「「「うおおおお!!!!」」」
気合の掛け声と共に変身し巨大化するガーリックJrの配下達。それに対し、開戦の合図とばかりにまずは百代が特大の気弾を放つ。
「川神流、星殺し!!」
それに対して、ジャンプしてかわすジンジャー達。攻撃を地面に着地し爆散する。しかしそこで逃がすまいと燕が追撃をしかけた。
「もいっちょいくよ!!」
装備した機械鎧『平蜘蛛・改』から発射されるエネルギー弾。本来は人工衛星よりエネルギー供給を受けなければならない武装だったがマヤリト大陸で開発されたのエネルギー機関を搭載したことによりチャージ無しでも2発まで撃つことができる強力な兵器である。
「ぐっ」
タイミングよく放たれた追撃に回避できず空中でその一撃を受けるジンジャー達。着弾地点を中心に巨大な黒い球体空間が発生する。
「おっ、いきなり決まったかな?……なんて、そんな甘い訳ないか」
しかしその一撃で倒すことはできなかった。流石にノーダメージでは無いものの、戦闘不能には程遠いことが見て取れる。
「はっ!!」
そこで飛び上がる百代と清楚。二人同時に接近戦を仕掛けて行く。
「川神流、無双正拳突き!!」
「百式覇王流星脚!!」
百代はサンショに向かって連続の拳突きを、清楚はジンジャーに対し飛び蹴りを打ち込む。一発一発が最新鋭のミサイルを超える破壊力を秘めた拳の連続と、その気になれば一撃で富士山を消し飛ばす蹴りを受けて吹っ飛ぶジンジャー達。
「くっ」
「このやろー!!」
しかし相手も簡単にはやられたりはしない。魔凶星の力により数十倍に強化された今のジンジャーやサンショの力は嘗てマヤリト大陸の戦士達を苦しめたサイヤ人であるナッパにも匹敵する程になっているのだ。地面に着地し反転すると、直ぐに反撃を仕掛けてくる。
「ぐっ」
ジンジャーの飛び蹴り、それを百代は腕で受け止める。そこでジンジャーは一旦地面に足をついて体勢を立て直す。
そしてその能力を使い2本の蛮刀を生み出し、それを振るってきた。
「うおっと」
連続して振るわれる刃。その剣閃を紙一重で見切りかわす百代。
そして両手を大きく広げると2刀の位置が重なった瞬間を狙って一気に挟み込む。
「川神流、二刀まとめ真剣白羽取り&白羽断ち!!」
刀を二本まとめて固定した状態、そこで百代は更に力を込め、まとめてへし折ってみせる。
一方、その頃清楚の方は配下の中でも最も巨体を誇るサンショに対し、真っ向から力勝負をしていた。プロレス等でよく見られる手四つの形でお互いのパワーを比べあう。
「うおおおお!!!」
「はああああ!!!」
拮抗する両者のパワー。しかしほんの僅かの差で清楚が打ち勝つ。
「おりゃああああああ!!!!!」
両手を組んだ状態のまま超人的なパワーによってその巨体を持ち上げ、そのまま投げ飛ばして見せた。凄い勢いで叩きつけられ、舞台が破砕する。
「おっ、二人とも凄いね。なら、私も」
奮戦する二人の戦いぶりを横目で見て賞賛を送る燕。勿論、彼女も観戦ばかりしている訳では無い。ジャンプしてニッキーの顔面にパンチを叩き込んで見せる。
「うーん、ちょっと軽いわね」
「あれ?」
攻撃を受けたにも関わらずいつものオカマ言葉で余裕を示すニッキー。
燕は3人の中でパワーが一番低い。そのため、攻撃が直撃してもほとんどダメージを与えられなかったのだ。
「お返しよ」
反撃とばかりにニッキーが燕を殴りつける。腹に拳が叩き込まれ、表情を崩す燕。
「うぐっ……なーんてね!!」
「えっ!?」
今度はニッキーが驚く番であった。燕は直撃を受けたにも関わらず、大したダメージを受けず、舞空術を使い空中に留まってみせたのだ。
その仕掛けは彼女の着ている『平蜘蛛・改』にあった。この装備は回復、エネルギー弾、そして後一つの特殊機能を使えることも売りであるが、それ以外に高い防御力と言うメリットがある。サイヤ人の戦闘服とその下に着るアンダースーツ、それらと同じ素材が用いられており、非常に高い防御力が備えられており、しかもその強度からすれば考えられない程軽量で更に柔軟で動きを阻害しない優れた素材なのだ。
更に、攻撃を受けた瞬間、燕は体を斜めに傾けることによって衝撃の一部を流していた。
装備の防御力と燕自身の強さを合わせることによってニッキーの攻撃にも殆どダメージを受けなかったのだ。
「やるな、燕」
「ふふっ、モモちゃんも流石だね」
「はははっ、面白いぞ。お前達、この俺と覇を競うのに相応しい!!」
百代は身体能力と技量で、燕は技量と装備で、そして清楚は圧倒的なパワーを持ってガーリックJr.の配下3人に対し互角以上に戦って見せる。
しかし相手もやられてばかりではなかった。
「くっ、こうなったら同時に行くぞ!!」
リーダー的な立場にあるジンジャーが指示を出し、3人固まっての突撃。
そして連続攻撃を仕掛けてきた。
「ぐっ」
「きゃあ」
「うお」
ジンジャー達はガーリックJrの配下として長い間仕えてきている。その間、連携して戦うことも多く、嘗ては不意打ちとは言え、ピッコロさえも破ったことがある位だ。
それに対し、百代と燕は一緒に修行しているとはいえ、連携の訓練等は一切したことが無い。今日、初めてその実力を二人に知られた清楚等は当然論外である。連携した戦いにおいては明らかに相手に一日の長が見られ、それ故に先程までの優勢が一転、一気に押され始めてしまう。
「このままじゃ不利だな。あいつ等をばらけさせるぞ!!」
「わかった!!」
このまま3対3の形で戦い続けるのは不利と悟った百代達は相手の連携を分断しようとする。
「こっちを分断する気ね。そうはさせないわよ」
しかし相手も黙って分断されてくれる訳は無い。3者で背中合わせになることで分断を防ぐ体勢を取った。しかしそれを見た百代。気を集中し高め始める。
「うおおおおおおお!!!!」
「なっ!?」
百代から気が噴出された気に驚くジンジャー達。
実はここまで百代は僅かだが余力を残して戦っていたのである。それをフルパワーにすることで、素の状態にも関わらず光龍覚醒で強化した清楚にも匹敵するレベルにまで力が跳ね上がる。
「川神流奥義、鉄山靠」
そのフルパワーを持って、中国拳法の八極拳の技の筈なのに何故か、川神流奥義と名乗る体当たりを使う。その衝撃は全速力のトラックにぶつかられたほうが遥かにましというレベルで観客席下の壁までジンジャーを吹っ飛ばした。
「ジンジャー!!」
策に対し力技を持って分断されたジンジャー達。吹っ飛ばされた仲間に他二人の意識が一瞬逸れる。
そしてその隙を燕は逃さなかった。
「マリオジャーンプ」
サンショの頭上真上に高く飛び上がる燕。
そしてそこで彼女は平蜘蛛・改に秘められた切り札を使用する。
-GRABITY-
重力制御装置、平蜘蛛は0.2Gから~100Gまでを自由にコントロールすることができる機能がつけられており、燕は自身が耐えられる限界に近い30Gにまで重力を加圧する。
その結果どうなるかと言うと、燕の真下に居るサンショはその変化した重力の影響を受けることになり、自身の体重が30倍になり、更に上昇した気圧の影響や体調変化を受けることになる。
「ぐぅお」
いきなりそんなものを受ければ当然、直ぐには身動きが取れなくなる。辛うじて、地面に倒れ付すことは無かったものの、前かがみの状態で持ちこたえるのがやっとであった。
そしてその状態で燕が真っ直ぐ落ちてくるのだ。
「マリオアタッーーーク!!!」
頭部を踏んだその一撃は燕の攻撃の軽さをカバーしサンショを一撃で昏倒させてみせた。これで、まず一人撃退。
そしてそれに続き、清楚が仕掛けた。
「九鬼家決戦奥義……」
清楚は腕に気を集中させる。彼女が放とうとするのは九鬼の一族、そしてその従者達に伝わる最強の破壊力を持った技の一つ。
「古龍昇天波!!!」
清楚の力と合わさり、まさしく必殺技となったその一撃は見事にニッキーを捕らえ打ち倒す。
そして最後は百代である。
「禁じ手……」
「や、やめ……」
壁にめり込み直ぐにうごけないジンジャーに対し接近。相手は制止をかけるが、勿論やめる訳は無い。
「富士砕き!!」
百代の技の中でも単純な威力であれば最強の拳、この一撃が見事に炸裂し、ジンジャーは白目をむく。これによりガーリックJrの配下3人は全滅し、まずは勝利を手にするのであった。