明日は虚無の曜日であり、今月のシエスタのシフトではその日にお休みがもらえることになっていました。
しかし、もうすぐアンリエッタ王女の結婚式が近いことで給仕達には全員休暇が与えられ、ちょうどタイミングが良かったのでシエスタはそのまま早めに休暇がもらえることになったのです。
キテレツ達はその休暇を利用してシエスタの故郷のタルブへと招待してもらうことになりました。
「キテレツ君? 本当にどうしたの?」
宿舎の寝室でキテレツ達は明日に備えてもう眠りに就こうとしていましたが、既に寝ているトンガリとブタゴリラを除く四人はまだ起きていました。
「お昼の時からずっとこうナリよ」
五月やコロ助が、床に座ったまま深く考え込んでいるキテレツに話しかけてもまるで反応がありません。
発明など何かに夢中になり過ぎると周りが見えなくなってしまうのはキテレツの悪い癖なのです。
「キテレツ君。……もうっ、キテレツ君ったら!」
「うわっ!?」
肩を揺らしても無反応なので痺れを切らしたみよ子は大声を上げてキテレツの背中を強く叩きました。
さすがに今度ばかりはキテレツも驚いて我に返ります。
「一体どうしたの? キテレツ君、何か変よ?」
みよ子は心配そうにキテレツの顔を覗き込みました。
「うん。色々と考えていてさ。奇天烈斎様のこととか、シエスタさんのくれたあのまんじゅうのこととか……」
「何であのおまんじゅうが気になるナリか? キテレツはまたあれが食べたいナリか?」
たかがまんじゅうにここまで深く考え込むキテレツの意図がまるで分かりません。
「そうじゃないよ。奇天烈大百科には、あのまんじゅうと同じ効果の物が載っていたのを思い出したんだよ」
「まことナリか?」
「奇天烈大百科に?」
キテレツの言葉に三人は目を丸くします。
「奇天烈大百科にはね、ふくふく饅頭っていう発明品が載っていたんだよ。五月ちゃんもみよちゃんも前に食べたことがあるでしょ?」
「あのおまんじゅうのことナリか?」
「確か、勉三さんの実家へ行った時にキテレツ君がくれたものだったわよね。結構美味しかったわ」
五月は以前、冬に勉三の実家へみよ子とトンガリと一緒に向かう途中で遭難しかけた際、救助に来たキテレツにまんじゅうを渡されて食べたことがあるのを思い出しました。
そのまんじゅうを食べた途端、寒さで凍えそうだったのが嘘だと思えるほどに体が温まったのです。
「そのおまんじゅうと、シエスタさんがくれた物が同じだって言うの?」
「はっきりそうだとは言えないんだけど……あのまんじゅうを食べた時の効果がそっくりだったんだよ。みよちゃん達も食べてみて、体が温かくなったよね?」
「ええ。確かに……」
「奇天烈斎様は、旅をしていた時には非常食としてふくふく饅頭を持ち歩いていたんだよ」
ふくふく饅頭は材料にお酒を使っている他、滋養強壮の効果を発揮する薬も混ぜているので食べれば体の血行を良くして体は温まり、三日は飢えを凌いでいられるほど栄養価が高いのです。
キテレツはアルビオンでシエスタのまんじゅうを食べた時に、このふくふく饅頭と同じ効能であることに気が付いたのでした。
「同じ効果があるまんじゅうがシエスタさんの田舎から送られてきたってことは……もしかしたら昔、そこへ奇天烈斎様がやってきたかもしれないんだ」
「奇天烈斎様がナリか?」
きっと奇天烈斎はこの異世界へやってきて、色々な場所を旅していたに違いありません。その過程でシエスタの田舎の村を訪れていたという可能性もあるのです。
そして、奇天烈斎が持っていたであろうふくふく饅頭の製法が伝わったのかもしれません。
「でも、何の目的でキテレツ君のご先祖様はこの世界へやってきたのかな……?」
「それはまだ分からないけど、きっとシエスタさんの田舎には何か大きな手がかりがあるはずだよ。シエスタさんが言うには不思議な道具があるってことだから、もしかしたら奇天烈斎様はそこに何か発明品を残しているのかも……!」
首を傾げる五月ですが、キテレツは期待に胸を躍らせて語りました。
先祖の奇天烈斎が異世界を訪れていたという事実を知れただけでも朗報だというのに、さらに新たな手がかりが得られるかもしれないのですから嬉しくなるのです。
しかし、まさかこんな身近に奇天烈斎に関する手がかりがあるのはとても予想外でした。
「それじゃあ、また奇天烈斎様に助けてもらうことになるのかしら?」
「うん。そうなると良いね」
過去に奇天烈斎に何度も助けられている身として、みよ子も奇天烈斎の秘密を解き明かすことには大きな期待を寄せていました。
◆
虚無の曜日のこの日、風竜のシルフィードとキント雲は青空の中を進んでいきます。
朝起きてすぐに支度をしていたシエスタはキテレツ達のキント雲に乗せてもらい、それでタルブへ向かうことになったのです。
「五月ちゃーん! そっちの乗り心地はどう?」
「ドラゴンさんの背中はどうナリかー!」
「うん! とっても良いわよー!」
今回はルイズ達と一緒にシルフィードに乗っている五月はトンガリ達の呼びかけに元気に応えました。
シエスタがキント雲に乗ると定員オーバーになってしまうため、五月が自らシルフィードの方に乗ることに決めたのです。
「ドラゴンに乗って空を飛べるなんて本当に気持ち良いわ。夢みたい」
「いつもあの雲で飛んでるじゃないの。別に変わらないでしょう?」
五月の前に乗っているルイズは心外そうに声を上げます。
「ただ飛ぶだけならそうかもしれないけど……空中浮輪やキント雲を使うのも、シルフィードちゃんに乗って飛ぶのも……全部それぞれ違う気分とかが感じられるわ。それにわたし、ドラゴンみたいな生き物が大好きだから。シルフィードちゃんに乗れて空を飛べるなんて最高の気分よ」
「きゅい、きゅ~いっ!」
五月の言葉が嬉しかったのか、シルフィードは楽しげに鳴き声を上げていました。
「ルイズちゃんだって、この間はわたしと手を繋いで一緒に飛んだ時ははしゃいでたでしょう?」
「そうよねえ。あなた、ずいぶんと楽しそうにサツキと飛ぶのを満喫してたわね」
「それは、その……そうだけど……」
五月やキュルケの言う通り、自力で飛んだ時に味わった独特の気分は今乗っているシルフィードでの飛行ではあり得ない爽快な気分でした。
「こんな不思議な乗り物は初めてだわ。竜籠にだって乗ったことないのに」
キント雲に乗る私服のシエスタもまた、初めての体験に胸を躍らせていました。
「なんだそりゃ? そのリュウカゴってのは?」
「ミス・タバサの乗っているようなドラゴンが、人が何人も乗る籠を持ち上げて遠くまで運んでくれる乗り物よ。貴族の方々が急ぎの用で使うことが多いみたいだけど、平民のわたし達が使える物じゃないわ」
「それじゃあシエスタちゃんは空を飛んだことがないナリか」
「空を飛ぶ船に乗ったことくらいならあるけど……キテレツ君達のこの雲はとっても不思議で快適よ」
空を見回しているシエスタは感無量といった様子でした。
「竜の羽衣も、こんな風に飛んだりするのかしら……」
「竜の羽衣? 何なのそれは?」
「タルブに置いてある村の宝物よ。マジックアイテムの一種だと思うの。それを使えば空を飛べるっていうことらしいんだけど……」
みよ子の問いに、シエスタは要領が悪そうに口ごもります。
「らしいって、シエスタさんはそれを見たことがあるんでしょ? 村の宝なんだし」
「お宝って言ってもそんなに大した物じゃないわ、トンガリ君。どこにでもある名前だけのインチキな代物よ。実際に飛んだ所なんてわたしは見たことがないし……今じゃただの置物になっているわ。それでも珍しいって言って、村のおばあちゃんとかは拝みに来たりするけど……」
「飛べないのが分かっているのに、どうして空を飛ぶって言うのが分かるの?」
キント雲を操縦するキテレツが尋ねます。
「その竜の羽衣の持ち主はね、わたしの曾おじいちゃんだったの」
「シエスタさんの曾おじいさん?」
「ええ。わたしが生まれる前に亡くなっちゃったけど」
キント雲に寄ってきたシルフィードから五月が声をかけてきました。
シエスタ曰く、その曽祖父は六十年ほど前にタルブの村に突然現れたそうです。竜の羽衣という物を使って空を飛んできたということでしたが、実際に空を飛ぶ所は誰も見たことが無く、おまけに本人ももう飛べないと言ってそのまま村に住み着いたそうでした。
「竜の羽衣が空を飛ぶなんて誰も信じなかったそうよ。でも、曾おじいちゃんはとっても働き者で、おまけに今じゃ村の名物になった色々な郷土料理の作り方とかも教えてくれたから好かれていたんですって」
「ふうん。マジックアイテムの名前としては結構良いフレーズだと思うんだけどね……」
「でもインチキなんでしょ? それじゃ役立たずじゃない」
キュルケはシエスタの話に興味を抱いたようで、会話に混ざってきました。ルイズはあまり関心がなさそうです。
「コロッケの作り方も曾おじいちゃんが村の人達に教えてくれたの。村の産業の養蜂だって曾おじいちゃんが最初に始めたんですって」
「ふうん。シエスタちゃんの曾じいちゃんってすげえんだな」
「だからシエスタちゃんもコロッケが作れるナリか。一体、その人はどこの誰ナリか?」
ブタゴリラもキテレツ達も感心した様子で唸ります。
「さあ……ずっと東から来たと言っていたってことくらいしか……」
「シエスタさん。村に着いたら、その竜の羽衣っていうのも良かったら見せてくれる?」
「六十年も経ってるんでしょ? 今頃はホコリがかぶってるか古くなって壊れたりしてるんじゃない?」
キテレツの要望にトンガリは呆れたように呟きます。確かにそれほどの時が経っているならそうなっていてもおかしくありません。
「その心配はないわ。曾おじいちゃんが貴族の方にお願いをして、固定化の魔法をかけてもらって大事にしてたんですって。だから今でもちゃんと見られるはずよ」
「家庭科魔法? 何だそりゃ」
「固定化よ。物質の腐敗とか変質を防ぐための魔法。魔法学院にあったあんたの鍋風呂にでもかければずっと錆びたりすることも無くなるわけよ。分かった?」
ブタゴリラの言い間違えをルイズが訂正しつつ説明をします。
「あ、あそこがタルブの村よ。もう着いちゃったわ……」
シエスタは地上を指差しながら驚いていました。眼下には広い草原が広がっており、その中に村があるのが分かります。
ラ・ロシェールよりさらに先、魔法学院から馬で三日はかかっていたであろう距離を、たったの数時間で到着できたのです。
「タバサちゃん! あの村に降りるよ!」
キテレツの言葉に頷くタバサは、キント雲と一緒に滑空をしつつ降下を始めていきました。
◆
「おお! ドラゴンが降りてきなすったぞ!」
「貴族様のドラゴンか?」
「あの雲も一緒に空を飛んできたのか?」
「シエスタが乗っているじゃないか」
タルブ村に降りてくると村人達は突然現れた風竜やキント雲に強い関心を抱いたようで、次々に集まってきます。
「呼ぶまで待ってて」
「きゅい!」
タバサはシルフィードに待機を命じ、キテレツも小さくしたキント雲をケースにしまいます。
「のどかな村みたいね」
「うん。平和な田舎そのものって感じがするよ」
「勉三さんの田舎みたいナリ」
牧歌的な雰囲気が感じられるタルブの村を見回してキテレツ達は感嘆としました。
他の面々も同様にタルブ村の穏やかな空気にはそれぞれ好印象を抱いている様子です。
「ところで、竜のハンコっていうのはどこにあるんだ?」
「竜の羽衣でしょうが。あんた、耳が悪いんじゃないの?」
「ブタゴリラにその件を期待するのはよした方が良いよ……」
「うるせえな! この野郎!」
「痛たっ!」
どこまでもボケをかますブタゴリラにルイズも呆れ果てていました。
諦めたように余計なことを呟くトンガリをブタゴリラが小突きます。
「こんな所まで来てケンカはよしなさいよ、ブタゴリラ君」
「そうよ。……シエスタさん、ごめんね」
「ふふふ、良いのよ。竜の羽衣は村外れの寺院にあるわ。さ、行きましょう」
謝る五月にシエスタは微笑み、鞄を手に歩き出します。キテレツ達はその後をついていきます。
「何か売ってるナリ。あれは何ナリか?」
道中、村の中を進んでいく一行は村人が行商人とやり取りをして何かを売っている場面に出くわします。
荷台には大量の小さなビンが積まれていました。
「村で作ったハチミツよ。ああして村に来た行商の人が買っていってくれるの」
「へえ、そうなの。じゃあ少し頂くわね」
シエスタが説明すると、ルイズはマントの裏からサイフを取り出します。
「あら、ルイズ。あなたあれが欲しいの? 気に入ったのかしら?」
「何よ、あたしが買っちゃいけないの?」
「別に良いんじゃない? せっかくだからあたしも少し買っていこうかしらね。美味しかったし」
ルイズとキュルケは露店へと足を運び、キテレツ達も続いていきました。
「ええ? 何よこれ?」
「何か虫みたいのが詰まってるわね……気持ち悪い」
二人はハチミツのビンと一緒に虫の幼虫が大量に入ったビン詰めが並んでいるのを見て顔を顰めます。
「ははは、これは蜂の幼虫ではちのこと言いましてな。見た目は気味悪くても、とても美味しいですぞ」
店主が笑いながら説明しますが、ルイズとキュルケは渋い顔のままでした。
貴族の女子にとってはこういった物は気持ち悪いものでしかないのでしょう。
「こっちのこれは何かしら?」
「蜂の巣みたいだね」
みよ子とトンガリが注目する大きなビンの中にはハチミツに浸された蜂の巣状の穴がいくつも空いた板状の塊が入っていました。
「養蜂で獲れた蜂の巣の蝋よ。生でもそのまま食べられるとっても甘い珍味なんだから」
「蜂の巣も食べられるって聞いたことはあったけど……」
シエスタの言葉に五月は目を丸くして蜂の巣のビンを見つめました。
「良かったらちょっと食べてみるかい? 貴族の方々もぜひ味わってみてくださいな」
店主はそう言ってビンの中から蜂の巣を取り出すと、それを千切って皿の上に盛ります。
「わあー! 美味しそうナリ!」
「へへっ、それじゃあ頂くとするか!」
キテレツ達もルイズ達もそれぞれ分けられた蜂の巣を手に取り、口にしていきました。
「意外といけるわね」
「蜂の巣っていうから硬いかと思ったけど、柔らかいわ」
ルイズとキュルケは意外そうに呟き、蜂の巣を食します。タバサも黙々と味わっていました。
「やっぱりこのハチミツは伊豆の伯父さんのと同じだぜ。こりゃ良いや」
「ええ。とっても美味しいわ」
「五月ちゃん、美味しい?」
「うん。トンガリ君、蜜が垂れてるわよ」
キテレツ達も蜂の巣をじっくりと味わって満喫していました。
「蜂の巣だけじゃなくて、ハチミツもはちのこも栄養価がとても高いんだ。おまけに薬効の作用もあるから健康にも良いんだよ。ハチミツは傷薬の軟膏にも使われていたくらいなんだ」
「まあ。キテレツ君はそんなことまで知ってるの?」
「ただ甘いってだけじゃないわけね」
「本で色々調べてみたんだけどね」
キテレツの説明にシエスタとルイズは感嘆としました。
◆
ルイズ達がハチミツをいくつか購入すると、キテレツ達は改めて村外れの寺院を目指していきました。
「あれがそうよ。曾おじいちゃんが建てた寺院なの」
草原の片隅に建てられている小さな建物をシエスタは指差します。
「ずいぶんと変わった形をしてるわね。この門とか……」
「何でこんな形してるのかしら」
ルイズとキュルケは寺院へ続く丸木の柱が組み合わされて作られた大きな門を目にして唸りました。
彼女達からしてみれば見たこともない、独特のデザインだったのです。
「これって、神社の門じゃないかしら?」
「本当だわ。そっくりっていうより全く同じよ……」
みよ子と五月は門を見上げて、ルイズ達以上に驚嘆としていました。
門のデザインは明らかに、キテレツ達の世界の日本の一般的な神社の鳥居そのものだったのです。
それどころか門の先に続いている石造りの道は明らかに参道で、奥に建っている木造の小さな建物は神社の社の形をしていました。
「何でこんな所に神社があるんだよ?」
「僕に聞かないでよ」
「不思議ナリね……」
ブタゴリラに尋ねられるトンガリも困惑するしかありません。
何故、こんな場所に場違いな神社が存在するのかが分からないのです。
「もしかして……シエスタさん、竜の羽衣っていうのはあの中に?」
「ええ」
シエスタはキテレツ達がやけに驚いていることに目を丸くしていました。
キテレツ達はシエスタに連れられて、社へと進んでいきます。
社の扉は引き戸になっていて、それを開けた先には広々とした部屋が一つだけ広がっています。
「これが竜の羽衣? こんなのが飛ぶっていうの?」
「ただの羽のついたカヌーじゃない……つまんないの。こんなのが飛ぶわけないじゃない」
ルイズとキュルケはそこに置かれていた大きな物体を目にしても、がっかりしたようにため息をついていました。
タバサだけは好奇心が湧いたのか、じっとそれを見つめています。
「嘘……!」
「ねえ、これって夢じゃないよね? ……痛たっ!」
みよ子とトンガリがルイズ達とは対照的に目の前に鎮座する物に目を奪われる中、ブタゴリラがトンガリを軽く小突きます。
ブタゴリラ自身もその竜の羽衣と呼ばれる代物を目にして唖然としていました。
「何でこれがここに……!?」
「信じられない……ここにこれがあるなんて……!」
「キテレツ。これは、ひこうきナリか?」
キテレツと五月が愕然とする中、同様に目を丸くするコロ助が尋ねてきます。
「ただの飛行機じゃない……僕達の国の戦闘機だよ!」
「しかもこりゃあ……ゼロ戦じゃねえか!」
神社の社の中に安置されていた、竜の羽衣と呼ばれる翼とプロペラがついているその鉄の物体は、紛れもなく昔の戦争中に活躍した日本の戦闘機の一つであるゼロ戦だったのです。
この異世界にあるはずの無いものが目の前にあることに、キテレツ達は驚愕の色を隠せませんでした。
「ひこうき? ゼロせん?」
「これもあなた達の国で作られたマジックアイテムか何かってわけ? ふうーん」
「キテレツ君、みんなも……この竜の羽衣のことを知っているの?」
驚いているキテレツ達を怪訝そうに見つめるルイズとキュルケに、シエスタも心配そうに声をかけてきます。
「知ってるも何も、俺達の国で作られたものなんだぜ!」
「うん。確か、戦争中に使われていたものだったはずだよ」
「ねえ、シエスタさん。曾おじいさんが残した物って何か他にありませんか!?」
興奮するキテレツはシエスタに詰め寄りました。
「え? ええ……遺品と、あとお墓があるんだけど……」
「ぜひ、そこへ案内してください!」
ここまでキテレツ達が興奮していることにシエスタもルイズ達も困惑していました。