影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか?   作:ガイドライン

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はい、GWに更新出来ました~❗
休みの内に書き貯めたいですけど難しいだろうな…
まぁ、ボチボチやっていきますので7月上旬までは暖かい目で見てください。

それとここで改めてお礼を。
誤字脱字を訂正してくださる皆様、本当にありがとうございます。図々しいですがよければこれからもよろしくお願いします。


影が薄くてもその反応が薄いのはおかしい。

ダンジョンの5階層は1階層から4階層までとは異なりモンスターが産まれる間隔(インターバル)が比べ物にならないほどに短くなり、4階層までで緊張感が揺らいだ多くの駆け出しの冒険者が屍と化す。

物足りないといって易々と下層へ進出してはならない。冒険者の素養となる経験や武装や機転などあらゆる面全て求められるのだ。

 

つまりは駆け出しの冒険者にはまず地道な力の蓄えが求められる。

 

 

「………ふっ!!」

 

 

それが新米冒険者であり()()なのである。

いまこのダンジョンの7階層で一人の冒険している冒険者もまた新米冒険者。

そんな冒険者が戦っているのはキラーアント。4本の足に2本の細い腕、赤一色に染まってるその姿は蟻を連想させ、体を覆ってる外皮は鎧のように堅く、ゴブリンのような低級モンスターとは比べものにならない攻撃力を持つ。そのため冒険者の間では『新米殺し』と呼ばれている。

 

そう、いま新米冒険者が戦っているのは新米殺しと呼ばれるキラーアントであり、それも1匹ではなく4匹も出現している。それもこの新米冒険者はパーティーを組んでいるわけでもなく一人でダンジョンに潜っていたのだ。

 

一人で7階層など自分の力を過信しすぎたバカなのか、または自殺願望者なのか。どちらにせよこのキラーアントに出会ってしまったら逃げること。例えなんとか1匹倒せたとしてもすぐに出現するのだ。

そんなキラーアントに囲まれた冒険者。このままでは殺られるのも時間の問題だと思われる。

 

 

「……まずは、間接部分を……」

 

 

しかしこの冒険者は冷静にキラーアントの細い腕の間接部分を短剣で、襲いかかるその腕からスピードを生かした回避行動をした後にまるで大岩を割るような力強い攻撃を打ち込んだ。すると鎧のような外皮は破れ細い腕ごと切り落とした。切られた痛みによるものなのか、切られたことに対する激怒なのか、耳を塞ぎたくなるような騒音がキラーアントから放たれる。

 

 

「……落ち着いて、次の行動を……」

 

 

冷静を保ったまま冒険者はキラーアントの足をスピードとパワーで切り落とし、ぐらついた一瞬を狙ってキラーアントの首に目掛けて短剣を振り落とした。

その一撃によりキラーアントは絶命し、風化した後に残ったのは魔石だけになった。

 

 

「ふぅー。後は……これを軸にして攻撃を……」

 

 

独り言をいいながら襲いかかってきたキラーアントの攻撃を最小限の動きで回避し、さっきの力強い攻撃ではなくキラーアントに与えられる最小限の攻撃力で首に攻撃を行い倒してみせた。

 

 

「……よし、これなら大丈夫そうだ……」

 

 

自分の力を確認したように掌を閉じたり開いたりして、もう一度同じ行動をしたあとジリジリと近寄ってくるキラーアントに目を向けた。ゆっくりと息を吸って吐いたあと新米冒険者は「ベル・クラネル」は走り出した。

 

 

…………………………………………………………………………

 

 

「ベルベルが7階層ですか……」

 

「あぁ、私達が保証しよう。いまのベルなら12階層までなら問題なくいけるだろう」

 

 

黄昏の舘の庭にはオシャレなテーブルと椅子があり、そこには一番似合うだろうリヴェリアと、真逆に似合うどころか周りからは姿が見えなず感想も言ってもらえないハジメが座ってお茶をしていた。

 

 

「リヴェ姉にそういってもらえるなら心配はいりませんね」

 

「しかし、ハジメといいベルといい……」

 

「なんですか?」

 

「いや、何でもない……」

 

 

それ以上は言葉に出来なかった。ハジメの一時停止にはリヴェリアや他の皆も驚かされぱっなしだ。だがヘスティアファミリアにはもう一人いたことに気づいた。

ベル・クラネル

ヒューマンにしても小柄でありあの性格と容姿は誰も一目では冒険者なのかと疑うだろう。だがリヴェリアは知ることになったのだ、この前の訓練の中で()()()()()()()()()()()

 

 

(あれは…あれは普通の成長ではない。確かに私やベート、ガレスやフィンが指導をしたが…それだけで、()()()()()()()l()e()v()e()l()2()()()()()()()()()()()……ありえるのか??)

 

 

初めは何ともいえない素人感が分かる戦い方だった。それでもスピードがあったので今までやってこれたと見ていた。だがベルを指導を初めて数時間後、どれどけ教えたことを吸収出来たかとテストしてみれば……

 

 

(経験はステイタス更新しなくともすぐにでも応用出来る。だがそれだけで()()()()()()()()()()()()()()()()()出来るのか?)

 

 

あの時は誰もが驚いた。本気ではないとはいえベートの攻撃を避けただけではなく受け流したのだから。もちろんそれにムカついたベートはベルに一撃を加えたのは言うまでもない。

これはリヴェリア達も、ハジメもベル本人も知らないことだがベルのスキル憧憬一途(リアリス・フレーゼ)は、誰かを想う限り驚異的な速度でステイタスの上限すら越えて成長させてくれるレアスキル。しかしあの時はステイタス更新もしておらず成長するわけがない。そうあの時のベルの成長は…

 

 

(……うらやましい限りの才能を持っている……)

 

 

スキルでもなくベル自身の力。だからこそ驚かされる。ベルといいハジメといい、スキルだけでなく自分自身の手で成長していくことがとてもうらやましく思える。

余談ではあるがその訓練後にステイタス更新をしたヘスティアはあまりにも成長した姿(数値)を見て気絶したという。

 

 

「どうしたんですか??さっきから嬉しそうな表情をしてますが……」

 

「いや、私も負けていられないと思ってな」

 

 

ハジメ達と出会ってから何度驚かされたことか。アイズやベート達もいい刺激を受けているようであり、少なからずリヴェリア自身も気持ちが高ぶっている。ある程度levelが上がれば急激な成長をすることもなく、その時の喜びを忘れていたのかもしれない。

ステイタスだけが成長ではない。それを自分がよく分かっていたつもりだったが、いやまだまだだと再認識させられた。

 

 

「あっ、そうです。リヴェ姉に聞きたいことがあったんですが」

 

「聞きたいこととは??」

 

「年齢に応じた女の子の下着を選びたいのですが、アドバイスしてくれませんか?」

 

「…………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、ダンジョンから帰って来たベルが目にしたのは黄昏の舘の周りに大量の火柱が上がり、そして本当の柱のように聳え立っている景色だった。

そして必死に謝っているリヴェリアの姿と、(そび)え立つ火柱を見て呆然としているロキと、この火柱を有効活用出来ないかと考えているハジメの姿はまさにカオスだったという。

 

 

…………………………………………………………………………

 

 

「何を間違えたのでしょうか?」

 

「間違えだらけだよ!!」

 

「しかもセクハラ紛いなことをよりによってリヴェリアに聞くとは……」

 

「俺はこんな奴に……」

 

 

あの火柱をそのままにするわけにもいかず、火柱の周りを改めて一時停止で囲み火柱にかかった一時停止を解除。これにより入る火柱は黄昏の舘を焼くことはなかったが、リヴェリア自身はかなりの精神的ダメージを受けていた。「まさか…私が……」と呟きながら仲間に支えられ部屋に戻っていく姿はレアだがもう見たくないと誰もが呟いた。

女性陣はリヴェリアを見てもらうことにして、男性陣は事情聴取ということで集まったのだが

 

 

「でもなんでそんな事を聞いたのハジメ??」

 

「昨日パルゥムの女の子の自宅を掃除・リフォームしていたんですが、その時にこの下着はこの子には合わないと思いまして………」

 

「ちょっ、ちょっと待つんだ!!

………それはその子の了解を得ているのかい??」

 

 

すると無表情なのに、何故かキョトンとしたように見えたのはこんな台詞を放ったからだ。

 

 

「僕、影が薄いですから」

 

 

空気が、凍った。

 

 

「無断侵入したの!!!??女の子の部屋に!!!」

 

「………ダメだ…これは女性陣には聞かせられない……」

 

「てめぇマジでふざけんなよ!!!!!」

 

「なかなか肝っ玉が据わっとるの」

 

 

あまりにも異常な行動に頭を抱える二人と、俺がこんな奴に負けたなんて…ふざけんな!!とキレている者と、まるで酒のつまみのように余興を聞いているように笑っている者。

これを見て自分が何を仕出かしたのかやっと分かったようで、

 

 

「分かりました。これは経験あるリヴェ姉ではなく同じ年齢ぐらいの」

 

「女の子に聞くこと自体が間違ってるの!!!

そして無断侵入はもう犯罪だから!!!!」

 

「………あぁ、なるほど。親切にしたつもりでしたが大きなお世話だったわけですか」

 

「間違ってはいないが…反省する点はずれている……」

 

 

本当に理解しているのかと疑いたくなる。

すると「あっ」と何かを思い出したベルは気になることを話し出した。

 

 

「そういえば今日犬人(シアンスロープ)の女の子からサポーターはどうですかって言われたんだけど、ハジメにサポーターしてもらってるし相談してから決めるから明日またバベルの前で会おうって約束したんだけど…」

 

「断らなかったんですか?」

 

「だっ、だって…なんか困ってたから…」

 

「相変わらずベルベルは優しいですね」

 

 

そう、ベルは優しいから誰だって助けようとする。だから周りの人は巻き込まれるのだ。それもこの先厄介なことに発展するなんて思いもしなかった

 

 

「だから…えぇーと、ハジメにも会ってほしいんだけど……」

 

「…………はい?」





余談ですが今日が誕生日です❗
はい、終わり❗❗

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