「―――何者だお前達は? ストロノーフを何処へやった!?」
「村の中に転移させましたが、それが何か?」
「冗談を言うな!! その様な事が出来るわけ………」
「まったく、先程からお前と戦士長の会話を聞いていたのだが……本当に良い度胸をしているな」
「なっ…!?」
取り敢えず最初はこの世界の宗教体系と魔法の関連性を尋ねていたのだが、陽光聖典の隊長さんはこちらの質問には答えず、高圧的な態度で質問返しをして来たので、アインズさんは苛立ってきたのか、さっさと本題に入る事にした。
正直な話、僕もアルベドも彼の態度の悪さに「ボス、コイツさっさと殺っちゃいましょうよ」という気分になってきたしね。 仕方ないね。
ちなみに僕はもう、先程の人形〈スクルィヴァーチ・マトリョーシカ〉を仕舞っている。
コイツ等程度には必要が無いと判断したからだ。
「お前達はこのアインズ・ウール・ゴウンが手間を掛けてまで救った村人を殺すと言っていたな……不快だ……実に、不快」
「しかも、君達は僕等の大切な家族に深い悲しみを与えたんだ……ただで済むと思うなよ、屑共」
急に口調と雰囲気を変えた僕等に圧倒されている陽光聖典の連中とは別に、後ろに控えていたアルベドは僕の言葉で何かに気付いたのかハッとなり、僕に対して深く頭を垂れる。
やっぱり彼女は察しが良い……僕等に対する評価を除けば、だけど。
「……ず、随分と大きな口を叩くものだな貴様等…で、だからどうした?」
「先程の取引の話だが、内容は抵抗する事無く命を差し出せ、そうすれば痛み無く死を与えよう。 抵抗すれば……」
「君達にとって生きるという事がこの世で最大の苦痛である、という事を僕等が嫌と言うほど実感させてあげるよ」
僕達はその言葉と共に互いに一歩踏み出す。
その行動に陽光聖典の全員が逆に一歩下がり、顔には怯えの色が滲み出ていた。
「て、天使達を突撃させよ! こちらに近づけさせるな!!」
隊長さんの半ば悲鳴の様な号令で僕等2人にそれぞれ2体ずつ第三階位、〈
僕はその内の3体を力任せに殴り、蹴り、口からの火炎放射で消滅させ、残りの1体の背中に五指から出した繰り糸を接続する。
「―――〈
使用者より低ランクの召喚モンスターを自身の操り人形にするという、人形使いのスキルによって天使は少しの間痙攣した後、僕の意のままに動くシモベと化した。
「なっ!? 口から火を吹い…いや、そんな事よりも、天使の支配権を奪う……こんな事が…」
隊長さんは随分と驚いてる様だが、この世界にはこの技術は無い、もしくは珍しいのだろうか? 後でじっくりと訊いてみたい所だ。
「ソウソウさんのそのスキル…久々に見ましたね。 しかし、私の分は片付けなくても良かったのですが?」
「アインズさん、攻撃を食らう気だったでしょ? 大丈夫だっていうのは分かってますけど、心配になりますって。 ね、アルベド?」
「ソウソウ様の仰る通りです。 たとえ無傷であろうとも、その至高の御身に下賤な剣を突き立てられる事を容認できる者などおりません!」
「……は、はい(二人とも俺に対して過保護過ぎやしないか…?)」
「ぜ、全天使で攻撃を仕掛けろ!! 急げ!!!」
僕等のほのぼのとした会話を好機と見たのか残りの40体近い天使達が一斉にこちらに向って来る。
僕は人形使いのセオリー通り、操った天使を自分達よりも離れた位置に配置した。
どれ、繰り手の差ってヤツを教えてやるか。
「二人とも、下がって。 来なよ、ジャンク共」
僕が片手で操る天使は一撃で3体の同族を斬り捨て、攻撃を躱して同士討ちを狙い、こちらに近づくヤツは消えかけの1体を投げて破壊し、気付けばその数を半数以下まで減らしていた。
「アインズさん。 このままでも余裕ですけど、残りは派手に決めても良いですか?」
「構いませんよ。 力の差を見せつけてあげて下さい」
彼の了承を得た僕は即席人形を天使の群れに突っ込ませる。
そして安全装置代わりの繰り糸を外すと―――――
パパパンッ!!
操作していた物も含めて、僕等を狙う残りの天使達全てが跡形も無く“破裂”した。
その様子を目の当たりにし、陽光聖典の皆さんは開いた口が塞がらない様子だ。
「……あ? あり……えない……」
「
「我々からすればこういった戦法は基本中の基本なのだが……。 さて、今更だがお前達はこちらの提案を拒絶した、という認識で良いのかな? ならば……」
「「「うわぁぁああぁあぁあああ!!!!!」」」
アインズさんが次の言葉を告げる前に半ば狂乱状態に陥った敵さんが自身の得意であろう魔法を雨あられとこちらに打ち付けて来た。
「ソウソウさん、今度は守らなくても良いですからね」
「分かりました。 しかし……僕にすら届かない弱さとは言え、ユグドラシルで見た事がある魔法ばかりですね」
「ええ。 この魔法を教えたのがスレイン法国の者か、それとも“プレイヤー”か……奴等に訊くべき事がどんどん増えてきた、と言った所でしょうか」
魔法の豪雨を受けても平然と会話をしている僕等を見て、隊長さんの顔色はもう真っ青になっている。
―――――ヤバいな…。
「―――おぼぉあ!」
汚らしい声が聞こえたので何事かと振り返って見ると、どうやらパニックを起こして鉄のスリングを投げつけて来たヤツがアルベドのスキルで跳ね返されて絶命していた様だ。
「いやー、ごめんねー。 僕達の部下が君達の仲間を殺しちゃって」
「アルベド……私達があの程度の飛び道具で傷つく事は無い事は承知している筈だ。 わざわざお前が……」
「お待ちください、アインズ様。 至高の御身と戦うというのにあのような程度の低い飛礫……御二人に触れる価値すらありません」
「ふふふっ。 アルベド……勘違いしちゃいけないよ」
「はっはっ。 ソウソウさんの言うとおりだ。 アルベドよ、これは戦いなどでは無いぞ。 これは………」
「「“遊び”だ(よ)」」
「――っ!! プ! 〈
僕とアインズさんのお遊び宣言に対し、隊長さんは今まで待機させていた自軍の防御能力を引き上げる効果を持つ監視の権天使をこちらに差し向けて来た。
アレ、動かすと効果が消えるのに……完全に余裕無くなってきてるなぁ。
「そろそろ次は私の番だな。 ソウソウさん、アルベド、手は出さない様に」
その指示で僕等は後ろに下がる。
さてさて、ギルマスのかっこいい所、見せて貰おうか。
「別に攻撃を受けても問題は無いが……二人が心配するので一撃でいこうか。 〈
彼の詠唱で現れたのはポツンという言葉が似合う小さな火。
ユラユラと漂っていたソレは天使の体に付着するとゴウッと天にすら届く勢いで燃え上がり、一瞬で目標を消滅させた。
「い、一撃……? ば、馬鹿な…あ、ありえ…ない…」
「うぉー、お見事。 どこぞの大魔王みたいで格好良いですよ、アインズさん」
「まさしく覇王に相応しい圧倒的な御力……流石はアインズ様で御座います!」
僕とアルベドの素直な賛辞にそっぽを向いて、頭をポリポリと掻く仕草をするアインズさん。
照れてるな……中身は骨なのにちょっと可愛らしいと思ってしまったじゃないか。
「な、何なんだ貴様等は!? 我々の天使を逆に操り、事も無げに一瞬で滅ぼす……そんな存在が今まで無名だったなどあり得ない!! アインズ・ウール・ゴウン、ソウソウ、貴様等の本当の名を言え!!!」
「やれやれ……お前達の無知にはもう、呆れ果てて物も言えんよ」
「僕等の名前は決して偽りなんかじゃ無い。 君達程度には理解出来ないだろうけどね」
望んでいた答えじゃなかったのか、それとも僕等が自分達の手には負えない存在だと今更気付いたのか、隊長さんの顔は完全に血の気を失っている。
―――――耐えろ…耐えるんだ。
「お前達! 最高位天使を召喚する!! 時間を稼げ!!!」
彼は怯えきっている部下達に激を飛ばし、震える手で懐からクリスタルを取り出す。
……あれってひょっとして〈魔封じの水晶〉? それで最高位天使と言うのなら……
「アインズさん、今の内に仕留めますか?」
「いえ、手の内を全て見てからです。 アルベド、スキルを使って私達を守れ」
「なら、奥の手の一体を出します。 アルベド、防御はアインズさんと自分だけに集中して!!」
「なっ!? ソウソウ様、それでは……」
「早くしろ!! 君にもしもの事があったら僕がタブラさんに顔向けできないんだ!!!」
「―――っ! 畏まり…ました」
彼女の返事を聞き終え、僕は虎の子の人形を召喚(よ)び出す。
「出で座せい、〈アリヴィエイト・ゴウランド〉!!!」
召喚ゲートを通し、両手の指から出す繰り糸も一本が百の髪を束ねた全力操作仕様で無ければ完全には扱えない神器級の人形、〈アリヴィエイト・ゴウランド〉。
服装は深紅のローブをその身に纏った全長15メートルの細身の男性型で、首の長さがその内の2メートルを占め、その上に乗っている頭部は遊園地で見る巨大なメリーゴーランドの2倍の大きさの物がそのまま乗っているというデザインになっている。
その能力は頭部の本来設置されている馬や馬車代わりの魔獣や拷問器具に内蔵された全ての属性に対する“軽減効果”によってどんな攻撃であろうとも10分の1まで指定対象のダメージを抑える事が出来る。
それは例え即死魔法であっても例外では無く、成功したとしてもその際に受けた残りHPの10分の1しかダメージを与える事が出来ない。
ギルドのメインタンクの一人、ぶくぶく茶釜さんのサポート用に開発した僕の傑作の一つだ。
「来い……二人は絶対に傷付けさせない」
僕はその宣言と共に隊長が呼び出し終えた“最高位天使”に向き合う。 その姿は―――――
「こ、これが最高位天使……? この程度の物が私達に対する最大の切札……なの、か?」
ギルマスの気の抜けた声も仕方が無い……コレは“第七階位”の〈
恥ずかしいぃ……二人に格好付けちゃった手前、今…すっごく、恥ずかしいぃぃぃ………。
どうせ向こうに居る隊長さんもこの程度のヤツ召喚(よ)び出してドヤ顔決めてんでしょ?
その顔を確認する為に僕は彼の方に視線を移す。 その表情は―――――
「な……何…だ…? しょ、しょ…しょの…化け物…は?」
僕の人形を目の当たりにして目は飛び出さんばかりに見開き、口をだらしなく開け、涎と鼻水まで出ていた。
―――――ブツン!
「ギャーッハッハッハッハハッハハハーヒャーッハハッハハハハッハッハハハッハハハハ!!!」
駄目だ! 限界だ!! もう我慢できない!!!
この隊長さんの顔芸が面白過ぎてずっと我慢してたのに、その顔はズル過ぎだろ!!!
アインズさんの絶望オーラ以上の笑いを僕に提供して来やがった!!! スレイン法国ぅ!!!
「「「あ……あぁ………あぁぁ………あぁぁぁぁぁ…」」」
「そ、ソウソウさん……?」
「ソウソウ……様?」
「―――――……ふぅ」
感情が平坦化して周囲の状況を確認すると、聖典の皆さんは僕の大爆笑に恐怖で動けず、アインズさんとアルベドは闘技場の件を超えるドン引き具合。
……やっちまったなぁ。 ヤバいよ、ヤバいよコレ……どうやって切り抜けよう?
僕が下を向き、少しの間、思案して出した答えは―――――
「この脳味噌ジャンク共がッ!! 僕等を馬鹿にしているのかッッ!?」
―――――“八つ当たり”だ。
僕は召喚(よ)び出した人形を繰り糸で攻撃用に起動させた。
すると、頭部のメリーゴーランドは精神が不安定になりそうな子守唄を辺りに響かせながら回転を始める。
「この程度の存在で僕の大切な家族を傷つけようなんて……」
言葉の勢いに任せて伸縮式になっている人形の腕を伸ばして召喚された天使を掴み―――――
ギャリギャリギャリギャリギャリ!!!!!
メリーゴーランドの底部分の回転刃となっている攻撃機構に突っ込んだ後―――――
ボドボドボドボドボド!!!!!
魔獣の口と拷問器具からバラバラにした天使の残骸を吐き出し、それらは光へと変わった。
「恥を知れッ!! 身の程知らずがぁッッッ!!!」
ハイ、僕「ブチ切れましたよー」って演技しましたよ。 実際、かなりイラついてたし。
アインズさん、後は頼みます。 ホント……お願いします、マジで…。
僕が途方に暮れていると突如空間が割れ、それは瞬く間に元に戻った。
それによって我らがギルマスは気を取り直し、隊長さんに今の現象の説明を始める。
サンキュー……サンキュー、ホッネ!
「………ふむ…どうやら、お前を監視していた者が居た様だが、効果範囲内に私が居たお陰で対情報系魔法の攻性防壁が起動したようだ」
「つまり、僕等の情報は大して覗かれて無いって事だよ。 分かった?」
「ソウソウさん……(ホッ)。 しかし、覗き見されるというのも気分が悪い。 これならばより上位の攻撃魔法と連動するように準備しておくべきだったな」
普通のテンションで僕が会話に参加して来たので明らかに安堵の雰囲気を纏ったアインズさん。
…え? ちょっと待って? ひょっとしてギルマス、僕が本当に怒ってたって勘違いしてる?
「……ですね。 なら、遊びはここまでって事で」
隊長さんは僕等の言葉にもう、どう足掻いても助からない事を悟ったのか涙を堪えて震えている。
やっべ、また笑いそう。 その顔ホントにやめろ。
「ちょ、ま、待って欲しい! アインズ・ウール・ゴウン殿……様!! ソウソウ様!! 取引を! 私たち……私だけで構いません!! 命を助けて下さるのならば、お、御二人の望む物を望むだけご用意します!!!」
あーあ、そういう事言うなよ…。 部下の皆さん絶望しきった顔しているじゃないか…。
それにアインズさんはともかく、僕が欲しい物は君を最初に見た時から既に決めてるんだよ。
「……アルベド、説明してあげて」
「はっ! ……貴方は至高の御二人の慈悲深きご提案を自ら拒否しておきながら醜く命乞いをしているのだけれど、その様な不遜が許されるとでも思っていたのかしら?」
「そ、それは! 大変申し訳なく……」
「その上本来であればお声を決して荒げる事の無い、お優しく、穏やかな御心を持つソウソウ様をあれ程激昂させてしまうなんて……最早、貴方に残された道など一つしか無いのだと知りなさい」
イヤ……ね? 言うほど怒ってないからね? ちゃんと僕の御心を分かってよ。 ね?
「ナザリックにおける生殺与奪の権を持つ至高の御二人に死ねと言われれば、下等生物である貴方達人間は喜んで跪き、命を奪われる時を感謝しながら待つべきだったの」
アルベドの言葉を聞き、アインズさんは嫉妬マスクを外してその骸骨フェイスを彼等に晒す。
うんうん。 今の流れ、凄く大物感溢れてて良かったですよ。
「確か……『無駄な足掻きを止め、そこで大人しく横になれ。 せめてもの情けだ』……後は、何と言っていましたかね? ソウソウさん」
「ええ、『苦痛無く殺してやる』でしたね。 でも、この部分は変えるとしましょうか……」
僕等三人の判決を聞いてスレイン法国の特殊部隊、陽光聖典全員が恐怖で悲鳴を上げた。
――――――――――
僕等は捕らえた陽光聖典の皆さんをナザリックに送る事にした。
情報と僕個人で部品(パーツ)も欲しかったしね。
じっくりと時間を掛けて自分達がしでかした事を後悔して貰うとしよう。
ちなみにアインズさんは嫉妬マスクを被り直している。
これから村に戻るからってのは分かるけどさ……ソレ見ると聖夜に一人で作業していた時の事思い出すから正直、勘弁して欲しいんだけど…。
その後、村に戻ってガゼフさん達の様子を見に行ったのだが、体はボロボロでも眼は力強く輝いていて、左手の薬指にある指輪も相まって僕は「うおっ!まぶし!」と視線を逸らしてしまった。
大切な女性を残して逝かなくて良かったね、何て人間的な事も思ってしまう位、この人は魅力に溢れる人間なんだよね。
ガゼフさんは僕等の「陽光聖典は追い払う事しか出来なかった」という嘘に懐疑的な目を向けたが、助けられた事に対する恩義が勝ったのか、それ以上は何も言わない……ありがたいね。
そしてアインズさんと少し話をした後、彼は僕の眼を見てこう言った。
「ソウソウ殿、今の君の眼はとても澄んでいて綺麗だと思える。 今後、先程の様な恐ろしい視線に私達が入らない事を願うばかりだな」
「大丈夫ですよ、戦士長殿。 僕はあなたの様な人を尊敬していますから」
僕の言葉に彼はふっと笑い、別れの言葉を口にしてくれた。 「また会おう」、と。
出来る事なら……次に会う時は彼と戦うなんて事にはならなければ良いんだけどね…。
――――――――――
僕等は村を出て、すっかり暗くなった夜道を三人で歩いている。
「ソウソウさん……格好良かったですよ…その、悪の人形使い、みたいな感じで」
あーーーもう! フォローしなくてもいいって!! ってか思い出させないで!!
アインズさんが“THE悪の魔王”みたいなキャラで通せてたのに僕は何!?
ただの“情緒不安定キャラ”みたいになってるじゃん!!
そもそも本気で怒ってたワケじゃないし!!
あー、泣きたい……泣けないのは分かってるんだけど。
「ソウソウ様……少し、お時間を宜しいでしょうか?」
僕が自己嫌悪でまた心が平常化しそうになる中でアルベドが話しかけて来る。
「……アルベド、どうしたの?」
「今回は姉の所為でその御心を乱された事、姉に代わりまして深くお詫び申し上げます!」
「いや、別にニグレドの所為じゃ……」
「そして、姉の為にその至高の御力を揮って頂きました事、深く…心より感謝申し上げます!」
「………うん」
姉の事を想う妹……“姉妹愛”か。
僕も弟が悪さした時は一緒に謝りに行ったけど、他人がやるとこんなに綺麗に見える物なんだ…。
綺麗な物を見せてくれたんだし、彼女の主人の一人として何か褒美をあげないとね。
「アインズさん。 リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン、今は何人が所持してます?」
「え!? ……今ですと、私、ソウソウさん、アルベド、マーレ、マキナの五名ですね」
「成程…なら、これからは指輪を持っている者がアインズさんと二人っきりの時に“モモンガ呼びできる権利を貰える”……っていうルールにしませんか?」
「―――――っ!? ソウソウ……様」
「……え、何でですか? 理由を訊いても?」
僕の言葉にギルマスは頭にハテナマークを浮かべている。
だからアンタは童貞なんだよ!! ………僕もだけどねッ!!!
「“アインズ・ウール・ゴウン”、これからの事を考えればこの名前は必要ですけど、“モモンガ”も僕からすれば大切な恩人の名前ですからね。 口にしておく機会は必要だと思いまして」
「………ソウソウさんの、言うとおりかもしれませんね。 分かりました、それで行きましょう」
「はい、二票で可決。 それじゃあ、話も終わりましたし…帰りますか。 “家”に」
「ええ、帰りましょう。 “我が家”に」
僕等の後ろでアルベドが深く頭を下げるのを感じながら僕は思う。
「果たしてこの選択は正解だったのか?」と。
それは今後分かる事だろうし、考え過ぎても良い作品は作れないという事は今までの人生で分かりきっているのだから、これ以上悩むのも馬鹿馬鹿しい。
取り敢えず…早くマキナとニグレド、時間があれば恐怖公もだが綺麗な者を見て癒されたいよ…。
ハイ、(ソウソウが)爆笑回でした。
〈
ドロヘドロの林田球さんが描いた漫画版と共に大好きな作品です。
〈アリヴィエイト・ゴウランド〉の元ネタはからくりサーカスのメリーゴーラウンドオルセン。
オルセン! オルセン!! オルセン!!! ようやく出せました。
次回もまた守護者達の勘違いハードル上げが始まりますよー。