変態企業によるリスタート【istd !】   作:獅狼

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高町なのは五歳、BH世界大会を見に行く

前回の産業あらすじ

 

突然逆行を果たした変態企業ACの面々。

彼らはそんなことは良い、俺たちはただ創りたいものを創るだけ……

そうだ、世界を作り変えようという適当な感じで世界を一変させることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Ladies and gentlemen、ようこそ、BH海上競技場《アルカディア》へ」

 

明らかに時代を先取りし過ぎている空中投影型のディスプレイに濃い顔の男がマイクを片手にものすごいテンションでマイクパフォーマンスを行っている。

 

「いよいよやってきた第一回BH世界大会決勝リーグ!!

世にBHが広まってから十年ちょっとで脅威の競技人口を誇るようになった。BHは確かに楽しいから仕方が無いわけだが、この規模の大会が開催されるまでに10年ってのはちょっと早すぎるぜ。

そしてなんとこの大会の出資者は数多居るが、その中でも半分を超えるのがAC、BHを世に発信した企業だ。

まあ、この競技場自体がACによって建てられたものなんだからその時点でお察しなんだがな」

 

大通りを芋洗い状態で流れてゆく人々は空気に酔いながら、これから始まる祭りに心躍らせている。

 

「さてさて、突然だが、BHの話をしよう。

BH、始まりは先進技術を用いたというサバゲー用の装備から始まった、これは技術の確立の為の試金石のような物だったらしいな。

続けてV(バーチャル)R(リアリティ)ゲームが登場、此処から一般的な人気が爆発したんだ。未だどこの会社も完成どころか、まだ門の前でうろついていた分野で、一気に世間を賑わせた覚えがあるな。

そしてその数年後にそのVRゲームの内容がそのままリアルに登場、これがブレイブハート、通称BHってわけだ」

 

これは基本的な知識、たいていの人は知っている内容。

 

「それにしても、BHは実に自由度が高い。

銃、剣はもちろん魔法杖や扇など、正直形は何でもOK!!それぞれが別の性能で戦い方によっては武器の相性なんてものは無い!!

おっと、そうだった、此処で最新情報だ。なんと新しい武器が年末に登場予定だ!!」

 

 

道行く人々の足が止まり、モニターに視線が向く。

 

「おっと、皆やっぱり気に成るみたいだな、残念ながら明かせるのはシルエットだけ……というよりもそれしか情報貰えてないんだが……なんと、今回の新作は五つ、これらだ!!」

 

バンッ!!と画面に映し出される五つのシルエット。わかりやすいものから、シルエットではなんなのか分からない物まで。

 

「さあ、どうかな?現在あるものの系列に含めそうな物は三種類だと私は見たが、どうだろう私の予想が正しければ新しい分類の武器が二つ現れることになる……たのしくなりそうだなぁおいおい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーて、いよいよ開戦まで一時間を切った、九割以上は入場を済ませて観戦の用意をしているみたいだな。

ここで第一回戦の組み合わせのおさらいだ、

いきなり面白そうな組み合わせだぜ!!

世界ランク64位、生き汚く地面を這いずってでも生き延びて貴様の脳天に一撃くれてやる《サヴァイヴァーズ》

彼らは全員、元貧困地域の出身者、いまは彼らのお陰で脱貧困、だが彼らの精神は未だに地獄の中で足掻き続ける獣だ、倒すのには骨が折れるぜ!!

戦闘スタイルはチーム名の通り生き残ること、全員装備が銃器にナイフで長期戦に持ち込み疲れた奴を仕留める、まるでハンターのようだ」

 

画面に映るのは国籍がバラバラの10人

 

「対してその相手は世界ランク49位《Bomber Men》名前の通り爆裂系の武器で統一したチームだ、過剰火力による攻撃で押しつぶすことを得意としていて、対戦はいつも短期決戦、というよりも短期ですべて使い尽くす後先考えない奴らだ!!

 

つまり、今回はあまりにも両極端な、短期長期戦のチーム同士の戦いというわけだ。

 

だがまあ……要するに爆撃を凌ぎ切ればサヴァイヴァーズの勝利、爆撃で潰しきれば《Bomber Men》の勝利と言うことだな」

 

完全に試合の展開が分かる組合せだと男は語る。

 

「おっと、此処からはCMやらなんやらが始まるから私は引っ込むとしよう」

 

そういって画面から姿が消え、CMや出場チームの紹介が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

なお、第一回戦は爆撃終了と同時に対物ライフルで全員の頭を打ち抜いてサヴァイヴァーズの勝利に終わった。

爆撃の回避はお手の物だったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り、数日前

 

 

 

 

はじめまして、わたしはたかまちなのは、ごさいです。

(以下は読みやすく漢字が使われます)

 

 

私の家は喫茶店をしています。大人気でいつも満席、お父さんもお母さんも大忙しで働いています。

お兄ちゃんもお姉ちゃんもよく手伝いをしていて、私はまだ小さいのであまりお手伝いが出来ません。

ちょっと寂しいですが、仕方ありません。

最近話題のブレイブハートと言うスポーツの大きな施設が最近ここら辺に出来たのが原因で、お客さんが急増したそうです。

 

えっと、施設の名前は……海鳴BH競技場《バニ……なんていう名前か忘れてしまいました。

確か一つの会社が出資して創って、その会社の名前が入っていたような気がするのですが……

 

 

 

まあ、それについては今はいいんです。

問題はお父さんがふくぎょう?に行って帰ってきたらなんと、話題のBHの世界大会、その観戦チケットをもらってきたのです。

席は……あれ?なにやらV(ぶい)I(あい)P(ぴー)と書いてあるの。

 

お父さんにVIPの意味を聞いてきたら苦笑いで、誘ってくれた人が有名な人なんだと言われました。

何でも大会のおーぷにんぐせれもにーで歌うそうです。

……フィアッセさん?

 

 

 

 

 

 

 

 

家族全員で海上に浮かぶ競技場アルカディアに来ました。

ものすごい人です。

たくさんの大きな船が集まってくる光景は驚きの一言です。

私の乗ってきたお船も中に大きなお風呂やレストランがあって驚いたのですが、それ以上に大きなものもたくさんあり、港が大都会のビルの中に居るようです。

 

「すごいねお父さん」

「あ、ああ。正直此処までのものとは……」

 

お父さんも言葉が出ないようです。

 

「飛行機はないのかな?」

「うーん、此処は飛行機が着陸する滑走路が無いから無理かな」

 

島自体は競技場を中心に港がある程度の小さなものです。

しかし、競技場自体があまりにも大きく、東京ドームがすっぽりおさまるでしょう。

競技場へ続く道も私が見たことが無いほどに広く、今はそこが人で溢れています。

 

 

【Ladies and gentlemen、ようこそ、BH海上競技場《アルカディア》へ】

 

軽快な音楽とともに、空になんというか、派手なおじさんが現れてマイク片手に話し始めました。

 

「お父さん、あの人は?」

「ああ、えっと……誰だっけ」

「お父さん、DJ.ノィズィだよ、語源は英語のNoisy、騒々しいとか派手なって意味」

「確かに派手だな……」

 

お姉ちゃんが知っていました。

正直ずっと見ているには目が疲れそうです。

 

「そういえば、ブレイブハートってどんなスポーツなの?」

「うーん、なんていったらいいのかな……空気中の魔力素を……」

「あなた、それじゃあ難しすぎるわよ簡単に一言で説明しなきゃ」

「…難しいな」

「じゃあ私が説明するわね、アニメの魔法少女が戦うやつ、分かる?うん、あれ」

「あれ?」

「そう、アレがそのまま現実になった、そんな感じ」

 

なんとなく、どんなモノなのか分かったような気がしますが、

 

【……り気に成るみたいだな、残念ながら明かせるのはシルエットだけ……というよりもそれしか情報貰えてないんだが……なんと、今回の新作は五つ、これらだ!!】

 

いま、空に浮かぶ影を見ると……魔法少女ってなんだろう、ほとんどがごつごつした、魔法少女の杖みたいなものとは無縁の形をしています。

唯一魔法っぽいのは……本でしょうか。

魔道書?

 

お父さんが、なにやら怖い顔でシルエットを見ていますがどうしたんでしょう。

 

 

 

その後、各チームの紹介として、試合の一部分と、メンバー紹介の映像が流れました。

 

魔法少女ってなんだったのでしょう。

 

地面が光で覆われたり、花火大会のように空で光の花が咲き誇ったり……

この世のものとは思えないほどきれいで、まぶしく、そして恐ろしい光景でした。

 

そしてどこか、心の奥で沸き立つものが……やって見たい、自分もあの舞台に立ってみたい、そんな思いが……

 

 

「やっぱり、あの襲撃はBH関係ではないか……」

「どうしたの?お父さん」

「いや、なんでもないよ」

 

それにしても、此処はなんだか居心地が……

 

「なのは様、どういたしましたか?」

 

そわそわしていると後ろに居た執事さん?に話しかけられたの

 

「な、何でもありません」

「ふふ、緊張するのは分かりますが、堅くなる必要はありませんよ。緊張が解れるようどうぞ」

 

そういってどこからとも無く、入れたての紅茶が出てきました。

ティーポットも無かったのにどうやって入れたのでしょう。

たずねてみます。

 

「お客様を楽しませるのも私どもの役目でしてね、手品の十や万は心得ていますとも」

 

桁がおかしいの

 

「ふふ、なぜなら私どものポケットは四次元でして、ほら、このような物も出てきます」

 

胸ポケットから入るはずの無い大きさの無い木彫りの熊が出てきました。

……なんでこの熊はシャツを着て壺を片手に蜂蜜をなめているのでしょう。

 

「おっと、これはいけない、これは見なかったことにして下さい」

 

すっと胸ポケットにしまい直す……どうやって入れたの!?理解不能!!理解不能!!!!

 

「ところで士郎様、なのは様はBHについてはどれくらいの理解が?」

「実はまったく、いろいろ忙しくてあまり構ってあげられていなかったんだよ」

「それはいけません、親から愛情を受けられなかった子供が非行に走るというのはよく聞く話です」

「というわけでこちらをどうぞ」

ポンッと紙ふぶきを出しながら手に現れたのは五つのネックレス、指輪など

「こちら、特別製のSRADと成っております」

「SRAD?」

「BHで用いられている武器、その正式名称で御座います。此処におられるということはまあ、話しても良いと判断します」

 

そう言って執事さんはネクタイピンを手に取り手のひらの上に乗せてこちらへかざすように見せる。

すると、そこから映像が現れる。

 

「正式名称は魔導発現補助装置、Sorcery Realization Assist DeviceからSRADと縮めて読んでおります。これをサード(第三世代)と読む人も居ますね」

「どうしてこれを?」

「技術の一つに並列思考、マルチタスクと呼ばれるものがありまして、これを利用すれば、仕事中にお子様との会話も可能です。

ただ、訓練が必要であることと……なのは様を除く皆様の魔導適正が低いため、補助なしではろくに念話を使えないと言う問題があります、そこで、このSRADの出番です。これの劣化量産品を来年に発売する予定ですが、お子様につけさせるだけで魔道適正の向上が見込めまして、長時間つけていればそれだけ上昇が見込めるのですが、ちょっと手を加えて本来の補助具の力を持たせたものです」

 

なにを言っているか良く分かりません

 

「簡単に言いますと、いつでも家族で会話が出来るようにする携帯電話のようなものです」

「え~っと……高価なものでは……」

「まあ、小さな家の一つ二つは建てれますね(他の企業が作ろうと思えば)」

「そんな高価なものは受け取れません!!」

「まあまあ、モニターと言う形で受け取ってください、月に一度、全員がレポートを書いて送っていただく、と言う形で提供させていただきます」

「……これにBHで使うような魔法を発動させる機能はあるんでしょうか」

「お父さん?」

「攻撃魔法の類は一切入っておりません、アクティブなものは念話と緩衝術式のみ搭載しております」

「術式と言うことは式を組むことも出来るのですね?」

「まあ、不可能ではないでしょうが、これには独自の言語が用いられていまして……正しい解読が出来れば可能でしょう」

「そうか……」

「まあ、少なくともこれから割り出すのは不可能と考えられます。売り出すものは多数の解読法を持ち十年以上は解読されないようにしております故に」

 

意味が分からなくてつまんない、ムス~ッとした顔をしていると、執事さんがすぐさま気がつき、

 

「ふむ、なのは様には難しいお話でしたね。此処は一つ、おまけをさせて頂きましょう」

 

そういって執事さんは出していたサード?がぴったり収まる入れ物をポケットから取り出し、はめ込むとなにやら操作をして、すぐにサードを取り外してこちらへ差し出します。

恐る恐る受け取り、ネックレスの形をしていたので首にかけます。

お父さん、お母さんは指輪で、お兄ちゃんは……腕輪かな?お姉ちゃんはイヤリングですかね?穴を開けなくてもいいタイプです。

 

「つけて頂き、家族が何処に居るのか自分のSRADに尋ねてみてください」

 

みんなどこ?と尋ねてみると、みんなに光の線がつながります。

 

「というわけで、お互いの居る方向が分かる機能を追加させていただきました」

「これでなのはが迷子になってもすぐに見つけられるね」

「む~おねえちゃんこそどこか抜けてるんだから迷子にならないで欲しいの」

「なにを~」

「はは、なんにせよ、がんばって念話とマルチタスクを身に着けてなのはにさびしい思いをさせないようにしないとね」

「ちなみに、念話も無線の一種と考えていただけますので、傍受も可能ですが、そこは対策しておきましたので心置きなくご利用ください」

 

念話というと、こいつ直接脳内に・・・!と言う奴でしょうか……試してみましょう。

 

(お父さんお父さん、なのはのどかわいたからりんごジュースがほしい)

「ん?そうか、すいません、りんごジュースありますか?」

「何でもそろえております、欲しいものを行っていただけばすぐに用意しましょう」

執事さんがすっと手を横に出すと、いつの間にかグラスが、そしてメイドさんが近づいて背中からお盆を取り出し、くるっとまわすとお盆の上においしそうなりんごが……

 

「お幾つ必要ですか?」

「なのはにお願いします」

「100%ではちょっと飲み難いかもしれないので」

「はい、いかほどにいたしましょう」

「そうですね……飲みやすく50%しましょう」

「かしこまりました」

 

次にどうなるか少しわくわくしている私が居ます。

メイドさんは、なんと、お盆をまげて、まるで生クリームを搾り出すあの袋のような形にしてしまいました。

そしてグラスの上に先端を持っていくと、先端から果汁が出てきます。

元お盆がきれいに折りたたまれたところでグラスがちょうどいっぱいになり、

 

「さあ、どうぞなのは様、絞りたて50%りんごジュースです」

 

何処で薄めたのか分かりませんが、飲みやすかったです。

 

「それにしてもいきなり念話を使うとは、才能が有りますね、なのは様」

「え?」

「いきなりお父さんがジュースをと言い出したのはそういうことか……」

「あれ念話だったのかい?」

「なのははお父さんの方を見てたけど、声だしてなかったね」

「どうやってやったのかしら」

「うーん、なんとなく頭の中で話しかけてみただけなんだけど」

「感覚、か」

「おっと、皆様、次の試合がそろそろ始まりそうですよ」

「もうそんな時間ですか」

「第一回戦は一試合30分としていますが、先の試合は僅か2分で決着しましたから、少々時間が空いてしまいましたが、楽しんでいただけたのなら幸いです」

「本当に手品だったのかな?ねえ恭ちゃん」

「分からん、何をどうやったのか、神速を使ってみたが、まったく分からなかった」

「恭也、今何て言ったのかな?」

「あ」

 

 

 

 

 

 

「第二試合ランク60と10の試合ですね、チーム名はアルカブス・クルスと魔法少女(漢)ですね。正直、後者はお目汚しに成ること間違いないのですが……正当魔法少女といった戦い方をするチームです。装備はもちろん魔法杖です。

アルカブス・クルスは十字砲火の戦術を好み、今までの試合では銃器のみ使用しています」

 

 

 

この試合はまさに視覚に対する暴力でした。

 

筋肉がピチピチの魔法少女服を着て空を飛びながら可愛い杖を振って戦うのです。

ちょっと気持ち悪くなりました。

対する相手は……真面目さんです。ステージは廃墟だったのですが、迷彩服を着て、あまり飛ぶことなく戦っていましたが、筋肉さんたちのほうが上手で、銃をかまえようとするとものすごい笑顔で目の前に居て驚いて引き金を引くまもなく、大胸筋から放たれる砲撃で倒されていました。

 

 

夢に見そうな光景です。

プレイヤー視点のリプレイとかいりません。流さないでください。

 

 

 

その後、第一回戦が終わり、競技場内にあるホテルに案内されました。

 

スイートルームって奴だそうです。きれいでとても広いです。

 

落ち着きません。

 

「なのは、もう開き直った方が楽だよ」

お姉ちゃんが私の肩を叩いて疲れた顔で言ってきます。

うん、私もそう思います。

 

 

 

 

そんな感じで約一週間、準決勝までの試合を開き直って楽しみました。

 

ランクは飾りですって言う人が居ましたが、事実でした。

ランク1位のアーミーレンジャーズと言うどこかの国の軍隊のチームが第三回戦で魔法少女(漢)にやられていました。

見た目も攻撃方法もアレですが、びっくりするぐらい強いですあの人たち。

 

 

私のお気に入りのチームはランク35位のチーム梅組ですなんと言うか、女の人たちがものすごく強いんです。

巫女さんの遠距離砲撃が堅牢といわれている防御を貫いて決着したときはしびれました。

遊び人さんもすごかったです。

四方八方から撃たれているのに、踊りながら扇で全部受け流してしまっていたのですから。

 

お父さんが言うには、「ふざけているようにしか見えないのに不思議と行動が噛み合っていて、まるでなにをやって欲しいのか互いにわかっているようだ。アレは相手にしたくないな」だそうです。

 

そして今日、決勝戦です。

 

組合せは35位の梅組と10位の魔法少女(漢)でした。

両方とも濃いの……

 

試合はなんとも遊び心に溢れたものでした。

 

ステージは石柱の並ぶ円形闘技場。巫女さんの射線が通らないステージです。

ぜひともズドンッと矢が打ち込まれるところが見たかったのですが……

 

 

試合はなんともいえない空気で始まりました。

電池さんの「へ、変態だー」が開幕の一言、しかし、あなたなんで全裸なんですか?その禁ってなんですか?いつの間に脱いだんですか?入場していたとき、ちゃんと服着ていたじゃないですか。

と思えば変態発現で追いかけられている最中、石柱の後ろを通ったと思ったら服着てますし、その次は女装してますし……早着替えの達人でしょうか?

 

「あれは……SRADの服変換機能ですかね、貴重なチューンアップポイントを使って拡張したみたいです」

 

執事さん、解説ありがとうございます。

追いかける人たちがみんな歯をむき出した笑顔なのが怖いです。

 

筋肉から飛び出る光線を変な動きで回避しながら全裸の人は逃げ回ります、その間に他の人がそれぞれ動いて確固撃破を狙っているものと思われます。

早速マリーンブルーの人を白の羽、黒の羽を付けた二人と、つばのやけに長い帽子をかぶった忍者っぽい人が三人がかりで攻撃しています。

あ、忍者の人が増えた。

 

 

 

 

 

 

戦いは激化し、石柱は何本も崩れています。

 

梅組は3人、魔法少女(漢)は4人脱落しています。

しかし、梅組には戦力外1人とボロボロなのが二人、魔法少女(漢)は軽傷ばかりです。

あ、ちなみに決勝は総力戦で10対10に成っています。

 

今までの流れを見ると、そろそろ梅組の火力部隊が動き出すものと……

 

 

 

次の瞬間、ある一角から強烈な黄金の光が発生した。

 

「あれは……収束術ですかは……」

どういうことですか?執事さん

「収束は所謂溜めです。溜めて威力を上げる。にしてもアレは相当な……一芸特化、収束専用に一つ作りましたか……」

 

魔法少女(漢)どんどん強くなる光を危険と判断したのか、1人は発生源へ、残りは固まって防御術を重ねがけで発動させました。

 

戦場カメラが発生源を映しました、金髪の人が、両刃の大きな剣を上に掲げ、そこに魔力を収束させています。

 

「御伽噺のワンシーンみたい」

「ああ、黄金に輝く剣、アーサー王物語がモチーフかな?」

エクスカリバー!!

「そう、よく知っていたね、なのは」

「カリバーンって可能性もあるね」

 

そんな話をしていると、魔法少女(漢)のサンライトイエローが女の人の間近まで迫っていました。

あッと思った瞬間、突然正面に現れた忍者の人に蹴り飛ばされて押し返されていました。

 

完全に失速してしまったところに黄金の剣が振り下ろされました。

忍者の人はおかしな速度で女の人の背後に移動したのでその直線上には居ません。

 

黄金の剣の一撃はスタジアムを真っ直ぐ割り、さらに横に振られ、石柱の半分が根元から薙ぎ倒されました。

とてつもない一撃です。

 

「アレは、砲撃も収束させていますね、そうでなければあれほど綺麗な一直線には成りません」

 

解説ありがとう、執事さん。

とんでもないことは分かりました。

でも、聖剣の人はそのままリタイアになりました。魔力切れだそうです。

変わりに三人魔法少女(漢)を道連れにしました。

現在は6対3、倍の人数居ますが、魔法少女(漢)のレッドが無傷で残っているのが少し不気味です。

梅組は巫女さん、遊び人さん、全裸さん、忍者さん、侍さんに拳闘士?

「お父さん、あの人どんな人に見える?」

「ん、あの手袋がSRADで身体強化を主に使っているのかな?

時々ヒット時に魔力光がはじけることもあるから……うん、とりあえず拳法家かな、きっと」

どうにも曖昧なの……

 

その後の試合展開は速かった。

本気を出した忍者と囮兼電池の全裸さん、侍さん拳法家さんが柱乱立地帯から追い出した魔法少女(漢)を巫女さんが射抜くだけの作業、巫女さんに来る攻撃は遊び人さんが全部受け流したり、そのまま返したりして、一人ひとり打ち落とされて梅組の勝利に終わった。

 

「どうやらチーム梅組は思うような装備がまだそろってないみたいですね」

 

どういうことですか?

 

「チューンアップにポイントが足りなかったものと考えられます、決め手のあるものの分を優先的にチューンアップしたらポイントが足りなかった、ということでしょう」

 

なるほど、基本から自分の使いやすいように改造するにはポイントが必要であると……

 

BHはいろいろと勉強する必要がありそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで翠屋の夏休みは終わった。

 

 

 

 

 

 




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