インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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因縁

side秋良

シャルル達が転校してきて既に5日が過ぎ、

どうやら兄さんはシャルルと上手くいったみたい。

 

だってシャルルは兄さんにべったりだったし、

兄さんは満更でもなさそうだった。

 

なんで兄さんだけがモテるんだ、凄くイラつく。

これでも中学時代は俺の方がモテてたんだよ?

 

でもまあ、一部の腐女子が歓喜していたのはご愛敬って所だね。

 

因みにセシリアは兄さんに構って貰ってるシャルルに若干嫉妬してたね。

後で兄さんに構ってもらったみたいだけど。

 

でも何故かセシリアのシャルルを見る目が困惑というか、

怪訝の色が見てとれるんだよね。

 

まさかとは思うけど、セシリア、シャルルの正体に気付いてるのか?

いや、それなら兄さんが気付いてる筈だし、無いよね?

 

 

まあそれは置いといて・・・。

現在専用機持ち組みは第一アリーナで模擬戦をしていた。

 

因みにモッピーは腐女子組合の会合があるらしく、

現在ここにはいない。

 

そんな訳で、俺と兄さんは四人を相手に無双してた。

 

「強すぎですわ一夏様~!」

「二人がかりでも余裕だったね・・・。」

 

そりゃそうだよセシリア、シャルル、

兄さんを常識で捉えちゃ駄目だよ?

 

まあ俺も人の事言えないけどさ。

 

「強いね・・・、秋良。」

「また負けたぁ・・・。」

 

簪はげんなりと、鈴は今にも泣きそうな顔で悔しがっていた。

うん、マジごめん二人とも。

 

「さてと、次は俺と秋良の模擬戦を見とけ、

言っとくが、秋良と俺の実力は殆ど同じだ。」

 

そう言いつつ兄さんはI.W.S.P.を起動、

全身に殺気をまとわせ、既に臨戦モードに入っていた。

 

良いね、この肌が痛くなるような殺気、

こんなの他の人間からは感じた事ない。

 

それに感化されたのか、俺も殺気を纏わせていた。

 

簪達が俺達二人の殺気に震えているのが分かるけど、

今は兄さん以外を見ると確実に殺される。

 

「行くよ、兄さん。」

「来いよ、本気でな。」

 

俺は一気に加速し、突っ込んできた兄さんと対艦刀で打ち合う。

 

互いの装甲を掠めながらも、

超高速の斬撃で打ち合う。

 

けどなぁ・・・、I.W.S.P.同士じゃどう考えても兄さんの方が上手だ、

正直言って勝てる気がしない。

 

なら、これを使うかな?。

 

兄さんの腹部を蹴り、一旦距離を取る。

そこでI.W.S.P.を量子格納してソードストライカーに換装する。

正直こっちの方がやり易い。

 

対艦刀<シュベルト・ゲベール>をバックパックから取り外し両手持ちで構える。

 

加速力は落ちたけど、小回りならこっちの方が上だからね。

 

「はあァァぁッ!!」

地面を蹴り、一気に間合いを詰め、

シュベルト・ゲベールで斬りかかる。

 

シュベルト・ゲベールはI.W.S.P.に装備されている対艦刀よりもリーチがあるから、

I.W.S.P.装備の兄さんよりワンテンポ早く攻撃ができる。

 

「クッ!」

兄さんはバックステップでなんとか回避するけど、

俺はそんなに簡単に逃がしはしない。

 

左腕を突きだし、ロケットアンカー<パンツァーアイゼン>を射出、

兄さんの肩口を捕らえた。

 

「しまった・・・!!」

「もらったよ!」

 

アンカーを巻き戻しながら左肩のビームブーメラン<マイダスメッサー>を引き抜き、

ビームサーベルと同じ要領で切りつける。

 

「オオリャッ!!」

「なッ!?」

身体をずらして自分を拘束しているパンツァーアイゼンのケーブルを切断させただって!?

 

決まったと思ったけど、

どうやら兄さんは俺の予想の斜め上を行くみたいだ。

 

「この距離なら避けられねぇだろ!!」

「やべっ!?」

 

こんな至近距離でガトリング撃ちまくる気か!?

勘弁してよ、只でさえあの武装の攻撃力高いのに!!

 

かくなる上は・・・!!

 

「「オオォォォォッ!!」」

 

全く同じタイミングで雄叫びをあげながらシュベルト・ゲベールを降り下ろし、

ガトリングのトリガーを引いた。

 

sideout

 

noside

「痛ェ・・・。」

「兄さん無茶しすぎ。」

 

一夏と秋良は各々の機体を解除し、

地面に座り込んでいた。

 

一夏はシュベルト・ゲベールの斬撃を、

秋良はガトリング弾の直撃を受け、互いにダメージを受けていた。

 

他の四名は二人の凄絶な戦いに身震いし、

彼等を畏怖の目で見ていた。

 

「一夏様、大丈夫ですか?」

「無茶しないでね、一夏?」

 

セシリアとシャルロットは一夏に駆け寄り、

タオルとドリンクボトルを手渡す。

 

「すまんな、助かるよセシリア、シャル。」

一夏は二人に微笑みかけながらドリンクボトルとタオルを受け取っていた。

 

「飲み物いる?」

「秋良、タオルあるよ・・・?」

「ありがとね、簪、鈴。」

 

秋良は簪と鈴からタオルとドリンクボトルを受け取り、

汗を拭きながら水を飲む。

 

「さてと、今日はこれぐらいにしておくか?」

「そうだね、それが良いと思うよ。」

一夏の提案に秋良達は同意し、

アリーナから去ろうとしていた・・・。

 

「おい。」

それを呼び止める者が居た。

 

シュヴァルツァ・レーゲンを展開したラウラ・ボーデヴィッヒである。

 

「どうしたよ、クソガキ?」

一夏は初日と変わらない侮蔑を籠めた視線をラウラに向ける。

 

あの一件以来、一夏はラウラの事をクソガキと呼ぶことにし、

突っ掛かってくる度にそう読んでいる。

 

「貴様等も専用機を持っている様だな、

丁度良い、私と戦え。」

右肩のレールガンを一夏達に向けつつ、

戦えと言ってくる。

 

「フン、どうしようもない駄々っ子だな。」

一夏はストライクを起動しようとするが、

秋良が彼の肩を掴んで止める。

 

「待ってくれ兄さん、ここは俺がやる。」

「・・・。」

 

秋良が前に出て叫ぶ。

 

「用があるならさっさとやってくれないかな?

でも、無抵抗の人間に攻撃したら君の教官はなんて言うだろうね?」

 

秋良は呆れた様な口調で話し、

ラウラを睨み付ける。

 

「・・・、フン。」

ラウラは興が冷めたのか、シュヴァルツァ・レーゲンを解除し、

アリーナから去っていった。

 

「・・・やれやれ、子供の相手は疲れるね。」

「まったくだな。」

 

秋良と一夏は溜め息をつきながら、

各々アリーナを去っていった。

 

sideout

 

side一夏

ガキに絡まれたがスルーし、

俺はシャルと共に更衣室に居た。

 

「なんでボーデヴィッヒさんは一夏達を憎んでるの?」

 

着替えている途中でシャルが尋ねてくる。

 

「ん~、話せば長くなるが聞くか?

聞くにしても気分が良いものじゃ無いがな。」

 

俺は別に気にしてもいないが、

アイツにとってそうはいかないのだろう。

 

「あっ、一夏が話したくないなら、僕は聞かないよ?」

「優しいなシャルは。そうだな、話したくなったら話してやるさ。」

「うん、それまで待ってるね♪」

 

シャルの奴、心から笑う様になってるな。

転校してきた時は何処か作り笑いじみていたからな。

 

そんなことを考えつつ彼女と少し離れて着替えていると、

ストライクに個別通信<プライベートチャンネル>で通信が入った。

 

相手は・・・、ブルー・ティアーズ、

セシリアか?

 

「(こちら一夏、どうしたんだセシリア?)」

『ご機嫌麗しゅうございます一夏様、実は少し気になる事が有りまして・・・。)」

「(気になる事?なんだ?)」

 

何となく嫌な予感がするが、

呼び出しに出た限り、しっかりと聞いてやらなければ失礼というものだ。

 

『はい、シャルルさんの事なのですが・・・、

彼は・・・、女性ではないでしょうか・・・?』

な、なんだと・・・!?

セシリアの奴、大分鋭くなってやがる!?

 

「どうしたの一夏?」

シャルが俺の方に近付いてくる。

 

取り敢えず持っていた紙にボールペンで、

『セシリアがお前の事勘づいている。』

と書いておいた。

 

それを見た瞬間、シャルの顔は一気に蒼くなっていた。

ヤバイな・・・、取り敢えずどうするか・・・。

 

「(何故そう思う?)」

『いえ、なんとなくそうではないかと思いまして・・・。』

 

確証は無いか、これならなんとかなりそうか?

 

ふとシャルの方を見ると、俺が渡した紙に何かを書いていた。

 

『セシリアに僕の事話そう。』

って、マジか!?

セシリアの事を信じていない訳では無いが、

知っている人間は少ないに越した事は無い。

 

だが、シャルがそう言うなら俺は止めることは出来ない、

俺はシャルを守ると言っているだけで、

保護者でもなんでも無い。

 

「(取り敢えず話をしよう、俺とシャルの部屋に来てくれ。)」

『分かりましたわ、それでは後程。』

 

通信が切れた事を確認して、

俺は思いっきり溜め息をつく。

 

こんなに疲れたのは久し振りだ。

 

「良いのか?」

「良いよ、騙していたのは僕の方だし、

騙し続けるのも辛いから・・・。」

「分かった、なら俺は止めん。」

 

彼女が頷いたのを確認し、俺は止まっていた着替えを再開する。

 

これからどうなるのやら・・・。

 

sideout

 

side秋良

兄さん達より先に更衣室を出た俺は寮に向けて歩いていた。

 

にしてもラウラの奴、恨んでるんだかなんだか知らないけど、

調子に乗りすぎたよね。

 

兄さんがセシリアにやった様にボコッてあげようかな?

 

いや、俺がやるともっと手酷くやりそうだし、

やめとこうかな?

 

「何故です!?何故この様な所で教師などされているのですか!?」

 

っと、ラウラが姉さんに叱られる場面か、

ならちょっと覗き見でもしようかね?

 

「はぁ・・・、何度も言っているだろう、これが今の私の務めだと。」

「この様な極東の地で何をすることがあるのです!?」

 

失礼な事を言うな、あのちびっこ。

自分の身の程を分かってないのかな?

 

どうせ周りを全く見ていない愚か者なだけなんだろうけどさ。

 

さて、姉さんはどう返すのかな?

 

「この学園の者はISをファッションか何かと勘違いしている!

その様な者に何を教える事が・・・!」

「その辺にしておけよ小娘。」

「っ・・・!」

 

ふーん、やっぱり覇気は凄いんだね、

兄さん程じゃないけど。

 

「十五やそこらでもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る、

だがな、この学園にいる以上、貴様も一生徒でしかないことを忘れるな。」

 

ごもっともだね、

慢心と独善はその内自分の身を滅ぼすからね。

 

「さっさと行け、私は忙しいんだ。」

「・・・、くっ!!」

 

何か言いたそうな表情をしながらもラウラは走り去って行った。

 

その方向をしばらくにらみ続けた後、

姉さんも校舎の方へと歩いて行った。

 

やれやれ、めんどくさい事は嫌いだけど、

俺達が撒いた種だ、何とかしますかね。

 

そう思いながらも、俺は寮に向けて再び歩きだした。

 

sideout

 

 

 

 

 




はいどーもです!

そろそろ新しいストライカーを出したいんですが、
如何せん、ストライカーだけじゃ数が少ないのですよ。

最悪シルエットかウィザードからいくつか出したいと思ってますが、
オリジナルも出したいと思ってます。

さてそれでは次回予告
セシリアにシャルの事を告げる一夏、
その頃秋良はラウラと戦っていた。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
狂戦士と軍人

お楽しみに!

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