒の意見ですよ。軽音部に入れるのでしたら入ります。ダメだったら何処にも所属しません」

 

恭輔も賛同している、っていうよりも龍可も祈もああは言ったが俺たち4人の意見は決まっている。全員、軽音部に入部予定だ。

 

「準備が終わっていきますね。楽器類のセットにアンプや機械のセッティングが終わって行きますよ」

 

「相変わらず仕事早いよな・・・・スタッフも入ってきたよ」

 

『お待たせしました。中等部軽音楽部による新入生歓迎コンサートを行います』

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

会場から溢れんばかりの拍手が巻き起こり、舞台袖から軽音部のメンバーが順々に現れてくる。最後に奏さんが出て、マイクスタンドに刺してあったマイクを手に取った。

 

『ああ〜、マイクのテスト中・・・・・えぇ、大丈夫?とりあえず皆さん、中等部進学おめでとうございます』

 

《ワアアアアア!!!!》

 

『久しぶりにまともな挨拶をした気分だわ。毎回毎回、ライブの度にMCをアドリブでやるのはしんどいから』

 

『奏さ〜ん!!!』

 

『遊輝さ〜ん!!!』

 

『・・・・・頼むから今日はゆっくりさせて(汗)』

 

《アハハハ!!!》

 

『え〜、まずは桜ソングから行くわよ。開幕ナンバー、いきものがかり、『『SAKURA』』

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

奏さんの歌声から始まったその曲は淡い歌声とピアノの音と重なり合う。

 

 

 

1 SAKURA 【いきものがかかり】

 

2 さくら 【ケツメイシ】

 

3 桜木町 【ゆず】

 

 

〜〜〜〜〜♪♪♪♪♪

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

『ありがとうございます』

 

奏さんがフォークギターからエレキギターに持ち替えて、一歩下がる。そして、遊輝がヴォーカル用のマイクを奏さんから受け取って前に出た。

 

『え〜・・・・皆、楽しんでる?』

 

《イエエエエ!!!!》

 

『いいねいい・・・・あっ、一つ言うこと忘れてた。中等部への進学おめでとうございます』

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

『え〜、新入生にとって、ほとんどの人が小等部から上がった人でしょうが中にはここに転校・編入してきた人たちもいると思います。そんな人たちに向けて、僕から《旅立ち》をテーマに3曲ほど歌わせていただきます』

 

・・・♪♪♪〜〜〜

 

《オオオオオオ!!!!》

 

メンバーも無しに始まった遊輝のアカペラ。それに俺たちは驚き歓声をあげる。最後の節を言い終えるとスバルのドラムから始まり、響さんのピアノ演奏が始まった。

 

 

4 遠く遠く 【槇原敬之】

 

5 旅立ちの唄 【Mr.Children】

 

6 春の歌 【スピッツ】

 

 

♪♪♪〜〜〜

 

パチパチパチパチ!!!!!

 

『ありがとうございました!!』

 

『と言うわけで・・・ちょっと遊輝の準備が終わるまで話に付き合ってもらえる?』

 

挨拶を終えた遊輝は一度舞台袖に下がる。その間に奏さんがエレキギターからフォークギターに持ち替えて色々と話し始めた。

 

『最近ね、まぁ去年何だけど文化祭の時にオリジナル曲を発表したじゃない?』

 

『またやるの!?!?』

 

『もう1回歌って!!』

 

『だから、あれはもう歌わないって(汗)。レミと遊輝と3人して素人感満載の歌だったって反省しているんだから』

 

《エエエエエエエエ!!!!》

 

『歌わない物は歌わないの。その代わりにね・・・・・もう1回、リベンジという意味を込めてね』

 

《オオオオオオ!!!!》

 

『・・・お願いだから最後まで言わせて(汗)。もう1回だけ、リベンジでやってみようかな・・・っていうのがあるのよ』

 

パチパチパチパチ!!!!

 

『言っておくけど決定事項じゃないからね。やるかもしれないだからね!』

 

《エエエエエエエエ!!!!!!》

 

そんなちょっとしたやりとりをしている間にギターを手にした遊輝が帰ってきた。

 

『帰ってきたわね。と言うわけで今の話は忘れてちょうだい。それじゃ、どんどん行くよ!』

 

《イエエエエ!!!!》

 

『・・・・盛り上がってくれて悪いけど、次バラードだった(汗)。ごめんね』

 

《エエエエ!!!!》

 

『まぁまぁ・・・・響』

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜〜

 

 

 

7 旅立ちの日に 【川嶋あい】

 

8 リルラリルハ 【木村カエラ】

 

9 遥か 【GReeeeN】

 

10 Yell〜エール〜 【コブクロ】

 

11 未来へ 【Kiroro】

 

♪♪♪♪♪〜〜〜〜〜

パチパチパチパチパチパチ!!!!!!

 

♪♪♪〜〜〜♪♪♪〜〜

 

曲が終わって拍手が巻き起こる。やがて拍手が止まるとスピーカーから音が流れ始める。その電子音の音に遊輝はギターの音を乗せていき、奏さんのMCが始まった。

 

『え〜、それでは次がラストになります。遊輝や私が未来へと向かう、未来へと希望がある歌を歌ってきました。今回最後の曲はそれから何十年後の未来・・・・仲間と会って和気藹々として、そしてまた、もう一歩踏み出そう・・・・・・そんな思いを込めました・・・・・B'z、《RUN》!!!』

 

♪♪♪〜〜〜!!!♪♪♪〜〜〜!!!

 

12 RUN 【B'z】

 

 

『Let's RUN〜〜〜〜〜!!!!』

 

♪♪♪♪♪〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

《ワアアアアア!!!!!!!》

 

スバルのドラムと遊輝のギターによる余興が終わり、演奏が終わった。観客からは歓声と拍手が巻き起こる。後ろにいたメンバーは前に出て、遊輝とレミさんはギターとベースを置く。

 

『以上で中等部軽音楽部による新入生歓迎コンサートを終わります。ありがとうございました!!』

 

パチパチパチパチ!!!!!!

 

軽音部のメンバー全員が頭を下げて舞台の幕が降りて、幕が閉じた。

 

「いや〜、盛り上がりましたね」

 

「け、軽音部のライブをこんな風に無料で見れるのは今じゃ珍しいですからね・・・・」

 

「確かにそうね・・・・2年前ぐらいなら普通に見れたけど」

 

「まぁいいじゃん!!明日、入部届けを校長先生に出しに行こう!それじゃ帰ろうぜ!」

 

「どうです?この後みんなでケーキ食べにいきませんか?」

 

「あっ、いいわね」

 

「私も賛成です」

 

「じゃあ奏さんのお店に行きましょう」

 

恭輔の提案に全員が賛成をして一度教室に戻った後、荷物を持ってアカデミアから出る。奏さんのお店まで歩いて10分ぐらいだ。

 

「奏さんのお店ってさ〜、今日は人多いかな〜?」

 

「さあどうでしょうね。平日ですし空いているんじゃないですか?というか何でそんな話をするのですか?」

 

「空いているんだったら席に座って全員でどうすれば軽音部に入れるか作戦会議を開こうと」

 

「・・・・・そこまでして入りたいの?」

 

「だって楽しいじゃん!!」

 

「ま、まぁ・・・確かにそうですけど」

 

「あっ、この裏道通った方が早く着くよ」

 

アカデミアから大通りを歩いている途中、この前見つけた裏道を指差してそっちに走る。この前、天兵たちと遊んだ時にこの道を見つけて良かったよ。

 

「あっ!まって龍亞!」

 

「そんなに走ったら危ないですよ!」

 

「平気平気!!」

 

後ろから龍可たちも追いかけてくる。そのまま細い暗い裏道を走り続けて、光が見えた表通りに飛び出した時・・・・・

 

「あ、危ない!!」

 

「えっ?」

 

裏道から表通りに飛び出した瞬間、右側から大声で叫んだ声が耳に入った。咄嗟にそっちの方に目を向けるとDホイールが目の前に迫っていた。

 

「うわっ!?」

 

ドン!!!

 

「る、龍亞さん!?大丈夫ですか!?」

 

裏道から通りに出た時、右から走ってきたDホイールにぶつかって転けてしまう。相手のDホイールの方も転倒してしまった。Dホイーラーは緑色のジャージを着た青年だった。

 

「いてててて・・・・・」

 

「いってぇ・・・・大丈夫君?急にDホイールの制御が効かなくなって」

 

「おい!!急に飛び出すなよ!!」

 

恭輔や龍可たちが俺の事を心配して、祈はDホイールに乗っていた人を見る。するとDホイールが走ってきた方から怒鳴るような声が聞こえてきた。その声の方に目を向けると青色のジャージを着た男の人がこっちに詰め寄ってくる。だけど、後ろにいた赤いジャージを着た男の人に抑えられる。

 

「ジン!!子供相手に怒るなよ!!それにこっちにだって悪気があるんだから!!」

 

「い、いや、いいよ・・・俺も飛び出してしまったし」

 

「本当にすみません。私の兄が・・・」

 

「・・・・・ん?」

 

今回は俺も悪いし、向こうも向こうで悪気があったとお互いに平謝りをしていた時、赤いジャージを着ていた人が恭輔の方をジッと見てきた。

 

「・・・・・・・・」

 

「あ、あの・・・どうかしました?僕の顔がそんなに変ですか?」

 

「・・・・思い出した!この子、次に俺たちが決勝トーナメントの初戦で当たるチームSECRETのメンバーだ!ほら!Dボードに乗ってデュエルをしていたエクシーズ使いの!!」

 

「あああ!!!本当だ!!!」

 

「えっ?」

赤のジャージの人が突然思い出したように喋り出して、緑のジャージを着ていた人がそれにつられるように恭輔の顔を見てきた。チームSECRETと決勝トーナメントの初戦で当たる?もしかして・・・・

 

「あ、あの・・・・もしかしてWRGP出場者の方ですか?」

 

「そうだ。俺たちは決勝トーナメント1回戦でチームSECRETと当たるチーム太陽って言うんだ。俺は山下太郎、ここにいる二人はチームメイトで緑色のジャージを着たこいつが林吉蔵、青色のジャージを着たこいつが谷川甚兵衛って言うんだ」

 

「おい太郎!何相手に気さくに話しかけているんだよ!」

 

「別にいいじゃないか。それにこの子たちはこんなに小さいんだぞ。こっちがそれなりの対応をしないと」

 

青色のジャージを着た甚兵衛っていう人は俺たちに対して何か突っかかるような姿勢だったけどそれを赤いジャージの太郎は止めに入る。

 

「とりあえず僕たちも自己紹介しておきましょう。僕は成田恭輔、ご存知の通り、チームSECRETのサポートメンバーです」

 

「お、同じくチームSECRETのサポートメンバー、櫻井祈です」

 

「俺は龍亞!チーム5D'sのメンバーだ!こっちは妹の龍可だよ!」

 

「龍可です。龍亞と同じくチーム5D'sのメンバーです」

 

「チーム5D's!?それってあのフォーチュン・カップの優勝者の不動遊星に元キングのジャックがいるチームか!?」

 

「そ、そうですけど・・・・」

 

「すげぇ!!そんな豪華なチームのチームメンバーと会えるなんて俺感激だよ!」

 

「ヨシ!!」

 

青色のジャージを着た吉蔵は憧れた表情で俺たちを見ていたがそれを甚兵衛が止める。

 

「しかし困ったな・・・・Dホイールの調子が一向に直らない」

 

「Dホイール・・・・・ですか?」

 

太郎が困ったような表情で転倒したDホイールを見つめる。そのDホイールはとてもオンボロ・・・じゃなくて年季が入っている。

 

「ああ、俺たちはあのDホイール1台を力を合わせて作って、WRGPに挑んでいるんだ」

 

「すげぇじゃんそれ!!手作りのDホイールで決勝トーナメント進出だなんて!!」

 

「でもな・・・・この前のゴーストの反乱の時に壊れてしまって・・・・・」

 

ゴーストの反乱って・・・・遊輝たちの予選が終わった時に起こった・・・・そう言えばあの時、他の会場でも予選を行なっていたんだった。

 

「何とかして決勝トーナメントの初戦までに直したいのだがなかなか・・・・・」

 

「だったら遊星に頼めばいいよ!!俺もさっきの事で謝らなきゃいけないし!」

 

「る、龍亞さん、簡単に言いますけど遊星さん忙しいのでは・・」

 

「だったらブルーノやスバルにだって頼めばいいし!」

 

「気持ちはありがたい。だけどすまないが遠慮しておく」

 

「えっ?」

 

「俺たちは自分たちの手でこのDホイールを作り上げて、WRGPに挑んだんだ。だから自分たちの手で直したいんだ。三人が力を合わせて作ったこのDホイールを」

 

そう言って太郎はあのDホイールを見つめる。でも調子が悪いままじゃ決勝トーナメントに出れるかどうかも分からないし、何より俺、何一つできないままだし・・・

 

「あ、あの・・・・私たちも非がありますので少しくらいならお手伝いを」

 

「だから助けはいらねぇって言ってるだろ!!どいつもこいつも俺たちのことを田舎者扱いのように可哀想な目をしやがって!!」

 

祈が俺に変わって修理を勧めてくれたが甚兵衛という人が突っかかってきた。

 

「で、でも、このままじゃ決勝トーナメントに出れないのでしょ?だからこちらから何か」

 

「分からないのか!!それが余計なお世話って言ってるんだよ!!」

 

「ちょっと!!そんな言い方はないでしょ!?断るにしてももっと優しい言い方があるのじゃないですか!?」

 

「うるさい!!お前らみたいな都会に育ったボンボンに俺たち田舎者の苦しみがわかってたまるか!!」

 

「ジン!!!言い過ぎだ!!!」

 

祈に対して甚兵衛はさらに強く当たってきたが、それを聞いていた恭輔は甚兵衛に反抗する。甚兵衛も恭輔に反応してさらにヒートアップして迫ってきたが太郎が止めに入った。吉蔵がそのまま甚兵衛を後ろに下げさせてもらい、太郎は屈んで俺たちに頭を下げた。

 

「すまない、あいつも悪気があった訳じゃないんだ。俺たち、田舎者でさ。俺やヨシは気にしていないんだが、あいつはどうも都会人とは馬が合わなくてな、この街に来てからずっとあんな調子で・・・・」

 

「いえ、いいですよ・・・僕も少しカッとなってしまいました」

 

「君の方がよっぽど大人だな。俺からはこんな事しかできないが、今日のところは引き取ってもらえないか?」

 

「・・・・・分かりました」

 

恭輔や祈も頭を下げて、今回の件はこれでお終いにして俺たちと太郎は別れた。

 

「・・・・ハァ、ごめんな。俺が飛び出したばっかりに」

 

「本当に・・・・気をつけてよね」

 

「もう奏さんのお店に行く気分じゃないな・・・・今日はもう帰ろう」

 

「そうですね・・・・僕もちょっと頭を冷やします」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「?祈、どうしたの?」

 

「・・・・あ、あれ」

 

祈が指を指した先にはDホイールを必死に修理するさっきの三人がいた。すごい真剣な表情をして、何とかしてDホイールを直せないかという必死感がすごい伝わってくる。

 

「・・・・・・やっぱほっとけねぇな。俺の責任もあるんだし」

 

「る、龍亞?」

 

「恭輔・祈、悪いけどスバルを呼んできて。俺と龍可はブルーノと遊星を呼んでくる」

 

「・・・・・分かりました。行きましょう祈さん」

 

「は、はい!」

 

俺は恭輔と祈にスバルを頼むようにお願いをして、龍可と一緒に噴水広場のガレージへと向かう。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「いた!!恭輔!!」

 

「連れてきましたよ、スバルさんを!!」

 

あれから30分後、ガレージにいた遊星とブルーノを捕まえて手短に状況を説明した。二人はすぐに快諾を得て、簡単な装備だけを手にして俺たちについてきてくれた。恭輔と祈達も無事にスバルを呼ぶことにできたみたいだ。

 

「遊星さん、話聞きました?」

 

「ああ、龍亞や龍可の話を聞いた限りでは大分困っている様子だな」

 

「早く見てみたいな〜〜、手作りのDホイールがどんな構造をしているのか」

 

・・・・・ブルーノを連れてきたのは失敗だったかな?何か変なことしそうで逆に怖くなってきた・・・・

 

「いたわ、あそこよ」

 

龍可と祈は先ほど俺が激突した場所から少し離れた広場にDホイールを修理している三人を見つけた。その三人のところへ俺たちは遊星達を案内する。

 

「難しいな・・・・このままじゃ決勝トーナメントに行くのは・・・」

 

「へへっ」

 

「うん?・・・!!お、お前!?」

 

俺が声をかけると太郎たちはこっちに気づき、振り向いてくれた。

 

「余計なお世話って言われてもやっぱりほっとく事が出来なかったんだよ」

 

「だから助けなんかいらないっていった「ありがとう。正直、困っていたんだ」!!た、太郎!!お前!!」

 

「すまないジン、三人でやり遂げたいという気持ちはあるんだ。でも、今のままじゃどうしようにも出来ないのも事実だろ」

 

「だ、だからってこんな奴らに頼まなくてもいいじゃないか。今までだって俺たち三人の力でやり遂げてきたんだ。これからも」

 

「じゃあジンはこのまま決勝トーナメントに出られなくていいのか?」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「・・・・・始めは勝てるかどうかも分からなかった。とにかく、この大きな大会に出れば何か見つかるかもしれない。そんな軽い気持ちで挑んだ予選だったけど、でも勝てたんだ。最初はマグレだと思ったけど、その次の試合も勝って予選を通過した。この時思ったんだ、マグレなんかじゃなくて、俺たちの実力で勝ち抜いたっていうことを」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「確かにジンの言う通り、自分たちの力で勝ち上がることに意味があるに違いない。でも、ここまで来たんだ!!俺はWRGPの決勝トーナメントに出てみたい!!たとえ初戦で負けても今の俺たちの実力が知りたいんだ!!」

 

「・・・・・勝手にしろ」

 

「ジン・・・・・ありがとう」

 

太郎の訴えにジンは素直にならないけれど、答えてくれて、太郎は頭を下げる。

 

「離してスバル君!!僕は早くあの手作りDホイールを見てみたいんだ!!」

 

「・・・・・殴るぞ?」

 

「ひっ!?ぼ、暴力反対!!」

 

「人の話が終わるまで勝手に触らないでくださいよ」

 

一方、こっちはやっぱりと言うべきか・・・・ブルーノがすぐにでも弄りそうだったのでスバルが羽交い締めをして止めている。

 

「じゃあ遊星さん、お願いします」

 

「わかった。ブルーノ、スバル」

 

「はいはい」

 

「や、やっと解放された・・・・」

 

遊星とブルーノ、スバルはすぐにDホイールのボディ部分を外す。そのまま中の機械類をペンライトを照らしながら丁寧に見ていく。

 

「・・・・・かなりガタがきていますね」

 

「ああ、大分使い込んでいるのが分かる。しかし丁寧に使ってきたから今まで問題がなかったのだろう」

 

「すごいね。これ本当に君たちが作ったの?完成度はかなり高いよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「それにしても勉強になるな・・・・手作りのDホイールになると市販のDホイールと違って回路や導線、エンジンの位置も変わってくるね。例えばこの空き缶とかハンガーとか」

 

「ブルーノさん、いい加減修理の方に力を入れてもらえませんか?」

 

「ごめんごめん。でも、今日持ってきた有り合わせの工具だけじゃちょっと難しいかな・・・」

 

「そうだな・・・・慌てて飛び出てしまったから簡易版の工具じゃ全てを見るのは難しい。おまけに夕暮れで外での修理は難しくなる。すまないが今日は診断だけでいいか?明日、またこの場所でちゃんとした修理を行いたい」

 

「大丈夫です。そのDホイールが無いと俺たちは練習ができませんから」

 

「あ、あの・・・遊星さん!!」

 

「?どうした?」

 

「サ、サインください!!!俺の父ちゃんと母ちゃん!!あ、あと、隣の田吾作の分も!!」

 

遊星が太郎にDホイールの状況と修理のことを伝えた時、吉蔵がカードを広げて遊星にサインを求めてきた。そのカードは通常モンスター、しかも初期に制作された低レベルなモンスターばっかりだ。

 

「お、おいヨシ!!何対戦相手にデッキを見せつけているんだ!!ここにはチームSECRETのメンバーもいるんだぞ!!」

 

「だ、だって、今ノートや色紙がないから・・・」

 

「明日があるだろ!!明日貰えばいいじゃねぇか!!」

 

「い、今もらっておかないと、忘れるじゃないか」

 

「ヨシ、ジンの言う通りだ。明日、忘れずに紙とペンを持って来ればいい話だ」

 

「それにしても何でハンガーや空き缶なんかDホイールの機密機会に入れているの?」

 

「空き缶はモーメントエネルギーを伝えるためのレギュレーター、ハンガーはY字フックの代わりだ。俺も昔、よく使っていた」

 

「えっ!?ゆ、遊星さんも!?」

 

「ああ、昔、サテライトで自分のDホイールを作っていた時だ。あの時のサテライトは物資が無かったから、代わりの代用となるものは何でも使っていたさ」

 

「へぇ〜、じゃあ今の遊星さんのDホイールにもまだハンガーとかあるのですか?」

 

「さすがに今はないな。修理屋を始めてからスクラップになったものを修理して、使っているから」

 

「さすが遊星さんですね。俺には一からDホイールを作るなんて芸当できやしねぇや」

 

「よっと、こんなものかな?遊星、全体を把握したよ」

 

「分かった。今日はこの辺りで終わる」

 

「いえ、こちらこそありがとうございます。それと龍亞、ありがとう」

 

遊星と太郎がお互いに握手をしたあと、太郎は俺にも右手を差し出した。それを俺は快く受け取って握手をする。

 

「いいよ。元は俺が悪かったし」

 

「龍亞、帰るわよ。遊輝がもう家に帰ってるらしいわ」

 

「えっ!?マジで!?」

 

「・・・・遊輝?遊輝ってチームSECRETのリーダーでフォーチュン・カップ準優勝者であり、エクシーズ召喚創始者の遠藤遊輝?」

 

「僕たちのリーダー、訳あって龍亞さんと龍可さんの家に居候させてもらっているのです」

 

「そうか・・・・大変なんだな」

 

「じゃあね太郎!!また明日!!」

 

「ああ、また明日」

 

遊星・ブルーノ、そして龍可と一緒に太郎達に大きく手を振る。そして後日、遊星、ブルーノ、スバルの三人のメカニックはチーム太陽のDホイールの修理を終わらせた。




霊夢「あれ、作れるんだ」

スバル「よっぽど腕のいいメカニックなら手作りで行けるぞ。俺はそんな腕がないけど」

龍亞「何言ってるんだよ、Dボード作ったじゃんか」

スバル「あれは遊星さんと共同だからな。俺のアイデアよりも遊星さんのアイデアの方が多い」

魔理沙「私からすればあんな細かい機械を触る作業を平気で黙々とやっていられるのが不思議だぜ」

スバル「相性があるからな〜」

霊夢「魔理沙には向いてないわね」

魔理沙「何だと!?そう言う霊夢こそできないだろ!!」

龍亞「次回は決勝トーナメント1回戦、チームSECRETとチーム太陽のデュエルが始まるよ!」

スバル「【手を繋ぐ魔神と代行者】。次回もよろしく!」

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