インフィニット・ストラトス・アストレイ   作:ichika

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ブロンド貴公子とプラチナ軍人

side一夏

ゴーレムの襲来から既に一ヶ月が過ぎ、

そろそろ長袖じゃあ暑くなってきた今日この頃。

 

俺と秋良は土日を利用して実家に戻り、

家の掃除をした後、持って行けなかったギターと三味線を持ち出し、

IS学園に戻った。

 

「ねぇ兄さん、良かったら久し振りにセッションしない?」

「良いだろう、早速軽音部の部室を借りるとするか。」

 

そんな訳で俺は秋良と共に軽音部の部室に向かった。

 

大体の場所はここ最近覚えたから迷わずに来れた、

 

「ちわーっす、世界で噂されてる織斑兄弟でーす。」

「おい秋良、いくらなんでも軽すぎだ。」

 

ったく、明るいのは良いがこいつは時々軽すぎる、

そんな所が兄弟としてどうかと思う。

 

「ええっ!?織斑君!?」

「嘘っ!?しかも兄弟で来てるの!?」

「なんでなんで!?」

 

おうおう、やっぱこうなるわな、

あんまり関わりの無い奴等だと余計にな。

 

ま、時間もあんまりねぇし、さっさと済ませるか。

 

「良ければ防音室を使わせてくれませんか?」

「代わりにと言っちゃなんだけど、俺と兄さんのセッションをお見せしますから。」

 

ダメ元で頼んでみると・・・。

 

『どうぞどうぞ!!』

 

ダチョ○倶楽部並の揃い方で許可してくれた。

 

「「ありがとうございます。」」

 

二人揃って頭を下げた後、それぞれの楽器の準備をする。

 

チューニングを合わせ、アンプにシールドを差し込み、

オーバードライブ目に音を歪ませる。

 

所謂、七十年代ロックのイメージが強い音色だ。

 

対して、秋良は三味線を用意し、

俺と同じようにアンプに繋いでいた。

 

「どうやら準備はできたようだな?」

「まあね、久し振りだからウォーミングアップからやろうよ。」

「いいぜ、じゃあimitationblackからな。」

 

前世で聞いてた曲が同じで良かったとつくづく思う。

知らなかったら合わせられねぇからな。

 

ギターの腕前も前世から継承してるみたいだし、

思いっきりやってやりますかね。

 

三味線の軽やかなメロディから始まり、ギターの旋律が混ざりあい、

空気を切り裂いていく。

 

暫く弾き続けた後は、互いにアドリブセッションを始め、

気が付けば三時間程弾き続けていた。

 

sideout

 

side秋良

セッションした翌日、

俺と兄さんは一組の教室に入った。

 

「あら、一夏様に秋良さん、おはようございます。」

「あ、おはようセシリア。」

 

いつの間にか、セシリアは兄さんの事を様付けで呼んでるよね、

兄さんも満更でも無さそうなのが見ててなんかウザい。

 

え?お前ら互いの事嫌いなのかだって?

嫌いというか、なんかお互いに似すぎてるから近親嫌悪ってとこかな。

 

まあ、どうでもいいかな。

 

さてと、姉さんがそろそろ来るだろうし座っておこうかな。

 

sideout

 

noside

一夏と秋良は自分の席に座り、

何時もと同じ様に千冬の到着を待っていた。

 

「おはよう諸君。」

『おはようございます!」

 

千冬の言葉に、一組の面々は一斉に挨拶をする。

 

千冬は満足気に頷き教壇に立つ。

 

「山田先生、SHRを始めてください。」

「はい。皆さん!今日は転校生が来ます!しかも二人も!!」

『えぇぇ~!?』

 

千冬に頼まれ、SHRを始めた真耶の言葉にクラス中の女子が一斉に驚いた。

 

因みに一夏と秋良はあまりの煩さに耳を塞いでいた。

 

「静かにしろ!!」

千冬の一喝に、先程まで喧しかった女子が一気に静まりかえった。

 

「最初からそうしていろ。」

「そ、それでは入って来てください!」

 

真耶が呼び掛けると、扉が開き二名の男女が入ってきた。

 

一人は美しい金髪を背中で束ねたスマートな体格の少年、

もう一人は美しい銀髪を伸ばしっぱなしにし、左目に眼帯を着けた軍人の様な少女であった。

 

「シャルル・デュノアです、フランスから来ました。

日本の事はよく分からないので、慣れないこともありますがよろしくお願いします。」

 

シャルルと名乗った少年は柔らかく微笑みながら自己紹介をしていた。

 

「お、男?」

クラスの誰かが呆然と呟いた。

 

「はい、こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて、

本国から転入を『キャアァァァァッ!!』っ!?」

 

唐突に放たれた奇声に、シャルルはビクリと身体を震わせる。

 

「男!三人目の男よ!!」

「しかも美形!!守ってあげたくなる!!」

 

女子達は一斉に声を張り上げた。

それもそうだろう、今だ二人しか確認されていない男性IS操縦者以外に、

もう一人出てきたのだ、驚かない訳がない。

 

「静かにしろ!!まだ自己紹介が残っている!」

またしても千冬の一喝により鎮静化する。

 

「ボーデヴィッヒ、挨拶をしろ。」

「はい教官!」

 

ボーデヴィッヒと呼ばれた少女は千冬に向けて敬礼をする。

 

「私はもう教官ではない、織斑先生と呼べ。」

「はい!」

千冬への敬礼をやめ、生徒達の方を見る。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」

「・・・、以上ですか?」

「以上だ。」

 

真耶の問い掛けにピシャリと答え、ラウラは一夏の方へ向かっていく。

 

「貴様が!!」

左手を振り抜き、一夏の右頬を叩こうとしたが・・・。

 

「ふん。」

一夏は鼻で笑った後、右手でラウラの左手を止める。

「なっ!?」

「この程度が攻撃か?攻撃ってのはな、こうやるんだよ。」

一夏はそう言いつつ立ち上がり、背負い投げの要領で何も無いところに背中から叩きつける。

そしてそのままラウラの頭に右足を乗せ踏みつけ、グリグリと押し込んでいく。

 

「ぐっ・・・、くそっ・・・!!」

「悔しいか?悔しいだろうなぁ?散々憎んでる相手に地に這いずらされてるんだからよぉ?」

呻くラウラを見る一夏の表情はまるで獲物をいたぶるハンターの笑みだった。

 

「み、認めない・・・!貴様達があの人の弟など・・・!」

「認めてくれなくて結構、望んでなった訳でもねぇからな。」

 

憎悪を籠めた視線で睨み付けるラウラを、

一夏は侮蔑と憐れみを籠めた目で見ながらも更に右足に力を込めていく。

 

クラスの雰囲気は一気に凍り付き、シャルルや真耶は青ざめながらその様子を見ていた。

 

一夏の雰囲気があまりにも恐ろしかった為に、千冬ですら止めに入る事が出来なかった。

そんな時・・・。

 

「兄さん、そろそろ止めとこう、次の授業に遅れるよ?」

「・・・、ふん。」

なんとも呑気な秋良の声に反応し、一夏は漸く足を退けた。

 

「悪いな秋良、迷惑掛ける。」

「気にしてないよ、兄さん。」

 

何時もの雰囲気に戻った一夏は、秋良に詫びていた。

 

だが、クラスの雰囲気は一向に凍ったままであった、

そんな時、SHRの終わりを告げるチャイムがなった。

 

「つ、次の授業は二組との合同授業です!遅れない様にしてくださいね?」

チャイムの音で我に返った真耶がそう締め括り、

歓喜と恐怖がごちゃ混ぜになったSHRは終わった。

 

sideout

 

side一夏

「は、初めまして、君達が織斑君だね?僕は・・・。」

「そんな事より行くぞ、女子達が着替え始める。」

 

空気を読まず話し掛けてきたシャルルの腕を掴み、

俺は秋良と共に一気に教室を飛び出した。

 

「えっ!?な、なんでそんなに急いでるの!?」

「男子はアリーナにある更衣室で一々着替えなきゃいけないんだ、

早く慣れないと疲れるよ?」

 

秋良が慌てるシャルルに説明をしながら俺達の隣を走る。

 

さてと、原作ならここで空気の読めない女子共が・・・。

 

「ああっ!?噂の転校生発見!!」

「しかも織斑兄弟と一緒にいる!!」

「者共!であえぃ!」

やっぱり来やがったな、ほんとめんどくせぇ。

 

「な、何これ!?」

「珍獣ハンダーだ。」

「そんな呑気な事言ってる場合じゃ無いって、兄さん、

俺が足止めするからシャルルを早く。」

「助かる、行くぞシャルル、着いてこいよ。」

 

女子達は秋良の方に流れ、俺とシャルルはアリーナを目指す。

 

「なんで皆あんなに騒いでるんだろう?」

「男子が俺達だけだからだ。」

「え?・・・、あ、そ、そうだね!」

 

ったく、コイツ化けるのが下手だな。

 

まあ良い、そんなのは後でじっくり聞けばいい。

 

そんだこんだしている内に更衣室に到着した。

 

「ふぅ・・・、大丈夫かシャルル?」

「う、うん・・・、なんとかね・・・。」

「いきなり走らせて悪かったな。」

「ううん、こっちこそありがとう、助かったよ。」

 

やべぇな、俺転生前はシャルロッ党だった、

こんな間近で微笑まれたらドキッとしちまうだろうが。

 

情けねぇな、何時もはクールキャラを気取ってるのによ。

 

「っと、さっさと着替えよう、ウチの担任は遅れてなくても遅いって言うからな。」

「そ、そうなんだ・・・、じゃあ急がなくちゃ!!」

「だな。」

 

シャルルに言われる前に彼女、いや、今は彼に背を向け、

制服を脱ぎ、あらかじめ着ていたISスーツに着替える。

 

これは俺なりの気遣いだ、さっさと着替えてくれ、

じゃないとキャラが崩れる。

 

「終わったよ、行こうか?」

「おう。」

 

さてと、面倒な事は勘弁だが、コイツの事は俺がしっかりと見てやるか。

 

sideout

 




はいどーもです!

ブラックラビッ党の皆様、ゴメンナサイ。


次回予告
合同授業の際、一夏はセシリアと組、
真耶と対峙する。

次回インフィニット・ストラトス・アストレイ
模擬戦

お楽しみに!

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