インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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クラス対抗戦

side秋良

簪と仲良くなってから既に二週間が過ぎ、

とうとうクラス対抗戦の日になった。

 

あれから鈴と簪が異様に仲良くなったり、

兄さんがセシリアに折檻していたりと、なんかこれまで以上にカオスな展開になってた。

 

いや、原作とかなり違うこの世界に来た時点で、

普通の展開なんてあり得ないと思ってはいたけどね。

 

現在、俺は兄さんのセコンドみたいな感じで、

一緒にピットの中にいる。

 

兄さんはどうやらI.W.S.P.で戦うらしい。

他のストライカー使わなくて良いのかな?

 

まあ兄さんなら大丈夫だよね。

 

「という訳で、頑張ってね兄さん。」

「どういう訳だ。」

 

兄さんがストライクを展開しつつ、俺の言葉にツッコミをいれる。

 

兄さんはこれから原作通り鈴と戦う事になっている。

でもまぁ、こっちは転生して相手の手の内が分かっるから、

正々堂々とはいかないだろうね。

 

ま、兄さんに言わせてみれば戦いに正々堂々なんて無い、

って言うだろうけどね。

 

「まあ良い、勝ってくる。」

「頑張れ~。」

 

兄さんは溜め息をつきながらカタパルトに移動していく。

そんな溜め息ばかりついてたら幸せが逃げるよ?

 

さてと、俺も待機しておこうかな?

原作ならこの後無人機が降って来るけど、

俺が出張らなくてもいいかな。

兄さんに全部任せておけば俺は楽だからね。

 

sideout

 

side一夏

さてと、クラス対抗戦か・・・。

 

無人機が来るかも知れんが頑張りまっせ。

 

なんせ優勝したクラスには食堂のスイーツ半年フリーパスが配られるんだ、

甘い物好きの俺からしたら是が非でも手に入れたいな。

 

『進路クリアー、ストライク、発進どうぞ!!」

山田先生のアナウンスが聞こえる、もうそんな時間かね。

さてと、行くとするか。

「織斑一夏、ストライク、行くぞ!!」

 

カタパルトから飛びだし飛行する。

アリーナに入ると、既に甲龍をを展開した鈴が待っていた。

 

ってか覇気がねぇな、本当にあんなので戦えるのかよ?

 

「おい鈴、お前本当に代表候補生か?」

「そ、そうよ!・・・、多分。」

自信無いのかよ!?ダメだこりゃ、簪や秋良に頼んでもう少しポジティブにしないと。

 

なんか色々と頭が痛くなってきた・・・。

 

っと、今はそんな事を考えてる場合じゃねえんだよな。

 

「鈴、本気で掛かってこい、でないと地獄を見るぞ?」

「や、優しくしてね・・・?」

「気が向いたらな。」

 

そう言いつつ、対艦刀を引き抜き、

試合開始のブザーと共に一気に加速、最も得意とする間合いに入る。

 

「はぁっ!!」

「キャアッ!?」

小手調べに防ぎやすい所に振った刀を、鈴は悲鳴を上げつつ青龍刀で防ぐ。

 

「へぇ、やるじゃねえか。」

 

感心しつつも鈴を蹴り飛ばし、追撃としてレールガンを撃ち込む。

 

「や~め~て~!!」

おいおい、叫びながら青龍刀でレールガンを弾き落としてやがる、

普通無理だろ。

 

「やるな、ならこいつはどうだ?」

ビームブーメランを投擲し、避けるであろう方向にガトリングを撃つ。

 

「みにゃ~!!」

また悲鳴を上げつつ、龍砲を撃ちながら全てを回避していく。

 

「ちっ!」

近付き、対艦刀二本による連続攻撃を掛けてみても、

青龍刀で捌いたり、後退して俺の間合いから上手いこと逃げている。

 

すげぇな、回避率だけだが・・・。

 

ネガティブになったが戦闘能力は原作以上か、

なかなか楽しまれてくれる。

 

しかしよぉ、さっきからかなり攻めたててるのになんで目立ったダメージがねぇんだよ?

 

いくら攻撃を受けて無いとはいっても、このままじゃジリ貧だぜ。

どうするかな・・・、原作通り一気にケリをつけるか。

 

そう思い、瞬間加速<イグニッションブースト>を発動、

一気に間合いに入る。

 

この距離なら龍砲は使えない、後は一気に墜とす!

 

必殺の意志を込めた刃が届く寸前、俺と鈴の間に太い光条が突き刺さった。

 

sideout

 

noside

その異形は、アリーナのシールドバリアーを突き破り内部に侵入した。

 

あまりに唐突過ぎた為、アリーナの観客席にいた人間は何が起こったのかわからなかった、

だが異常を察知すると、全員が悲鳴を上げながら我先にと出口に殺到する。

 

それとほぼ同時に生徒を守る為に非常用シェルターが展開された。

 

「な、何あれ!?」

鈴はかなり取り乱しながら一夏の後ろに隠れる。

 

「さあな、どう見ても友好的な感じじゃねぇのは確かだな。」

一夏はボヤきながらもレールガンを侵入者に向けて撃つ。

 

侵入者はそれを各所に装備されているスラスターを使い、

見事と呼べる様な回避を見せる。

 

「ちっ、やっぱりこの程度の砲撃は避けられるか、

鈴、お前はさっさと安全な場所に行け、こいつは俺が潰す。」

「だ、駄目よ!一夏も直ぐに逃げて!!」

「鈴!」

 

逃げるように言う一夏に、鈴は共に逃げようと言うが一夏は一喝する。

 

「アイツはアリーナのシールドバリアーを突き破る兵器を持っている、

ここで誰かが食い止めないと被害が広がるんだ、だから俺は戦う。」

 

一夏の言葉に何も言えなくなった鈴は、後ろ髪をひかれる様な思いを抱きつつも、

ピットの入口付近まで戻っていく。

 

だが、侵入者は彼女目掛け、右腕に装備されている荷電粒子砲を発射しようとした、

だが・・・。

 

「何処を見ている?」

一夏はビームライフルを侵入者に向けて撃つ。

その光条は寸分の狂いなく侵入者の右腕に着弾、

発射されようとしていた荷電粒子砲のエネルギーも相まって、

盛大な爆発を引き起こした。

 

「この俺を相手に余所見をするのは殺してくださいと言っている様なもんだぜ?

どうせなら玉砕覚悟で掛かってこい、でないと楽しめねぇんだよ。

それに、今の俺はスイーツ無料パスがおじゃんになったから、

かなりご立腹だ、だから・・・。」

 

一夏はI.W.S.P.を量子格納しランチャーストライカーに換装、

アグニをしっかりと構える。

 

「来いよ、俺がズタズタに壊してやる。」

 

侵入者は残った左腕の荷電粒子砲を一夏に向ける、

一夏もアグニの砲口を侵入者に向け、いつでも引き金を引ける様にする。

 

その様子はまるでウェスタンカウボーイの決闘の様に見えた。

 

(つっても、俺にはそんな気なんてさらさら無いんだがな。)

 

一夏がそう思った瞬間、侵入者の腕から荷電粒子砲が発射される。

だが、一夏はそれを回避しアグニのトリガーを引いた。

 

それは狙い違わず侵入者の左腕に直撃、盛大な爆発を上げ、左腕は完全に破壊された

侵入者の戦闘能力は完全に奪われた。

 

一夏は追撃として、もう一発を侵入者の右足に撃つ。

アグニの大出力ビームは狙い違わず侵入者の右足に直撃、

移動手段も完全に奪われた侵入者は、なす術なく地に倒れ伏した。

 

アリーナのシールドバリアーが突き破られてから、僅か三分足らずの間であった。

 

あまりにも呆気ない終わり方に、一夏のありありと不満の色が見てとれた。

 

「なんだよあっけねぇな・・・、つまんねぇ・・・。」

 

一夏は侵入者に近付き、アグニの砲口を顔面に向け、トリガーを引く。

 

迸る大出力ビームは侵入者の頭を吹き飛ばした。

 

(つまらん・・・、無人機は脆いな、まだ人間の方が強いぜ。)

 

一夏は冷めた目で侵入者を見下ろし、溜め息をついた。

 

「あ、そうだ、無事か鈴?」

「だ、大丈夫よ、ありがとう一夏。」

「気にすんな。」

 

一夏は鈴を連れ、ピットの中へ戻って行った・・・。

 

sideout

 

side秋良

「おー、来た来た、こっちだよ兄さん、鈴。」

 

あの後、兄さんと鈴は事情聴取の為に姉さんに呼び出され、

帰ってくるのがかなり遅くなっていた。

 

にしても、兄さんかなり苛立ってるね。

 

そんなにスイーツ半年フリーパスが欲しかったのかな?

まあ俺は甘い物が苦手だから別に良いけど、

辛い食べ物半年フリーパスならちょっと怒ってたかな。

 

だからなんと無く気持ちは分かる。

 

「兄さん落ち着きなよ、中止になるのも仕方ないって。」

そう言いつつも兄さんの前にさっき注文しておいたチョコレートパフェを置く。

 

糖分を採れば兄さんは落ち着くからね。

 

「すまんな、だが、流石にムシャクシャすんぜ。」

 

パフェを食べながらも兄さんは軽く文句を言う、

食べ物の恨みってやっぱり恐いね。

 

「い、一夏、落ち着いて・・・。」

鈴が兄さんを宥める様に話し掛けていた。

なんか娘が父親を気遣ってるみたいでほっこりするね。

 

「悪いな鈴、大丈夫だ。」

鈴には心配掛けられないのか、兄さんは微笑んで彼女の頭を撫でていた。

 

因みに今このテーブルにいるのは俺と兄さん、鈴と箒、簪とセシリアだ。

 

のほほんさんや相川さんは別の人と先に夕食にしちゃったらしいからね。

 

「にしても、簪と戦え無かったのはちょいと残念だな、

どれぐらいの腕か見てやりたかったのによ。」

「そうね、でも私が勝ってたよ?」

「はっ、言うじゃねえか。」

 

はははと笑ってるけど、なんか空気がスゴいピリピリしてきた、

さっさと飯にしてどっか行こうっと。

 

sideout

 

side???

「んー、束さんが作ったゴーレムをあっさりと倒しちゃうなんて、

いっくんが使ってるあの機体、束さんが作った白式じゃないね。」

 

一夏とゴーレムの戦闘映像を見ながら呟く人影がいた。

 

「ん~、あんな機体、見た覚えも作った覚えも無いなぁ。」

 

その人物は、興味に突き動かされるままにキーボードを叩いていく。

 

「この世界に束さんが知らない事なんて無い筈なのに。」

 

そんな呟きは、闇へと溶けて行った・・・。

 

sideout

 

 





次回予告
ゴーレムの襲撃より一ヶ月後、
一組に転校生がやって来た。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
ブロンド貴公子とプラチナ軍人

お楽しみに!

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