GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜   作:霧斗雨

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このサイトでは初投稿の小説です。
ほぼゲームの通り進めていきますが、公式コミックの展開も織り交ぜて行きたいと思います。
また、私自身ゲームを最後まで勧めてしまっていて、確認することが出来なかった細かいセリフが違う場合があります。
要するにアーカイブで確認出来なかったものです。
その点についてはご了承ください。
オリジナルの展開もあり、気をつけますがキャラ崩壊がある可能性もあります。
それでもいいという方、興味を持ってくれた方は、どうぞ宜しくお願いします。
それでは第1話です。


第1話 適合試験

赤い雨が降る。

大地にも、建物にも、人にも、アラガミにも、それは平等に降り注ぐ。

その赤い雨の中を、移動要塞フライアは大きな音を立てながら突き進む。

そのフライヤの一室に、彼女はいた。

大きなステンドグラスの前で何かに祈りを捧げ、彼女は顔を上げた。

 

「「荒ぶる神々」の「新たな神話」……その序章は、貴方から始めることにしましょう……」

 

そうつぶやいて、彼女は笑った。

 

ーーーー

 

着慣れないピッタリとした制服に身を包み、殺風景な訓練上のど真ん中に設置された台の上に寝かされながら、朽流部レイはぼんやりと天井に設置された装置を見る。

それ以外、他にすることがないからだ。

これから行われる適合試験に、ほんの少し緊張しているが、その他は普段通り、至って普通である。

 

「気を楽になさい」

 

スピーカーから女性の声が聞こえた。

緊張が顔に出ていたのかもしれない。

 

「貴方はすでに選ばれて、ここにいるのです……」

 

軽く、頷いて見せた。

大した意味は無い。

 

「今から貴方には、対アラガミ討伐部隊「ゴッドイーター」の適合試験を受けて頂きます」

 

ガシャン、と。

床から1つ、「神機」と呼ばれる武器を乗せた機械が飛び出し、台の横に設置された。

そこにある窪みに、試験前に説明されたように右手を乗せる。

その瞬間に、手首を挟むようにして腕輪が装着された。

それを確認して、再び天井を見る。

 

「試験と言っても、不安に思う必要はありませんよ。貴方はそう……「荒ぶる神」に選ばれし者ですから……フフッ」

 

天井に設置された装置が動き、中からドリルが出現した。

 

「貴方に祝福があらん事を……」

 

勢いよくドリルが回転し、装着された腕輪に突き刺さる。

 

「うわああああああああああっ!!」

 

あまりの痛みに、叫んだ。

じっとしている事など出来ず、もがくうちに台から転がり落ちる。

そして、2度目の痛みの波に襲われ、再び叫んだ。

 

ーーーー

 

「適合失敗か……?」

 

車椅子に座り、機会を操作する彼女に、ジュリウスは問いかけた。

モニターに映し出されたレイは、痛みに喚いている。

 

「いいえ、よく御覧なさい」

 

彼女、ラケルは微笑みながらモニターを見つめる。

モニターには手に持った神機を床に突き刺して、右手の腕輪から黒い煙をあげながら立ち上がる、レイが映し出されていた。

 

「フフッ……貴方に「洗礼」を施した時と、そっくり」

 

そう言って、ラケルはスピーカーのスイッチを入れた。

 

ーーーー

 

痛みが収まり、なんとか立ち上がって、レイは思わず笑った。

今まで寝転がっていた台、神機が乗せられていた機械を見る。

そして、手に持った神機に目を移した。

ゆっくりと持ち上げ、その確かな重さを実感する。

 

「おめでとう……これで貴方は神を喰らう者「ゴッドイーター」になりました」

 

女の声が、再びスピーカーから聞こえる。

 

「そして、これから更なる「血の力」に目覚めることで極致化技術開発局「ブラッド」に配属されることになります。ゴッドイーターを超越した、選ばれし者「ブラッド」……来るべき新たな神話の担い手……」

 

つらつらと何かを述べているが、レイは最早聞いていなかった。

これで、やっと、戦える。

 

「まずは体力の回復に務めなさい……貴方には……期待していますよ」

女が言い切ると同時に、レイは神機を振り下ろした。

 

ーーーー

 

「適合試験、お疲れ様です」

 

適合試験を終え、フライアのロビーに戻ってきたレイに、ミッションオペレーターの少女が声をかける。

 

「あ、どうも」

 

「私はフラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュです。フランとお呼びください。偏食因子が定着するまではミッションを発行することはできません。定着するまではこのフライアの中を見て回ったらいかがでしょうか」

 

「じゃ、そうするわ。ありがとう」

 

個性的な名前だな。

そう思わずにはいられないほどの長い名前と、業務連絡を伝えてくれたフランに、レイは素っ気なく返事をした。

ひとまず、ミッションカウンターから離れ、歩きながら施設内に目を向ける。

どこを見ても、綺麗に整えられたその施設が、レイの目には眩しく映る。

つい昨日まで住んでいたスラム街とは比べ物にならない。

 

「豪勢だな」

 

率直な感想だった。

こんなところに金を使う位なら。

 

「ま、関係ねぇか……」

 

ポツリと独白し、ロビーに設置してあるエレベーターの前に立った。

 

「新人さん?」

 

「え、あ、まあ」

 

「どこに行く?役員区画と庭園に行けるけど」

 

エレベーターのそばに立っていた職員に声をかけられ、レイは少し驚いた。

役員区画には、おそらく恐らくあのなんとかという博士がいるのだろう。

なんだったか、ああ、そうだ、ラケルだったっけ。

とりあえず今、その博士に用はない。

 

「じゃ、庭園で」

 

「ちょっと待ってて、すぐくるよ」

 

エレベーターのスイッチを押し、職員が笑った。

レイは、軽く愛想笑いを浮かべると、やってきたエレベーターに乗り込む。

エレベーターの扉が締まり、開いた時、目の前には花畑が広がった。

 

「なんだこりゃ………」

 

こんな花畑、見た事がない。

それはまあ、このご時世だから仕方が無いのだが、室内にどうしてこんな空間が存在するのか。

その花畑の隅に育つ木の下に、一人の金髪の男性が座っていた。

その男性は、レイがやってきたことに気が付いたようで、レイの方を向いた。

 

「ああ……適合試験、お疲れ様。無事、終わって何よりだ。まあ、座るといい」

 

そう言って、男性はレイに自分の隣に座るように促す。

レイは素直に従った。

 

「ここは「フライア」の中でも一番落ち着く場所なんだ。暇があると、ずっとここでぼーっとしてる……」

 

それはゴッドイーターとしてどうなのだろう、って、いやいや、仕事しろよ。

レイは多少の皮肉を込めて男性に言う。

 

「いい場所だ……ですね」

 

タメ口で話しそうになり慌てて言い直す。

 

「ああ、すごく気に入ってる」

 

男性は、レイの皮肉と焦りなどどうでも良いとばかりにスルーをかましてくれた。

レイとしては助かったが、この人、大丈夫かと思ってしまった。

 

「そういえば、まだ名乗っていなかったな」

 

「おおっ」

 

突然のふりに、レイはいささか驚いた。

唐突過ぎるだろ、ビビるわ。

 

「俺は、ジュリウス・ヴィスコンティ。これからお前が配属される、極致化技術開発局「ブラッド」の隊長を務めている」

 

うげ、よりによって、上司かよ。

レイは慌てて佇まいを正そうとしたが、それはジュリウスによって止められた。

 

「あまり恐縮しなくていい。で、お前の名は?」

 

「え?ああ、朽流部レイ……です」

 

この人、ふりが突然すぎる。

慣れない丁寧な口調で、レイは名乗る。

 

「苦手なら敬語でなくていい。だが、練習はしておけ。これから、使うこともあるだろう。ああ、俺には、対等な立場で意見してくれ」

 

それでいいのか。

思わず突っ込みかけるが、いいと言われるならばそうした方が楽である。

なので、そうさせてもらう事にした。

 

「あんたがそう言うならそうするさ。ま、よろしく」

 

「ああ、これから、よろしく頼む。さて……休んだあとで「フライア」をゆっくり見て回るといい」

 

ジュリウスはそう言って立ち上がった。

 

「また後で会おう」

 

そのまま一言言い残し、ジュリウスは颯爽と立ち去っていった。

 

「と、言われてもねぇ……。さて、どうすっかな。……あ、やべえ、訓練」

 

ふと目に付いた時計を見て、レイは慌てて立ち上がる。

試験のすぐ後、渡された端末に入っていたメッセージに、訓練の時間を指定してあったのだ。

すっかり忘れており、気がつけば訓練まであと少しである。

そのままエレベーターに駆け込み、戻ってきたロビーのフランに話しかけた。

 

「あのさ、訓練ってどうやって申請すんの?の前に偏食因子はもう定着したよな?」

 

「こちらで申請をお願いします。偏食因子に関しては問題ありません。そろそろお時間ですので、少しお急ぎください」

 

「あっそ、OK、りょうかーい」

 

パパッとと申請を済まし、フライアの出撃ゲートなら神機保管庫へ移動し、自分の神機を取り、訓練場に入る。

 

「試験以来だな」

 

試験の痕跡は跡形もなくなっており、殺風景な景色が広がっている。

 

『来たな……これより訓練を開始する。準備はいいな?』

 

スピーカーからジュリウスの声がした。

レイはニヤリと笑って、言う。

 

「いつでもいいぜ」

 

ふっ、とジュリウスが笑ったのが聞こえた。

途端に、訓練場のあちらこちらに訓練用ダミーアラガミが出現する。

 

『では、開始する。始めろ』

 

「ーッセイッ!」

 

ジュリウスの開始の声が響いた瞬間、レイは一番近くの訓練用ダミーアラガミに斬りかかった。




ここまで読んで下さってありがとうございます。
この作品は、初めての取り組みだったりするので、これからも頑張って書いていこうと思います。
ゲームをノベライズするってものすごく大変なんだ、ということを実感しています。
こういうことをされている皆様に一言。
ほんとみんなすごいね。
これしかいうことがありません。
もう少し語彙力が欲しいところです。
さて、ここからどう展開していこうか考えるのが、とても楽しいのですが、展開を知っている私の中でラケル博士はもう悪役にしか見えず、ここからどう初期の頃の優しげな印象を出すかというところに悩んだりもしています。
意外となんとかなりそうです、よかった。
主人公、適当人間になりそう。
でも、それはそれで楽しそうです。
とにかく、頑張って勧めていくつもりです。
感想、お待ちしています。

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