【完結】 遊戯王 5D's 転生者と未来のカードたち 作:DICHI
A,遊輝ちゃんは【魔術士+ガガガ】と今まで通りの【ガガガ】。【魔術士+ガガガ】を現実で使うとガガガに強い憎しみを持つのでご注意を、アリアさんは色んなデッキ(ガチ〜ファン)を使用。
Q,アリアさんってオシャレに敏感?
A,超敏感+ラノベやアニメ・漫画も見るのでその辺のコスプレ衣装も自分で作る。だから遊輝ちゃんが被害に遭うww。じつは、すみれさんのファンだったりする。
アリア「じゃじゃ〜ん!!今日の遊輝ちゃんのファッションはこちら〜〜!!」
遊輝「////・・・・・・・・・」←ごちうさのココアのお店の衣装、完全にお人形状態
アリア「可愛いわね〜〜。アリアさんの衣装も喜んでいるよ」
遊輝「////なんで俺は毎回毎回こんな目に・・・・」
アリア「それは遊輝ちゃんが男の娘だからだよ。せっかく喫茶店の店員の格好なんだからコーヒーとサンドイッチをお願いしようかな♪『魔法少女遊輝ちゃんはアリアさんのためにコーヒーとサンドイッチを作る』」
遊輝「////か、かしこまりました・・・・」
アリア「っていうわけで遊輝ちゃんがサンドイッチを作っている間に本編始まるよ〜」
遊輝 side
「この家も久しぶりだな〜、何年前かな?」
「あれから大体8年だよ・・・・さあさあ!今日はパーティーだからた〜んとお食べ!」
「ありがとうございます!」
「・・・・・あ、あの〜(汗)」
「そちらの魔法使いさんもどうぞ」
「は、はぁ・・・・じゃ、じゃあ、ありがたく・・・・(汗)」
気色悪いガイコツ野郎を灰にして、アリアと口論するところまでは流れが分かるんだけど、その後のアリアと老婆の魔法使いの会話から全く話の流れについていけてないです(汗)。何か、その後たくさんの人に連れられて一軒の家にお邪魔して、しばらく町の人と話し合い、っていうか一方的な質問責め、それが終わったら皆帰っていったが、気づいたらテーブルの上にたくさんのご馳走が並んで・・・・この町って鎖国状態で食料少なかったよね?どっからこんなにたくさんの食料を持ってきてるの?アリアはアリアで勝手に飯を食い始めているし・・・・(汗)
「ん〜まい!叔母さんってこんな料理上手だったっけ!?」
「失礼しちゃうわね。料理の腕には自信があるわよ」
「ん〜!!でも遊輝ちゃんの方がもっと上手な気がする・・・」
「お前、それ久しぶりに会った人に向かって言う言葉かよ」
「あら?この子ってそんなに料理が上手なの?」
「すっごいよ〜、今まで食べてきた全てのも物が霞むくらいに上手だよ」
「(言い過ぎだろ・・・・・・)」
「それは凄いわね。まだこんな幼い
「い、いやだk「でしょ〜!!魔法少女遊輝ちゃんはオカルト系以外だったら何でもOKなのよ!」・・・・・・(汗)」
皆、俺のことを女、しかも少女とか言ってくるので何度も訂正しようとするが、アリアが俺が言う前に口を挟む上に、こんな魔法少女が着そうな服を着せられているため言うに言えない状況になっている。
『(マスター、もう諦めた方がよろしいです。すでに多くの人がマスターを女の子として見てしまってます)』
「(・・・・・お願いだから耳元でそんな死刑宣告みたいな事を言わないで、ダイヤ(涙))」
「そちらの魔法使いさんの僕さんもどうぞ。こんな貧相な物ですが」
『誠に申し訳ございません』
『お兄様!これ美味しいよ!』
『美味しいねホワイト!ブラック!』
『美味しい!』 『美味い!』
『こら、3人とももう少し行儀よくしなさい』
この家に入る前に俺の精霊たち(プラチナ以外)もカードから飛び出して、一応俺の僕という形でアリアが言ってしまった(大きく見れば間違ってはないけど・・・・・)ので、こうして皆でご飯をご馳走してもらっている。とりあえず、俺はどうしようにも出来ないし、腹が減っているのも事実なのでありがたく晩御飯を頂戴する。
「どう?お口に合うかしら?」
「・・・・はい、美味しいです」
「そう、それは良かった。何せこの街の料理は他の街には無い料理ばかりだからね!」
いや、そりゃそうでしょ・・・・まず人間の俺には口を含まないようなものばかり並んでますし(汗)。知らない魔法薬の元となる野草のサラダとかジェノサイドキングサーモンの料理とか何か訳のわからない烏みたいな唐揚げとかさ・・・・(汗)。春休みの経験が無かったら確実に食べる前からゲロを吐いていたぞ、俺・・・・・・まぁ不味いわけじゃないからそこは良かったけど・・・・
「プハァ!!ここんところ野宿で過ごしていたから久しぶりにお腹いっぱいになったよ!ありがとう叔母さん!」
「そうかいそうかい、それは良かったよ」
「ところでさ・・・・・・この町はどうなったの?」
パリン!
今まで、ワハ〜としていたアリアの空気が張り詰めた空気へと変わる。お皿をキッチンに運ぼうとしていた老婆の魔法使いはそのアリアの空気に耐えられずお皿を落としてしまい、お皿は割れてしまった。
「おいアリア・・・・ちょっとは空気を」
「気持ちは分かるけど、ちゃんと現状は知らなくちゃいけないわよ遊輝ちゃん」
「・・・・そうね、アリアが魔法使いさんを呼んでまてこの町に戻ってきたんだもの。ちゃんと言わなくちゃね」
叔母さんは割れたお皿の大きな破片だけを拾い、それをゴミ箱に捨ててテーブルの横にあるイスに座った。ダイヤやパールたちは遠くのソファから聞いている。
「この町は女王、ジュノン様によってさらなる発展、特に魔法教育の分野では目覚ましい発展を遂げていったわ。女王様が誕生する数年前、エンディミオンからの侵略を受けて、国家が衰退していく未来しかなかったこの町をジュノン様は『未来ある子供達には無限なる可能性がある。その可能性を引き出し、伸ばしてあげるのが今、私たちにできること』とおっしゃり、この町は持ち直した。エンディミオンとも協定関係を結び、他の魔法都市とも交流を進めて、この町はかつてないほど活気に溢れていたわ。それが一年前・・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『外壁!?』
『他の都市に行けなくなるってどういう事ですか!?』
『ジュノン様!!何か仰ってください!!』
『・・・・・・・・・・・』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「突如、ジュノン様は全ての魔法都市との交流を止めて、この町を囲むように周りに大きな壁を作ったわ。思えばジュノン様の様子がおかしいと言われていたその1ヶ月前から私たちは気づくべきだったわね・・・」
「ジュノンの様子がおかしいというのはどういう事かしら?」
「外壁を作る1ヶ月前から突然、部屋に籠るようになったわ。ただ、私たちは多忙な生活をしていたジュノン様が体調を崩したとしか思えず、心配はしていたがそこまで気にはならなかったわ」
「(外壁を作る1ヶ月前から様子がおかしくなったのか・・・・)」
「俺も良いか?ここに入る前に門番とのデュエルでジュノンが出てきたんだが、ジュノンの目付きってあんなに暗い目付きで暗い服を着ていたか?俺が知っているジュノンは白を基調とした服を着ているイメージがあるんだが」
「いえ、ジュノン様はあまり表情を表に出さないですが、少なくとも暗い目付きではありません。服もあなたのいう通り、白を基調とした服を着ていましたが、その異変以降、黒を基調とした暗い感じの人になられてしまいました」
ふ〜ん・・・・・突然服の趣味も変わって目付きも変わったと・・・・・まるで人格が乗っ取られたか操られているかみたいだな・・・・
「ごめんね叔母さん、話を続けて」
「その外壁を作った異変以降、私たちの生活は変わったわ。外壁を完成された翌月には敵対関係であった悪魔族やアンデット族のモンスター達がこの町にいつのまにか入ってきて、この町を荒らしていったわ。男どもはグリモワールやその周辺機関の建物に連行されて誰一人として帰ってきてない。私たち女どもや子供どもは逆にグリモワールや周辺機関に近寄ることもできず、こうして慣れない商人をやっているのよ・・・・」
「(男達がいないのはそのためね)」
「近寄れない?そんなバカな。俺たち、グリモワールの近くまで行くことが出来たぞ」
「ああ、多分このバッジね。グリモワール周辺に変なバリアが張られていたでしょ」
そう言われたらそうだな・・・・変な物を張ってるな〜と思いつつ普通に通り抜けが出来たから。アリアの魔法道具ってマジで優秀な物が多いんだな・・・・・
「外の世界とは鎖国状態だから外の世界の物品や食料も入らず、今はまだ大丈夫だけど、その内この町には飢えで苦しむ人たちはたくさん出てくるのわ」
だろうな・・・・・むしろ今飢えで苦しまない人がいないというのが不思議なくらいだ。
「叔母さんたちで食料を作ることは?」
「誰も経験をした事がないからノウハウがない、その上この町のほとんどはコンクリートで固められているから耕せるような土地はないのよ。外壁の外ならいくらでもあるのけれど・・・・・」
確かに見回った感じ、畑を作れそうな土地は限られているうえに面積も小さい。例え野菜が作れたところで供給量は少ないから恐らく取り合いが起こるだろうな。
「それでも・・・・この町の人たちはとにかくジュノン様が心配で仕方ないの。明らかに様子がおかしいから、その原因さえ分かったら昔のジュノン様に戻れるかもしれない・・・」
「ふ〜む・・・・・・」
とりあえず外壁が出来た1ヶ月後に悪魔族やらアンデット族が襲来か・・・・外壁作って守るどころか敵を中に迎え入れているんだ。これは間違いなく何かあるな・・・しかし、今の所は侵略戦争の話は分からないままだな。
「(とりあえずそのジュノンって奴を一度でもいいから見れたらいいんだが、内に籠っている上に俺たち侵入者だからな・・・・)」
「う〜ん・・・・・とりあえず話は分かった、対策は明日以降考えよう。と言うわけでお風呂〜〜♪」
話を聞き終えたアリアはまたワハ〜な空気に戻ってマントを外してお風呂へと向かった。
「相変わらず変な奴だな・・・・・」
「・・・・・あの子のあんな笑顔、本当に久しぶりね」
「はっ?」
アリアが部屋から出て行った後、ふいに老婆がそう呟いた。
「あなた・・・・・アリアの事を知っているのか?」
「えぇ、結構昔からね。あの子はこの町を出て行ってもう・・・8年ね」
そうか・・・・それであいつ、この町の事を知っていたんだな。
「それにしても久しぶりの笑顔というのは?久しぶりに再会して見た笑顔のこと?」
「いいえ、あの子の心からの本当の笑顔よ」
「どういう事ですか?」
「・・・・・・・あなたは不思議に思わなかった?あの子は正真正銘の人間、なのに魔法使い族と同等、いや、それ以上の魔力を扱えるあの子の事を」
「・・・・・・・・・・・・・」
言われてみればそうだな・・・・俺の周りは人外ばかりで何も考えなかったけど、普通に考えたら人間が魔法使いになれるなんてありえない話だ。
「あの子はね・・・悲しい過去があるのよ」
「悲しい過去?」
「えぇ、あの子はね・・・・捨て子なのよ」
「捨て子!?あいつが!?・・・・・・待てよ、何でそんな事を知って・・・・・あんたまさか・・・・」
「そう・・・・アリアを拾ったのは私よ」
「ちょっと待てよ!?何で精霊世界のモンスターが人間を拾えるんだよ!?この世界にいる人間は精霊を見る事が出来るごく僅かな人間な上に、絶対に精霊世界で生きることなんてありえないだろ!?」
「あら?あなたは人間世界をご存知で?」
「・・・・・えぇ、アリアが勝手に魔法使いとか言いふらしましたけど、俺は人間です。あいつとは人間世界で出会いました」
「そう・・・・どうりであなたから魔力を感じなかったわけね・・・・・あの子も元を辿ればその人間世界の子よ」
「じゃあどうやって・・・・」
「・・・・・18年前、まだ私が王族の機関で働いていた頃・・・・・私はとある事情で人間世界に迷い込んだ時期があったの」
「はっ!?何で!?」
「ある実験で失敗してね、そうなってしまったの。もちろん大事になって、元の世界にいた仲間の決死の努力で数日はかかったけど何とか最小の被害でことは収まり、この世界に戻ってくることはできたわ。でも私がこの世界に戻る直前・・・・・どこかの深き森であの子を見つけたわ・・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
No side
人間世界、どこかの森深く・・・・・
『まもなくH436地点にワープを設置する。もう少し辛抱してくれ』
『分かったわ』
『トールモンド、すまなかった・・・・まさかこんな事になるとは・・・』
『仕方ないわ。失敗は成功のもとっていうでしょ』
『・・・・帰ってきたら最大限の誠意を見せる』
プツン
『相変わらずあの人は固いわね・・・・・・』
トールモンドとの呼ばれたフードを深く被り、緑のローブを着た人はそう呟いた。先ほど通信があった地点に向かうため、急ぎ足で歩く。
『しかし人間世界に飛ばされるのは予想外だったわね。早く帰って皆に顔を『・・・ァ・・・ァ・・・・』?何かしら?』
目的の地に行こうとした途中、トールモンドの耳に補足弱ったような声が入った。そちらの方向に顔を向けるが、あたりは生い茂った木々しか目に入らない。
『・・・気のせいかしら?こんな奥深くの森に『ァ・・・・・ァ・・・』!?人間の声!?」
トールモンドは激しく動揺をした。もし人間にバレたら何をされるか分からない。最悪の場合、一生元の世界に戻れない可能性もある。
『(まずいわね・・・・早く目的の場所まで行かないと)』
『ァ・・・・・ァ・・・・・・』
『(・・・・・人間?この声が?)』
目的の地に急ごうとしたトールモンドだが、もう一度聞いた声に疑問を抱いた。人間の声にしては高く、しかも喚き声しか聞こえなかった。
『ァ・・・・・・ァ・・・・・・』
『(・・・・・・まだ時間に余裕がある。ここは影から覗く程度で見てみましょう)』
ちょっとした好奇心、それがトールモンドの心を動かして目的の地とは反対の方向に歩む。深き森を掻き分けながら進む事2〜3分、トールモンドの目に信じられないものが映った。
『・・・・(この辺だよね、あの声が聞こえて!?!?)』
『ァァァァ・・・・・ァァァァ・・・・・』
『(あ、赤ちゃん!?)』
トールモンドの目に入ったのは木製の小さなゆりかごに入った人間の赤ちゃんだった。しかも森深くにいるのに、なぜか裸で毛布1枚もかけられていない。慌てたトールモンドはすぐにその赤ちゃんに近寄り抱きかかえる。
『(な、何でこんな森深くに赤ちゃんがいるの!?しかもすごく冷たい!!声も細いからいつ死ぬか分からないわ)』
『ァァ・・・・ァァ・・・・』
『トールモンド、準備が出来た。今から30分以内にワープゾーンに入ってくれ』
赤ちゃんを抱きかかえて慌ててしまっているトールモンドに通信が入る。トールモンドは震える声でその通信に応えた。
『エ、エアミット・・・・・』
『どうした?声が震えているぞ』
『た、大変なのよ・・・・・人間の赤ちゃんが捨てられていたわ・・・』
『何っ!?どこだ!?』
『ワ、ワープ地点から南に400mあたりに・・・』
『そんな深き森で捨て子の赤ちゃんだと!?』
『ど、どうしよう・・・・この子、身体が冷たくて声も弱ってしまって・・・・いつ亡くなるか分からない状態だわ・・・・』
『しかしこのチャンスを逃せばお前はいつ帰ってくるか分からないぞ!今更人の住む場所には行けない!!』
『わ、わかってる・・・わかってるけど・・・・』
『とにかく、赤ちゃんのことは諦めて戻ってこい!!』
プツン!!
『(エアミットは諦めろって言っていたけど・・・・この子だってただ死ぬために産まれたわけじゃないのよ・・・・・でも、此処でチャンスを逃せば私は二度と戻れないかもしれない・・・・)』
通信が終わった後、トールモンドはその場で座り込んで悩んだ。赤ちゃんを諦めて仲間の世界に戻るか、赤ちゃんを救うために元の世界を諦めるか・・・・・・時間は無情にも過ぎてゆき、ワープゾーンはもう5分ももたない状態まで着た。そしてトールモンドは一つの決心をした。
『(・・・・・私がこの子の親代わりになってあげる。そうすればこの子も助かるし、私も元の世界に戻れる!元の世界に戻って後悔するくらいならこうした方がいい!!)』
決心を固めたトールモンドは赤ちゃんを一度ゆりかごに戻し、ゆりかごを抱きかかえてワープゾーンまでひた走る。そして数分後、暗く生い茂る木々に一つだけ、青く光るポイントを見つけた。
『ここね!えい!』
トールモンドは赤ちゃんを乗せたゆりかごを抱きかかえながらそのワープゾーンに入った。ワープゾーンは一瞬だけ強く光を発して、直ぐに消えた。
No side out
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「これがアリアを拾った過去の話よ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「帰ってきてから皆に罵声を浴びたわ。そりゃそうでしょうね、人間、しかも赤ちゃんをこの世界につれてきたのだから。でも、一人だけ・・・・・・ジュノン様だけは暖かく迎えてくれたわ。そしてジュノン様は私にこうおっしゃった。『今からこの子の母親は貴方です。そして貴方には2つの義務があります。一つはこの子が成長するまで面倒を見る事、そしてもう一つはこの子が成長した時に真実を伝えること』」
「・・・・・・・ジュノンは子供達を大切にしていたから?」
「きっとそうでしょう・・・・・ジュノン様は子供を大事にしていたから。人間の子供とはいえ人事とは思えなかったのでしょう。私はジュノン様からの言葉を胸にして、あの子を精一杯育てたわ。もちろん、人間の子だから将来、魔法使いになれるとは思わなかった。それでも我が子のように育てたわ。それであの子を育てて6年目・・・・子供は魔法学校に入学させなくちゃいけない年齢にまでなったわ」
「・・・・・・・アリアも例外ではなく?」
「えぇ、義務だからね。しかしあの子は人間。母親代わりの私がこんな事を言ったら失格だけど、とてもあの子が魔法を使えるとは思えなかった。だから私は2つ目の義務・・・・・・あの子に本当の真実を伝えることにしたわ」
「6歳の子供がそんな事理解できるのか?」
「あの子は賢かったわ・・・・魔法とかそんな事は置いといて、とにかく賢くて融通が利いた子だった」
確かにそんな雰囲気はしていたな・・・・あいつ、頭の回転とか早いし。
「なんていうか・・・・既に大人の雰囲気を少し醸し出していたのよ。だから私はあの子に真実を話した・・・・・」
「それで?」
「あの子も友達と遊んでて何となく察していたのでしょう、『そんな事、もう知っているよ』って平然と言い返してきたわ」
なるほどね・・・・・友達と遊んでいたら嫌でも友達に出来て、自分には出来ない事が突きつけられるわな。
「それでもあの子は魔法学校に行くと言ったわ。だから、私はあの子を魔法学校に通わせた。でも現実はやっぱり残酷ね・・・・・あの子がどれだけ頑張っても魔法を扱うことは難しかった」
そうだろうな・・・・・・いくら本人のやる気や努力があっても、所詮はただの人間。本物の魔法を使おうと思ったら根本的な魔力が無いとどうにもならない。
「あの子は必死に努力をした。でも使えたのは簡単な火をつける魔法ぐらい・・・・次第にあの子は追い込まれていったわ。同級生からバカにされて、先生たちにも相手にされず、孤独な人生を歩んでいったわ」
「あんたは?」
「私も最大限のサポートはしたけど、あの子が自暴自棄になっちゃって・・・・」
「反抗期か・・・・また最悪な時期に」
「えぇ・・・次第にあの子から笑顔が消えていったわ。あの時見たあの子の表情は哀しみか憎しみ・・・・・あの子は魔法学校に通い始めてから1年が経って、私の元から飛び出していったわ・・・・『私一人であんな奴らを見返してやる!!』って・・・」
「それ以降この町を出たまま?」
「いいえ、飛び出してから2年後にあの子はこの町に帰ってきたわ。とてつもない魔力と魔法技術を身につけて・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「私は帰ってきた嬉しさと同時にあの子に対して恐怖感を抱いてしまった。か弱いあの子が膨大な魔力を付けてしまったことに・・・・」
「どれだけ凄いんだ?」
「あの子はたった2年間で大魔法使い以上・・・・・あなたの知っている人だと混沌の黒魔術師やブラック・マジシャンクラス以上ね。彼らでも膨大な魔力を扱えるようになったのは100年はかかるであろうという時間を」
本質的に素質がある奴でも数十年かかる魔力や魔法技術をわずか2年でそれ以上の魔力を身につけた・・・・か。
「恐れたのは私だけじゃなかったわ。あの子をバカにしていた魔法学校の同級生や先生、王族の関係者もアリアを恐れたわ。中にはアリアを魔法使いとして尊敬する者もいたけど・・・・・」
「・・・・・大きくなり過ぎたのか」
「そう・・・・結局はアリアを恐れて離れてしまう・・・・・アリアも自分の場所を見失ってしまって、8年前にこの町から再び出ていてしまって今日になるまで二度と戻って来なかったわ。あの子が私の事を叔母さんと言っているのも、恐らくは少し縁を離れたかったのでしょうね・・・・」
「にしては今日会った奴らは随分親しくしていたんだけど?」
「表面上の付き合いかこの事情を知っている者・・・・・どちらかだわ。どちらにしろ、内心では恐怖を抱いている者がほとんどよ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「結局、私はあの子の孤独を埋められることはできなかった・・・・あの子の母親の代わりとして育ててきたけど、私はあの子に何もできなかった・・・・・・母親失格だわ」
「・・・・・・・・・・・」
アリアの話を聞いた俺は無言で下を向くことしか出来なかった。いつもふざけている奴が飛んでもない過去を持っているなんて想像も付かなかった。
「・・・・・ねぇ、あなたにお願いがあるの」
「・・・・何ですか?」
「今日、8年ぶりにアリアを見た時、あんな心から笑っている表情を見たのは本当に久しぶりなの。誰からも好かれずにこの12年間孤独だったあの子が見せたとびっきりの笑顔を。私はあの子のあんなとびっきりの笑顔を守ってやりたい」
「・・・・・・それと俺がどういう関係で?」
「何となく女の勘だけど、アリアの笑顔が増えたのはあなたと出会ったからだと思うの」
「・・・・・・・・・・・・・・」
言われてみればそうだな・・・・・最初に会った時はクールなイメージしかなかったけど、ここ1ヶ月2ヶ月であいつの表情は本気を見せる時以外は常に笑顔で現れたな、色んな所に付き合わさせられたし。
「常に、とは言わないわ。でも出来る限りあの子の側に居てくれないかしら?恐らくあなたが、アリアの孤独で染まった心を開いた初めての人なのよ」
「・・・・・・・悪いけど無理な相談だ。俺とアリアは本来敵対している。今回は利害の一致で一緒に行動しているが、あいつと一緒に行動するのは恐らく今回が最後だ。それともう一つ、俺には好きな人がいる。その人を裏切ることはできない」
「・・・・・・ちょっと待って?好きな人?えっ?あなた、アリアと同性だよね?何でそこで好きな人の話が出てくるの?好きな人って男の人の事だよね?私は別にアリアの事を友達として見てほしいと・・・・・」
「・・・・・俺は男です。好きな人は女性です」
「(カバッ!!)う、嘘!?!?!?」
『マスター、だから遅いってあれほど・・・・・』
老婆の魔法使いは驚いたように椅子を後ろに倒して、壁まで後ろ向きで歩いてドンと当たった。ダイヤは俺に耳打ちをするが関係ない。
「な、何で!?そんな格好して、そんな顔して、女の子じゃないの!?」
「(ブチッ!!!)俺は男だあああああ!!!!!!歳も14だああああ!!!!!!」
「う、嘘でしょ!?!?」
「アリアに無理矢理この服を着せられているんだよ!!!!」
老婆の爆弾発言で俺の頭は完全に爆弾。老婆にはまず俺が女の子と勝手に思っている思い込みから取り外すため、詰め寄って色々と一方的に言い始める。
「だいたいですね!!こっちの話を全く聞かずにアリアの話を鵜呑みにして・・・・・」
『あ〜あ・・・・・シリアスな空気が台無しだよ(汗)』
『だね』 『?シリアス?』
『ホワイト、シリアスっていうのはね、フラグを立ててぶち壊す物なのよ』
「サファイア!!!!!嘘を教えるな!!!!」
『は、はいいい!!!!!!!』
とんでもなく嘘ついた事をサファイアはホワイトに教えようとするのを耳にしたのですぐにそっち側に向いてサファイアに雷を落とす。サファイアも迫力にまけて直立不動になった。それを確認した後、俺はもう一度老婆に詰め寄った。
〜〜(10分後)〜〜
「・・・・いいですね!!今度からはちゃんと本人からしっかりと聞きましょうね!!」
「は、はい・・・・・・・」
説教を終えた俺は老婆とは反対側の方に向いてソファの所まで歩き、ソファに座る。一方、説教を受けた老婆は腰が完全に上がらず、その場で座り込んだままだ。
「ったく・・・・明日から思いやられるよ」
「遊輝ちゃん!!遊輝ちゃん!!」
「ん?・・・・・!?!?!?!?お、お前!!!なんて格好でおるんだ!?!?」
「どう?アリアさんのナイスバディは」
ソファに座ったところでリビングの出入り口からアリアの声が響いたのでそっちの方に顔を向けた途端、俺は顔を真っ赤にして背けた。あいつ、タオル1枚も巻かずに全裸で部屋に入ってきたのだ。
「とりあえずここから出て寝巻きに着替えてこい!!!」
「全く〜〜、私はまだお風呂に入るのよ」
「じゃあ何で上がってきたんだよ!?」
「遊輝ちゃんと一緒に入るため♪裸の付き合いって大事でしょ♪」
「入るかボケ!!!!さっさと風呂に戻れ!!!」
「無駄無駄♪遊輝ちゃんはアリアさんの言うことには逆らえないのよ♪『魔法少女遊輝ちゃんはアリアさんと一緒にお風呂に入る』」
「!?ま、待てこら!!」
アリアが何故か付けてあったブレスレットにこれまたとんでもない事を吹き込んでしまった。俺の身体は俺の命令に反して、勝手にアリアの方に歩き出した。
「と言うわけで遊輝ちゃん!!一緒に風呂に入ろう!!」
「嫌だああああ!!!!!!!」
アリアがガッチリと俺の身体をホールドしてそのままリビングを連れ出されてお風呂に連行されてしまった。
「・・・・・やっぱり、私にはあの子は女の子にしか見えないわね」
『同感するよ』
『『『うんうん』』』
『お前たち・・・・・(汗)』
遊輝「////お、お待たせしました・・・・」
アリア「ん、ん〜まい!!普通の卵サンドとハムサンドなのにそこら辺のお店よりも美味しい!!」
遊輝「////あ、ありがとうございます・・・・」
アリア「このまま遊輝ちゃん、アリアさん専用の料理人兼お人形として一緒にいて貰おうかな」
遊輝「////絶対に嫌だ!!!!」
アリア「えぇ〜、良いじゃない。何も考えなくて良いんだよ」
遊輝「////そんな奴隷みたいな事をしたくないわ!!!」
アリア「ブゥゥ〜〜・・・・・名案なのにな〜、仕方ない。今度はホットケーキお願い」
遊輝「////か、かしこまりました・・・・・」
アリア「それじゃ皆、またね〜」