悟飯in川神学園   作:史上最弱の弟子

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長い間、続きを書かずにすいません。
久しぶりに投稿します。


ベスト4決定

「全く、この私の手を煩わせおって」

 

「申し訳ありませんガーリックJr様」

 

 頭を下げるニッキー。ヒュームにやられそうになっていた二人を救出したのはガーリックJrであった。悟飯の魔族化と言う主に与えられた任務に失敗したばかりか、その主の手によって窮地を助け出されると言う事態に二人は平伏するしかなかった。

 しかし反省しながらも同時に彼等はある疑問を抱き、それを問わずには居られなかった。

 

「しかしガーリックJr様、何故、お逃げになられたのですか?」

 

 魔凶星は魔族の力を数十倍から数千倍に強化する。

 そして魔族の王たるガーリックJrはその加護を特に強く受けることができる。今ならば、ヒュームを上回る力があり、逃げる必要性等無い筈なのだ。

 

「ふん、お前達気づいていないようだな。魔凶星によるパワーアップ今も残っているか?」

 

「えっ?あっ!!」

 

 その指摘により自分達のパワーが元に戻っていることに気づくニッキー達。その理由をガーリックJrは説明した。

 

「魔凶星はこの星に真っ直ぐ近づいている訳では無い。一時的に遠ざかることもあるのだ。それがわかっていたからこそ、一度退かざる得なかったのだ。……っと、そろそろ試合の時間か。魔族化するに相応しいターゲットが見つかった以上、最早この大会に用は無いが、ここで下手に棄権しても怪しまれて動き辛くなるやもしれん。私の正体は未だばれていない筈だからな。お前達姿を隠しておけ、私は試合会場に向かう」

 

「はっ!!」

 

 部下に指示を出し試合会場に向かうガーリックJr。

 そして松永燕と相対する。

 

「へえ、強そうだね。流石はマヤリト大陸の人。でも、悟……っと、いけないいけない。私の知ってるマヤリト大陸の人程じゃないかな」

 

 その強さを値踏みし、ガーリックJrに対し挑発も込めてあえて聞こえるように感想を述べる燕。その発言を受けてプライドの高いガーリックJrはこめかみをピクリと揺らす。

 

「ほう、この私よりも強い奴か。しかしそのようなものが居るとしても、お前が私に勝てることにはなるまい」

 

 しかし怒りを何とか抑えたガーリックJr挑発を返して見せる。しかしそこで燕は更に追撃の言葉を仕掛けた。

 

「そうだねー。本気を出さないと難しいかな」

 

 一見相手を評価しているように見えて裏を返せば「本気を出せば簡単に勝てる」と言った意味を含んだ言葉。ピッコロ等自分よりも遥かに強い存在が居ることを理解していたが、小娘にまで舐められたと言うことがガーリックJrのプライドに大きく触れる。

 

「いいだろう、この私の恐ろしさ、たっぷりと味合わせてやろうじゃないか」

 

「楽しみにしてるよん♪」

 

 凄まじい怒気を放つガーリックJrに対し軽く流す燕。

 そして彼女は内心でほくそ笑んでいた。

 

(ちょろいねー。戦闘力はともかく、精神の方は結構未熟かな。これで冷静さを失って、力を落としてくれれば狙い通りで楽なんだけどな)

 

 言葉とは裏はらに実際には燕は決してガーリックJrを侮っては居なかった。寧ろ、悟飯とヒュームを別格とするならば、この大会で最も警戒すべき強敵と判断していたのだ。それでも勝てる自信はあったのだが、より高い勝算を得る努力をして挑むのが彼女の戦い方なのである。

 

(気や身体能力は私の方がちょっと上かな。技も勝ってるし、油断しなければいけると思うけど、こっちみたいに何か切り札持ってる可能性もあるしね。平蜘蛛・改はモモちゃんとやる時まで隠しておきたいんだよね)

 

 ちなみにウルトラナメックマンに対しては、現状ではどう頑張っても勝てない相手として、当たる所まで勝ち上がった場合には何らかの適当な理由をつけて棄権し、本戦までに何か対策を立てるつもりであった。

 

「それじゃあ、審判さん、合図よろしく」

 

「はい。ガーリックJr選手もいいですか?」

 

「ああ。何時でも始めるがいい」

 

 挑発を仕掛けた燕とそれに引っかかったガーリックJr。前哨戦で大きく差をつけられた状態。その状態のまま試合開始が近づく。

 

「それでは、始め!!」

 

「うおおおおおおお!!!!!」

 

 審判の合図による試合開始直後、ガーリックJrがいきなり巨大化、最初から全力の体勢に入った。一方、燕もその変身完了を待つことなく攻撃を仕掛けた。

 

「とお!!」

 

 奇襲気味の飛び蹴り。それを腕でガードするガーリックJr。しかしそれに対し、燕はその腕につま先をひっかけてそれを支点にして回転。サーカスの曲芸のような動きで背後を取る。

 

「やあ!!」

 

「ぐはっ!!」

 

 後頭部に拳の一撃。強烈な衝撃に目が飛び出しその場にうずくまるガーリックJr。

 

「うぐおおおおおおお!!」

 

「ありゃ、もう終わりかな?」

 

「ぐぬぬぬ、舐めるなあああ!!!」

 

 立ち上がって攻撃を仕掛けるガーリックJr。しかし怒りのあまりその拳は大振りとなり、逆にカウンターを喰らう。

 

「ぐっ」

 

 燕の策略により試合前から冷静さを失っていたガーリックJrは劣勢により更に冷静さを失い、無駄な動きでどんどん体力を失っていく。それに対し、冷静に回避と攻撃を繰り返し、ダメージを与えていく燕。

 

「はあ、はあ、はあ」

 

 試合開始から5分、ガーリックJrは肩で息を吐いていた。全身にダメージを受けスタミナも消費したガーリックJr。一方、ノーダメージで息すら切らしていない燕。

 はっきり言って勝敗はほぼついた状態である。

 

「くそう、魔凶星さえ、魔凶星さえ、近づいてくれば!!」

 

 敗色濃厚な状態に悔しがり叫ぶガーリックJr。その言葉が燕の耳に入る。

 

「んっ、何だがわからないけど、まだ切り札とかあるのかな? それがあれば私に勝てると?」

 

「そうだ。魔凶星という星が近づく時、私のパワーは最大限になる!! 後、30分程でその効果が再び発揮される筈だ」

 

 どこぞの細胞と野菜王子のようなやりとりである。しかし両者の状況を比べるとそこには大きな違いがあった。

 

「うーん、ちょっと興味沸くかも……でも、悪いね。そうと分かったなら、今の内に決めさせてもらうよん!」

 

 燕の主義は倒せる時に倒す、である。馬鹿正直に相手がパワーアップするのを待つ程甘くは無い、寧ろ話に乗る振りをして相手が隙を見せたところで跳び上がり、顔面に渾身の蹴りを叩き込んだのだった。

 

「ぐぅおおおおおお!!!」

 

 まともに攻撃を受け、なすすべもなく場外の壁に叩き付けられるガーリックJr。

 こうして2回戦の4つの試合内、3試合が終了したことにより、最終戦の清楚対淋沖を残すのみとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「梁山泊を守るため、何としても勝たせていただきます」

 

 試合開始前から気合十分の林沖。他の仲間が予選で敗退したことにより、中国武術の最高峰梁山泊組の中から唯一の本戦勝ち上がりとなった彼女はその名誉を守らんと言う気合に満ち溢れていた。

 

「行きます!!」

 

「はははははっ、来るがいい!!」

 

 試合開始直後、覇王モードの清楚に突撃する淋沖。

 

「梁山泊奥義!!黒豹疾駆!!」

 

 そして放ったのは槍を使った息も突かせぬ連続突撃。それを持って清楚を圧倒する。

 

「ぐっ」

 

 気を防御に集中し守り固めるしかない清楚。

 本来、林沖の実力は通常時こそ壁の上程度でしかないが、守るものがある時のみ彼女はその戦闘力を増加させる。梁山泊の名誉を守らんとする彼女はその力を完全に解放することで、壁越えクラスでも上位の強さを見せていた。

 

「槍雷一点撃!!」

 

「うあっ!!!」

 

 潜在パワーが最大に解放し、一点に力を集中した一撃。ラディッツと戦った頃のピッコロの魔貫光殺砲の3分の2ほどある威力の一撃を受けて、リング境界ギリギリまで弾き飛ばされる清楚。

 ここまでの戦いを見て、この戦いの観戦客の多くは林沖の勝利を確信する。しかしここで追い詰められたように見える清楚は大笑いをあげた。

 

「はははっ、どうやらここまでのようだな」

 

 言葉だけ聞けば敗北宣言にも聞こえる、しかし、その表情、声、いずれにも諦めの感情は感じられない。寧ろ自信と余裕が満ち溢れているように感じられた。

 

「どういうつもりですか。諦めた、っと言う訳ではないのですよね?」

 

「いや、諦めたぞ。ただしこのままの状態で勝つことをな!!」

 

 本意を探ろうとする林沖。それに対しこれが答えだと言わんばかりに清楚は自らの上着を掴む。

 そして彼女はそれを脱ぎ捨て、上半身をタンクトップ姿にする。ただ上着一枚を脱ぎ捨てただけとはいえ美少女の脱衣に身を乗り出す観客達。

 

「うおおおおおお、清楚先輩サイコーーーー!!!」

 

 興奮する童帝やら岳人等。しかし、そんな彼等も驚愕することが起こる。上空に投げ捨てられた上着がリングに落ちた瞬間、コンクリート製のリングに亀裂が入ったのだ。

 

「なっ!?」

 

「くくっ、随分と軽くなったぞ」

 

 目の前で起きた光景に驚愕する観客達。この光景を引き起こした原因は単純であった。清楚が身につけていた服の内側には金属が仕込まれていた、ただそれだけである。ただ、その重量が少しばかり常識外れなだけで。

 観客席に居る者達は起こされた破壊からその重さを推し量ろうとする。

 

「犬と同じで重量装備をつけたまま戦ってたのか」

 

「それも、ワン子よりも重そうだね。100キロは軽く超えてるんじゃない」

 

「あの、素材。多分鉛だな。下手をすれば200、いや300キロ近くいくかもしれないぞ」

 

 成人男性4,5人分、その非常識な重さを背負ったまま戦い続け、その重りをおろした清楚。その事実に林沖は警戒を強める。

 しかし結果を先に述べさせてもらうなら、それは無駄でしかなかった。

 

「それじゃあ、いかせてもらおうか。てりゃあああああ!!!」

 

「!?」

 

  気合の掛け声と共に一気に間合いを詰めての一撃。それはあまりに高速だった。反応すら出来ず、放たれた拳をもろに受けた林仲は場外にまで跳ね飛ばされ、そして地面に叩きつけられる。

 

「なかなかの強さだったな。おかげでいい修行になった」

 

 圧倒的な力を見せての逆転劇、準決勝に進む全ての選手が決定する。

 しかしそれと時を同じくして魔凶星が再びその怪しい輝きを放ち始めようとしていた。




最近ドラゴンボール超が面白い。
戦闘力系に関してはかなり分投げてるみたいなので、私も頭空っぽにして楽しんでます。
この作品では今後、戦闘力の絶対さに関しては原作と超の中間位に扱っていこうかなと思っています。

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