2人の教官と最弱の小隊 growth record 作:トランサミン>ω</
で、でも息抜きも大事ですよね!?
手なわけで久しぶりの投稿です。
こちらとスポーツ物のオリジナル作品を優先的に
書いてまいりますのでよろしくお願いします。
カズキたちがストーキングをした夜
Bランクの生徒が地に伏していた。
その彼の前に立つ男が1人、ローブに身を包んでいる。
「やれやれ、Bランクも大したことないね。悪いけど僕は君たちより強いことを証明しなきゃいけないんだ」
這いつくばっている生徒を蹴りあげるローブの男。
生徒が気絶する様を見て愉快そうに笑った。
「ふふふ、あははは、ふははははははははっっっ!!!」
男は身につけていたローブのフードを外した。
「あははは、愛してる。愛してるよっ!もうすぐだ!もうすぐ君を迎えに行くからねぇーっ!」
懐から取り出したユーリ・フロストルの写真に頬ずりしている。
襲撃者の正体は……
レアルであった…。
翌日の早朝、カズキは日が昇るのと共に目を覚ました。
ジャージに着替えて、澄んだ空気の外へと走り出す。
やがて舗装された道の周囲に緑が姿を現し始めた。
訓練グラウンドを囲う森の中はカズキのお気に入りのコースであった。
「あ、あのぅ…おはようございますっ!カズキさんっ!」
「ん?レクティじゃんか。もしかして俺のペースに合わせてたの?」
後ろから声をかけられ振り向くと、駆け寄ってくるレクティの姿。
体に密着するインナースーツの上から、白いシャツを纏っている。
「俺のペースに誰かがついてきてると思ったらレクティだったのか。でもわざわざ声をかけてくるなんて珍しいな?何か様でもあるのか?」
「…は、はいっ!そのぅ…ト、トレーニング中にすみませんっ!」
「もしかしてミソラが来て寮に居づらくなったか?」
「そ、そんなことは…ありませんっ!」
戦闘で家を吹き飛ばした親不孝娘は現在居候の身だ。
「じゃあどこか怪我でもしたのか?」
吐息が触れ合うほど近くへカズキの顔が迫る。
レクティは恥ずかしそうに顔をそらした。
「あ、あのですねっ!相談がありましてっ!」
「そうなのか?じゃあどこかで座りながら話そう」
「は、はいっ!」
「それで?相談って何なんだ?」
「特訓のことはご存知ですよね?」
「ああ、リコから聞いてるし、俺もやったことあるしな」
芝生に腰を下ろした2人は話し始める。
「以前ですねっ!カナタさんがミソラさんをコンバートさせようとしたんですよ。その時みたいにポジションを増やすのかなって…」
「それで?レクティはどう思ったんだ?」
「はいっ…。前衛を2人に増やすとしても、ミソラさんでは厳しいですし…。私が後衛をやるとしても、魔双剣ではサポートにも限りがあります…。だ、だからその…これじゃ強くなれないんじゃないでしょうか?」
教官を批判していると感じているのか、言葉にところどころ申し訳なさを感じている。
「レクティはみんなのことをよく見てるんだな。よしよし」
へこんでいるレクティを励ますかのように、カズキは彼女の前髪を撫でてやる。
「あうあう…カ、カズキさんっ!」
途端に恥ずかしさ半分嬉しさ半分の声を漏らすレクティ。
「今から言うことは独り言だから俺が言ったことは秘密な?」
「は、はいっ!」
カズキはレクティを撫でながら呟き始める。
「確かにミソラにアイゼナッハ流魔双剣術の継承者であるレクティと同じ動きは求められないよな。でもレクティはミソラに前衛はできないとわかっているよな。」
「は、はいっ!」
独り言だと言っているのに思わず返事をしてしまうレクティにカズキは苦笑する。
「レクティの感じたことは殆ど答えみたいなものだけど、カナタが求めてる答えじゃないんだ。それぞれが出来ること、出来ない事それを考えてみるといい。じゃあ俺はランニングの続きがあるから」
「あ、ありがとうございましたっ!」
「昔な、カナタが俺に教えてくれたんだよ。想う力は糧となる、お前の力になるんだってな」
カズキはそう言い残して走り去っていった。
レクティはカズキの最後の言葉を疑問に持ちつつも、アルテミア寮へと戻っていった。
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