2人の教官と最弱の小隊 growth record   作:トランサミン>ω</

31 / 39
10の評価をしてくださった読者の方…
本当にありがとうございますヽ(;▽;)ノ
すごく嬉しかったので本日2本目の投稿です!
本当にありがとうございました!


もう一つのジョーカー

「おかしいね。どうやって入ってきたんだい?」

「体は強くなっても頭は弱いままみてーだな。最初からいたんだけどな、気づかなかったか?」

「言ってくれるじゃないか…!!」

レアルが怒りを顕にすると彼の姿が異形に変わっていく。

「ユーリ、今の内にカナタと共に後退」

「了解です…」

「好きなんだろ、カナタのこと。だったら絶対に傷つけさせんなよ」

「…はい!」

カズキの言葉にユーリはしっかりと返事をして後退していく。

ミソラたちと合流したユーリはカナタと何か話しているようだ。

「ユーリを愛してあげるのは君を潰してからだね」

「残念だけどそれは叶わねーな。お前は俺がここでバラバラに斬り刻んでやる…」

酷く冷たい声でそう言ったカズキは魔双剣を召喚し目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

カズキは息をゆっくりと吐き、体にチカラを満たしていく。

万物の流れを意識し、潜在的な意識の中でふたつのチカラを意識する。

ひとつは魔力。もうひとつは闇力。

人間のチカラ。人間に在らざるチカラ。

纏め、練り上げ、体の隅々まで行き渡らせる。

カズキの体内に禍々しい渦が生じ、それら全てが混ざり合い次第に一体化したチカラが生まれカズキの体を満たしていく。

生み出されたのは《穿力》

本来合わさることの無いチカラの合成物であり、存在すらも知られていない世界の理をもろともせず突き進む叛逆のチカラ。

カズキの脳内に語りかけてきた存在が言った、カズキの中に生まれたジョーカー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「覚悟しろよ、蟲螻」

カズキはゆったりと歩きながらレアルへ近づいていく。

「面白いヨォ!君も選ばれたんだねェ!!」

異形と化したレアルは腕を無差別に振るい、カマイタチを放つ。

「闘い方がなってねーな。そういうのはこうやって放つんだよ!」

 

《魔双剣戦技ー千年氷牢(エンドレスフリーズ)》

 

カズキの魔双剣のルーン文字が輝きカズキの周囲に数1000本の氷柱が召喚される。

氷柱はカズキが魔双剣を振るう度にレアルへと発射されカマイタチを相殺していく。

「くそっ!なんでだ!?僕は誰よりも強くなったはずなのに!」

レアルが放つカマイタチがカズキの放つ氷柱を相殺しきれなくなり異形と化したレアルの体へと突き刺さる。

レアルは必至に右肩を庇いながらカマイタチを出し続ける。

「次で仕留めてやる。この技を使うのは久しぶりだから加減が出来なかったらごめんな?」

カズキはそういって氷柱を受け続けるレアルへ笑いかける。

しかしその笑みはとても冷たく、レアルの心を突刺すようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カズキさん…」

「レクティ、どうしたの?」

「カズキさん、凄く強くてカッコイイんですけど…ちょっぴり怖いです…」

レクティは心配そうな顔でカズキを見つめている。

「…レクティの言う通りだ」

「あ、あんた大丈夫なの!?」

「カ、カナタ先輩…っ!」

「あいつの顔色見てみろよ、真っ青だぜ。まるで氷みてーだ」

カナタの指摘の通りカズキの体は限界に近い。

闇力という人間に在らざるチカラを使っている以上、体への負担は尋常では無い。

それは同じ人外のチカラを扱うカナタにとってはよくわかることであった。

「彼を…カズキを助けることは出来ないのだろうか?」

「リコさん…。わ、わたしも助けたいですっ!」

「そうよ!何のために残ったって言うのよっ!」

「わたしも…先輩2人に助けられた分をお返ししたいです」

「わかった、じゃあ俺がお前らに必勝の作戦をやるよ」

カナタはカズキの心配をしつつ、大切な教え子たちに新たな作戦をさずけ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カズキ・アルカラスッ!絶対に許さない!許さない許さない許さない許さない許さない許さナイ許さナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイッ!!!」

レアルは右肩を庇うのをやめて特大のカマイタチを放とうとした。

「次で終わりって言ったよな?それってつまりは俺の勝ちって事だ」

カズキは体制を低くし体の横へ魔双剣を地面と平行に構える。

全身の穿力を魔双剣に注ぎ込み、最後の一撃を放つ!

 

《魔双剣戦技ー氷河の天馬(アイスペガサス)》

 

カズキの構える魔双剣から天馬の翼の如き刃が生まれ、超光速で斬りつける。

二閃十殺を心得とするアイゼナッハ流魔双剣術をも遥かに凌駕する、二閃百殺の斬撃はレアルに届く…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グハッ!?」

「えっ?」

先程までレアルと対峙していたカズキがレクティの目の前で吐血していた。

「カズキ…さん…?」

「あははははははっ!やっぱりだね!可愛い教え子ちゃんを狙えばやられるてくれるとオモッタンダヨォ!カナタ・エイジと同じヨウニネェ!!」

「わりぃ…カナタ…」

カズキは顔面蒼白で血を吐きながら墜落していく。

「カズキ!」

リコはカズキを墜落するカズキをどうにか受け止め、ゆっくりと地面に下ろした。

「…てめぇ!」

カナタは怒りの表情を顕にし、傷を無視してレアルを叩きのめそうと再度グラディウスを召喚するが。

「待ってください、カナタさんっ!」

「レクティ…?」

そこには普段はおどおどとして大人しい少女が怒りの表情をして立っていた。

「さっきカナタさんが下さった作戦をここでやりたいです。いいですか?ミソラさんっ」

「ええ、あたしもやられっぱなしじゃ気が済まないわ」

「わたしもあの卑しき下﨟に解らせてやらねばならんな」

レクティたちは自分たちの教官を姑息な手で倒したレアルへと向き直す。

「カナタ先輩、任せてください。今は…今だけはあなたを信じます。だからカナタ先輩もわたしを信じてください。先輩たちの生徒さんはわたしが責任をもって守ります」

「ああ、いいぜ。征ってこいよお前ら」

カナタは教え子たちを送り出し、倒れた相棒の元へと降りていく。

「お前も無茶するぜ」

「カッコつけたわりにやられちまったけどな」

「そんなことねーよ。《ミストガン》最強の魔双剣士の闘いは、ちゃんと生徒たちの心に響いたみたいだぜ」

「なら…いいか…」

カナタとカズキはこれから起こるであろう展開に笑をこぼしながら、自分たちの大切な生徒たちを見守ることにした。




カズキのチカラはどうだったでしょうか?
闇力=あんりょく
穿力=せんりょく
こう読んでいただけると幸いです!
感想なども待っています!
駄文ではありますがこれからも応援よろしくお願いいたします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。