オーバーロード~至高の人形使いと自動人形~   作:丸大豆

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※今回は前半パートにモモンガさん視点あり


四話

俺から見た彼の第一印象は「消えてしまいそう」だった―――――

 

 

異形種狩り、という名のPKが視界に入って俺はため息を吐く。

自分もかつて何度もやられたがアレは決して気分の良い物では無い。

PKをする側はまるで自分達が“正義の味方”であるかのように振舞って攻撃してくるという

最悪な行為だ。

 

事実、今回も初級種族である《夜魔(ナイト・ストーカー)》一人に対して三人掛かりで罵声を浴びせながら

追いかけまわしている様子が確認できた。

 

「逃げてんじゃねーよ、化け物のくせに」

 

「俺達の正義の刃に前に倒れるがいい!」

 

「さっさとくたばれ、異形種が」

 

追いつめられた獲物はかつての自分と同じ様にこのゲームに嫌気が差してしまった雰囲気を

纏い………いや、違う。

それを上回る虚無感と言えば良いか、全てがどうでもよくなって「消えてしまいそう」に見えた。

 

アバター越しなのに自然とそう感じた俺は気が付けば今まさに止めを刺そうとしていた一人に魔法を放つ。

 

「〈火球(ファイヤーボール)〉」

 

「うわぁ! 何だ!」

 

「だ、誰がやった!?」

 

突如、燃やされた仲間を見て慌てふためく残りの二人に対して俺は冷酷に言い放つ。

 

「この程度で死ぬとは……弱者を狙う訳だ。 下種共が」

 

「な、何だよコイツ……」

 

「おい、逃げようぜ! この骸骨きっとアインズ・ウール・ゴウンの―――」

 

その言葉を最後まで言えずにPKを愉しんでいた連中はより大きな力を持つ者に殲滅された。

 

 

後に残ったのは助けた者と助けられた者の二人のみ。

「大丈夫でしたか」と声を掛けると助けられた者は助けた者をじっと見てこう言った―――――

 

「何だこの骨人間は!?」

 

「えぇー……………」

 

 

 

――――――――――

 

 

現在 第六階層 アンフィテアトルム―――――

 

 

「無い筈の胃が痛い……」

 

「今、モモンガさんマジで骨だけですもんね」

 

俺の独り言に言葉を返したのは隣に控える今回の異変に共に巻き込まれた

アインズ・ウール・ゴウンのメンバーの一人、【人形使い(ドールマスター)】のソウソウさんだ。

いや、そう感じるのはアナタの所為でもありますからね!

 

理由はこうだ。

先程来た第一~三階層守護者〈シャルティア・ブラッドフォールン〉が第六階層守護者のアウラと喧嘩を始め、続いて来た第五階層守護者〈コキュートス〉が二人を止めようとしたが聞く耳持たず、仕方が無いからソウソウさんにお願いしたら「ギルマスの、カッコイイとこ、見てみたい」とか無茶振りされたのでやむを得ず自分の一番低い作り声でようやく喧嘩を収めさせたからだ。

 

本当にこの人は最初に会った時から本心を掴ませない喋り方をするから正直、疲れる。

けれど決して冷たいと言う訳ではなく、メンバーが喧嘩した時には相手に不快感を与えないように上手に立ち回って事態を収拾する器用さを持ち合わせていたので皆からは一定の信頼があった。

 

「……だから、タブラさんとガチ喧嘩した時は本気で焦ったなぁ…」

 

「ひょっとして、昔の話ですか? あの時はペロロンチーノさんにも迷惑かけちゃって

ホント……申し訳無かったなー」

 

コレである。 この飄々とした感じが俺からすれば未だに慣れない……別に嫌な訳じゃないけど。

サービス終了間際に語ってくれた言葉で泣けてきたのはギルマスに相応しいという

賛辞もあったけど、何よりソウソウさんの本気の思いをようやく感じられたからだ。

今までの突拍子の無い発言も全て本音であった可能性を否定できないのが彼の恐ろしい所だが…。

 

その掴み所の無さは確実に(マキナ)にも受け継がれてる。

絶対、親子って単語に違和感無いからあの二人! 主に絡み辛さが!!

 

俺のそんな思考はアルベドと第七階層守護者〈デミウルゴス〉が現れた事によって中断される。

 

 

 

――――――――――

 

 

モモンガさん、疲れてるな…。 何となくだけど雰囲気で分かってきた。

でもギルマスである以上、部下を叱るって役目はしっかり全うして貰わなければ。

ただでさえ遠慮がちで優しい人柄なんだし、ある程度の厳しさを持って皆の前に立って欲しい。

勿論、ヤバいと思ったら僕も助け船を出す気は満々だけど。

 

僕がそう考えているとデミウルゴスを引き連れたアルベドが闘技場に到着した。

 

「皆さんお待たせしてして申し訳ありませんね。

そしてソウソウ様、久方振りの御帰還、お喜び申し上げます」

 

「本当に久しぶりだね、デミウルゴス。 僕も君に再び会えてとても嬉しいよ」

 

その言葉に「何と勿体無い御言葉!」と深くお辞儀をするデミウルゴス。

本当に様になっている所作、というか僕よりきっちりスーツを着こなしてるから単純に格好良い。

スーツと言えば彼の製作者のウルベルト・アレイン・オードルさんが

 

『何? スーツを作る? なら男だろ、黒に染まれよ!』

 

『参考になりました。 白黒のスーツにします』

 

こんなやりとりも今は懐かしい……。

というか、あの時のウルベルトさんの「おい、マジかよ」って反応は今でもクスッっと来る。

あの人の厨二病発言は僕の創作魂によく火を点けてくれたなぁ。

 

僕が昔を懐かしんでいるとふと、人数が足りない事に気付く。

 

「……後、二人足りないな」

 

「大丈夫ですよ、ソウソウさん。 今回はあくまで顔見せなので残りの二人には後で会いに行きましょう」

 

モモンガさんの発言に納得しているとその言葉を合図としたのかアルベドが僕等に話しかけてくる。

 

「モモンガ様、ソウソウ様。 これより我等、守護者一同による忠誠の儀を

御二方に捧げたいのですが許可を頂けますでしょうか?」

 

忠誠の儀…? 何それ? 

僕はモモンガさんに「どうします?」という目線を向ける。 

それを受けたモモンガさんは精一杯の作り声でアルベドに許可を出す。

 

「うむ、構わん」

 

「では皆、至高の御二方に忠誠の儀を」

 

するとマキナを含めた守護者達が一斉にその言葉に頷き、僕等から少し離れた位置に移動して、

アルベドを前に立てる形で横一列に並んで跪く。

その空気はこれから始まる事が決して遊び等では無い事が感じられた。

 

「第一、第二、第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン、御身の前に」

 

「第五階層守護者、コキュートス、御身ノ前ニ」

 

「第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ、御身の前に」

 

「お、同じく、第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ、お、御身の前に」

 

「第七階層守護者、デミウルゴス、御身の前に」

 

「第九階層人形工房領域守護者、マキナ・オルトス、御身の前に」

 

「守護者統括、アルベド、御身の前に。 第四階層守護者ガルガンチュア及び第八階層守護者

ヴィクティムを除き、各階層守護者、至高の御方の治める領域守護者、御二方に平伏し奉る。

……ご命令を、至高なる御二方よ…。 我等の忠義全てを御身の為に捧げます」

 

 

……………泣けてきた。 ゴメン、嘘。 どうやらこの眼は涙腺が実装されて無いらしい。

でも凄い感動した!! 何なんだろうこの心がジーンと来る感じ!!

昔、姉が自分の息子の初お遊戯会を見て「まさか、ここまで泣くとは思わなかった」

と発言してたけどようやく、その時の気持ちを理解出来た!!!

うおぉぉぉ、ヤバいなコレ。 

「この光景、写真撮って自室に置いて良いですか?」って訊こうとしたら我らがギルマスは―――

 

〈絶望のオーラ〉を出していた。

 

 

 

「アーッハハハハハッハハハッハハハハ!!!」

 

思わず爆笑しちゃったよ。

しかも人形のアゴ部分をカタカタ動かすというホラー演出付きで。

そんな感情の昂ぶりも例の抑制効果のお陰で一気に沈静化する。

 

 

「「「…………………」」」

 

 

ヤバい……モモンガさんを含めた守護者の皆が完全に固まってしまった。

イヤイヤ、だって何でモモンガさんテンパってスキル使っちゃってるんだよ。 

卑怯過ぎるって、こんなん絶対笑うって。

まさか火炎放射する為のギミックが笑いと連動するとは思わなかった。 

最悪な発見の仕方じゃないか……。

 

僕は気を取り直して慎重に、しかし大仰に発言する。

 

「何と素晴らしい! 君達守護者の忠誠、僕はいたく感動した!!

それはこのナザリック地下大墳墓の主、モモンガさんも同じだ!!!」

 

「ですよね!?」という僕の視線にモモンガさんは慌てて返答する。

 

「う、うむ! 皆、面を上げよ」

 

モモンガさんの言葉で守護者達は顔を上げ、「自分達に何か落ち度があったのでは?」

という不安の表情が安堵のものへと変わる。

済まぬ、済まぬ皆………丸太があったら頭を潰されたい気持ちだよ…。

 

「では皆……よくぞ集まってくれた。 感謝するぞ」

 

「そのような御言葉……我等全員、この身全てが至高の方々の為に存在しております。

感謝など必要はありません」

 

モモンガさんの言葉にアルベドは恭しく首を垂れる。

よし、軌道修正完了。 ありがとうギルマス! サンキューモッモ!!

 

「見事だ! お前達であれば私とソウソウさんの考えを十分に理解し、

塵芥の失敗も無く事を進められると今! 私は確信した!!」

 

「皆、僕等はこれから君達の為にその力を揮うと誓おう! ならば君達が僕等にすべき事とは何だい!?」

 

「「「この血、この肉、この骨、この魂、全てを至高の方々に捧げる事を誓います!」」」

 

凄いな皆……息ピッタリなんですけど…。 何? 打ち合わせでもした?

隣にいるモモンガさんは滅茶苦茶、喜びに震えてる。

いや、僕も同じだけどね。 凄い髪が震えているのが分かるから。

メンバーの子供達とも呼べる存在にここまで言ってもらえるなんて嬉しくて前の体なら絶対に泣いてたよ。

 

僕等二人が感動に打ち震える中、探索を終えたセバスが戻って来て報告をしてくれたのだが、

その内容を聞いて一気にその喜びは霧散した。

 

 

それはこのナザリック地下大墳墓の周りがユグドラシル時代の毒の沼地では無く、

平坦な草原に変わってしまっていて、空には天空城等の姿も確認できない。

つまりこの状況は大昔から創作の世界で語られてきた「異世界に来てしまった」という事実を

受け入れざるを得ないという事だ。

ニグレドの所で見た村の虐殺風景を見て「まさかな」という思いはあったが、

いざ実際に他人の口から聞かされると流石にショックだ……。

 

ついでに僕が来るまで眠っていたマキナを除いた守護者全員から此処に来る以前に何か異変があったかをモモンガさんと共にそれとなく訊いてみたのだが、返って来た言葉は全員が「異常なし」との事だ。

現時点では情報が少なすぎて下手に考えない方がむしろ良い方に働くのかもしれないな…。

 

「それで、ソウソウさん。 ニグレドの探知魔法で分かった事を皆に教えて貰っても良いですか?」

 

「……えぇ、そうですね。 皆、僕の話を聞いて欲しい」

 

すると皆、僕からの話を一言一句聞き洩らさないと言わんばかりの真剣な表情になる。

情報が死活問題となっているモモンガさんはともかく皆はそこまで気合い入れなくて良いんだよ…?

 

「セバスの報告によって、この近くに知的生命体、及び人工物は確認できなかったが

ニグレドのお陰で此処よりかなり離れた場所に人間の集落を発見する事が出来た」

 

「この状況でニグレドに探知をお命じになるとは流石でございます、ソウソウ様。

では宜しければ早速、私の配下を使ってその内の何人かを連れて来ても?」

 

「僕としても話を聞きたい所だったんだけど、残念ながらその気遣いは要らないよ、

デミウルゴス。 何故ならその集落はもう、何者かの手によって壊滅させられた後の様だからね。」

 

「何と! ソウソウ様の次の御言葉を待たずに不用意な進言をしてしまった私をお許しください」

 

デミウルゴスはショックを受けた様に頭を下げたけど、それは村が滅ぼされたという事よりも

早とちりをしてしまった事に対してに見えた。

周りを見るとセバスを除く他の皆も人が殺されたという事実にさほど興味を抱いていない様子だ。

まぁ実際、他人事な訳だしその反応も仕方ないか。

 

………? 何だろう、今の自分の考えに何か違和感があったぞ……?

 

「此処からかなり離れてしまっている、とは言いましたがソウソウさん。

我々がその集落を壊滅させた襲撃者に発見されるという可能性もあるのでは?」

 

「そこの裏取りもニグレドから確認済みです。 彼女の能力と判断を僕は高く評価していますのでまず、間違い無いかと」

 

僕の言葉にアルベドは腰辺りから生えている羽をフルフルと震わせて喜びに満ちた表情をしている。

やっぱり、姉を褒められるのは嬉しいんだろうな、微笑ましい。

逆に娘であるマキナは嫉妬からか無表情で神器級アイテムをユラユラと動かしている。

恐いんだよ! 地上最強の生物か!! 恐怖公ダッシュで逃げたい気分だよ!!!

 

その後は今後のナザリック防衛の為に何をすべきかをアルベドや数名の守護者を交えた話し合いである程度形になり、そろそろ解散かなと思ったら、モモンガさんがおもむろに口を開く。

 

「最後にお前達。 私とソウソウさんはお前達にとってどのような存在だ?」

 

あぁ……成程、これからどういう形で皆と関わっていけば良いのか折角だから訊こうってワケか。

僕も結構……いや、正直かなり興味はある。

 

「モモンガ様はこの世界で最も美しい、まさしく美の結晶。 その白き御身体と比べては世にある全ての宝石も色褪せて見える事でしょう。

ソウソウ様はまごう事無きこの世界唯一の美の創造者。 ですが、どの創造物にその身を御隠しになられても隠しきれないその黄金に輝く瞳と漆黒の御髪こそが最大の美であります」

 

「モモンガ様ハ守護者各員ヨリモ強者デアリ、コノナザリック地下大墳墓ノ支配者ニ相応シキ御方。

ソウソウ様ガ御造リニナラレタ人形ハ正ニナザリックノ矛ト盾、御自ラノ膂力ト合ワセテ惚レ惚レ致シマス」

 

「モモンガ様は慈悲深くて深い配慮に優れた御方。 ソウソウ様は深い見識を持った温かい御方です」

 

「モモンガ様はす、凄く優しい方で、ソウソウ様はと、とっても安心する方です」

 

「モモンガ様は賢明な判断力、それを即座に実行に移す行動力を有された正に端倪すべからざる御方。

ソウソウ様はその深遠なる知識でモモンガ様を補佐し、まさしく至高というべき作品をこの世界に数多く残し続ける素晴らしき御方です」

 

「モモンガ様はお父様がこの世で唯一、御認めになられた至高の方々の頂点に君臨される御方。

お父様は私を創造し、深い慈しみを与えてくださる私のこの身全てで守護すべき御方です」

 

「モモンガ様は至高の方々の総括にして最後まで我々を見捨てなかった慈悲深き御方。

そしてソウソウ様は御姿を見せた際には必ず我々全員の様子を確認し、

そして今帰って来られたモモンガ様と変わらぬ慈悲を持つ御方です」

 

セバスの発言にモモンガさんが「そうだったんですか!?」って目を向けてくる。

マキナを連れ歩かない時は基本的にそういう行動を取ってたけど、セバス勘弁してよ…。

橋の下に居た猫に餌をあげてた所を翌日、クラス中にばらされた時の事を思い出しちゃうから。

 

そしてアルベドの言葉で守護者達の僕等に対する人物評は締めくくられた。

 

「ソウソウ様は至高の方々の統括であるモモンガ様を必ずと言って良いほど立て、私ども守護者の心を見抜いて適切な判断と行動をなさる素晴らしき御方。

そしてモモンガ様はそのソウソウ様の献身に相応しき私どもの最高の主人。

そして私の愛する御方です」

 

あれれ~、おかしいぞ~……。

皆が僕等に対して「イヤ、持ち上げ過ぎでしょ」って気持ちはある、確かにあるけどそれ以上に

モモンガさんに対するアルベドの発言が異常と思える位に熱っぽいのが凄い違和感ある。

僕もアルベドのめっちゃ長い設定に目を通した事はあるけど、あそこまで個人に対して

執着するなんて記述は何処にもなかった筈だ。

 

「僕の献身に相応しき皆の最高の御主人様……アルベドがこうなった原因に心当たりあります?」

 

「スイマセンスイマセンスイマセン、後で必ず説明します……」

 

僕の確信を持った質問に対してギルマスはその肩書に似合わない位に縮こまってしまった。

やっぱりだー、やっぱりこの人なんかやらかしてたわー、あーもう(設定が)めちゃくちゃだよー。

 

……ともかく! これで皆が僕とモモンガさんをどう思っているかは分かった。

ちょっと所では無く、かなり過大評価してくれてるみたいだけど彼等の期待に応えつつ、今後は

実はそうでもないんだよって実情をマイルドな形で理解して貰えるようにソウソウ、頑張ります!

 

「それじゃ、僕はモモンガさんの部屋で彼と今後の事について話し合うから……アルベド、

守護者の皆に指示をお願い。 マキナを宜しくね」

 

「畏まりました。 ソウソウ様」

 

僕の発言に肩をビクッと揺らす至高の方々の頂点。

えぇい、往生際が悪いぞこの骸骨! いや、骸骨だからもうとっくに往生してるんだろうけど。

 

「別に……どんな内容でも引いたりしませんよ。 だってモモンガさんは“仲間”なんですから」

 

「………ソウソウさん」

 

 

 

――――――――――

 

僕から見た彼の第一印象は「消えてしまいそうなのに踏ん張っている」だった―――――

 

 

「本当に今日が初めてのログインだったんですね……」

 

「ええ、ビックリしました。 此処だと“ああいうの”が当たり前なんですか?」

 

「皆が皆そういう訳でも無いんですけど……その、良かったら私の所属するギルドに入りませんか?」

 

何でこの人は初心者の僕をここまで気に掛けるのか正直、分からなかった。

見た所格好が凄く強そうだし、僕が入っても足手まといにしかならないと思うけど。

 

「実は私も昔、アナタみたいな目に遭ってこのゲームを辞めようと思っていたんですが、助けてくれた人が居たんです。 その人と一緒に非道な連中を懲らしめようと作ったギルドだったので、出来ればアナタの様な方にこそ入って欲しいと言うか……」

 

この人は僕とは違う。

現実でも仮想空間でも理不尽な目に遭って僕はハッキリ言って本当に全てがどうでも良くなっていた。

でもこの人は似たような目に遭っても、「消えてしまいそうなのに踏ん張っている」そんな強さを持っているんだという事が心でハッキリと感じられた。

 

「でしたら……お話だけでも聞いてみる事にします」

 

「そうですか! その姿で社会人であるなら問題無いですが、実は裏条件がありまして」

 

「裏条件?」

 

「きっと大丈夫ですよ! 皆、アナタの事を“仲間”だって認めてくれます!」

 

「……“仲間”ですか。 その……正直、恐くもありますが…楽しみですね」

 

「はい! そう言えばお名前を伺ってませんでしたが…ちなみに私はモモンガです」

 

カタカナだった彼のHNを見て、僕は漢字だった自分のHN「操創」を直して自己紹介する。

 

「僕はソウソウです。 ギルドに入れても入れなくても、今後とも宜しくお願いします、モモンガさん」

 




今回モモンガさん視点を入れたのは「モモンガさんはソウソウの事どう思ってんの?」って所を伝えたかったからです。
ソウソウはモノローグでは笑ったり、悲しんだり、凹んだりしてますが台詞だけ見ると本編のモモンガさん以上に分かり辛い人柄なので本編主人公より勘違いされがちなキャラってコンセプトで書いてます。

マキナを加えた守護者達の絡み、書いてみたいけど頭の中だけで終わらせるか現在、考え中です。

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