2人の教官と最弱の小隊 growth record 作:トランサミン>ω</
割愛する部分もありますが
ご了承下さい。
「はぁ…ついてねぇなぁ…」
そう言って歩いているのはカナタ・エイジ
ロイヤルガードの元エースであり裏切り者と
称されている。
今日は色々とあったらしく遅れて登校してると、
リノリウムの廊下で話し込む3人から注目された。
先程までの会話は中断され何やらその空間だけが
奇妙な静けさと緊張感を漂わせている。
カナタの存在を認識するとガーディアン本科1年生の
ユーリ・フロストルの瞳に敵意が宿った。
「相変わらずの無責任ぶりですね。もうすぐ4時限目が始まる時間ですよ」
「げっ、もうんか時間だったのかよ?」
「時間さえ守れなくなるとはやっぱり先輩は裏切り者ですロジスティクスの手伝いばかりしているガーディアンの学生などこの学校にはふさわしくありません」
「なんだよ、まだあのこと根に持ってんのか?」
「いえ、考えるのをやめました。先輩の事について考える時間すら惜しいですから」
そうはいってもユーリがあのことを考えなかった日はない。ミストガン最強の小隊が決定する大事なランキング戦当日に、カナタは無断欠席したのだ。さらにそれ以来カナタは小隊活動には参加していなかった。
「やっぱり根にもってんじゃんか」
さらりと逆撫でする様なことを言うカナタにユーリは
かっとなって掴みかかろうとしたが
「こらこらユーリ。カナタにあんまり突っかかっちゃダメだよ」
「そうだぞユーリ、カナタにも色々あるんだ」
そうなる寸前でクロエとカズキに宥められる。
「根に持ってませんに突っかかってません。ただ事実を述べただけです!」
「ほら、そういうところが根に持ってるっていうんだよ」
そう告げられ、ユーリはカナタをきっと睨みつけた。
「そんな睨むなよ考えることはやめたんだろ」
「…………失礼します!」
そういってユーリは震える手を握りしめて足早に去っていってしまった。
クロエがその姿を見送りその後カナタに問い詰める。
「あんな言い方だめだよ。ユーリが怒るに決まってるじゃないの」
「ユーリは感情のコントロールが苦手だからたまには発散させたほうがいいんだよ」
「ユーリはカナタのこと慕って入隊してきたからな、ショックがまだ抜けないんだろさ、それにカナタのこと大好きだからなーあいつ」
カズキがさらっといった爆弾発言はカナタには理解できなかったようだ。
それに続いてクロエが話す
「あの事故のことユーリに話さなくていいの?カナタは私を庇っただけなのに…」
「任務中に負傷したのは、そいつに状況を無傷で切り抜けられるだけの力が無かったってことだろ」
「それでも罪悪感感じちゃうよ…だから2人にいい話を持ってきました!」
「いいはなしって?」
「カナタへの罪悪感はわかるけどなんで俺も?」
「まぁいいから昼休み一緒にガーディアンリーダーの執務室にきてね」
そして昼休み
「失礼します」
クロエに続いてカナタとカズキも入室していく。
そこにはガーディアンリーダーの少女フロン・フラメルの姿があった。
「あんたがカナタ・エイジ。裏切り者の貴方がよく私の前にぬけぬけと顔を出せたわね、それにカズキ・アルカラス貴方も最近小隊活動を休みがちらしいじゃないのしっかりしてちょうだい」
「寧ろ来たくなかったくらいだけど…呼ばれたから来たんだし」
「あはは…耳が痛い…」
「ま、まぁ今日はそんな小言を言うためによんだんじゃないわ、この辞令をうけとりなさい」
そう言われ2人はフロンから書類を受け取る。
その紙に書かれていたことをカズキが読み上げる。
「支給品に出席名簿?それに考課表、プロフィールシート…?これから就く職務がエキスパートって…俺達に教官やれってことですか?」
「まじかよ…」
そういって2人とも眉にシワを寄せる。
「その通りよ、本日の午後からの実技訓練は全て教育に充てなさい、このことはあなた達の小隊長も承認済みよ……担当するのはE―601小隊成績が芳しくなく、ランキング戦全敗の所謂落ちこぼれの集まりよ、苦労は絶えないでしょうが、魔甲蟲と戦えるだけの絶対的な力を持つ空戦魔導士の育成をおねがいね」
「カナタ……これ断れなそうだしやるしかないよ…」
「カズキもそう思うか…しかしなんで俺なんだ…カズキはわかるぞチームのサポートも上手いしな、だが俺はスタンドプレーやらワンマンやら言われてるのに」
「だそうよ?」
「私は知ってるから、訓練のあとユーリの特訓付き合ってあげたりしてたじゃない」
「あぁ、わかったよ…じゃあ行くかカズキ」
「あーカナタ先行っててよ、合流は空でいいかな?」
「あぁ、わかった。資料を見た限りその方が俺も助かる」
「どこへ行くの?」
「E―601小隊室だよ一応教官だからな」
「俺はカナタがやるだろう今日の訓練の準備かな疲れそうだけど」
「まぁ、そういうなって」
そういって2人は執務室を後にしていった。
「本当に大丈夫かしら…」
フロンはやはり心配なようだ。
「大丈夫ですよ、何も出来なかった私をここまで強くしてくれたのはカナタですし、カナタのことを一番わかってるのはカズキだとおもいますから」
「あなたが言うなら信じましょうか」
しかしフロンはやはり2人を教官に据えることに一抹の不安を覚えざる得なかった。、