仮面ライダーエターナル―NEVER SIDE STORY―   作:K/K

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Lの抱擁/泉京水の章その3

「ああ! 来るわ! 来るわ! 来るわ!」

 

 山吹色の光を身体中から放ちながら興奮した様子の京水の声。体内へ同化していった『LUNA』のガイアメモリの力が光の中で京水の体は作り替えていく。

 

「させるかぁ!」

 

 しかし、それを阻止しようとするビーンドーパント。彼の掛け声とともにビーンドーパントの周りに立っているコピービーンドーパントは一斉に両手を突き出す。

 

「死人ごときがガイアメモリを使うなど!」

 

 京水に目掛けてコピービーンドーパントたちの両手が一気に伸びる。風を切り裂きながら伸びていくそれは、ビーンドーパント怒りが乗り移ったかのような鋭さと激しさを感じさせる。

 勢いのままに無数のコピービーンドーパントたちの両手が、光りの中を突き刺したていく。

 響く音、しかしそれはビーンドーパントが想像していた音ではなかった。人体を貫いたものとは違い、ドオンと響く鈍い音。何か固いモノにぶつかったような音が光の中から聞こえた。

 光が収まるとそこには、楕円形の黄色い物体が立っていた。上から下まで何かが螺旋状に帯のようなモノが巻き付いており、それがコピービーンドーパントたちの攻撃を防いでいた。

 

「何だ……?」

 

 動揺を隠しきれないビーンドーパントの声。もう一度コピービーンドーパントたちに攻撃を指示しようとしたとき。

 

「きたーーーー!」

 

 楕円形の物体からの叫びとともに巻き付いていた帯のようなモノが、コピービーンドーパントたちの両手を吹き飛ばすようにして開き、その中から異形が姿を現す。

 全身が眩く光る金色に変化し、顔の部分には鼻や口などといったパーツらしき存在せず、黒い筒のような形をしており、筒の中心にレンズのような目らしきモノが上下に並んでおり、それを囲むように黄色いラインがひかれていた。両肩と胸元辺りから弧を描いた黒い爪のようなモノが伸びている。

 両手は、子供の胴体ぐらいありそうな幅と厚みを持った太い鞭のような形状に変化しており、自分の身長よりも長く、地面にベタリとつくほどだった。形状からして最初に巻き付いていた帯のようなモノの正体はこれのようである。

『LUNA』のガイアメモリの力よって変身したドーパント、ルナドーパントがここに誕生した。

 

「ああ! 凄い! 凄い! 全身から不思議な力が溢れてきちゃう!」

 

 長くなった両腕を波打たせ、それに合わせるかのように腰を左右に振って、沸き上がる力に興奮した様子を見せる。

 

「汚らわしい死人が! ガイアメモリは貴様のような奴に相応しくない!」

 

 怒りをたぎらせるビーンドーパントの声と意思を感じ、五体のコピービーンドーパントが京水に向かって駆け出す。

 

「抉りだしてやれ!」

 

 一切の無駄を省いたような動きで京水に近付き、一斉に飛び掛かるコピービーンドーパントたち。

 

「えい!」

 

 鞭のような右手を京水が振るったとき、ブオンという空気を全て巻き込んだかのような音を鳴らし、一番端にいるコピービーンドーパントの胴体にめり込む。

 京水の腕は、平均的な成人男性と変わらないコピービーンドーパントの胴体に半分以上食い込み、コピービーンドーパントを持ったまま、残りのビーンドーパントたちに叩きつけ、そのまま片手で払い飛ばした。

 破砕音が響き、砕けたテーブルなどとともに固まりのように一ヶ所に集まって倒れるコピービーンドーパントたち。そのうちの一体、先程、京水の攻撃を最初に受けたコピービーンドーパントは体色が急激に変化していく、京水の攻撃で体力の限界を迎えたのか緑から土色へと変わりそのまま崩れるようにして消えていった。

 

「ビンビン来るわ〜! 今あたしビンビン来てるわ〜!」

 

 未だに興奮の冷めない様子で悦に入ったかのような声を出す京水。感情のままに体を震わせていた。

そんな様子の京水の姿が隙だらけに見えたのか――

 

「立て!」

 

 ビーンドーパントの発した声に残りのコピービーンドーパントが糸で引っ張られた人形のように不安定な体勢から一斉に跳ね起きる、その中で一番京水に近い距離にいた一体がいまだに震えている京水へ走り出す。二人の距離は数メートルほど離れているが、複製ではあるがオリジナルのビーンドーパントと殆ど変わらない身体能力を持つコピービーンドーパントには一瞬にして縮められる距離、拳を作り地を蹴ったときには、その拳はすでに京水の眼前にと迫っていた。

 

「あら?」

 

 ようやく気づいたのか、それとも最初から知っていてわざと誘ったのか分からないが、京水の口から出た声に驚きも動揺の色はない。コピービーンドーパントの迫ってくる拳に京水はレンズのような瞳を向ける。

 全力を込めた一撃、それが直撃しようとしたとき、バシンと砕けるような音と土煙が舞い、その後にブオンという空気が唸ったかのような音が鳴り、舞い上がった土煙を吹き飛ばす。

 煙が晴れるとそこにあるべき京水の姿は無く、コピービーンドーパントの空振りした姿だけが残った。

何処だ、と言うように京水の姿を見つけようとするが――

 

「何処を見ている!」

 

「こっこよーん!」

 

 二つの異なる内容と声、一つはコピービーンドーパントの背後にいるビーンドーパントの怒声。もう一つは今探そうとしていた京水の声、それがコピービーンドーパントの頭上から聞こえた。反射的に頭上を見上げる。

 そこには両腕を大きく振り上げた状態で宙にいる京水の姿だった。京水は拳が迫ってきたあのとき、鞭のような両腕を勢いよく地面にと叩きつけ、その反動で宙へと飛び上がり、それを回避したのだ。

 ルナドーパントが足元にいるコピービーンドーパントに腕を振り下ろそうとするが、それを妨害しようとする別のコピービーンドーパントがルナドーパントに向けて手を伸ばす。

 一直線に伸びてくるコピービーンドーパントの手。しかし、ルナドーパントは視線を足元に向けたまま、片腕だけを迫ってくる手に向ける。するとルナドーパントの腕がビーンドーパントたちと同じように伸び始め、まるで独立した生物のように螺旋を描くと、枝を伝う蛇のようにコピービーンドーパントの手に絡まりながら這い上がっていき、そのまま手の動きを拘束する。

 

「よいしょ!」

 

 攻撃を防ぐと同時に、足元にいるコピービーンドーパントの脳天に落下の勢いを加えたルナドーパントの鞭の一撃が炸裂、頭から地面にめり込まされる。

 

「もういっちょ〜!」

 

 着地と同じくタイミングで絡めていた片腕を大きく振り上げる。当然、ルナドーパントの腕に拘束されていたコピービーンドーパントもルナドーパントの動きに合わせて空高く持ち上げられ――

 

「いってらっしゃーい!」

 

 最高点にたどり着いた状態で絡みついていた腕を離され、一瞬の空中浮遊のあとに重力に従い落下、数十メートルの高さから地面に激突した。

 地面に叩き伏せられたコピービーンドーパントと地面に頭から墜落したコピービーンドーパントは、最初に消滅したのと同じように色褪せ、塵となって消えていった。

 

「あ〜ん! ダメダメ! こんなんじゃ、あたしの火照りは静まらない!」

 

 ルナドーパントは屈むと、両腕を一気に伸ばす。地を這って進むそれはまるで金色の大蛇のようであった。二匹の大蛇が獲物を見つける。獲物は二体のコピービーンドーパント。その足に絡み付き、柔軟そうな動きから想像出来ない力で締め上げる。

 その力にコピービーンドーパントの足は潰され、そのまま体勢を崩し片膝を着く格好となった。

 

「あっそ〜れ!」

 

 ルナドーパントの掛け声で捕まっていたコピービーンドーパントの体が持ち上げられる。体勢を崩されたコピービーンドーパントは抵抗することも出来ない。

 ルナドーパントの持ち上げられた腕の先に逆さに吊るされたコピービーンドーパントたち、脱出しようと手を伸ばそうとして構えたが――

 

「それそれそ〜れ!」

 

 勢いよく両腕を回し始めるルナドーパントによってそれを封じられてしまう。

 

「さあさあ! いくわよ〜!」

 

 高速に回転する片腕を振るう。人体一体分の重みと遠心力から繰りだされるその破壊力は、ルナドーパントの振るった腕の先にいるコピービーンドーパントの上半身を一撃で粉砕したことによって物語られた。

 もう片方の腕を振るうと今度は別のコピービーンドーパントの胴体へと命中、下半身が消失し地面にと残った上半身が落下、そのまま二、三度震えた後に枯れて消滅しといった。

ルナドーパントがフレイルのように回していた腕を止める。当然、殴りつけた方も無事ではなく、回転を止めると同時にルナドーパントの手の中で二体のコピービーンドーパントは塵となって消えた。

 

「く……なんという……」

 

 動揺と焦り、困惑、認めたくない現実に向き合わされたビーンドーパントの絞り出したかのような掠れた声。九体もいた分身があっという間に二体まで減らされてしまう。ついさっきまで圧倒的に有利な戦いを進めていたのにも関わらず、もう形勢逆転しようとしている。

 

「まだだ……まだこんなものではない!」

 

 自分を奮い立たせるように声を挙げると、自らに吊るされた豆の莢を全て引き千切り放る。莢から豆が飛び出し、地面に埋まると数秒後には、コピービーンドーパントが生まれた、その数三十体以上。

ビーンドーパントの前に壁のように立ち並ぶ。

 

「あらあら、そんなに一杯出しちゃって」

 

 圧倒的数の差を前にしても変わらないルナドーパント、むしろ興奮状態から冷めてきたのか言葉に先程までの熱が無い。

 

「さっきまでスンゴイビンビンな感じだったけど……よ・う・や・く! 冷えてきたわー!」

 

 そう言い体を波打たせる。口調はルナドーパントの言う通り幾分落ち着いてはいるが、動きの怪しさは全くと言っていいほど変わらない。

 

「手に入れたからにはメモリの力を存分に奮わないとね!」

 

 この言葉にビーンドーパントは身構える。先程までは奮った力は京水が使ったメモリの力の一端に過ぎないことを知らされてしまったからだ。

 

「そうだ! あなたばっかりさっきから増えてズルいから――」

 

 ルナドーパントが片腕を振り上げる。

 

「あたしも増えちゃおっと!」

 

 ルナドーパントが腕を振るう。すると、腕の先から光りを放つ球体が現れる。それが瞬時に拡大し形を造り上げていく。剥がれるように光が消えたときそこにあったのはもう一人のルナドーパントだった。

 

「おほほほほほほ」

 

 現れたもう一人のルナドーパントが本人と変わらない声で笑い声を上げる。

 

「なっ!?」

 

 思わず驚愕の声を出してしまうビーンドーパント。彼の前でルナドーパントが腕を振るう度に新たなルナドーパントたちが現れていた。

 ルナドーパントこと京水が差したガイアメモリは『LUNA』のメモリ、その内に内包した記憶は『幻想』。幻想とは本来、現実にはあり得ないことを心の内に思い描くことを意味する。しかし、ガイアメモリとして産み落とされた『LUNA(幻想)』は触れれば消えてしまうような儚げなものではなく、実体をもった幻として現実に干渉する程の力を人に与える。

 今なお現れ続けるルナドーパントたちは幻でありながら現実の存在なのである。

 

「おほほほほほほ!」

 

「おほほほほほほ!」

 

「おほほほほほほ!」

 

『おほほほほほほ!』

 

 いくつものルナドーパントたちの声が重なりあい不協和音のような笑い声が木霊する。現れたルナドーパントの幻の数は既にビーンドーパントの分身と同等の数となっていた。

 

「こんな……こんなことが……」

 

 数というアドバンテージを得ていたビーンドーパントにとっては絶望的な光景であった。認めたくないはないがドーパントとしての実力はルナドーパントに分があった。それゆえ彼はルナドーパントを数の暴力という実力では覆せない力を用いることにした。しかし、その考えは脆くも崩れさってしまった。

 

「まだまだいくわよ〜! ――と行きたい所だけど、あんまり待たせたら悪いわよね〜!」

 

「そうねそうね!」「はやくいきましょ! いきましょ!」「あたし我慢できな〜い」「もう! あたしもウズウズしてるんだから我慢しなさい!」「この焦らされる感じ……嫌いじゃないわ!」

 

 ルナドーパントの生み出した幻が口々に喋り出す。命を持たない幻の筈なのにその光景は非常に生き生きとしたものであった。

 

「それじゃあ……」

 

 ルナドーパントは大きく両腕を振り上げる。

 

「楽しみましょ〜!」

 

 降り下ろすと同時に一斉にルナドーパントの幻が駆けていく。

 

『楽しみましょ〜!』

 

 両者入り乱れての乱闘。ルナドーパントたちとビーンドーパントたちが真正面からぶつかり合う。

 ルナドーパントたちの一体がビーンドーパントの頭を吹き飛ばす、頭を失ったビーンドーパントは崩れ落ちて塵に還る。そのルナドーパントの胴体に別のビーンドーパントの手刀が突き刺さり背中まで貫通、貫かれたルナドーパントは光の粒子となって消え去った。そしてさらにそのビーンドーパントを二体のルナドーパントが叩きのめす。

 瞬きをすれば、その瞬間には誰かが倒れ、また瞬きをすれば、それを倒した者が別の誰かにやられる。一秒ごとに勝者と敗者が入れ替わる大混戦。

 しかし、徐々にだがこの戦いにも終わりの兆しが見え始める。ほとんどが一対一で戦っていたルナドーパントたちとビーンドーパントたちであったが、次第に二対一、三対一とビーンドーパント一体が戦うルナドーパントたちの数が多くなりつつあった。

 他のビーンドーパントたちから少し離れた位置にいたため、オリジナルのビーンドーパントはその変化に嫌でも気付いてしまった。

 彼の脳裏に浮かんだのは『逃走』という二文字。彼自身のプライドを激しく傷つける行動であった。しかし、現状を考えるならばその選択しかなかった。

 この逃走は怖じ気ついたからじゃない、自分は手に入れた情報を組織に持ち帰るだけだ。逃げるわけじゃない、これは重要な意味を持つ行動だ。今だけの我慢だ、今だけ我慢すれば、次こそあいつを倒せる。

 自分を肯定するいくつもの言葉を頭の中で並べ、必死に自分の受ける傷を和らげるビーンドーパント。

 やがて決心し、足を一歩後ろに下げ、そのまま一気に振り向くと同時に走った。

 一秒、二秒と走ったとき、突然片足が強く後ろに引かれ、走ってついた勢いのままうつ伏せに倒れる。

 

「ッ……!?」

 

 ビーンドーパントの足に巻き付いたルナドーパントの触手。

 

「逃がさないわよ〜」

 

 ビーンドーパントが振りほどこうとするよりも早く、ビーンドーパントの体が宙を舞う。

 

「そ〜れ! 高い高〜い!」

 

 ルナドーパントに持ち上げられたビーンドーパント、そのまま引き寄せられていった。

 背中から地面に叩きつけられ、衝撃で身悶えするビーンドーパント。起き上がった彼の目に写ったのは自分を取り囲むルナドーパントたちの姿。

 数は減っているが十体ものルナドーパントたちがビーンドーパントを見下ろしていた。

 

『うふふ、うふふふふ。もう! 逃げるなんて酷いじゃない!』

 

 一語一句重ねて喋るルナドーパントたち、ビーンドーパントは呻くことも叫ぶことも出来ず、絶望が心を塗り潰していく。

 

『いくわよ〜!』

 

 ルナドーパントたちは、ビーンドーパントの頭上に向けて両手を伸ばす。

 

『そ・お・れ!』

 

 そしてそれがビーンドーパントに一斉に振り下ろされた。

 

「うああああああ!」

 

 ビーンドーパントの悲鳴ごと叩き潰すように鞭の雨が降り注ぐ。

 

「は〜い! ペッタン! ペッタン!」

 

 間の抜けた掛け声とは裏腹に、スドドドという轟音とともにアスファルトは砕け、粉塵が舞い、地面を揺れ動く。

 ビーンドーパントの姿が見えなくなる程の殴打の嵐、それが数十秒間絶え間なく続いた。

 ルナドーパントたちは手を止め、舞い上がった土埃が収まるのを待つ。

 そして、土埃が収まったあとに現れたのは、クレーターのように陥没した地面に横たわる見るも無惨な姿に変わり果てたビーンドーパントであった。

 手足は関節が増えたかのように何ヵ所も折れ曲がっているが、微かに胸は上下しており、辛うじて生きていることが分かる。

 ルナドーパントは周りの幻を消し去り、ビーンドーパントに手を伸ばす。伸ばした手はビーンドーパントに巻きつき、ルナドーパントへと引き寄せた。

 

「………………」

 

 ビーンドーパントが微かに声を発する。最早人に聞こえる程の音量を出すことは出来ず、虫の羽音のように小さい。

 しかし、超人となっているルナドーパントの耳にはしっかりとその声は聞こえていた。掠れた声で「やめてくれ」という声を。

 

「だ〜め! 我儘言う子は、あたしが抱き締めてあ・げ・る!」

 

 が、ルナドーパントにはそんな言葉を聞こえようが聞こえまいが関係なく、巻きついた両手に力を込める。

 

「…………!」

 

 ビーンドーパントの声無き悲鳴の変わりに、ミシミシという軋む音がなり、やがて一際大きな音がなったとき、ビーンドーパントは上半身を後ろに仰け反らし、その姿を人間の姿に戻した。

 

「あら逝っちゃた? 凄すぎて逝っちゃた?」

 

 人一人締め殺してもルナドーパントの態度は変わらず、どこまでもマイペースであった。

 

 

 

 

「あ! 克己ちゃん! 聞いて! 聞いて! あたし手に入れたわ!」

 

 通信機に向けて興奮した様子で話しかける京水。通信機の向こうの声を聞くと頬に手を当て、嬉しそうに身をクネらす。

 

「ああん! 克己ちゃんに褒められたら、あたし! あたし!」

 

 次に聞こえた通信機の言葉に京水は体をクネらすのを止める。

 

「あら、レイカが……まあ! そうなのわかったわ。あたしもすぐに行くわ! ……剛三も? メモリはもう見つかったの?……あら、生身でなんて無謀ね」

 

 ダダダダ、といういくつもの足音。

 楽しげに会話している京水の背後ではどこからか現れた黒服の男たちが次々と集まっていた。

 

「はあ〜い! 分かったわ! 少し遅れそうだけど、レイカたちによろしくね!」

 

 通信機をしまうとクルリと振り返る。

 

「あら、いっぱい」

 

 数十人もの黒服の男たちが、京水を逃がさないように囲んでいる。

 しかし、京水の笑みは消えない。

 

「それじゃあ楽しみましょうか!」

 

 自分の全てを捧げ忠誠を誓う人の夢のために戦える。それによって湧き上がる幸福感。

 この思いがある限り京水の笑みは消えることはない。

 

 

 




これにて京水編は終わりです。正直このキャラクターの性格をきちんと表現できていたか心配です。

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