INFINITE EVOLVE   作:00G

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たぶん初めてこんなにも早く3話目がかけるとは思ってもいなかった。

残念ながら1万文字までいきませんでしたが頑張って書きました。

次のガチな戦闘は1万文字までいけるように書きます。

それでは第3話目、どうぞ!


終わり・序章

 自衛隊がGoliath(ゴライアス)との戦闘に向けて準備をしている頃、Goliath(ゴライアス)は立て続けに戦闘を行っていた。

 

「撃て! 奴をこれ以上近づけさせるな!」

 

 アサルトライフル『M16』を持った自衛隊の一人が指示を出してGoliath(ゴライアス)に発砲する。

 

 その行動に続くかのように回りにいた自衛隊たちもGoliath(ゴライアス)に発砲を開始した。

 

 彼らは侵攻するGoliath(ゴライアス)を足止めするために先に来た自衛隊たちだ。

 

 主戦力を確保している本隊が来るまで出来るだけGoliath(ゴライアス)を引き付け、時間稼ぎをするのがこの部隊の役割だ。

 

 現にGoliath(ゴライアス)は餌を確保するよりも邪魔をする自衛隊たちを排除することを優先して行動している。

 

 3メートル近い巨体を凄まじい跳躍力で跳ぶと、発砲を続ける自衛隊の前に着地すると同時に両腕を振り下ろす。

 

 Goliath(ゴライアス)の前にいた自衛隊の一人にGoliath(ゴライアス)の拳がぶち当たり、弾けとんだ。

 

 Goliath(ゴライアス)は、元々いた世界の人間が使っていた頑丈な船に穴を開けるほどのパワーがある。

 

 まだ進化していないため、実力の半分も出しきれていないとはいえ人間を肉塊に変えるだけの力はある。

 

 自衛隊の一人を殺したGoliath(ゴライアス)はもう一度跳躍して自衛隊の真ん中に着地した。

 

 自衛隊たちは移動したGoliath(ゴライアス)にM16の銃口を向けるが、引き金にかけた指に込める力を緩めた。

 

 理由はFF(フレンドリーファイア)、つまり同士撃ちを避けるためだ。

 

 Goliath(ゴライアス)が3メートル近い巨体を持っているとはいえ引き金を引いたまま移動したGoliath(ゴライアス)に銃口を向けたら回りにいる味方に流れ弾が当たってしまう可能性がある。

 

 そのような事態が起こればそこからこの部隊が崩れていってしまう。

 

 だがその際にできた一瞬の隙をGoliath(ゴライアス)は見逃さず、剛腕を勢いよく振った。

 

 それにより、Goliath(ゴライアス)の近くにいた自衛隊二人がその剛腕にぶち当たって吹き飛び、家の壁に強く体を叩きつけられた。

 

 その時に二人の体からゴキッ!という音が鳴り、道路にひれ伏してからピクリとも動かなくなった。

 

 それだけで他の自衛隊たちはその二人がすでに息をしていないことを理解し、たった一つの動作で人間二人の命を簡単に葬ったGoliath(ゴライアス)に恐怖した。

 

 しかし、自衛隊たちはそれでもM16の銃口をGoliath(ゴライアス)に向け直すと一斉に引き金を引いてGoliath(ゴライアス)の巨体に銃弾を叩き込んでいった。

 

 警官が使う拳銃よりも威力が高いアサルトライフルの銃弾が堅いGoliath(ゴライアス)の外皮に突き刺さる。

 

「グオッ!?」

 

 警官たちの時とは違い、確実にダメージを負っていることを知ったGoliath(ゴライアス)は痛みに思わず呻き声を上げる。

 

 だが、痛みにより本能を刺激されたことによりGoliath(ゴライアス)の攻撃に過激さが倍増された。

 

 Goliath(ゴライアス)は家の壁に立て掛けられている二つのボンベを見つけると、迷いなくそれを掴んで力任せに思いっきり壁から引き剥がした。

 

 ボンベを固定している金具がメキィッ!という音を立てて壊れ、ボンベに繋がっていたチューブが引き千切れてプシューッという何かの気体が抜け出る音が出て辺りに妙な臭いが漂う。

 

 Goliath(ゴライアス)はそのボンベを長く持って円を描くように大きく振り回した。

 

 Goliath(ゴライアス)の腕にボンベの長さが追加されたことでより攻撃のリーチが伸び、振り回したボンベが自衛隊数人の頭を強襲した。

 

 頭蓋骨が陥没して死んだ者、首が180度回転して死んだ者、頭の上半分が吹き飛んで死んだ者、死にはしなかったが下顎を吹き飛ばされてもはや喋ることすら出来なくなった口で絶叫を上げる者などが出た。

 

「ぜ、全員退避ー!」

 

 自衛隊の一人が指示を出すと生き残った自衛隊全員がGoliath(ゴライアス)から急いで離れる。

 

 理由はGoliath(ゴライアス)が持つボンベにある。

 

 Goliath(ゴライアス)と自衛隊が戦闘している所には今ではIHのキッチンが主流になってきている中で珍しくガスコンロを使っている家があった。

 

 そして、そのガスコンロを使うには発火性のあるガスが必要になり、それをボンベの中に圧縮させて外に固定させていなければならない。

 

 それを知ってか知らずか、Goliath(ゴライアス)はガスボンベを家から引き剥がし振り回したことで発火性のあるガスが辺りに散布された。

 

 この中で発砲して運悪く放たれた銃弾が火花を散らそうものなら散布されたガスに引火して爆発を起こす。

 

 他にもガスボンベがコンクリート製の道路に接触してそこから火花が出ても同じようなことが起こるため自衛隊たちは急いでGoliath(ゴライアス)から離れようとする。

 

 だがGoliath(ゴライアス)はあろうことか逃げる自衛隊に向けてガスボンベを投げつけた。

 

 ブォンブォンと風を切りながら回転して飛んでくるガスボンベの軌道上にいた自衛隊は身を投げ出してそれを避け、ガスボンベが自衛隊の服をかすっていく。

 

 自衛隊たちは飛んでいくガスボンベを見て顔を真っ青にするが、運が良かったのかガスボンベは火花を散らすことなく他の家の庭壁に深々と突き刺さった。

 

 一先ずホッとした自衛隊たちだったが後ろでまた新たにメキィッ!という音が聞こえた瞬間、急いで走り出した。

 

 Goliath(ゴライアス)は退避する自衛隊を追いかけようと足を動かしたが、ふと手に掴んでいるガスボンベがあるものに似ていることに気づいた。

 

 正確にはガスボンベから漏れる気体にだが、その気体はGoliath(ゴライアス)がいた世界で見かけた泡が立つ湖から出る気体の臭いに似ていた。

 

 その湖のそばでGoliath(ゴライアス)は偶々見つけた獲物に火炎放射を浴びせると、湖周辺が大爆発を起こした。

 

 Goliath(ゴライアス)は外皮のお陰で深刻なダメージを負うことはなかったが体表の所々が焼け、獲物も木っ端微塵に吹き飛んでしまったためとてつもなく不快な思いをしている。

 

 それからその臭いがある場所は極力近寄らないようにして、どうしてもその場所を通るときは火炎放射、というより捕食を含めて戦闘を行わないように気を配っていたが戦闘で頭に血が上ってガスボンベから出る気体の臭いに気がつかなかった。

 

 そして、今は気づいている。

 

 これがとても燃えやすく、爆発しやすいと。

 

 そうと理解するとGoliath(ゴライアス)はガスボンベを自衛隊目掛けて真っ直ぐに投げ、間髪入れずに火炎放射を行った。

 

 真っ直ぐ自衛隊に飛んでいくガスボンベを追うように、火炎放射の炎がガスボンベの揮発性ガスに引火したことで出来た火が空中を滑るようにガスボンベに向かって走っていく。

 

 そして、ガスボンベが自衛隊たちの丁度後ろに近づいた時に、火がガスボンベに追い付いた。

 

 ドゴォォォォン!!

 

 自衛隊たちの後ろにまで迫ったガスボンベと庭壁に突き刺さっていたガスボンベの両方に火は引火して大きなガス爆発を起こした。

 

 庭壁に突き刺さっていたガスボンベからは距離が離れていたがすぐ後ろのガスボンベの爆発をモロに受けて自衛隊たちは爆風に吹き飛ばされる。

 

 爆風で吹き飛ばされた挙げ句に道路に強く叩きつけられ、さらに爆発の衝撃で耳が痛く目眩がする。

 

 自衛隊たちは死にはしなかったが全員まともに動ける状態ではなかった。

 

 Goliath(ゴライアス)は動けない状態になっている自衛隊を捕食しようと、爆発で回りの木や家が燃えている中を歩く。

 

 そして、自衛隊とGoliath(ゴライアス)の距離が2メートルに近づいた時に、Goliath(ゴライアス)は突如右胸を襲った強い衝撃でバランスを崩して燃える家の中に倒れた。

 

 バキバキッ!と家の壁を壊しながらGoliath(ゴライアス)は派手に倒れ、自衛隊たちは霞む視界で何が起きたのか確認しようとする。

 

 自衛隊の視線の先には2つのキャタピラで道路を進む、砲口から白い狼煙を上げる戦車『10式戦車』が見えた。

 

 戦車の回りには同じアサルトライフルのM16を持った自衛隊がおり、走ってやって来た彼らは倒れている自衛隊たちを急いで運んだ。

 

「グルオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 離れると同時にGoliath(ゴライアス)が怒りを孕んだ威圧感ある咆哮を轟かせ、燃える家の壁を吹き飛ばしながら飛び出した。

 

 ギロリと、爛々と輝く双眸(そうぼ)で自身を攻撃した10式戦車を睨み付けた。

 

 10式戦車の砲弾を受けた右胸からは赤い血が流れ、砲弾がGoliath(ゴライアス)の頑丈な外皮に傷をつけたことは明らかだった。

 

「攻撃開始!」

 

 自衛隊の主力部隊の中から無反動砲『カールグスタフ』を構えた指揮官が指示を出してカールグスタフからロケット弾が発射された。

 

 指揮官に続くように他の自衛隊たちもM16やカールグスタフを構えて攻撃を開始した。

 

「お前たちは負傷した者を連れて下がれ! ここは俺たちが引き受ける!」

 

 カールグスタフに新しい弾頭を装填しながら指揮官は負傷した自衛隊隊員を運ぶ者に指示を出した。

 

 Goliath(ゴライアス)はM16やカールグスタフによる攻撃を自身を守るように腕で隠し、後退し始めた。

 

 Goliath(ゴライアス)は元々餌の確保の為に人の街にやってきたのであって戦闘するために来た訳ではない。

 

 倒せる敵は倒したが、ここまで戦力を整えられた敵に第1形態のまま戦闘を続ければ最悪自分が死ぬ。

 

 そんなことは愚の骨頂であり、餌ならまた別の場所で探せば良いと考えGoliath(ゴライアス)は飛来する銃弾を受けながら自衛隊に背を向けて退散した。

 

 しかし銃弾や砲弾が飛んでくることは無くならないので、Goliath(ゴライアス)は家の壁を突き破り家々を銃弾を阻ませるための壁にして最初にいた森を目指す。

 

 家の壁を7~8軒分ぶち破ってからGoliath(ゴライアス)は道路に出て急いで森に向かおうとした時に、まるでそのタイミングを待っていたかのように上から撃たれた。

 

 失った分の外皮がゆっくりと雀の涙ほど再生していた頃に再生した分を損失させられたGoliath(ゴライアス)は空を睨み付けた。

 

 睨み付けたその先には、第2世代量産型IS『打鉄』を纏った女4人が手にアサルトライフル『焔備』を持ち、その銃口をGoliath(ゴライアス)に向けていた。

 

 Goliath(ゴライアス)は忌々しそうに打鉄を纏った女たちを睨むが相手は空の上。

 

 軽く見積もってもGoliath(ゴライアス)から20メートル以上離れており、跳躍しても到底届かない距離だった。

 

 Goliath(ゴライアス)は急いで森に戻ろうとするが、嗅覚で辺りを索敵すると自身が進もうとする先には複数の人間の存在を感じた。

 

 囲まれた。逃げようとする先には複数の人間。

 

 しかも自身に一番のダメージを与えた10式戦車もあるかもしれない。

 

 しかも空にはアサルトライフルを持った女。

 

 Goliath(ゴライアス)は囲まれた状況の中で、嗅覚で人間の存在がなかった方向に進行方向を変えまたも家の壁を突き破りながら前に進んだ。

 

 少なくとも待ち伏せている人間に会うことは無くなるし、空からは家の屋根でGoliath(ゴライアス)の姿が一瞬だけ見えなくなる上に空からの攻撃を防御できる。

 

 肩を前に突き出すようにして家の壁をタックルの要領で破壊し、時折跳躍も交えながら家という家を破壊しながら逃げていく。

 

 上からの銃弾もGoliath(ゴライアス)が家から飛び出した時にしか飛んでこず、しかも常にGoliath(ゴライアス)が激しく動き回っているため中々当たらない。

 

 そのお陰で外皮がゆっくりと再生していくがまだ安心は出来ない。

 

 手負いのまま敵地のど真ん中に留まれるわけないためGoliath(ゴライアス)は敵がいない方向にどんどん逃げていく。

 

「この化け物が! でかい図体しているくせにちょこまかと逃げやがって!」

 

「なんで当たらないのよ!」

 

 打鉄を纏った女たちは攻撃が当たらないことに苛立って次々と銃弾をGoliath(ゴライアス)に放っていくが、やはり当たらない。

 

 反動制御やハイパーセンサーによる照準アシストはISが行ってくれるが、狙うのは搭乗者自身なので当たらないのは搭乗者の実力が無いということになる。

 

 そんなことは女たちはわかってはいないので、焔備でGoliath(ゴライアス)を攻撃するが外れて道路を穴だらけにして、Goliath(ゴライアス)は逃げる度に家を半壊させていく。

 

 それから暫くGoliath(ゴライアス)と女たちの追いかけっこが続き、気づけばGoliath(ゴライアス)はマンションやビルが建ち並ぶ場所にまでやって来てしまった。

 

 逃げている間に他の人間の姿が全くなかったため、自衛隊や警察の避難誘導が迅速で的確だったということが伺える。

 

 だが人一人もいない場所はGoliath(ゴライアス)が自由に暴れられる空間でもある。

 

 Goliath(ゴライアス)はしつこく追いかけてくる女たちから逃げることを諦め、高さのアドバンテージを補おうと近くのマンションに向かって跳躍した。

 

 マンションのベランダを掴んで壁をよじ登って屋上に上がったGoliath(ゴライアス)はぐるりと体の向きを女たちに向けてから少し後ろに下がり、助走をつけて一気に跳躍した。

 

「か、回避!」

 

 女の中でリーダーらしい女が慌てて指示を出したが、チームの中の一人がGoliath(ゴライアス)に捕まり、Goliath(ゴライアス)は捕まえた女を他のマンションの壁に叩きつけながら床をぶち抜いていった。

 

 Goliath(ゴライアス)と女はマンションの1階まで落ちていき、衝撃で動けなくなった女の上に跨がると両腕を交互に振り下ろした。

 

「ひっ! や、やめろ! やめろおおおおお!」

 

 ISのエネルギーシールドによってGoliath(ゴライアス)の鋭利な爪は女を傷つけることはないが、女の視界の角に表示された数字『シールドエネルギー』が物凄い勢いで減っていく。

 

 打鉄の両肩の浮遊物理シールドはGoliath(ゴライアス)の拳に砕かれ、装甲の無い部分を攻撃されISが搭乗者を守ろうと絶対防御を発動させる。

 

 それによりシールドエネルギーがどんどん減っていき、その光景が自分の死へのカウントダウンを宣告されているようで女は悲痛な叫び声を上げる。

 

 そして、数字が0になった瞬間、女を守るISは光の粒子に変化して消えた。

 

「やめ――」

 

 絶対の盾を失い女はGoliath(ゴライアス)に制止の声をかけるが、そんな声でGoliath(ゴライアス)が手を止める訳なく女はGoliath(ゴライアス)が振り下ろした拳で頭蓋骨を砕かれ絶命した。

 

 己の手が頭蓋骨を砕いた感触を感じるとGoliath(ゴライアス)は今跨がっている女が死んだことを確信した。

 

 何故攻撃を続けていても中々死なず、いきなり死んだのか。

 

 Goliath(ゴライアス)は死んだ女の肉にかぶり付いて補食しながら考える。

 

 喰い終わってからGoliath(ゴライアス)はさっきまで女が身に付けていた鎧のようなもの、打鉄が何処にもないことに気づいた。

 

 ここでGoliath(ゴライアス)は理解した。

 

 この(打鉄)があるときは殺せない、死なない。

 

 この(打鉄)が無いときは殺せる、死ぬ。

 

 殺せない相手ではないと解るとGoliath(ゴライアス)はすぐさまマンションの壁をぶち破って外に出る。

 

 その時足下にあった指輪を踏みつけて、さらにそれがパキリという音を立てて砕けたがそんな小さなことにGoliath(ゴライアス)は気づかないし興味もない。

 

 精々そこら辺の小枝が折れたか小石を踏みつけた程度にしか思っていないし、今は戦闘にしか集中していない。

 

 残った女たちはISからの情報でGoliath(ゴライアス)に捕まった女が死んだことを知り、『ISは最強なんじゃないの!?』と叫んでいた。

 

 Goliath(ゴライアス)は、マンションの壁をぶち破った時に出来た巨大なコンクリートブロックを掴むとそれを女たちに向けて投げ飛ばした。

 

 約3メートルのGoliath(ゴライアス)は2メートルくらいの大岩を持ち上げて30メートル近い距離まで投げれる。

 

 今回持ち上げているのは1メートルちょっとのコンクリートブロック。

 

 大岩よりも軽いうえにに小さいから投げやすい。

 

 Goliath(ゴライアス)は全力でコンクリートブロックを女たちに向かって投げ飛ばし、女たちは普通は避けれるはずなのが絶対最強とまで言われていたISを使用していても殺されたことに混乱して相手の攻撃に気づかないというやってはいけないことをやってしまった。

 

「おごっ!」

 

 そして案の定コンクリートブロックはリーダーの隣にいた女の胴体に直撃した。

 

 エネルギーシールドによって傷がつくことはないが衝撃を吸収することはできずに、コンクリートブロックが持っていた全ての力が搭乗者に伝わり吹き飛んだ。

 

 Goliath(ゴライアス)はそれを確認すると止めを刺すために吹き飛んで落下していく女を走って追いかけ、自身の攻撃可能な範囲に女が入ると右腕を振り上げて跳躍してまだ空中にいる女に跳躍撃を叩き込んだ。

 

 跳躍撃を叩き込まれた女はほぼ垂直に頭から落下していき、道路に叩き付けられた。

 

 そのせいで頭は首から後ろに折れ曲がり、女は白目を向けて死んだ。

 

 ISの絶対防御と、落下した時の頭の角度の問題で叩き付けられた時の衝撃が首を曲がらない方向に曲げた結果、このような死に方になってしまった。

 

 初めて搭乗者を守るための絶対防御が原因で搭乗者が死亡した事例になったが、絶対防御が発動しなくても頭から硬い道路に落下すればどう足掻いても死ぬことには変わらないのだが。

 

「うわああああああ!」

 

 死というものを間近で見てしまった残ったリーダーと女の内リーダーではない方の女が、まるで発狂したかのようにGoliath(ゴライアス)に焔備を向けて発砲する。

 

 Goliath(ゴライアス)はこれ以上余計なダメージを負いたくないのか、すぐ隣にあった軽自動車の後ろに回り込んでそれを持ち上げて盾に使用した。

 

 偶々マンションから出たところが駐車場だったため、Goliath(ゴライアス)はそこの車を盾にすることで焔備から放たれる銃弾から自身を守ることが出来た。

 

 そして、焔備から銃弾が出なくなって弾数が0になったと知った女は近接ブレード『葵』を展開すると叫び声を上げながらGoliath(ゴライアス)に突貫した。

 

 もはやパニック状態で冷静な判断ができなくなったその女は真っ直ぐ軽自動車を盾にするGoliath(ゴライアス)に突っ込むが、Goliath(ゴライアス)は女が突っ込んでくるタイミングを合わせて盾代わりに使っていた軽自動車をそのまま前に強く押した。

 

 葵で斬りかかるタイミングより早く軽自動車が接近してきたため突貫した女は避けることが出来ずに強く軽自動車と衝突した。

 

「グルル……グルオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 女が衝突した勢いがGoliath(ゴライアス)へダイレクトに伝わり、その衝撃で足下のコンクリートが砕けてそこに両脚が沈み込むが、Goliath(ゴライアス)は強靭な足腰で耐える。

 

 そして大きな雄叫びを上げながらコンクリートに沈み込んだ両脚を道路から引き抜き、自由になった脚に力を込めて軽自動車に女を張り付けたまま前に走ってGoliath(ゴライアス)は前のマンションの壁に軽自動車ごと体当たりした。

 

 Goliath(ゴライアス)は軽自動車から退いて、軽自動車を角に投げ捨てると突貫した女の前に立つ。

 

「う、あ……」

 

 まだその女は気絶しているだけで死んでおらず、打鉄が消えていなかったためGoliath(ゴライアス)は止めを刺そうと右手を握り締め右腕を後ろに引いたが、Goliath(ゴライアス)の発達した嗅覚が近づく大量の人間の存在を感じ取った。

 

 Goliath(ゴライアス)は目の前の女に止めを刺すか刺さないか迷ったが、ここで時間を取られて近づいてくる人間に攻撃されては敵わないと考えると気絶した女から背を向けて近づいてくる人間たちから離れるように移動し始めた。

 

「……………………」

 

 移動する前に空に残ったリーダーを黙って睨むと、それから何もせずに立ち去っていく。

 

 リーダーは助かったという安堵の感情と負けたという屈辱。そして恐怖と緊張のせいでプツリと意識が闇の中へ墜ちていった。

 

 こうしてGoliath(ゴライアス)と自衛隊、そしてIS操縦者との闘いは甚大な被害を出して終了した。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「グルルル……」

 

 IS操縦者との戦闘を終えて安全な場所を探していたGoliath(ゴライアス)は赤や緑などの巨大な金属製の箱が大量に並ぶ場所にまでやって来た。

 

 Goliath(ゴライアス)は嗅覚を使って回りに人間がいないか確認するが、視界の端に見える水から漂ってくる塩臭(しおくさ)い臭いに参っていた。

 

 別に臭いなら慣れてしまえば何ともないのだが時折吹いてくる潮風のせいで体の傷が染みて堪らなく痒いような痛いような感覚に困っていた。

 

 取り敢えずどこかゆっくり休息がとれる場所を探していると目の前に巨大な船が見えた。

 

 あれだけ大きければ隠れる場所もあると判断したGoliath(ゴライアス)は少しずつ港から離れていく船に跳び移り、船の甲板に上がる。

 

 どんどん離れていく陸を後ろにGoliath(ゴライアス)は大量に並ぶ金属製の箱、コンテナの間に隠れるように入り込んで傷ついた体を休めるために眠りについた。

 

 Goliath(ゴライアス)を乗せた船は不気味なほど静かに陸地を目指して進んでいく。

 

 Goliath(ゴライアス)が起こした事件。

 

 後に『巨大生物襲撃事件』として世界に広まるのだが、これはまだ序章に過ぎない。

 

「ヴオオオオオオオオオ!!」

 

 物語は終わらない。




パワーファイター型のGoliath(ゴライアス)、上手く書けていましたでしょうか?

こんな感じにこれからも書いていくのでよろしくお願いします。

ちなみにGoliath(ゴライアス)のステータスはこんな感じです。

<モンスター>
Goliath(ゴライアス)

<スキン>
デフォルト

<技ポイント振り>
岩投げ  1
跳躍撃  1
火炎放射 1

<パーク>
嗅覚有効範囲up☆☆☆
嗅覚有効範囲が75%拡大する。

<モンスターバフ>
なし

感想、アドバイスドシドシ送ってください。

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