2人の教官と最弱の小隊 growth record   作:トランサミン>ω</

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教官たちの真意

「?何をそんなに驚いてるんだよ?予科1年生の時に散々飛行訓練としてやっただろ?」

「そ、そういうことじゃなくて、なんであんたたちみたいな凄い教官がいてそんなレベルの低い練習なんてするのよ?」

「そうだ。この私の実力を試すために、そんな低俗な練習を施すとは……ふざけているのか?」

「あのぅ……、ちゃんと訓練してくださいっ!」

3人はカナタに意見を述べるがカズキが

優しそうな表情でこういった。

「まぁまぁ、とりあえずルールを聞こうよ、そうしたらそんなに簡単な訓練じゃないってわかるからさ」

その言葉に3人は大人しく従いカナタの説明を受けた。

「お前らはミスリル武装で容赦なくカズキを攻撃してよくて、そんでカズキを撃墜することが出来たら終了だ。俺はお前らの実力をちゃんと見ててやるからな

それじゃあ訓練開始な」

カナタは簡潔に説明を終えホウキを操りさらに上空に上がっていった。

「じゃあ俺も逃げるからさ、本気で来てね、じゃないとこの訓練は意味ないからさ」

そう告げるとカズキも飛んでいってしまった。

「なによ、この超初心者訓練っ!あいつら私たちを強くする気あるのかしらっ!」

ミソラが嘆いていると、隣にいたリコが意図を理解したようで

「ふむ……あながち馬鹿でもないかもしれないな彼らは」

「も、もしかすると基礎体力をつける訓練なのではないでしょうか…」

「それにしたって、武器を使っていいなんてなめてるじゃない!3人がかりでさっさととっ捕まえて訓練の意味を吐かせるわよ!」

そういってミソラは魔力を急加速に備え調節する。

レクティもミソラについていこうとするがリコだけは

沈黙したまま動こうとしなかった。

「?なんで動こうとしないのよ」

リコは長い髪をかきあげ答えた。

「ふっ、私はミソラのような凡人と違って実技訓練など疲れることは必要ないのだよ」

そういってまた口論になる。

終いにはミソラが1人でとんでいってしまった。

それに続いてレクティも飛んでいく。

それを見てリコは

「何の策もなしに追いかけるとは愚かな奴らだ」

嘲笑うかのように呟いた。

その様子を上空から見ていたカナタは

「ほんとチームワークない小隊だな」

難しい顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしてミソラがカズキに追いついたり

「なんだ?たった1人で俺を捕まえるきなのか?」

「じゃなきゃここにこないでしょ。ソーサラーフィールドなしで武装使っていいって言ったんだから怪我しても知らないわよ」

「その心配はないよ。当たる気なんてないからさ、それにスタンドプレーなんてカナタみたいだな」

カズキは笑いながらそうくちにする

「か、覚悟しないよっ!あんな裏切り者と一緒にしないでっ!負ける気なんてないから」

そういってミソラはルーンが刻印された指輪

マギスフィアへと魔力を注ぐ。その固有魔力波に反応して大振りの剣が現れる。

「白銀の……魔砲剣、か」

それを見た途端カズキは興味深そうに目を細める。

それは二人を見ているカナタも同じであった。

「覚悟しないよっ!」

そういってミソラはカズキに切りかかる。

しかしカズキは完全に見切っており少し体を捻るだけで躱してしまった。

「惜しいっ!あとちょっとで仕留められたのにっ!」

連続で斬撃を繰り出すミソラだが1発もカズキに当たることはない。カズキも怪訝そうな顔をしている。

「もー!ちょこまかちょこまかとっ!とっとと墜ちなさいよっ!」

ミソラは力の限り大剣を振るうがカズキは簡単に躱して見せる。

すぐ届きそうな斬撃の間合いには2人の圧倒的な力の差が現れていた。

「斬撃が鈍いな、それじゃあ打撃だよ。もっと鋭く切り込めないのか?」

「うっさいわねっ!とっとと墜ちなさいよっ!」

正直、ミソラの剣術はお粗末過ぎて目も当てられない

カズキはカナタに視線を送るがカナタも呆れている

ようだった。

そこでカズキは他の少女たちの実力も知りたいと

ミソラにフェイントをかけることにした。

「ちょっと、あんた逃げるつもり!?」

カズキは速度を6割程度出しミソラから離れていく。

「まちなさいよっ!」

カズキは目を疑った。ミソラが瞬く間に距離をつめ

斬撃を繰り出してきたからだ。

さらに肩で息をしているようだがスタミナもまだあるようでスピードも衰えていない。

「じゃあこれならどうかな」

そういうとカズキの動きが止まる、そしてカズキにミソラの攻撃が通ったと思われたが

「えっ」

カズキの、体をすり抜けてしまった。

「あんな簡単なフェイントにかかるんだ…まぁ幻影魔術はまだ見切れないか。」

そういって遠くからミソラを見ているカズキであった。

そうしてカズキは最初にいた方向をみて他の2人を

探したが当然そこにはいなかった。

だが、すぐそばに人の気配、カズキが気づいて振り向くと、おどおどしながら魔双剣を構え上目遣いでこちらを見る、レクティの姿があった。

おどおどしていて自然体ではないが、カズキにはスキがないように思えた。

「あのぅ…カズキさん…」

「どうしたんだい?かかっておいでよ」

「……い、いきますよっ!カズキさんっ!」

カズキは短剣?のようなものを左手の指輪から展開し

右手に構え対峙した。

その理由は彼女の8双構えそれだけだった。

その構えをみたカズキは光るもの感じた。

レクティがかなりの実力者である可能性が高いと判断したのだ

「どうかしたの?……手でも抜いてるのか?」

「そ、そんなことありませんっ!」

レクティの動きは妙だった。時にはカズキも目をみはるような鋭い攻撃を繰り出すのだが節々がぎこちないような感じがするのだ。

そのぎこちなさがなければ、蝶のように舞い蜂のように刺す流麗な動き演舞のような魔双剣術だった。

「レクティ、魔双剣術ってもしかして…お前…」

そうカズキが呟くとレクティは顔を見上げ顔を真っ赤にして

「そのぅ……、す、すみませんっ!」

謝ってきた。

レクティの謝罪に首を傾げるカズキだが

背後から鋭い殺気を感じ後ろを振り向いた。

レクティカズキが振り向いているのには気付かず

同じところばかりを弱々しく切りつけるだけで

カズキはいとも簡単に受け流している。

振り向いた瞬間リコから強烈な魔力弾が放たれた。

カズキはその魔力弾を躱そうとしてそれをやめた。

「くっそ!」

彼の奥にはリコの魔力弾に漸く気づいてあおざめる

レクティの姿があったらかである。

カズキは咄嗟にレクティをだき抱え短剣?をもう1本

展開しその魔双剣で魔力弾を防いだ。

「くっ……、外したか」

心外がそうな面持ちでリコが近づいてきた。

2弾目を放たないのは実力差を理解したのだろう。

「狙いは悪くなかったよ、でも少し殺気を殺しきれて無かったかな」

そう2人が話しているとカナタがやってきた。

「今の狙撃、打ち合わせしてなかっただろ?」

カナタの問にリコが答える。

「乱雑な動きで所構わず動き回るミソラとちがって

レクティの動きは洗練されている。その動きに合わせたまでだ、女神な私からすれば当然だな」

「お前さ、もう少し同じ小隊の仲間のことを大切にしてやれよ」

レクティは余程怖かったようでカズキの腕のなかで

縮こまっている。

するとミソラがやってきた。

「うわー、ミソラまだ体力残ってたのかよ、俺はもう疲れたしレクティのこともあるからカナタに相手しもらってくれ」

カズキはレクティの頭を撫でながらそう言った。

「な、なんでそんなに残念がるのよっ!あんたより私が強いことを証明してやるんだからっ!」

それからしばらくのあいだ鬼ごっこが続いた。

しかしリコは攻撃せ呆れたような表情を見せカナタも苦笑している。

カズキは依然として怖がったままのレクティを

だき抱えながらミソラから逃げていた。


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