インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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入学、そして再会

noside

男がISを動かしたという世紀の大事件は、

すぐさま全世界に発信され、一夏と秋良は一躍時の人となった。

 

だが、当の本人達は特に驚いた様子もなく、

むしろ、終始余裕綽々と言う風にインタビューや質問に受け答えしていた。

 

転生者である二人にとって、ISを動かす事など元々仕組まれていた事であり、

その上、能力付加により強化され、素の戦闘能力は千冬に匹敵する。

 

だが、彼らはそれを隠し、これまでを過ごしてきたに過ぎ無い。

 

本当の物語は、これから始まるのだ・・・。

 

sideout

 

side一夏

と言うわけでやって来ましたIS学園。

 

漸くだよ、転生してから既に十五年以上経ってるし、

前世から通算してみると、俺達もう三十過ぎてるぜ?

 

まあそれはどうでも良いとして、今はこの超が付く程のアウェーをなんとかしねぇと。

 

見渡す限り女子女子女子女子女子、女子しかいない、

このクラスに限らず、学園全ての生徒が女子であろう事は想像に容易い、

男子生徒は俺と秋良だけだろうが、違うクラスに転生者がいるなら話は変わる。

 

だが、その確率はまず無い、何故なら一応同学年のクラス表を見ても、

駄姉を半ば脅して見せてもらった上級生のクラスにも、男の名前はなかった、

取り敢えず、これで一安心だ、何せ俺と秋良はチートとは言っても、

所詮はカナード・パルス等のスーパーコーディネーター並の身体能力があるだけで、

転生者同士の戦いになると、勝てる確率は低くなる。

 

まあそれも今はどうでも良いとして、

俺達は出席番号順では、三番目辺りに呼ばれるから、

さっさと自己紹介の内容を考えとかねぇと、原作一夏みたいになっちまう。

 

お、山田先生が入ってきた、

せめてこの人の性格は変わらないでいてほしい、

でないと確実にストッパーがいなくなる、

のほほんさん?あてにならない人を挙げないでくれ。

 

「皆さん揃っていますね、私はこの一年一組の副担任を務めさせて頂きます、山田真耶です、

これから宜しくお願いしますね。」

『・・・。』

おい、誰か一人ぐらい返事してやれよ、

山田先生涙目じゃねぇか。

 

え?お前も答えてねぇじゃねえかって?

悲しいかな俺も日本人なんだよ、大衆には合わせとくもんだ。

 

「そ、それでは名前の順で、自己紹介をお願いします・・・、グスッ・・・。」

おい、いい大人がその程度で泣くなよ、どんだけハート弱いんだ?

 

初日から頭の痛い日になりそうだ・・・。

 

sideout

 

side秋良

兄さんが頭痛を起こしそうになっているのを感じながら、

俺は自己紹介の順番を待っていた。

 

多分兄さんはクールに自己紹介するはずだから、

俺はちょいと明るめに自己紹介してみるかな?

 

「次は織斑秋良君、自己紹介をお願いします。」

「はい。」

 

真耶先生に呼ばれ、取り敢えず立ち上がる。

しっかし凄いね視線が、皆俺達が何て言うか凄く楽しみなんだろうけど、

別に普通の事しか言わないよ?

 

「織斑秋良です、趣味は三味線と自己鍛練、好きな食べ物は辛い食べ物かな?

男だけど遠慮せずに話し掛けてきて欲しいな、一年間宜しくね。」

 

こんなもんで良いかな?

 

『キャア~~!!』

ひぃっ!?なんだ今のソニックブームは!?

 

「イケメン!それも友達になりたい系!!」

「きゃあっ!!三味線とか渋い所も素敵!!」

 

いやぁ・・・、なんで人間の声でソニックブームが出せるんだよ、

普通にビックリしたよ。

 

さてと、次は兄さんだよ、頑張れ。

 

sideout

 

side一夏

何となくだが、秋良が要らん気遣いをしてるような気がするが、

ここはありがたく受け取っておこう。

 

「あ、ありがとうございました、次は織斑一夏君、自己紹介をお願いします。」

「はい。」

 

先程のソニックブームが効いたのか、山田先生はかなり及び腰になっていた。

 

まあ、そんな事はどうでもいいか。

そんな事より自己紹介するか。

 

「織斑一夏だ、そこにいる秋良の双子の兄だ、趣味はギター演奏と自己鍛練、

好きな食べ物は甘い物だ、まあ、宜しく頼む。」

 

まあこの程度で良いか・・・。

 

そう思って席に着こうとした瞬間、

『きゃあ~~!!』

またしてもソニックブームが響いた、耳が痛い・・・。

 

「来た!クール系来た!!」

「きゃあっ!!守って貰いたい!!」

「いや!笑わせてみたい!!」

「しかも甘い物好き!ギャップがいい!!」

 

いや、一応笑うぞ俺は?

そんな冷血人間じゃあるまいし、笑うからな?

大事な事なんで二回言わせてもらった。

そして男が甘い物食って何が悪い!

 

そんな時だった、教室の扉が開き、黒いスーツに身を包んだ女性が入ってきた。

 

「静かにしろ!!廊下まできこえて迷惑極まりない!!」

お~、一喝しただけで静かになるとは流石だな、

家ではだらしないくせして、外ではスーパーウーマンってさ。

 

「ふん、最初からそうしていろ馬鹿者共め。」

「あ、織斑先生、会議はもう終わられたんですか?」

「ええ、ホームルームを押し付けてしまって申し訳ありません、。」

「い、いえ、副担任ですし・・・。」

 

山田先生が照れてるぞ?まさかこの人は百合に目覚めているのか!?

それはそれでめんどくさいな・・・。

 

「諸君!私が一組担任の織斑千冬だ、諸君を若冠十五歳から十六歳まで育てる事が仕事だ!

ここでは私の言うことを聞いてもらう、わかったな?分かったなら返事をしろ!」

『はい!!』

 

なんと言う暴力発言してんだ、

そんな事より自分の生活スキルをどうにかしてくれ。

 

だってなぁ・・・。

 

sideout

 

side回想

『うわっ!?なんだよこれ!?』

『酷いね・・・、泥棒でも入ったのかな?』

『まじかよ・・・、って、なんだこのゴミの山は?』

『ん?腕が見えるね、・・・、ねえ兄さん、まさかとは思うけど・・・。』

『分かってる、引っこ抜くぞ。』

『分かった。』

『『せーのーでっ!!』』

ズルッ

 

『ぷはっ!!た、助かった!!』

『おい、何やってんだ駄姉。』

『いや、掃除をしていたら・・・、埋まった・・・。』

『普通は埋まらんでしょ!!』

『どんだけガサツなんだよ、この駄姉!!』

『うっ!』

ガクッ

 

『弟達に嫌われた弟達に嫌われた弟達に嫌われた弟達に嫌われた弟達に嫌われた弟達に嫌われた・・・。』

『また始まった・・・。』

『ほっとけ、めんどくさい。』

 

sideout

 

side一夏

そんな事もあったな・・・。

ってか、あれから何度か家事を教えようとしたけど、

全く直んなかったんだよな・・・。

 

そう思っている間に、ホームルームは終わり、

いつの間にか授業が始まろうとしていた。

 

sideout

 

noside

「ちょっと良いか?」

休み時間に入り、同じクラス以外の女子の視線も加わり、

ちょいとグロッキーになっている一夏と秋良の所に、

一人の女子が近付いて来ていた。

 

「ん?」

「はい?」

言葉は違えど、全く同じタイミングで返答し、声の主の方を見る。

 

そこには長い黒髪をリボンで縛り、ポニーテールにした女子生徒がいた。

 

「おー、モッピーじゃん、久しぶりだね。」

「久しいな、秋良、それに一夏も。」

「おい、俺の方が兄貴なのに何故に秋良を先に呼ぶ?」

「すまん、何となくだ。」

 

彼等に話し掛けて来たのは、彼等の幼馴染み、篠ノ之 箒であった。

因みに、この世界の箒は原作の鈴並みの対人スキルがあるため、

モッピー呼ばわりされても怒らない、むしろ何故か喜んでいる節がある。

 

それは置いといて・・・。

 

「にしても本当に久しぶりだね、六年振りかな?」

「そうだな・・・、もうそれぐらいになるな。」

「ま、こうやって三人揃うのも久々だ、再び会えて嬉しいぜ箒。」

「うむ、私もだ、何せ、再びお前達の絡みを見れるのだから!!」

「「・・・。」」

 

荒い鼻息を吹きながら、箒は自前のスケッチブックと鉛筆を取り出す、

その様子に二人は『変わってないけど、勘弁してほしい。』、

と思ったそうだ。

 

そんな彼等の様子を見て、互いを牽制しあっていた他の女子生徒達は、

一様に羨ましいという顔をしていた。

 

「それより、何故お前達はISを動かせたんだ?」

「さあな?そんなもん俺達の生体データ取りに来たおっさんに聞いてくれ。」

「まあ、全員コンクリート破壊したら尻尾を巻いて帰っちゃったけどね。」

「てか、あのコミュ障兎に聞かなかったのか?」

「・・・、聞いていない。」

 

箒は苦虫を噛み潰した表情をし、明後日の方角を向いた。

よく見てみれば、彼女は爪が食い込むほど強く拳を握りしめていた。

 

「あー、わりぃ、無神経過ぎたな。」

「いや、気にするな、これは私と姉さんの問題だしな。」

 

そう言い置いて、箒は自分の席に帰っていった。

 

sideout

 

 




はいどーもです!
原作突入です。
そろそろ設定集でも出そうかな・・・。

次回予告
一夏と秋良に絡んでくるセシリア、
しかしそれは絶望へのカウントダウンとなった。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
セシリアイベント
お楽しみに!

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