INFINITE EVOLVE   作:00G

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自分自身驚きまくった更新スピードでした。

そして作者は気づきました。

原作沿いの物語を書くより断然オリジナルで書いた物語の方が早く書けると!

でも次回から少し更新スピードを落とします。さすがに疲れました。

それでは4話目、どうぞ!


水辺の絶対暴君

 Goliath(ゴライアス)が船に乗って眠りについてくる頃、今回の襲撃による惨劇の処理が始まった。

 

 Goliath(ゴライアス)が現れたのは休日の昼間。

 

 人が多かった時間帯、特に最初に現れたの森の近くの公園が一番酷かった。

 

 戦闘域は建物の損害などで済んだが公園には子供連れの家族が沢山いた。

 

 男性か女性かわからないほど喰い散らかされた遺体から公園の遊具に突き刺さる男性や体を踏み潰された子供が公園に転がり、自衛隊たちはそれらの遺体を丁寧に運んだ。

 

「ひでぇな……」

 

「大人から子供まで容赦なしか……」

 

 あまりの惨劇に思わず顔をしかめ、鉄臭い血の臭いに吐き気を抑えながら自衛隊は作業を続ける。

 

 それと同時に別の場所では自衛隊と政府の役人立ち会いのもと戦闘を行った者たちから事情聴取を行っていた。

 

 IS操縦者2名はGoliath(ゴライアス)に喰われて遺体も残らず使用していた打鉄1機は完全に破壊され、もう1機はISコアに重大なダメージを負っていたため修復はほぼ無理な状態だった。

 

 生き残ったIS操縦者2名の内一人は目が覚めてからは虚ろな表情のまま政府の役人の問いかけにも全く反応せず、廃人となってしまった。

 

 残りのリーダーからは話が聞け、さらにGoliath(ゴライアス)との戦闘で負傷した自衛隊からの情報で少しだけGoliath(ゴライアス)の情報が集まった。

 

 体長は約3メートル。

 

 上半身がまるでゴリラのようにがっしりとした体型をして、そのパワーは建物の壁を簡単にぶち破るほど。

 

 1メートル近いコンクリートブロックや車を軽々と持ち上げ、拳を叩きつけると爆発を起こし、口から炎を吐く。

 

 また大きく跳躍することで10メートルの距離を一気に移動できること。

 

 跳躍できるが空は飛べないなど、少ないが確かな情報が提供された。

 

 政府の役人はこれ以上聞くと負傷者の傷にさわると言い、手に入れた情報を持って負傷した者たちがいる病院を出てある場所に向かう。

 

 その場所は国会議事堂。

 

 日本総理大臣と急遽設置した特大モニターに映る各国の大統領が集まって今回起こったことを話し、情報を共有するため政府の役人は重要になるGoliath(ゴライアス)の情報を運ぶ。

 

 一刻も早くこの異変を各国に知らせるために。

 

 だがそれはすでに遅い。

 

 異変はとっくの前から起きていたのだのだから。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 時を同じくして、場所はスコットランドのネス湖。

 

 そこには多くの報道陣が集まりカメラに向かってあることを伝えていた。

 

 『ネス湖のネッシーは実在した!』

 

 全ての報道陣がこの同じテーマを共通に、かつて未確認生物ネッシーで有名になった湖に来ていた。

 

 事の発端は1週間前にこのネス湖に遊びに来た家族が録画したホームビデオだった。

 

 そのホームビデオは父親がカメラを手に子供たちが水辺の近くで川遊びをしているところを撮っているところから始まっている。

 

 少しすると子供の一人が湖の沖を指差して『何か跳ねたよ!』とはしゃぎ父親がカメラを子供が指差す先に向けると、その先にナニカがいた。

 

 カメラが必死でピントを合わせようとぼやけたり鮮明になったりして、やっとピントが合ったときにはナニカが湖の中に潜っているところだった。

 

 それっきり、そのナニカは水面に浮上してこなかったがカメラはそのナニカの姿を撮していた。

 

 灰色の体に太い尻尾。

 

 たったこれだけしか撮れていなかったが、家族は興奮しながらこう言っていた。

 

『ネッシーだ!』

 

 この映像はすぐにネットに流れ最初はどうせ合成映像だと言われていたが、様々な専門家がこの映像を検査したところ合成された物ではないということがわかった。

 

 さらにその家族以外の人も映像や写真でネス湖にいるナニカを残していた。

 

 そして、スコットランドのネス湖はまたもネッシー騒ぎを起こしその存在を確かめようと多くの報道陣が詰めかけることになった。

 

 陸からネス湖を撮る報道陣や、船に乗って直接ネス湖から撮る報道陣と様々だった。

 

 船に乗って報道しているチームはスコットランドでは有名な局の報道陣で、使っている船も大きい。

 

 報道陣は自分たちの仕事をする一方で、カメラにネッシーを収めようと船をより沖に進ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上が五月蝿い。

 

 水の底でナニカが思ったことがこれだった。

 

 今から1週間前。ナニカは目が覚めると自分の縄張りとは違う湖にいて最初は戸惑ったが、生憎ここには自分以外誰もおらず餌も豊富だったことから新しい縄張りとしてこの湖で誰にも邪魔されることなくのんびりと生活していた。

 

 しかし、今では自分の縄張りに沢山の侵入者が騒音を水の中に撒き散らしながらナニカの睡眠を妨害している。

 

 水の底で目を覚ましたナニカは3対の目を開いて、丸太よりも太い灰色の体を動かして浮上する。

 

 睡眠を邪魔した侵入者は排除する。

 

 水辺の暴君は泥を巻き上げながら水面を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネス湖の水上をゆっくりと進む複数のクルーザーは互いに距離を離しながらネス湖のあちこちに散らばった。

 

 いざ撮影を始めてカメラに他の報道局の乗るクルーザーが映ってしまったら台無しだ。

 

 そのため、互いにカメラに映らないよう十分に距離を離してから撮影を始めようとクルーザーに乗っている全員が考えていた。

 

 その中の1隻のクルーザーに乗っている報道陣が撮影の準備が出来たため、女性リポーターがマイクを手にクルーザーの甲板に上がってリポートを始めれるよう準備する。

 

 カメラを回してリポートを始めるためにカウントダウンが始まり、そして0になった。

 

「私たちは今、ネット上で話題となっているネス湖に来ています。 ここ、ネス湖では未確認の生物の姿が確認され、未だその正体は明らかになっていません。 専門家からは話題となった映像は合成された物ではないと発言しており――」

 

 女性リポーターがカメラ向かってリポートしている最中、クルーザーが大きく揺れた。

 

 当然そのクルーザーに乗っている人はよろめいて手すりに掴まって体勢を保ったが何人か転んでしまった。

 

「だ、大丈夫か!?」

 

「座礁か!?」

 

 いきなりのことで辺りは騒然となり、撮影クルーの一人が船を操縦していた船長に船が座礁したかどうかを確認する。

 

「ありえない! ここは水深が70メートル以上あるんだぞ!?」

 

 窓から身を乗り出してそう叫ぶ船長。

 

 だがまたクルーザーを先程よりも強い衝撃が襲い、クルーザーが右に傾く。

 

「いる……なにかいるぞ!」

 

 そしてまたクルーザーを衝撃が襲い、今度は左に傾いた。

 

 衝撃が襲う度にクルーザーが軋んで嫌な音が鳴るが、その中でベキッ!という一際大きな音が鳴り響いた。

 

 音が鳴ってからクルーザーは徐々に沈んでいき、水上でバランスを崩し始める。

 

 船長はクルーザーを動かしてできるだけ岸に近づけようとするが、エンジンに水が入ったらしく動かない。

 

 回りにいた他の報道局の人間たちも騒然としながらカメラを沈むクルーザーに向け、全員が見守る中ついにクルーザーは沈んだ。

 

 沈む時にクルーザーが大きく横に倒れたせいで乗っていた撮影クルー全員は湖に投げ出されたが、幸いなことに全員怪我はしていなかった。

 

「一体なんなんだよ!?」

 

「みんな無事か!?」

 

 クルーザーが突如沈んだことに困惑しながらも全員で無事を確かめ合った。

 

「お、おい。 ジョンがいないぞ!」

 

 撮影クルーの一人がカメラマンのジョンが見当たらないと言う。

 

 全員はジョンがまだクルーザーの中に取り残されている、もしくは服などが引っ掛かって上がってこれていないと思い、湖の中に潜ろうとした。

 

「みんな急いで岸に戻れ! 早く!」

 

 潜ろうとした撮影クルーの一人の耳に船長の切羽詰まった声が聞こえ、『どうして!?』と叫ぼうとして船長の声が聞こえた方に顔を向ける。

 

 だが船長の方を向いたことでなぜ船長が岸に戻れと言ったのかがわかった。

 

 泳いで岸に向かおうとする船長の後ろ10メートルくらいの場所に、こっちに真っ直ぐ向かってくる灰色のナニカの姿が見えたからだ。

 

 あの灰色のナニカが自分たちの乗っていたクルーザーを沈めたのだとわかると、全員は一斉に岸に向かって泳ぎ始めた。

 

 灰色のナニカ、『Tyrant(タイラント)』は人間たちが逃げているとわかると泳ぐスピードを速めた。

 

 人間たちは全速力で泳いでもTyrant(タイラント)はどんどん近づいてくる。

 

 そして、Tyrant(タイラント)は一旦10メートルほど水の中に潜ると、逃げる人間たちの中で一番後ろにいた人間に狙いを定めると体をくねらせて一気に浮上した。

 

 大きな水飛沫を上げて、Tyrant(タイラント)はその姿を曝す。

 

 灰色の体に太く脚と水掻きを持った指。

 

 背中を棘のような鱗で覆い、ワニのような尻尾、そしてワニガメのような顔に輝く3対の目。

 

 姿を現した異形のモンスターを見て、一瞬だが全員Tyrant(タイラント)の姿に圧倒された。

 

 巨体に見合わずTyrant(タイラント)は7メートルも水面から飛び上がり、飛び上がったと同時に狙いをつけた撮影クルーを丸呑みにした。

 

 Tyrant(タイラント)は空中で頭を下にして、ネス湖の水面に思いっきり飛び込んだ。

 

 再び水の中に戻ったTyrant(タイラント)は水中で体勢を立て直すと呑み込んだ撮影クルーを吐き出し、完全に止めを刺すためために咬み潰した。

 

 元々Tyrant(タイラント)は食事をするために人間を襲っているのではなく縄張りに入った不届き者を排除するために襲っている。

 

 餌ならネス湖に豊富にあるのでわざわざ人間を喰う必要もない。

 

 噛み付いたまま死んだ撮影クルーをまるで遊ぶかのように首をブンブンと横に振って放り捨てると、Tyrant(タイラント)はまた浮上して逃げる人間たちを殺していく。

 

 死にたくないと叫んでいる人間がいたがTyrant(タイラント)にとってはそれもただの五月蝿い騒音でしかなく、下半身を咬み千切ってやった。

 

 ネス湖の一部が血で真っ赤になっている中心で、Tyrant(タイラント)は水面から顔を出して回りを見渡す。

 

 他のクルーザーはすでに遠くにいたため、Tyrant(タイラント)は追いかけることはせずにゆっくりと湖の底に潜っていく。

 

『シュウゥゥゥ』

 

 邪魔者を排除したTyrant(タイラント)は満足したかのように鳴くと暗い水の底に消えていった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「かはっ……ごほっ! はぁ……はぁ……」

 

 ネス湖の岸辺で一人の男性が水を大量に飲んだのかえずいて息を切らしていた。

 

 彼の名前はジョン・リーサン。

 

 Tyrant(タイラント)に虐殺された撮影クルーのメンバーの内の一人で、カメラマンを担当している男性だった。

 

 クルーザーが沈んでいる時足に機材のケーブルが絡まって溺れかけ、やっとのことでケーブルから抜け出して息を吸うために水面に浮上すると、少し離れたところで見慣れた同僚たちがTyrant(タイラント)に虐殺されている光景が見え、死にたくないという思いでここまで泳いできたのだ。

 

 後ろを振り向かずに死に物狂いで泳いできたため、同僚が全員どうなったのかはわからない。

 

 だが、十中八九撮影クルーは自分を残して死んでしまったことはわかっていた。

 

 彼は体力を使い切って動くのも辛い体に鞭を打って立ち上がり、後ろのネス湖に振り向いた。

 

 ネス湖はきらきらと水面が太陽の光を反射して静かに小波を立てていた。

 

 いつもと変わらないネス湖がそこにあったが、いつもの光景が逆に不気味に見えたジョンは早くネス湖から離れようとネス湖に背を向けて歩き出す。

 

 だが足を1歩踏み出したらいきなりバランスを崩してジョンの体が前に倒れる。

 

「(あ、あれ?)」

 

 倒れる中ジョンは不思議に思った。

 

「(なんで俺の足が見えるんだ?)」

 

 ジョンの体が地面に落ちると同時に、ジョンの意識は消え永遠に戻ってくることはなかった。

 

 そして、足を1歩踏み出した状態で立っていたジョンの下半身は支えるべきものを失い、フラフラと揺れてからパタリと倒れた。

 

 半分に分かれたジョンの体から血が流れてネス湖に流れている最中、ジョンの死体の上をナニカが通った。

 

 そのナニカは透明で、輪郭がはっきりせずどんな姿をしているのか全くわからない。

 

 だが透明なナニカが纏う雰囲気は恐ろしく冷たく、鋭いものだった。

 

 そして透明なナニカが動作を起こすと、空間に一つの大きな黒い穴が開いた。

 

 透明なナニカは開いた穴の中に迷わず入り、透明なナニカが穴の中に完全に入ると空間にできた黒い穴は一瞬にして消えた。

 

 後に残ったのは、真っ二つに切られたジョンの体と静かに波を立てるネス湖だけだった。




EVOLVE内最強中立モンスターと言っても良いであろうTyrant(タイラント)でした。

ネス湖のネッシーなんて懐かしいものが出てきましたが、水辺に生息しているTyrant(タイラント)と合わせればいけるかなと思って書きました。

最後は亡霊さんスライディング出演です。

感想、アドバイス待ってまーす。

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