インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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残姉さん襲来

side???

 

「「遂に・・・、遂にやって来ましたIS学園!!」」

 

IS学園校門前で、メイド服らしき物を着た女性と、

軍服に眼帯をした女性が声を張り上げて何かを叫んでいた。

 

あまりにも大きい声であったため、

彼女達の周辺にいた者達は一様に驚いた表情をして、

そっと距離を空けていた。

 

実に賢明な判断であると言えよう。

 

「やって来ました!あぁ、お待たせ致しましたお嬢様!

このチェルシー・ブランケット、只今到着しました!!」

 

「お待たせしまった隊長!!このクラリッサ・ハルフォーフ、

後れ馳せながら到着致しました!!」

 

「「今すぐにお嬢様(隊長)の可愛いお姿を拝見しに行きます!!」」

 

まったく同時に発声し、互いの顔を見て頷く。

 

その様子は、如何にも友人同士ですとでもいえる物であったが、

勿論二人に面識等は一切無い。

 

ただ、なんとなく・・・。

 

((この人とは凄く気が合いそう・・・!!))

 

と言った直感に依るものが大きいだろう。

 

「「いざ行かん!!メイド喫茶へ!!」」

 

禍の種が、一年一組に向かいつつあった・・・。

 

sideout

 

side一夏

 

「ッ!?」

 

なんだ今の肌に氷を当てられる様な薄寒い感覚は・・・!?

 

「まさかっ・・・!?何か強大な力を持った変態が来るのか・・・!?」

 

「お前は一体何に反応してんだよ!?」

 

ニュータ○プの様な感覚をそのまま口にしたら雅人に何故か怒られたが、

今はそれどころじゃない!

 

この嫌なプレッシャーは、間違いなく楯無クラスの残姉さんが近付いて来る証拠だ・・・!

しかも最悪な事に、そのプレッシャーが一人ではなく、二人と来た・・・!

 

落ち着け・・・!

まだこのクラスに来ると決まった訳じゃない・・・!

 

いや・・・、もう決まってるのか?

なんせラウラとセシリアまで少し震えてるからな・・・。

 

しかも、シャルまで震えだしたから、

これは間違いなくヤバいな。

 

「ヤバい・・・!セシリア!ラウラ!取り敢えず隠れろ!

シャル!何処か適当な場所を探してやってくれ!!」

 

「「はいっ!!」」

 

「分かった!!」

 

「おい!落ち着けお前ら!!」

 

雅人が俺達を必死に止めようとしてくるが知ったことか!!

こっちは胃の安寧がかかってんだよ!!

 

唯でさえこのクラスに残姉さんが二人も居るんだ!

これ以上増えたら確実に俺の胃に穴が空くわ!!

 

慌てながらも、

何処か隠れる場所を探していたが・・・。

 

「お帰りなさいませお嬢様!二名様ですね、

御通し致します!」

 

一段と嫌な予感が強まり、

プレッシャーが近付いてきた時に、

その客は来た。

 

冷や汗を滝の様に流しながらも振り向くと、

想像通りの客人が入ってきた・・・。

 

「「「ああぁぁ・・・。」」」

 

俺とセシリア、そしてシャルががっくりと膝を落とし、

項垂れてしまう。

 

「はっ!お嬢様!お久しゅうございます!!」

 

その内の一人、栗色の髪を持った変態が、

セシリアを見付けて飛び付いてきた。

しかも、ルパン○世みたいな飛び方で・・・。

 

あれは間違いない、セシリア付きのメイド、チェルシー・ブランケットだよな・・・。

 

最悪だ・・・、あの人まで変態になるとは思わなかった・・・。

 

「ひっ、久し振りですねチェルシー・・・。」

 

うわぁ・・・、セシリアの美しい顔が凄くひきつってる・・・、

あの顔は久しぶりに見たな・・・。

 

「ハァハァ・・・、お嬢様の香り~!」

 

チェルシーは抱き付いた状態で、

セシリアの香りを嗅いでいた・・・。

 

「やっ、やめてくださいチェルシー!!」

 

「ハァハァ・・・、お嬢様~!」

 

ダメだこの残姉さん・・・、主の命令聞いてねぇし・・・。

結構可愛いのに凄く残念だ・・・。

 

はっ!そう言えば、今ここにいるのはこいつだけじゃねえ!!

 

「ラウラ!」

 

「あっ、兄貴~!助けてください~!」

 

「はぁ~!隊長ォ!!可愛過ぎてすよぉ~!!」

 

ラウラの方を向くと、

クラリッサにガッチリとホールドされ、

頬擦りされまくっているラウラがいた。

 

もうダメだこの残姉さん・・・、

下手したら上官侮辱罪が適用されるレベルまで来ちまってる・・・。

 

助ける気も失せ、

嫌な予感に促されるがまま振り向いてみると・・・。

 

「グフッ!?」

 

「ドムッ!?」

 

お盆に水を載せた状態で思いっきり転倒している山田先生とファイルス先生がいた。

 

さ、最悪だ・・・、

タイプが違う残姉さんが四人もいるのか・・・。

 

胃が、胃が痛い・・・!

 

「(一夏・・・、僕目眩がしてきたよ・・・。)」

 

シャルが俺の方へと倒れて来るのを受け止め、

しっかりと立たせる。

 

俺だって現実逃避したいわ・・・。

 

「(その前にセシリアだけは助けてやろう・・・。)」

 

ため息を吐きつつ、

セシリアとチェルシーの間に入って二人を引き剥がした。

 

「何しやがるです!?」

 

「いやいや、セクハラしてたら止めるだろ・・・。」

 

「セクハラじゃありません!!お嬢様への愛の形です!!」

 

えっ・・・?

まさかこのヒト・・・、百合に目覚めてる・・・?

 

「お嬢様の残り香だけではもう我慢できません!

だって・・・!!」

 

sideout

 

side回想

 

『はぁぁ~~~~~、お嬢様~~!!』

 

私はお嬢様の寝室にて、

お嬢様が学園にてお使いになられた下着を手に、

その芳醇な香りを堪能していました。

 

お嬢様が日本に向かわれて既に三ヶ月、

はっきり申し上げて、お嬢様の残り香が弱まって来ています。

 

あぁ、このままでは私は淋しさと愛しさで発狂してしまいそうです!!

 

お嬢様ぁ、お嬢様ァァァァァァ!!

 

sideout

 

side一夏

 

「という感じです。」

 

ヒィィィ!!?

なんだよこの変態!?

楯無を凌駕してやがる・・・!!

 

「ですのでぇ・・・。」

 

「ひっ!?」

 

イカン!

チェルシーのセシリアを狙う目が、

兎を狙う虎になってやがる!!

 

「お嬢様の胸にレッツダァイブ!!」

 

またしてもルパン○世の様な飛び込みで、

チェルシーはセシリアに飛び付こうとした。

 

俺が止めに動こうとするが、

速さ的に間に合わない・・・!

 

だが・・・。

 

「やめんか!」

 

「そげぶっ!?」

 

雅人が首筋に手刀を叩き込み、

チェルシーを沈黙させた・・・。

 

「あ、ありがとうございます、雅人さん・・・。」

 

「手を煩わせたな、ワリィな雅人。」

 

「気にすんな、流石にこれ以上騒がれたら、

商売の邪魔だ。」

 

まあ確かにな・・・、

そろそろクラリッサにもご退場願おうかね。

 

「お嬢様、メイドを離してください。」

 

「嫌です!隊長の可愛いお姿を拝見し、

舐め回すことの何処がいけないのですか!?」

 

ラウラをガッチリとホールドしたまま、

結構デケェ胸を張って堂々と宣言しやがった。

 

本当にダメだこの残姉さん・・・。

 

「文化祭が終わってからやってください、

それなら文句言いませんから。」

 

「我慢できません!!

もう隊長成分が足りませんから!!」

 

sideout

 

side回想

 

『副隊長ォ!!隊長からお届け物です!!』

 

『御苦労!早く開けてくれ!!』

 

『はいっ!』

 

部下に命じ、小包を開けてもらう。

 

何が入っているのだろうか?

楽しみだぁ・・・!!

 

『はっ!?こ、これはっ!?』

 

『隊長の水着ぃ!!』

 

私のコレクションに無い水着姿では無いか!!

ありがとうございます隊長ォ!!

 

それにしても可愛過ぎて可愛過ぎてもう・・・!!

 

『ブハッ!!』

 

私は大量に鼻血を撒き散らしてしまった。

 

一リットルは出たな・・・。

イヤ!これは血では無い!

隊長への愛だ!!

 

sideout

 

side一夏

 

「こんな感じです!」

 

うわぁ・・・、

このヒトも完全に終わってるよ・・・。

 

「ですので!隊長を舐め回させていただきます!!」

 

「ひっ!?あ、兄貴~!助けてください~!」

 

流石にそろそろラウラが不憫だ、

しょうがねぇ、助けてやるか。

 

そう思い指を鳴らした瞬間、

シャルがクラリッサの後ろに回り込んで脇腹を思いっきり擽っていた。

 

「わっひゃいっ!?やめひぇ~!」

 

「ラウラを離してください!!」

 

「わひゃひゃひゃひゃ!!わ、わかりましたぁ!!」

 

シャルの巧妙かつ、大胆な擽りは効果覿面なご様子で、

クラリッサは身悶えながらもラウラを解放した。

 

なんとか一件落着だな。

 

山田先生とファイルス先生の方も、

雑巾で拭いてるからもう気にしない。

 

なんとか一件落着だな。

 

・・・、何でだ?

何か大切な事を忘れている気がするんだが・・・?

 

「おーい、兄さんに雅人、まだ此処に居たんだ?」

 

そんな事を考えていると、

秋良がひょっこりと顔を出した。

 

今の今まで本当にサボってやがったな・・・、

まあ、サボらせたのは俺なんだが・・・。

 

「後30分で、ライブの時間だよ?

俺もだけどメイクしなくていいのかい?」

 

あー・・・、そう言えばそうだったな。

店の方もそろそろ休憩に入るし、ちょうど良いな。

 

「分かった、そろそろ行くか、行くぞ雅人。」

 

「あいよ、やるとするかい。」

 

「行ってらっしゃいませ一夏様。」

 

「ちゃんと見てるからね、頑張ってね!」

 

セシリアとシャルに見送られ、

俺と雅人は教室の外に出た。

 

sideout

 

side雅人

 

「少しよろしいですか?」

 

「ん?」

 

一夏と共に教室を出た俺は、

ビシッとしたスーツを着込んだ女性に呼び止められた。

 

はて?呼び止められる様なことがあったか・・・?

 

それとも何か原作イベントか?

如何せん、原作を最後に読んだのは転生する前の、

出版された頃の事だからなぁ・・・。

 

イマイチ覚えてない部分があるんだよなぁ・・・。

 

「えっと・・・、どちら様でしょうか?」

 

「あっ、失礼しました、

私、IS装備開発企業『みつるぎ』渉外担当、巻紙礼子と申します。」

 

「はぁ・・・、それで、俺に何のご用でしょうか?」

 

はて?俺達は一応アクタイオンに所属しているし、

他企業から武装提供は正直要らないしなぁ・・・。

 

「加賀美さんに是非わが社の装備をお使い頂きたいのです!

此方がカタログニなっております!」

 

あー、だからそんなに寄らんでくださいよ、

俺はこれからライブだってのに・・・。

 

一夏に助けを求めようとしたが、

彼は既に何処かへ行ってしまっていた。

 

やれやれ・・・、俺だけで何とかいなすか・・・。

 

「すみません、そう言う事はアクタイオン社を通してから、

今一度学園側に許可を取ってからにしてください、

今ちょっと急いでるんでご免なさい。」

 

「えっ?あっ!お待ちください!!」

 

今だ食い下がろうとしてくる巻紙女史を引き離し、

俺は第四アリーナの控え室に急いだ。

 

だから俺は気が付く事が出来なかった、

巻紙女史の気配が、直ぐ様消えていた事に・・・。

 

sideout

 

 




はいどーもです!!

ちょっと勢い任せで書きすぎましたね・・・。
残姉さんズ、いかがでしたか?

さて次回予告
ライブに向けて動き出した一夏達、
彼等に迫る魔の手があった。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
ミサ

お楽しみに!!

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