もしキリトさんが茅場晶彦によってSAOのレベルのまま迷宮都市オラリオに送られたら。 作:機巧
「では、行ってくれたまえ、キリト君」
キリトが、男にフラグを立てた(かもしれない)事件から、数時間前。
俺、キリトは茅場から、一通りのオラリオについての常識を教えてもらった後、そう言われてオラリオに送り出された。……のだが。
……。
……。
……。
「うわっ、うわっ、うわぁあああああああああッ⁉︎」
俺は今現在進行形で逃げていた。
理由は簡単である。送り出された先がダンジョンであった。これに尽きる。
送り出される瞬間、夕暮れの中で遊ぶ三人の子供が見えたような気がしたのだが、そんなこと考える暇もなく。
一瞬の浮遊感の後、いつの間にかダンジョンの床に寝転んでいた俺の索敵スキルが何かを捉えた。
何が。と考える暇もなく、横っ飛びでその場を離れた俺は、確かに聞いた。
地の底から昇ってきたような、禍々しい雄叫びを。
慌ててその位置を確かめると、周囲には何もない。
ーーいや、落ち着いて見ると、索敵スキルの範囲に、そいつはいた。
「下かッ!」
慌てて地面を蹴る。そして。
「ーーーーーーーーーーーーーーーー」
地面が爆発した。
「はぁあああああああああああああああああああああああああッ⁉︎」
突きあがる豪炎。そして紅蓮の衝撃波。一瞬で数十メートル離れたというのにその炎は俺の肌の表面をチリチリ焼いた。
まじで特大の地雷が炸裂したような現象。階層の床が丸ごと紅炎に包まれ、天井まで突き破った。なんということだ。
あの浮遊城ですら階層を無視するなどと言う理不尽なことは起こらなかった。
だがこんなことが起こるというのか。
「なんなんだよ、まったく」
そう言っている暇もなく。
また、索敵スキルが先程のようなものをとらえた。
あわててまた地面を蹴る。
そして、1度じゃないのかよと思いつつ俺は、スキルウインドゥを開け、またいつでもこの地に戻ってくることができるようにマッピングされていることを確認しながら、逃走を開始して今に至る。
◇ーー
「ああ……やばい。行き止まりだ」
今までの情報で、コレの正体はわかっていた。
1回だけ炎が過ぎ去った後に、それがぶちぬいて行った跡を見てみたのだ。
それは、何層もの階層をぶちぬいて形成された巨大な縦穴だった。
そしてその下でこちらを見てくるのは数匹の巨大な龍。数百メートルも下からそいつらはこちらをーー『狙撃』しているのだ。
「これがこの世界のダンジョンかよ……」
というのが俺の正直な気持ちだった。
そんな話をしてもこの状況は変わらない。行き止まりに行って入ってしまったことは事実だった。
ここはダンジョンなのになぜか他のモンスターは襲ってこないが、そんなことよりコレは大問題であった。
ダンジョン表記によるとーーこれはマッピングで見たーーここは52階層。
上にのぼるか、下に降りるかは違いがあるが。この程度の階層ならば、浮遊城の常識に照らしてみれば、大丈夫であろう。
そしてこの階層のギミックなのだから、もし当たったとしても多少のダメージ位で済むだろう。
そんな考えで、俺はなすすべもなく、炎に包まれ下の階層に落ちていった。
◇ーー◇
「は?あんまりというか全くダメージがない!?」
とりあえず下の階層におりた後、背中の剣を抜いてドラゴン(索敵スキルによるとヴァルガング・ドラゴンとなっていた。砲竜とは言いえて妙だ。)を倒した俺は、戦っていたときのことを思い出しつつ、そのことに驚いていた。
まぁ考えても仕方がないので、考えていないことにした。
「とりあえず上に登ろう」
茅場のいっていたことが本当なら、上に行けば都市があるはずだ。とりあえずそこを目指そうと思い、俺はモンスターを倒しつつ(モンスターを倒したら、ほとんどの場合魔石というものがドロップした。ほとんどと言うものは、時々ドロップしないことがあったということだ。法則性はよくわからない。ただドロップしなかったときは、剣で倒したとき、キンという甲高い音がしたような気がする。ちなみに、マセキにはいろいろな大きさがあり、ほとんどの場合倒したモンスターの大きさに比例していた。また時々、倒したモンスターにあったものがドロップした。ナメクジの皮は気持ち悪かった。あと余談ではあるが、装備しているもの以外ではすべてのものがなくなっていた。あとついでにステータスやレベル等はSAOクリアじのものであった。あと左手側に装備していた青い剣ーー青薔薇の剣と言うらしいーーは刀身が半分なくなっていた。捨てようかと思ったが、なぜか捨てれなかった)
そして、誰にも会わず、50階層まで上がってしまった。そこで見たものと言うと。
ナメクジのような体に2人の女性のような上半身をした壊滅的にデザインを失敗しましたというようなモンスターと金髪の女性が戦っていた。
ーーバカ。
そんな単語が一瞬頭に浮かんだがすぐに消えた。
最近こんなことが多いな、と思う。まぁそれもすぐに消えてなくなった。
その女性型は、鱗粉を飛ばした。
それを金髪の女性が風で飛ばす。
「イ……
俺が生まれる少し前に発売され、今も有名な大作ゲームの某騎士王の宝具の名前を思わず呟いてしまった。
だって余りにも似ていたから。最も得物は隠していなかったが。
そして飛ばされた鱗粉が爆発した。
あれは爆発物のなのか。そう思った。そして、少し視界を広げると、たくさんの人たちが見えた。
また狙撃されて下の階層に落ちましたでは話にならない。一緒に地上まで連れて行ってもらえないかなと俺は思いつつ、戦場に近づいていった。
すると。
テントを片付けていた1人の男の人の上にあの鱗粉が漂い、落ちてきているのが見えた。
危ない、そう思った俺はその人と鱗粉の間に入り込み、
「《スピニング・シールド》‼︎」
そう言葉に出し。
黒い剣ーー夜空の剣という銘だーーを使ってソードスキルを発動刺した。かつてあの浮遊城で竜のブレスさえも防いだこの技は、たやすく粉を吹き飛ばした。そして爆風すらも。
火の矢を受け止めたような気がしたが結局は何ともなかった。
そして俺は助けた者の方に振り向き。
「大丈夫か?」
と声をかけた。
「あ……ありがとうっす。……あなたのお名前は何すか?」
助けた男がそう聞いてきた。まぁ同行させてもらうのは結局なのるのだから、と思って名乗ることにしたか。思わずいつもの名を口にした。
「俺か? 俺の名前はキリト。通りすがりの剣士だよ」
「ラウル! 大丈夫かい」
先程の助けた男の仲間なのだろう。小さい緑色の髪をした少年がそう尋ねていた。
「だ……大丈夫っす。そこのキリトさんが助けてくれたっすので」
「そうか。キリトさん、といったかな。ラウルを助けてくれてありがとう」
「いやどうってことないさ」
俺はそう答えた。もともと、ここまで来るのにダメージを全然受けていない。そして先程の攻撃は全く受けなかった。被害は無いのだがらよいだろう。
「うわー真っ黒。ラウルを助けてくれてありがとねん」
その後を追いかけてきた、褐色の肌に漆黒の髪を携えた元気ハツラツな少女はそう言ってきた。
「どういたしまして」
そしてその少女は不思議そうに、「真っ黒くん、聞いちゃいけないとわかってるんだけど君何レベ?だって隊長よりも早かったし。気になってさ」
俺はそのくらいの情報な良いだろうと、真実を口にした。否、しようとした。
「俺のレベルか?俺のレベルは9zy」
「レベル9〜〜ぅうううううううううううううう?」
少女はこれ以上ないと言う音に叫んだ。
この後、炎に追いかけられたとき以来、ここに送り出したあいつに殺意をめちゃくちゃ覚えるのだった。
fateは完全にネタです。あれ見てずっと思ってたんですよね。
あとヒロイン募集の中間発表です。
アイズ 4
エイナ 1
リヴェリア1
ヒロインなし 1
9/9修整しました。ご迷惑おかけしてすみません。
ヒロインを募集しています。活動報告欄にヒロインの名前をお願いいたします。
感想と評価ももちろんお願いします。