影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか?   作:ガイドライン

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影が薄い、という認識はここまで。そして…

「……アッ……アッ……アァ……」

 

 

 

徹底的に圧倒的な程に徹底的にやられたアポロンファミリア。その主神であるアポロンは放心状態になっており、口からヨダレを垂らして目が白目をむいて完全にやられていた。

 

 

 

「聞こえているかいアポロン?

まぁ、聞こえてなくてもここで言わせてもらうよ、僕達の勝ちだ」

 

 

 

ヘスティアのその声は届いておらず様子も変わらないのを見て先にもう一つのファミリアの主神の元へ向かった。

 

 

 

「ソーマ、僕達の勝ちだ」

 

「あぁ、そのようだな」

 

「あまり驚いてないみたいだね」

 

「もともと勝ち目がないと分かっていた。しかしここまでとは……驚いてはいる」

 

 

 

それでもあの戦いを見て、当事者としてここまで落ち着いていると何かあるのかと思ってしまうほど。

それを見て冷やかすようにロキが近づいてきて、

 

 

「あれやろ、ソーマ。

お前ファミリア解散させるつもりやろ」

 

「ほ、本当かいソーマ?」

 

「あんなの見せられ、あの子達(子供達)は体験したんだ。もう冒険者としてやっていけないだろう」

 

「それはあまり自分のファミリアを信じなさすぎと違うか?」

 

「……ファミリアというより私が私を信じれないというべきか……」

 

 

 

そんな姿を見てどう言葉をかけるか分からなくなった。

いままでソーマは神酒(ソーマ)を使いファミリアの士気を上げていた。

だが、それは必ずしもいいことだけではなく神酒のために汚いことにも手を出していた。そしてそれをソーマは見て見ぬふりをしていたのだ。

 

リリが抜けたことにより、そして戦争遊戯によってどれだけのことをしてきたのか理解したソーマはもう何を信じればいいか分からなくなっていた。

 

 

「確かに君がリリ君のしたことは、子供達にしたことは間違っている」

 

「………」

 

「だけど僕は解散させるほど怒ってはないよ

むしろこれからのソーマファミリアを見せてくれないかな?」

 

「……ヘスティア……」

 

 

そんな様子を見てロキは明らかにバカにしたため息をついた。

 

 

「なんだいロキ。僕の判断に不満があるのかい?」

 

「それはあるわ。

そこにちゃんと神酒(ソーマ)を作るように付け加えてもらわんとな!!」

 

「ロ、ロキ……

しかしわたしはそれが原因で……」

 

「それやからさらに管理を徹底させたらええやんか!!

言っておくけど、ウチはあの酒がめっちゃ好きなんや!!

勝手に無くなせるなんて許させんからな!!!」

 

 

その言葉に涙を流すソーマ。

もう出来なくなると思っていた神酒もファミリアもまだ続けることが出来るなんて想像していなかったのだから。

 

 

「……お、恩に、きる……」

 

「まずは一週間の合間に神酒を10本……」

「なんで君が決めてるんだ!!!!??」

 

「ええやんけ!!

こうなったら一蓮托生やろうが!!!」

「だとしてこれに関しては口を出すな!!!」

 

「なんやと!!!」

「なんだよ!!!」

 

 

また子供みたいなケンカが始まった二人。

それを見ていたソーマはどうしたらいいのか分からず立ち尽くすしかなかった。

 

 

…………………………

 

 

とりあえずケンカが収まり次に未だにトリップしているアポロンの頭に大量の氷が入った水を頭から一気にかけるロキ。

 

 

「さっさと戻ってこんか!!」

 

「ひゃぁッ!!!!何をするだいロキ!!?」

 

「じゃかわしいわ!!」

 

「アポロン!!僕は君に色々聞きたいことがあるんだ。

だから正直に答えるんだ、君達は負けたんだ僕には聞く権利がある!!!!」

 

 

その言葉に苦虫を噛むような表情をするアポロン。

今から聞かれることがどういうものなのか分かっているからだろう。そうヘスティアがもっとも聞きたかったこと、それは

 

 

「どうして君はハジメ君のことをそんなにも知っている!!?」

 

「ッ!!?

そ、それは……」

 

「答えるんだアポロン!!!」

 

「言っておくけどな、言うまで逃がさへんで」

 

 

さらに苦悩する表情を見せるアポロン。

しかし明らかな敗北に難癖もつけられない。

顔が歪むほど苦しむアポロンは、遂に観念したのか地面に腰を下ろして頭も項垂れた。

 

 

「………つい最近のことだ。

私の前にあるフードを被った(ヒューマン)が現れた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『初めまして神、アポロン。

貴方に耳よりの情報を持ってきたのだけどどうかしら?』

 

『それを私に教えて貴様に何の得がある?』

 

『あるわ。()()()()()()

やっと動き始めたあの子の成長をもっと進めたいの。

そのための情報、自由に使っていいわ。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━。

………どうかしら、お役にたちそう?』

 

『……もちろん役にたつ。

たつがそれを教えたら私がハジメを物にすると考えなかったのか?』

 

『別にどこに付こうが関係ないわ。

私とあの子の間は()()()()()()()()()()()()

 

『ならばハジメは私がもらい受ける』

 

『お好きにどうぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それだけだ。

私がその者に会ったのはその一度だけだ」

 

 

その話に覚えがあるのか、ヘスティア、ロキ、ヘファイストスは真剣な表情であることを思いだろうとしていた。

 

 

「もしかしてだけど、そのフードの者って…」

 

「間違いないやろうな……チッ!やっぱ生きとったか…」

 

「ということはこの街に、いるってことなの?」

 

 

「そう考えるのが妥当だろうね。ロキ、ヘファイストス」

 

「言われんでも分かっとるわ。

せやけど動かせるのはウチらだけやで。

こんなん曖昧な情報でギルドが動くわけやしな」

 

「とにかく情報が必要よ。

少なくともそんなに日にちはたってないはずだわ」

 

 

「でも、ハジメ君でもギリギリ勝てた相手だよ。

迂闊に接触なんてしないように…」

 

「んな分かっとるわ!!!

………今は情報集めと、厳重警戒をするしかないな……」

 

「と、いってももう相手もこの近辺にはいないでしょうね。安全が確保するまでは仕方ないかもしれないけどね……」

 

 

はぁ、とため息をつく三人。

周りの神々は一体何の話をしているのかついていけてない。

しかし三人の中では話は終わったのでさらにアポロンに詰め寄る。

 

 

「さて、ハジメのことはまぁ、ここまででええな」

 

「ま、まだ、あるのか……」

 

「それはそうでしょう。

確か何でも言うことを聞くんでしょう」

 

「そ、それは……」

 

「無かったことになんてしないよアポロン。

さて、僕からの要求は4つだ!」

 

「よ、4つもッ!!?」

 

 

驚いているようだがそんなことはヘスティアには関係ない。なんかヘスティアのほうが悪者みたいな、本当に悪い表情で要求を告げる。

 

 

「まず1つ目、君が保有している財産を全て引き渡すこと!」

 

「なっ!!?」

 

「2つ目はファミリアの解散だ!!!」

 

「ま、待ってくれ!!!」

 

「ま・た・な・いッ!!!

3つ目はアポロン!!!君はオラリオからの永久追放だああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「イヤだああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

ヘスティアの容赦ない要求に耐えられなかったアポロンはまた気絶してしまった。

しかしまだあと1つある。なのでヘスティアはさらに容赦なくテーブルにあった水の入ったコップを手にとって頭からアポロンに水をかけた。

 

 

「………も、もう、やめてくれ……

これ…以上……私が支払うものは………」

 

「残念ながらまだあるよ。

最後は要求というよりも、命令だ。いや、強制、決定事項、()()()()()()()()()()()

 

 

怯えるアポロン。

そしてヘスティアの告げる言葉は正に()()()()()()()()()()()()

 

 

「最近ねハジメの一時停止の解除を時限式に出来るようになったらしくてね。

アポロン、君の身体中に一時停止で止まっている衝撃をつけさせてもらう。段階的にちょっとずつ衝撃が大きくなるんだけど……さて、アポロン。君はどれだけの衝撃でその肉体は…………」

 

「イヤだ、イヤだ、イヤだああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

恐怖のあまりに逃げ出すアポロン。

しかし流石にそんなことは許されるわけもなくすぐに捕まったが、その時にはすでに廃人のようにブツブツと呟いていた。

 

 

「……イヤだ…イヤだ………イヤだ………」

 

「………ちょっと…やり過ぎたかな……」

「ようそんな出鱈目出てきたなー」

「そ、そうね…これはちょっと……」

 

「だってこれさえいえば絶対に相手は落ちる。ってハジメ君が……」

「それも本人からかい!!?

………あいつのことや、ホンマは出きるかもしれんな……」

「さ、流石にそれは無いんじゃない?

だってそれもう神殺しよ……流石に………」

 

 

 

「「「…………………………」」」

 

 

 

「「「………………いや、うん……出来そう、というか、やりそう………………」」」

 

 

 

こうして遊戯戦争は終了した。

しかしこの遊戯戦争から再びあのフードの者と出会うのはそんなに時間は掛からなかった。

 

 

そしてその出会いがハジメの「時」を大きく変えることになる。


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