影が薄くてもダンジョンを攻略する。のは間違っているだろうか? 作:ガイドライン
はい、どうも。
今年もあと少しですね~仕事が忙しくて、書きたいことがありすぎて終わらなくて更新遅くなりました。
今度の更新は来年かなー、分からないけど(笑)
それではどうぞ!!
「それでは只今から『ハジメ会議』を始めます。司会進行は今回の議題である当人であるトキサキ
「いやなんでハジメ君がやってるんだい!!」
「ご指名がありましたから、こちらの神様から」
「いや~話題の中心がやったほうがええやろ。自分の思い通りに進められるんや、言いたくないことは言わんでよくなるやろ」
「………ただ面倒くさいだけじゃないだろうね?」
ヘタな口笛で誤魔化すロキに対してイラついているヘスティア。落ち着いてくださいと隣で宥めているベル。その隣にエイナ、ハジメ、リューが並んで座っている。
そしてそのテーブルの向かい側にフィン、リヴェリア、アイズとロキファミリア達が並び、上座にロキが座っている。そして皆の前には紅茶とケーキが並んでおり、長時間の話し合いが行われると思われる
「ホラホラ、さっさと進めようか」
「了解です。まずは……エイナ嬢からどうぞ」
「わ、私ッ!?いきなりなんて……」
しかしそれ以上は言わなかった。今からハジメの今後について話しをするなら、護衛については早めに終わらせたほうがいいだろうと考えた
「それでは私から。今回ハジメ君が起こした
「影響ねぇ……つまりはハジメを手に入れるために手段を選ばずにやらかす輩が出てくるって訳か?」
「はい、つきましてロキファミリア冒険者の誰かにヘスティアファミリアの護衛をと思いまして……もちろん!噂が落ち着くまでで構いませんし、断れても構いません。その時は私個人で探しますので」
「つまりはギルドの要請とは違うわけか、完全なエイナちゃんのお願いちゅうわけか」
腕を組み悩むロキ。オラリオの中でもトップクラスであるロキファミリアが、名も知られないファミリアを護衛するなど、
「ええで。ってか元よりその考えはあったけどな」
「宜しいんですか?」
「契約しておいて終わったら無関係なんて寂しいことは言わんわ。させやけどこちらも条件があるわ」
そう言いながらロキはヘスティアの方を向いて、
「ドチビ、ウチはイヤやけど仕方ないんやで」
「なんのことだいイキナリ?」
「……暫く、ヘスティアファミリアはここで過ごしたらええ」
「「「………ええええええぇぇぇぇぇ!!!!??」」」
大声で叫ぶヘスティアとベルとエイナ。ハジメは「おっ」とちょっと驚いているようだが顔は変わっていない。
「何を言っているのか分かってるのかいロキ!!?」
「分かっとるわ!!ウチだって誰が好き好んでドチビと一緒に生活せんといかんなや!!」
「なら言わなきゃいいだろうが!!!」
「アホ!!さっきも言ったけどな、ここまでしておいて後は知らへんってウチのプライドが許されへん。ウチも我慢するんや、ドチビも己の我が儘で断るなんて言わへんよな?」
痛いところをつかれたヘスティアは分かりやすくイヤそうな表情をしている。元を正せばロキが自分の我が儘のせいだっていうのにと思いながらも、現実ロキファミリアという強い護衛がいるのは物凄く助かる。しかしこれだとロキが優位に立っていると考えたヘスティアは
「分かったよ。その変わりにベル君とハジメ君に冒険者としての指導をしてくれないか?」
「なんでウチらがそんなことを!!」
「別にいいんだよ。僕はロキの所で守ってもらわなくても困らない。でも
と、強気に出ているヘスティアだがテーブルの下ではベルの手をギュッと握っている。「守ってもらわなくても困らない」な訳がない。非常に困る。だけどここで引いたらロキに負ける、という何とも小さなプライドの為に交渉している。そしてロキは本当にイヤそうな表情をしながら、口にも出したくないその口を開いた。
「……ええで。でもその変わり、ここではウチのいうことは聞いてもらうで」
「はぁ!!?」
「当たり前や、ここはウチの家なんやで。それともなんや、
やったらやり返す。今度はヘスティアが本当にイヤそうな表情をしている。あのロキのいうことを聞き入れるなんて考えただけで身体中が拒否反応を起こしている。しかしベルやハジメのことを考えたら、
「……僕だって…僕だって嫌々だけど、二人のためだから……仕方なく…仕方なくなんだぞ!!」
「決まりやな」
結局ロキが優位に立ったまま決まった。ベルやハジメに取っては良いことずくめだろうが、ロキはプラマイゼロであり、ヘスティアにいたってはマイナスになってしまった。
「まぁ、あんなことを言っていたが無理なことなら例えロキの言葉でも断ってくれて構わない」
「ちょっ、リヴェリア!!?」
「分かっていると思うが今回の出来事は完全に私達が悪い。こちらとしては全面的に支援しなければならないんだぞ。」
「そうだね、リヴェリアの言うとおりだ。僕達ロキファミリアは全面的にヘスティアファミリアを支援させてもらいます」
「フィンまでなにいってんねん!!」
「代わりというわけではない、お願いといってもいいが今の僕達にそんなことも頼めない。だから気が向いたらでも、興味をもったらでも構わない。
…………トキサキ
その言葉に誰もが驚いた。一度アイズやリヴェリア、ロキがその言葉を口にしたが今回はロキファミリアの団長であるフィンが直接口にしたのだ。いや口にすること自体いけないと分かっていても、それを口にするほどの思いが彼にはあった
「僕達はいま先陣を切ってこのダンジョンを攻略しようとしている。それはとても過酷なもので一瞬の油断、迷い、判断が生死を決める。本当の「強さ」を持ったものしか進むことの出来ない場所に足を踏み入れている。そして君はその「強さ」を持っていると僕は思っている」
その真剣な眼差しに思いが籠った言葉に誰もが息を飲んだ。誰もが言葉に出来ない中、クスッと笑ったのは意外にもリヴェリアだった。
「それはもう勧誘というものだぞフィン」
「ふふ、そうだね。すまないがさっきのは忘れてくれ。君達の安全は僕達が保証しよう。元を正せばロキが契約を破ったようなものだからね。これぐらいは最低限させてもらわないとこちらが困るんだよ」
「あ、ありがとうございます…」
その言葉にベルが頭を下げながらお礼をするがさっき言ったようにこれは罪滅ぼしみたいなもの。ベル達がお礼を言わなくてもいい。しかしベルだからこそこうやってお礼をいうのだろう。そう、
「そうだ契約だぁ!!5000万ヴァリスだよ、5000万ヴァリス!!!」
「神様、がめついですよ」
「正式な契約なんだよ!!ほらロキ!!!出すものを出すんだ」
「お見苦しいものを見せてすみませんリュー姉、エイナ嬢」
「い、いえ…」
「アハハ……」
ヘスティアファミリアは神様を入れて三人と少ないファミリアだとは理解していたが、まさか神様がここまでお金に執着しているなんて思わなかった。てか見たくなかった。そんな周りの視線なんか気にしてないのか、気づいていないのか知らないがロキにまだ噛みついている。痺れを切らせたロキは、
「もう~うっさいわ!!言われんでもちゃんと5000万ヴァリス払ったわ!」
「なにいってるんだよロキ!僕はもらっ」
「誰がドチビに渡すか、アホ。全額ヘファイストスに渡しといたわ」
「なんてことをしてくれたんだロキイイイィィィ!!!
あのお金は僕達のお金なんだぞ!!!」
「あれハジメとの契約や、渡したとしてもハジメに渡すわ。せやけどハジメが借金を返したいって言ってきたんやで。本当にええ子供やな~」
ワナワナと震えているヘスティアは、次の瞬間にギロッとハジメを睨む。それも泣きたくなるほど悔しそうな表情をしながら。
「少しだけでもと手元にあるとどんどん使う金額が上がるんです。まずは借金を返してからあるお金で慎ましく生活を」
「イヤだ!!折角貧乏生活から抜けれると思ったのに!!!!」
「皆さん本当にすみません。こんな残念な神様をお見せしまして」
それぞれ違った反応をしている。展開についてこれずに呆けてあるもの、苦笑いしているもの、ため息をついているもの、共感しているものとバラバラな反応していたがあるひとつだけは全員同じ思いだった。
『どのファミリアも神様に苦労しているな~』と。
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ひとまず用意された紅茶とケーキで一息ついた所で、
「さて、本題に入りたいと思います。
「謎の集団脱力感」についてなんですが、エイナ嬢」
「いまダンジョンに調査隊を派遣しております。安全が確保できるまでは入ることは出来ません」
「まぁ、しゃあないやろうな。どれぐらいかかるんや?」
「原因が分かりませんのでハッキリとは…」
あんな現象がまたダンジョンで起きてしまえば、今回みたいに誰もが動けずに、もしかしたらモンスターに殺られてしまう恐れがある。そんな不確かな状況でダンジョンに潜らせるわけにいかない。
そんな話をしているなか突然ベートが、
「原因もなにもソイツに決まってるだろうが!!!」
「おい、ベート。いきなり何を言い出すんだ?」
「何を言い出すだぁ?リヴェリア、てめえが一番分かってるんじゃねえか?
あんな芸当が出来るやつはステルスしかいねぇだろうが!!」
言いたいことは分かる。あのタイミングであの現象、起こせる人物がいるとすればそれはハジメしかいないだろう。すると主神であるヘスティアが
「ちょっと待ってくれ!!そんなことをしてハジメ君にメリットがあるとは思えないよ」
「だったら教えてくれよ。
「うぅ…」
「……」
「……」
「……」
問いだされたヘスティアもハジメが起こしたかもと疑われる原因である三人も何も言えなかった。ハッキリとハジメは違うと言える。だが否定出来るものが何も無いために論理的に証明されそうになっている。
興奮したのかベートを突然立ち上がり、
「何も言えねぇじゃねえかよ!大体最初から俺は反対だったんだよ!!こんな得体もしれねえやつはよ!!あの時もこいつは
ソイツはな、ただのインチキ野郎だあああぁぁ!!!!」
その瞬間、ベートの横を何かが通り抜けていった。あのベートが気づかずに何かが通りすぎたのだ。ベートの頬には新しい切り傷が出来ており、その切り傷を作った物が壁に突き刺さっていた
「インチキとは聞き捨てなりませんね。私やそちらの二人がトキサキさんを弁護できなかったのは認めましょう。肯定も否定も出来ないのですから。しかしあの勝負は正々堂々と行いました。それを今ごろになってトキサキさんをインチキ呼ばれなど……ふざけるのも大概にしろ」
ベートに向けてフォークを投げたのはリューだった。その目は完全にベートを敵と認識しており、すぐにでも戦う意志がある
「本性を見せやがったなエルフが」
「ベート!!いい加減しろ!!!」
「ウルセェ!!こんなレベル1の雑魚がゴライアスを倒せるわけがねぇ!!どうせてめえの勘違」
「いい加減にしてベート」
アイズの鋭く冷たい言葉がベートの言葉を止めた。いやそれだけではなく冷たい視線を向けている。まるで敵を見ているようだ
「……おいおい、マジかよ……こんな奴の為に仲間に
「ハジメは、倒したよ。ゴライアスを」
「認められるか!!こんな奴が!!!」
「いい加減にせえベート!!!!!」
ロキの激怒した声に流石のベートも口を閉じた。誰もが聞こえるような大きな舌打ちをして乱暴に椅子に座る。
「すまんなハジメ、ベートにはちゃんと言い聞かせとくわ」
「いいえ、僕よりリュー姉に」
「そうやな。すまんかったな、今度お店に貢献したるから勘弁してな」
「……トキサキさんが許すのなら」
これでなんとか収拾ついたかと思われたが、納得してないベートは明らかな態度でテーブルに膝をつき、掌で頭を支えながら皆とは違う方向を見ている。そんな姿にロキが注意をしようとしたがそこにハジメが、
「べベートさん」
「…………」
「べベートさん」
「…………」
「べベートさん」
「…………」
「べベートさん」
「…………」
「べベートさん」
「…………」
「べ・ベートさん」
「ぶっ殺すぞテメェエエエエエエエエェェェェェ!!!!!」
やっと反応したベートは激怒して立ち上がり、ずかずかとハジメの元まで来て胸元を掴もうと手を伸ばす。しかしオートによる一時停止で掴むことができないベート。それでさらに怒りが募ったベートは殴ろうとするが、
「喧嘩なら外でしましょう。前回が気に入らないならもう一度すれば納得しますよね?」
「あぁ!!?テメェ本気か?」
「そうしないとずっと不機嫌じゃないですか。納得してくれるならやりますよ」
「おもしれぇ、今度はテメェをぶっ潰す!!!」
すぐさまベートは部屋から退室し、そのあとをリヴェリアやアイズ達が追いかける。しかしロキだけは未だに残っていてふっと立ち上がったあと右手を上げて
「すまんかったなハジメ」
「いえいえ、構いませんよ。あぁしないとずっと不機嫌でしょうから」
「アハハ!!ベートのことよう分かっとるな!!!
ほな、アイツを適当に
手をヒラヒラと振りながら先に退室したロキ。
それを確認したヘスティアは、残ったメンバーは直ぐ様ハジメに駆け寄り
「何してるんだよハジメ君!!!」
「相手はロキファミリアなんだよ!!!」
「無茶をし過ぎです!!!」
「なんで毎回毎回問題を起こすのよ!!!」
「そんなことを言われましても今回はあっちが悪いですよ。それに僕はあんな風に人を見下す人は嫌いですから、お仕置きをしてやろうと思いました」
「相手はロキファミリアの一級冒険者なんだよ!!!」
「大丈夫ですよ、所詮は野良犬ですから」
「一級冒険者を野良犬扱いって……」
相当怒っているのだろう。ここまで毒舌を吐くなんて……それでも心配そうな表情をするヘスティアに対して
「大丈夫ですよ、それに
「うわぁ……」
そこにいる誰もがアレが何のことなのか分からない。分からないが分かることがある。
この喧嘩、勝敗が決まっていると。