2人の教官と最弱の小隊 growth record   作:トランサミン>ω</

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はい、今回からタグが二つほど増えましたので確認ください。
過去の話というのは難しいですね。
今回は大きすぎる力について書きたいと思います。


殲滅する剣

「はぁ…はぁ…俺の仲間をよくもやってくれたな…」

 

 

今のカズキの状態を見て大丈夫だという人間はいるだろうか、いやいない。

彼の琥珀色の瞳は完全に据わっており、周囲を飛び交う魔甲蟲をひたすら斬り裂いている。

リミッターの枷が外れたカズキは己の尋常ではない魔力量に飲み込まれつつあったのだ。

 

 

「お、おい…何なんだアレは!?」

 

 

応援に駆けつけた他の小隊が彼の姿を見て驚愕する。

全身から溢れ出る黒いオーラと圧倒的威圧感に小隊たちは思わず後ずさりした。

しかし、その小隊の中に後ずさりせず、寧ろ前へと進む小隊があった。

そう、この小隊こそがカナタ・エイジが所属するD―128小隊なのである。

 

 

「クロエ、今の状況は」

 

 

カナタがクロエに現状を説明させる。

 

 

「C―357小隊が変位種に遭遇、2人が…犠牲になったみたい」

 

 

「そういう事か」

 

 

カナタは瞬時にこの状況を把握した。

目の前で戦っている少年が仲間を失ったこと、そしてそれが暴走の原因だということを。

 

 

「よし、クロエ、ロイド。俺らで変位種を倒せるかは分からねーけど、とりあえずアイツは止めないとな」

 

 

そう言うカナタに頷くクロエとロイド。

3人はカズキの元へと飛行していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方カズキは魔甲蟲を薙ぎ払い、変位種の元へとたどり着いていた。

 

 

 

「確実に仕留める。この新たな剣でお前を…殺す」

 

 

カズキがそう言い放つと握られていたブラスター・ダークの柄の部分からカズキの体に漆黒の魔力が纒わり付く、その姿はさながら魔装を全身に纏わせた様である。

今の彼の姿はまさに暗黒騎士、憎しみと悲しみに取り憑かれたように変位種へと飛び立った。

 

 

「(体が軽い…まるで別の生物にでもなった見たいだな)」

 

 

カズキの振り抜いた一閃はキメラ・アステロイドの羽を切り裂いた。

圧倒的なチカラで何度も何度も剣を振り抜く、しかしカズキの体はそんなチカラに耐えられるはずもなく悲鳴を上げ続けている。

 

 

「もうよせ!撤退だ!」

 

 

そんな彼の元へカナタがやって来た。

カナタはグラディウスを構え、カズキのブラスター・ダークを受け止めた。

 

 

「邪魔をするな…アイツは…リューネをエクセリアを!俺の大切な仲間を奪ったんだぞ!?」

 

 

激昴するカズキはカナタに剣を突き立てた。

 

 

「カナタ!」

 

 

叫ぶクロエにカナタは制止のジェスチャーをしてあえて彼の一撃を受けた。

それはカナタの腹部に刺さり、そこからはとめどなく血が溢れ出る。

 

「あれ…?俺は何を」

 

 

カナタに剣が刺さった瞬間、カズキの意識は元に戻った。

 

 

「なんで…俺は人を刺してるん…だ?」

 

 

そこで意識を失ったカズキと傷を負ったカナタは墜落していく。

それを受け止めたクロエとロイドはすぐさま撤退し、援軍の小隊と合流した。

その後変位種を牽制しつつ、《ミストガン》の位置を魔甲蟲に知られることもなく無事?撤退に成功した。

意識を取り戻さないカズキは医療機関に搬送され入院している。

カナタも、傷は深いのだが断固として入院を拒否したんだとか…

こうしてC―357小隊の戦いは…幕を閉じた。




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