インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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誘われし者 真耶&ナターシャ編

noside

 

IS学園敷地内のある一角にて、

ラファール・リヴァイヴを纏った真耶と、

銀の福音を纏ったナターシャが迫り来るダガーを相手に苦境に立たされていた。

 

元々、量産機であるリヴァイヴや広範囲殲滅をコンセプトにしている福音では、

性能差、そして周囲に被害が出る状況下では苦戦を強いられる事は必至であった。

 

「まーやん!大丈夫!?」

 

「なんとか・・・!でもちょっとキツい、かな・・・!」

 

互いを気遣いながらも、

疲労や焦燥の色は隠せないのか、二人の表情に余裕は無い。

 

(くっ・・・!なんて性能!!これで量産機なんて有り得ないわ・・・!!)

 

(一体誰がこんな性能の機体を造ったというの・・・!?)

 

真耶とナターシャは敵の性能、そして量産機と言う大群相手に、

少なからず製造元に対する謎を抱えていた。

 

だが、それに一瞬気がそれた瞬間、

ナターシャの背後から一機のダガーが斬りかかって来た。

 

「なーちゃん!!」

 

「!?」

 

先に気付いた真耶がナターシャに警告を飛ばすが、

反応が遅れたナターシャが回避する事が不可能な距離まで迫られていた。

 

無慈悲な光刃が彼女に達する寸前、

上空から一条のビームが降り、ダガーを貫いた。

 

「「えっ?」」

 

あまりに突然の事に驚き、

二人は馬鹿みたいに口を開け、呆然と立ち尽くす。

 

「山田先生、ファイルス先生もご無事でなによりです。」

 

そんな彼女達の前に、ヴェルデバスターシーストラを纏ったシャルロットが悠然と降り立った。

 

「デュノアさん!!ありがとうございます!!」

 

シャルロットの救援に感激したのか、

真耶は戦いを忘れ、彼女に声をかけていた。

 

「ありがとうデュノアさん、でも、私達だけじゃ倒せないわ・・・!」

 

ナターシャもシャルロットに礼を言うが、

状況が苦しいと弱音らしきモノを呟いた。

 

「そんな事無いですよ!先生方はお強いです!!

生徒を導き、護るのが先生の仕事ですよ!だから諦めないでください!」

 

シャルロットは真耶とナターシャを鼓舞する様に言い、

ダガーの方へと向き直り、ハイパービームサーベルを抜き放つ。

 

「露払いは僕が引き受けます、先生達も折れないでください!」

 

シャルロットはスラスターを吹かし、

ダガーへと突っ込んでいく。

 

それを確認したダガー達は、一斉にビームライフルを発射し、

弾幕を張って彼女の接近を阻もうとする。

 

「そんなもの、効かないよ。」

 

残酷な天使の笑みを浮かべながらも、

シャルロットはビームサーベルを一閃、

ビームを切り裂きつつもミサイルも同時に発射する。

 

ミサイルは攻撃に専念していたダガーを飲み込み、

灰塵へと還した。

 

(さぁ、そこで立ち止まらないで、

先生の戦いを、僕達に見せてくださいね。)

 

二人の再起に期待しながらも、

シャルロットはダガーを葬るべく、ハイパービームサーベルを振るった。

 

sideout

 

side真耶

 

デュノアさんに助けられ、

彼女が私達が倒せなかった無人機を次々に倒していく姿に、

私は少し、いいえ、かなりの情けなさに襲われました。

 

自分よりも6つも年下の生徒に護られての悔しさもあります。

 

だけど、私には何の力も無く、

こうやって無人機を一機も倒す事は出来なかった。

 

でも・・・、こんな事で良いの・・・!?

生徒を護る筈の教師が、護るべき生徒に護られている、

こんな無様があってはいけない・・・!!

 

私は何の為に教師になったの!?

生徒により良い未来を見せるために、

人生の先輩として導き、教えたかったからでしょ!?

 

未来を担う芽を、こんな所で積ませはしない!!

 

お願いリヴァイヴ!私に力を貸して!!

 

その時、以前一夏君に渡されたUSBと、彼の言葉を思い出した。

 

『ただ、この学園とそこにいる全ての者を護る力が必要なのです。

その為に、この力を役立ててください。』

 

あの時の言葉の意味、漸く分かりました・・・!

護りたい物の為に力を欲した時に使えという事なんですね・・・!!

 

私はすぐさまUSBを呼び出し機体に挿入、読み込み作業を開始します。

 

すると、緑色の背景に白い文字が書かれたウィンドウが新しく表示されました。

 

『汝、力を欲したな?何の為に力を欲する?』

 

そんな事決まってます!!

この学園にいる生徒を護る力が欲しい!!

 

それが私の望みです!!

 

『汝の覚悟、しかと受け止めた!我の力を取り、護る力を掴め!』

 

護る!教師としてのプライドと、私自身の意地に賭けて!!

 

『CompulsionSift Ready・・・。』

 

ウィンドウが切り替わった瞬間に、

私は緑色の光に包まれた。

 

暖かい・・・、それに私の中に力が流れ込んでくる・・・。

 

私は、戦えるのね・・・!

 

sideout

 

sideナターシャ

 

デュノアさんが救援に駆け付けてくれたのは嬉しいけど、

護るべき生徒に助けられと言う情けなさは消えない。

 

むしろ、デュノアさんが敵を倒す度に、

私の中でその情けなさは膨れ上がっていく。

 

一体・・・、私は何の為にここに教師として赴任したの・・・?

 

福音のデータ取り・・・?

その為もあった、でも、それよりも何よりも、

未来を担う芽を育て、新しい世界へ羽ばたかせる為に私はここに来た!

 

そうよ・・・!私はIS学園教諭、ナターシャ・ファイルス!

生徒を脅かす敵は絶対に許さない!!

 

どうか私に、生徒を護り、敵を倒す力を与えてください・・・!

 

そう願った時、かつて一夏君が話した言葉がリフレインした。

 

『ただ、この学園とそこにいる全ての者を護る力が必要なのです。

その為に、この力を役立ててください。』

 

そうよ・・・!

今力を使わないで、何時使うのよ!?

 

私は咄嗟に彼から譲り受けたUSBの存在を思いだし、それを呼び出す。

 

「お願い!私に力を貸して!!」

 

福音、ゴメンね・・・!私には力がいるの・・・!!

 

USBを挿入し、読み込み作業を開始させる。

 

すると、青紫の背景に白い文字が書かれたウィンドウが新しく表示された。

 

『汝、力を欲したな?何の為に力を望む?』

 

生徒を護る為に!

そして大切な友人を護る為の力が欲しいの!

 

それだけが私の望み!!

 

『良かろう、汝の望み、しかと受け止めた!我の力を取り、護る力を掴め!』

 

勿論よ!仲間を、生徒を護る為に!

私は戦い続ける!!

 

『CompulsionSift Ready・・・。』

 

強制移行という訳ね・・・、

ゴメンね福音、貴方の姿、また変えられちゃうのね・・・。

こんな弱い私を許してね・・・。

 

その瞬間、私は青紫の光に包まれた・・・。

 

sideout

 

sideシャルロット

 

十機目のダガーをハイパービームサーベルで真っ二つにした時、

先生達の方から緑色の光と青紫の光が煌めいた。

 

あれは恐らく、一夏が言ってたセカンドシフトモドキの光だ。

 

強制移行とか言ってたけど、大まかな事は大体同じなんだってさ。

 

こっちの二人が覚醒したということは、

多分他の皆も覚醒してるんだろうね、

 

「ふふっ、一夏、貴方の望みがもうすぐ叶うよ、

僕はずっと貴方に着いていくからね。」

 

sideout

 

noside

 

真耶とナターシャを包みこんだ光は、

徐々に大きさを増しながら膨れ上がっていく。

 

ある一定の大きさに達した時、

光の繭は弾ける様に晴れていく。

 

光が晴れ、そこには二機のガンダムタイプが佇んでいた。

 

一機はレッドフレームに酷似した姿ながらも、

腰に特殊な形状のビームライフルを携えた緑色のフレームを持った機体。

 

もう一機はストライクに近いフレームを持ち、

背中に大型の対艦刀を左右一対装備した翼を背負う、

青紫の機体。

 

「護る!生徒達を守り抜いてみせる!」

 

「戦おうまーやん!」

 

「勿論だよ、行こうなーちゃん!」

 

真耶とナターシャは、

互いに闘志をみなぎらせ、眼前に展開するダガーを睨み付ける。

 

「ふふっ、漸く進化したね、残りの敵はよろしくお願いしますね。」

 

それを確認したシャルロットはハイパービームサーベルを収め、

少々離れた場所に佇む。

 

それを確認した真耶は腰に装備したツインソードライフルを右手に保持し、

ナターシャは背中のホルダーよりエクスカリバーを抜き放ち、保持する。

 

「山田真耶、ガンダムアストレイグリーンフレーム、出ます!」

 

「ナターシャ・ファイルス、デスティニーインパルス、出撃!!」

 

二機のガンダムは、ダガー目掛けてスラスターを吹かし、突撃する。

 

「はあっ!!」

 

グリーンフレームを駆る真耶は一機のダガーに急接近し、

至近距離でビームライフルを発射し、

振り返り様にサーベルモードに切り替え、背後から迫っていたダガーを貫いた。

 

「な、なんて威力・・・!それになんて機動性・・・!!」

 

以前使用していた機体とは比べ物にならない攻撃力、

そして機動性に驚くも、迫り来るダガーから意識を外す事は無い。

 

左側から斬りかかって来たダガーに対し、

身を沈め、ツインソードライフルで一閃、三枚におろした。

 

「やるわねまーやん、私も戦うわ!」

 

親友の奮戦を見たナターシャは闘志を更にたぎらせ、

向かってきたダガーに対し対艦刀で一閃、まるで紙でも切るかの如く易々と切り裂いた。

 

「なんて切れ味よ・・・!でも、これで戦えるわ!!」

 

驚きつつも、右肘よりビームブーメランを引き抜き、

ビームライフルを撃ちかけてくるダガーに対して投擲する。

 

ビームブーメランは弧を描いて飛び、

線上にいたダガー数機を纏めて切り裂いた。

 

(凄い・・・!これがガンダムの力・・・!)

 

(護れる!私の力で!!)

 

己の力を手に入れた二人は、

今までのツケを帳消しにするかの如く、敵を次々に葬っていった。

 

「ふふっ、凄い凄い、伊達に教師をやってないね、良い強さだよ。」

 

彼女達の戦振りを少し離れた場所に佇み、

傍観していたシャルロットは楽し気に呟いた。

 

まるでサーカスを楽しむかの様に手を叩きながらも、

周囲に接近してくる機体が無いか確認する。

 

「やっぱりこれだけじゃ済まないよね、

それじゃあ、こっちは僕が引き受けようかな、見てるだけじゃつまらないしね!」

 

別方向からの増援を確認したシャルロットは、

複合バヨネット装備型ビームライフルを構え、

嬉々としてダガー達にその牙を剥く。

 

「戦いはまだ、始まったばかりだよ!もっと僕達を楽しませてよ!!」

 

sideout

 

noside

 

そらから数分も経たない内に、

アリーナの外に攻めてきていたダガー達は一掃され、

その残骸の中に三機のガンダムタイプが佇んでいた。

 

ヴェルデバスターシーストラ、グリーンフレーム、デスティニーインパルスの三機は、

それぞれ周囲を警戒していたが、敵影が無いことを確認した。

 

「このエリアの敵は掃討されたみたいね・・・。」

 

「そうね・・・、残りは他の場所にいるのかしら・・・?」

 

真耶とナターシャは少し安堵したのか、

盛大なため息を吐いていた。

 

「安心している暇は無いですよお二人とも、

一夏達がいる第3アリーナから敵の反応があります、

恐らく、有人機も来てるでしょうし、僕達も行きましょう。」

 

あくまで冷静なシャルロットの声に、

まだ戦闘中だった事を思い出した二人は、

即座に気を引き締める。

 

「そうね、まだ戦いは終わってなかったわね。」

 

「行きましょう、皆さんと一緒に戦うために!」

 

ナターシャはシャルロットの言葉に頷き、

真耶は戦意をみなぎらせながらも直ぐ様救援に向かう準備を整える。

 

「それじゃあ、行きましょう。」

 

シャルロットの後に続き、真耶達も飛び上がる。

 

大切な者を護る為の戦いはまだ、

終わってはいないのだから・・・。

 

sideout

 

 

 




どーもです!
グリーンフレームとデスティニーインパルスが出ました。

それでは次回予告
ダガーの大軍を蹴散らし、
第3アリーナにガンダムが集う。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
誘われし者 後編

お楽しみに!

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