2人の教官と最弱の小隊 growth record 作:トランサミン>ω</
若干の人外並ですがw
「さーてカナタにあんなこと言っちゃったし、少しはちゃんとやらなきゃね」
黒き巨塔の如く立ちふさがるキメラ・アンタレスにカズキはひとりで対峙していた。
「あのぅ…カナタさん」
「どうしたレクティ?」
「なんでカズキさんは武器を持ってないんですか?」
「あぁ、あいつは多分リミットスキルを使うはずだ」
「リミットスキルですか?」
「レクティ、リミットスキルとは己の身体への負荷が恐ろしい反面とてつもない能力を発揮するものだ」
「リコさんはものしりですねっ!…って負荷がすごいってカズキさんは…だ、大丈夫なんですかっ!?」
「まぁ、大丈夫じゃね?」
「久しぶりにやるから加減がわかんないなー、まぁいざとなったらカナタにまかせればいっか」
そう言い放つとカズキの雰囲気が一変する。
「常闇より現れよ…漆黒の亡霊たち我が元へ並び立てっ!!」
すると突如カズキの周囲に漆黒の鎧を身にまとった騎士たちが数え切れないほど現れた。
さらにカズキの左手にはまるで幻のような黒き大剣が握られていた。
「殲滅せよ!」
カズキの号令と共に騎士たちが魔甲蟲に一斉に襲いかかる。
一体、また一体とアルケナル級が撃墜されていく。
僅か数分のことだった。
あたりを多い尽くしていた黒い影は魔甲蟲からカズキが生み出した騎士団に変わっていた。
「相変わらずとんでもねーよあいつは」
カナタはいいものを見れたと愉しそうにしている。
「ねぇ!あれは何なのよっ!」
「わ、私も知りたいですっ!」
「実に興味深いぞ」
生徒たち3人はカズキの戦いに興味津々だ。
「言ってなかったか?あいつのリミットスキル《幻影の騎士団》そしてあいつの本当の武器《殲滅する剣》ブラスター・ダークだ。あいつ滅多に使わないんだけどな」
「「「…っ!」」」
3人は自分たちの教官の実力を目の前に固まっている。
少し経ち、リコが口を開いた。
「しかし彼は未だに1度も刃を振っていないぞ?」
「まぁ、あいつなりの手加減なんじゃねーの?」
「ふぇっ?カナタさんどういうことですか?」
カナタの言葉の真意がわからずレクティは問いかける。
「言葉の通りだって、あいつが剣を振ったら…」
そうカナタが言いかけた時…
「「「きゃっ!?」」」
「うおっ!?」
4人を包み込む結界が大きく揺れた。
そしてその後に残った後継に3人は驚いた。
「相変わらずいい景色になるもんだ」
「こ、これって…」
「す、すごすぎますぅ…」
「こ、これが彼の本気か…」
そこにあったのは雲一つない空
「んじゃそろそろ俺も行くかな」
そう言うとカナタはグラディウスを召喚し結界から出てカズキの元へ
「遅かったね?カナタ」
「お前の本気を生徒たちに解説してたんだよ」
「それはご苦労さまです」
「気持ちが籠ってねーなおい…まぁいいや俺も本気で行ってやるよ」
そういってカナタが目を瞑るとキメラ・アンタレスから
再びアルケナル級が無数に現れる。
しかしどのアルケナル級もは翅音のトーンが一つ低い。
ミソラたちはその異変に首をかしげた。
カナタは呼吸を整えて全てを空にする。
万物の流れを無意識に感じ、潜在的な意識の中でふたつのチカラを意識する。
ひとつは魔力。もうひとつは呪力。
人間のチカラ。人外のチカラ。
纏め、練り上げ、捏ね繰り回し、収斂させる。
カナタの体内の奥底で、黒いうねりの様なものが生じる。
そしてそれらすべてが混ざり合い次第に一体化したチカラが生じる。
生み出されたのは《崩力》
本来合わさるのことない相反するチカラの合成物であり、未だその存在が証明されていない世界の理を破壊する叛逆のチカラ。
クロエを庇って魔甲蟲の体内に取り込まれかけたカナタに芽生えたジョーカー。
「なんだかわかんないけど今のカナタは最高に頼もしいよ」
「俺はいつだって頼もしいだろ?」
「ははっ、違いないや」
「さぁ、決着をつけようぜ」
「あぁ、全力で行こう!」
これまでとは雰囲気が圧倒的に違う自分たちの教官の姿に困惑しつつ、ミソラたちは2人の戦いぶりに目を向けるのだった。