影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか? 作:ガイドライン
「ふっざけんなッ!!!」
「ひぃいい!!!」
「たかがミノタウロスの角程度であのファミリアに入れると思ってるのか!!!やり直しだああああぁぁぁ!!!」
「はいいぃいい!!!」
せっかくの冒険者がミノタウロスの角を持ち帰ったのにそれを握力のみで砕いたベート。その姿にビビり腰を抜かしながらも必死にダンジョンへと逃げていく冒険者。
正直ここよりダンジョンの方が安全と直感したのだろう。
現在ベートの頭の中は「他のチームより先にお題をクリアしてハジメとの再戦をすること」で一杯になっている
。
なのでいつもなら「チッ」と舌打ち程度ですんでいたことも敏感に反応してしまう。例えばコレ。
「ならこれだよね」
「……おい、てめぇ……」
次に現れたのはキザな冒険者。
その冒険者の手元には大金があった。
「ふっ、素晴らしい回答だろう。
あのファミリアは少なくてもお金に困ってるはず。
ならこの私のポケットマネーで……」
「こんな紙切れで入れるほど甘くねぇんだよおおおぉぉぉぉぉー!!!!」
「パ、パパのお金がぁぁぁぁぁぁ!!!!」
見栄をはった冒険者はベートの怒りの鉄拳によりその札束が吹き飛ばされて、泣きながらその札束を追いかけていった。
なんだかんだいってベートはヘスティア・ファミリアを、ハジメを好評価しているのだ。ただそれを言葉に顔に出さずに、むしろ逆の事を言ってしまうというツンツンしているだけ。
もちろんこんなことをしてたら不満に思う冒険者も現れて、
「……なんだよこのくそ試験はよ………
……やっぱり、こんなファミリア……やめと」
「てめぇごときが、アイツのファミリアを語ってんじゃねええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
ぶちギレた。なんか、なんとかくだけど、ベートが可愛いことを言っている感じに聞こえてきた。
ツンツンを極めるといま自分がどれだけハジメ達を認めているのか
まぁ、そんなこと周りの人は知っている。
リヴェリア達はそんなベートを温かく見守っている。
もちろんそれをベートには絶対に言わない。言ったら暴れるだけですむとは思えない。
プライドが高いから下手したら自殺するかもしれない。
なので周りの人は大変だと思うがベートにはベートのままでいてもらうしかない。自分で自分のことに気づくのはまだまだ先の話である。
「てめえ…軽い気持ちでこのファミリアに入るつもりか??今までがどうだったかは知らないが、このファミリアに入りたかったら……少しはマトモな思考をしてからやり直してきやがれ!!!」
「な、な、何なんですか!!?
別に貴方には関係ないですよね!!!」
「あぁ。関係ねぇな。
だから手抜きしろってか、ふざけんなよ!!
そんなことしてみろあのくそ野郎に「あぁ、その程度でしたか。程度
「で、でも……」
「でもくそもねぇッ!!!!!
あのバカはバカでも見る目はあるんだよ!!!!
そのバカが俺が見抜ける奴を合格させてみろ!
毎日のように冷やかしにきたら………本当にテメェをこの世の地獄に送るからなッ!!!分かったらさっさといけけけけけけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「はいいぃいい!!!」
そんな周りから見たら地獄と思えるベートのチーム。
しかし上には上がいる。
「んなもんが酒に必要あるかあああああああああああ!!!!!!」
隣ではベートと同じ事をしている。せっかく手にした素材をロキの握力で握りつぶした。
どうやらいまロキ・ファミリアでは握りつぶすというのが流行っているようだ。恐らく。
で、ちなみにロキの元へ持ってきた素材というのは普通なら高級なお酒に
しかし……
「最高の酒を作るや。今まで使っていたような素材を使ってどうして最高の酒が出来ると思ってるんや!!!!」
「で、ですが…こういうのは素人が」
「誰が素人やッ!!!
ウチはなどれだけ
こっちはこっちで面倒くさい。
キチンと冒険者はお酒の素材を持ってきているのだ。
なのにどうしてそれが駄目なのか。
簡単である。
「おい、ロキ!!それ新築祝いに持ってきたお酒じゃないか!!?なんで君が飲んでるんだよッ!!!」
「ええやんか。どうせ一緒に飲んむや」
「……キミ、ここに来る前から酔ってるね」
「……だって、だって………
…だって寂しいんやもん!!ハジメ達がおらん館はもうごっつい寂しいんや!!!アイズたんも落ち込んでるし相手してくれん、リヴェリアに至っては上の空で全く相手にならん………そうなったら酒しかないやん!!!!!」
「まぁ、良くも悪くもハジメの影響はスゴいからね……だとしてロキそれは飲み過ぎたよ……」
あのヘスティアさえも心配になるぐらいグデグデになっているロキ。まるで愛娘が家から出ていった親父のように寂しがり屋と化している。
そのおかげでロキのチームの冒険者達はクリア出来るはずが全くクリアできない。
「……はぁー僕がキミのお酒に付き合うからちゃんと採点してあげなよ」
「失礼やな。いくら酔っていてもちゃんとしてるで」
「でもさっき持ってきた素材ってなかなかの物じゃ」
「あかん。それじゃあかん。
「……ロキ、キミは……」
「そして一緒に飲むんやッ!!!」
「ロキ、キ・ミ・は!!!」
どうしてそんなことしか考えられないんだ!!!とか、うるさい!!何も考えとらんお前よりはましや!!!とかいつものように喧嘩しだした神二人。
これを止めるものはおらず、ロキのチームはただ収まるまで待つしかなかった……
そして残り1チームはというと
「ぐわっ!!!」
「後退しろッ!!!!」
「魔法を打てッ!!!!その間に体制を立て直せ!!!」
ゴライアス。その階層主と戦ってます。
それも普通は連携の取れるファミリアや良く相手を知っているもの通しでやること。
それを全く知らない者通しでやれば……苦戦するのは当たり前。
というか入団するために来た冒険者達だ。
大したレベルもあるわけでもない。
それなのにいまどうしてゴライアスと戦っているかというと
「………上から、くるよ」
「た、退避ッ!!!!」
アイズの言葉にすぐさま逃げまとう冒険者。
いった通りにゴライアスの拳が振り落とされた。
その衝撃波により何人かは吹き飛ばされてしまったが直撃しなかっただけでもよかった。
「ア、アイズさんッ!!!!
どうして手伝ってくれないんですか!!?」
「ハジメは、強い人、選ぶと思うから」
「だとしてもこんな無茶苦茶なッ!!!」
「えっ。
……私たちのところ、普段やってるけど?」
とんでもないカミングアウト。
「に、逃げろおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「あっ、ちょっ……」
アイズはダンジョンでひとりぼっちになる。
「ベルなら…やってくれるのに……」
あいつはすでに規格外です。
という感じで誰もクリア出来るやつはいない。
でもあと一つ方法がある。そうダンジョンに散らばったベル達を見つけて赤いハンカチを奪うこと。
大半がそれを狙っているが、こっちもこっちで