あとバタフライフィッシュの稚魚を育てるのも楽しいです。
突然のことにフォーチュン・ユリシスを駆る5人の操縦者たちは攻撃を一旦中断して
「何が起こったの!?」
『火力発電所で爆発が起こった! 原因は不明だが充分に警戒しろ!』
ユリシスの操縦者の一人が本部に連絡を入れ、この停電の理由を聞き出す。
本部はすぐに答え、ユリシスの操縦者はハイパーセンサーによる後方視覚補助で森が赤く燃えていることを確認し、苦虫を噛み潰したかのような顔をした。
この暗闇の中、視界がまともに効かずその上レーダーにも引っ掛からない。
意識して行った行動ではないが、高い位置まで上がったことは接近戦において無類の強さを誇る
現に月明かりに照らされうっすらと見える
しばらく5人を見ていた
無理な戦いを挑むほど
ドスドスと足音を立てながら
しかしユリシスの操縦者たちも
青い光が暗闇を照らしながらまっすぐ突き進むレーザーだが、残念ながらレーザーを察知した
だがそこは軍人。
すぐに全員が攻撃を再開してレーザーを放っていく。
1発1発がまっすぐにしか飛ばないレーザーなため狙っている方向に素直に飛んでいくが、
すると、銃口から発射されたレーザーは吸い込まれるように
だがバチィッ!と弾けて
これでも戦車を貫通する威力を持っているが、
「本部! レーザーが効かない。 戦闘ヘリ、ありったけの弾薬を積んで!」
ユリシスの操縦者は攻撃が効かないことを本部に連絡して新たな戦力を要求する。
他の操縦者たちが『何をいっているの!?』と驚いていた。
この操縦者たちはやはり女尊男卑思想の女たちだったらしく、男たちの力を借りず自分たちだけで
『今すぐそちらに向かわせる。 座標を送り、敵を足止めしていてくれ!』
本部からの返信も早く、それを聞いて一先ず安心した女性は通信を切って
「ちょっと貴女! 何勝手なことを伝えるのよ!」
「男の力を借りるなんてゴメンだわ!」
「(この緊急事態に何を言っているんだコイツらは!)」
好き勝手に言う他の操縦者たちに怒鳴り散らしたい気分になったが、ぐっとその感情を堪えた。
それによってちょっとした言い合いは収まったが、明らかに女尊男卑思想の女4人から敵意に似た感情を向けられることになってしまった。
足止めをするということは全員に通信で伝わっているが、女尊男卑思想の女たちはやはり自分たちだけで
4人はフォーチュン・ユリシスの第3世代兵器であるビットを
ビットはしばらく
「グオッ!?」
まさかレーザーが発射されるとは思わず、しかもレーザーが頭部に命中したため
後ろに少しよろけた
全てを焼き尽くす赤い炎の渦がビットに向かって襲いかかる。
ビットは
完全に破壊……とまではいかなかったが、ビットの半分ほどを熔解させられ、中の回路まで熱によって焼かれて機能停止してしまった。
大小様々な破片が
「グルルル……グオオオオオ!」
そして
その動作が女尊男卑思想のユリシスの操縦者たちの心を苛立たせた。
戦闘しか能のない野蛮な獣にいいようにされ、しかも挑発されたとなれば自尊心とISの操縦者としてのプライドが無駄に高い女たちにとっては屈辱だった。
「この野蛮なけだものが! 調子に乗るな!」
一人が叫ぶとビットを操作して
他の3人も同じようにビットを操作して左右や前、後ろ、上など様々な方向から
「チィッ!」
残った一人も舌打ちをしながらビットを射出せず、レーザーライフルで攻撃に参加した。
そして、レーザーを発射するために銃口を
投げられた破片は見事ビットに命中してビットの装甲をひしゃげさせながら破壊した。
まさかビットを破壊されると思いもしなかった女尊男卑思想の女たちは動きを止め、それに対して
明らかな挑発行為。
小さな丸い眼が、三日月のようにグニャリと歪む。
「っ、このけだもの風情がああああ!!」
「ま、待て!」
激昂しながら女尊男卑思想の女の一人が近接ブレード『インターセプター』を展開して突っ込む。
その無謀な突貫を止めようと手を伸ばしたがもう間に合わなかった。
しかし、女は
女はがら空きになった
「(とった!)」
心の中で喜ぶ女。
しかし、インターセプターの刃が
一瞬で引き戻された腕はインターセプターを脇腹と腕の間にガッチリと挟み込んだ。
力一杯インターセプターを振るためにインターセプターの柄を手放さないようにしっかりと握っていた女はインターセプターを挟み込まれたことで動きを止められてしまった。
女は必死にインターセプターを引き抜こうとするが、完全に固定されたインターセプターはピクリとも動かない。
「グルルル……」
そこで女ははっと気付く。
油の切れたブリキの人形のように頭をゆっくりと上にあげる。
「あ」
ゴッ!と、鈍い音が鳴って殴られた女が大きく吹き飛ばされ建物に突っ込む。
盛大に建物を破壊しながら突っ込んだ女は
死ななかったのはISのお陰だろう。
残った女たちは
しかし
右手を握りしめ、限界まで右腕を後ろに引き、溜め、振り落とす。
爆音が轟いた。
地面に倒れる女に向けて振り落とされた拳は女の上半身を確実に捉えた。
しかし
小さなクレーターの中心では道路に突き刺さった拳を引き抜く
シールドバリア、さらには絶対防御すら無視してISを操縦する者を殺せる力。
ただ殴っただけで道路にクレーターを作るそのパワーに、残ったユリシスの操縦者たちは茫然とした。
ビットを破壊できる威力が籠められた破片が女たちに向かって一直線に飛翔する。
破片を見て女たちは急いで体を動かすが、破片は一人の女の腕に直撃した。
破片が腕に当たった瞬間、まるで引っ張られるように体が吹き飛ばされる。
しかも腕があらぬ方向に折れ曲がり、破片が当たった衝撃できりもみ回転しながら落下していく。
破片が当たったのは、戦力を要求した女だった。
視界がぐるんぐるんと回りながら必死に体勢を立て直そうとユリシスを動かす。
腕が折れているというのに痛がる素振りを見せないのはアドレナリンによって痛みが抑えられているのか、はたまた痛みを知覚できるほどの余裕がないのかはわからない。
しかし、急いで体勢を立て直さないと死ぬということだけは頭の中でははっきりとしていた。
視界が回り続ける中、急に体が固定されて回転する勢いが固定された体を襲う。
目まぐるしく状況が変わっていくことに戸惑いながら目を開くと、目の前に
思わず息を飲んだ。
血生臭い
掴まえたまま、火炎放射で焼き尽くそうというのだ。
他の操縦者たちは恐怖で全く動こうとせず、
短く悲鳴をあげた
乱雑に叩きつけられたことで強い衝撃と痛みが女の体を襲う。
痛みで顔が歪む中、女は自分を見下ろす
堂々と2本足で立ち、圧倒的な巨体、単純な力業を持ち、立ち塞がる外敵を粉砕する姿。
その姿と存在は、今の世の中で最強と言われているISとそれを扱う女たちよりも、純粋に格好いいと思ってしまった。
「……はは、良く見ればお前、中々良い顔をしているじゃないか」
見下ろしてくる
もちろん
それでも、女は極限状態から死の恐怖などを忘れて軽口を言いたくなった。
「お前は本当に強い」
握りしめた右手を後ろに引く。
「だが」
振り落とす。
「まだ敗けではない」
拳が道路に倒れている女に当たる瞬間、
いきなりのことに
さらに立て続けに同じ衝撃と痛みが再び
ローター音を響かせながら上空を飛行する戦闘ヘリ『ウェストランド・スカウト』4機が、ライトで
だが今度はミサイルに代わって機関銃が火を噴いた。
数発のミサイルによって外皮を大きく削り取られ、抉り取られたかのような傷痕に機関銃によって放たれた弾丸が突き刺さる。
「グルオオオオ! ゴアアアアア!」
ミサイルと機関銃による攻撃で
皮膚を抉られ、弾丸が肉を引き裂きながら内部へと入り込む。
第2形態となったとはいえ、ミサイルによる攻撃は相当堪えたらしく体のあちこちがボロボロに焼け爛れていた。
満身創痍。
その言葉が当てはまるほど、
ウェストランド・スカウト4機がフラフラとした足取りで逃げる
パイロットがミサイル発射のためのボタンを押そうとした瞬間、ウェストランド・スカウト2機が突如機体を大きく揺らしながら墜落していった。
墜落していったウェストランド・スカウトは尾部を綺麗に切断されており、バランスが取れる状態ではなかった。
2機はついには道路へと墜落し、機体を大きく歪ませた。
すると目の前に、ユラユラと揺らめく黒い歪みのような物が存在していた。
見たこともないはずの物。
それなのに、
残ったウェストランド・スカウト2機は逃げ出そうとする
重傷を負わせた
☆☆☆
「グォォ……」
歪みのような物に飛び込んだ
慢心なんてしていなかった、と言えば嘘になる。
これでもう負けることはない。あとはゆっくりとエサを喰べていける。
そう思っていたが故に、瀕死の重傷を負わされたのだ。
もうすでに虫の息で、視界が徐々に暗くなっていく。
モンスターが勝つと思っていた皆さん。期待を裏切ってすみません。
一応勝てる展開もあるにはありましたが、モンスター無双感がメチャクチャだったので勝ち展開はボツとしました。
それでは次回で会いましょう。