オーバーロード ~ナザリックの華達は戦っている~ 作:SUIKAN
カルネ村から再び一時、ナザリックへと戻ったアインズは、『玉座の間』でセバス・チャンとそれに従うプレアデス姉妹の一人、ナーベラル・ガンマにより迎えられる。
ナーベラルは、種族が
だが今は周辺の地理調査の件で、守護者統括及び階層守護者4名の他、その護衛にLv.80以上の屈強であるシモベ達10数体等、主力の多くがナザリックを離れているため、警備レベルが引き上げられており、彼女の姿は本来の戦闘メイドの装備だ。卵形のように膨らんだ白と黒の甲冑スカートが印象的で、槍のようにも使えそうな白き杖を持つ。この姿もこれはこれでとても美しい。
彼女は直立にて扉付近で警備に付く。
セバスが、アインズの手前まで進み一礼する。ちなみにセバスは種族が竜人である。今の人の姿は仮に過ぎない。ドラゴニックな力の持ち主なのだ。
「お帰りなさいませ、アインズ様」
「うむ。それにしても、マーレは随分頑張っているな。地上の造成はもうそれほど掛かるまい」
「はい、マーレ様は不休で頑張っておいでですので」
(マーレがそんなに
これは、内容について真剣に考えてやらねばならないだろうと、アインズは思った。
「そうか……頑張り過ぎだな。
「確かに。特別な
「今更言っても止まるまい。後で陣中見舞いにペストーニャでも連れて行くか」
「それが宜しいかと」
「さて、アルベド達から、あれから何か進捗は来ているか?」
「二度ほど追加が来ております。差分の要点はこちらになります」
「うむ、助かる」
セバスの仕事が素晴らしい。実務力が意外に高い。アルベドの統率力といい、デミウルゴスの知力といい、我がナザリックは安泰だなと思わせる。そんなTOPは凡人なんだけどと考えつつ、アインズはアウラの資料を再確認する。
彼女の調査範囲には、北方にある森の探索が入っていた。
それによると、森の南部には体長3メートル強程の変わった獣と、大型モンスターを数体確認。また森の奥には湖を発見しその沿岸部に、
「そうか……村人達の言う伝説の魔獣とは、それほどの強さではないのだな、ううむ」
アインズは凡人なりに色々と考えていた。
今はまず合流する為、ユグドラシルのプレイヤーを探す事である。ただ、取っ掛かりが無い。でも、これまでのこの新世界の脆弱な状況を考えると、ユグドラシルのプレイヤーは相当『強い』。
ユグドラシルではLv.90になるのは容易である。対してこの新世界では王国戦士長が全力状態でLv.30台そこそこなのだ。ならば間違いなくプレイヤー達は有名になるはず。
大都市にいると思う
今はまず、自分の名前を『アインズ・ウール・ゴウン』として広めようと考えた。だが、周辺の状況が詳しく分かってくると、より効率がいい手段がある事に気が付いた。
それは――『アインズ・ウール・ゴウン』という名の国を作る事である。
これならば、分かりやすいと思う。
人口もそう多くなくていい。また、国民は人間種だけに絞らない。亜人種のプレイヤーもいる可能性も考える。そして国土も余った場所等で、それほど広くなくてもいい。『アインズ・ウール・ゴウン』という名の国が出来たということが、この新世界へ広まれば十分だ。
そして、それでも反応がなければ――ナザリックの力で世界でも取ればいいかなと。
この辺りの構想は頭に浮かんだが、詳細はアルベドやデミウルゴスら階層主達と詰めていきたいところである。
なので今は、簡単な布石を打っておこうと考えている。
「良く纏めてくれた、セバスよ。次もよろしく頼む」
「はっ」
「ああ、恐怖公に預けた連中は発狂していないだろうな?」
「今のところはまだ大丈夫なようです。食事も一日一回与えております」
「そうか。とりあえず数日はこのままにしておけ。我々へ挑んだ事が、どれほど愚かな行為であったかを思い知らせる必要があるからな」
「承知いたしました、アインズ様」
支配者は、玉座からゆっくり立ち上がると段を降りる。そのまま中央の絨毯を『玉座の間』の扉へと向かい始める。
「さてと、〈
『こ、これはアインズ様、……わん。第九階層の客間を掃除中でございました。……わん』
「(わん付けが、無理やりだな……)私はこれから地上のマーレの所へ陣中見舞いに行く。あの子が
『畏まりましたわん』
〝アインズ〟という名前は、セバスからナザリック内へもうある程度伝わっている様子。
セバスとナーベラルが既に玉座の間の扉を開いていた。
『玉座の間』の外へと進み、ペストーニャとの〈
「外へ出られるのなら、ナーベラルをお伴にお連れください」
「うむ。ナーベラルよ、近くへ」
「はっ」
アインズが立ち止まった真っ赤な絨毯の少し前方に、一瞬で移動して来たナーベラルが片膝を突いて畏まる。
彼女へ再び巡ってきた単独での護衛の機会。先ほどまで妹二人が、村で主を守っていたのだ。危険が少ないナザリック周辺ながら、何か有れば姉として先に盾として散ってみせなければと、彼女には気迫が漲っている。
「ナーベラル・ガンマ、御身の前に」
「うむ。ペストーニャが来るまでは楽にしていろ」
「はっ、では」
ナーベラルは静かに立ち上がる。彼女は横顔にしろ姿にしろ凛々しく本当に美しい。彼女に言い寄られれば、どんな男もイチコロだろう。
「シズとソリュシャンは姉妹仲良くしているぞ」
「そうですか、シズは無口ですので口足らずかもしれませんが、よしなに」
先程まで緊張していたのか、厳しい顔をしていたが、妹達の話になると嬉しそうに優しく微笑む顔になる。アインズは思わず見とれてしまった。ナーベラルとは会うたびに表情から鬼気迫る雰囲気を感じていたが、こんな顔も出来るのだと少し安心する。
「いや、シズは案外喋ってくれるぞ、可愛いところも多いしな」
「流石はアインズ様っ、そう思われますよねっ……あ、大変失礼しました」
ナーベラルは思わずアインズの手を取ってしまっていた。
徐々にナーベラルの頬が赤く染まっていく。
(ああっ、私としたことがとんだ失態を……しかも至高の主様の御手まで掴んでしまって……)
だが、アインズは特に機嫌を損ねてはいない。いや逆だろう、ナーベラル程の美人に手を握られて嬉しくない訳がない。
「ナーベラルは、姉妹達の事が可愛いのだな。そういう動きであったぞ。私は気にしていない」
「は、はい、ありがとうございます……」
何故かそのまま……アインズはペストーニャが来るまで3分間程、耳まで赤くしたナーベラルに手を握られていた。流石に彼女は視線を落としていたけれど。まあ別に良いのだが。
ナーベラルとしては、ここで手を離しては気にしていないとお許しいただけたのに失礼になると考えていた。それに、機会的にも主と親睦を深める少ない好機である。これまで触れられての絡みが余りなく、この場は大事にしたい。
セバスは家を守る家令として、ただ傍に立ち温かく静かに見守っている。
「お待たせしましたわん」
『玉座の間』の手前にある、第九階層まで吹き抜けている高天井の広いこの通路空間へ声が響いたと思うと、ナザリックのメイド長であるペストーニャ・S・ワンコが階段を一気に素早く降りて近寄って来た。しかしメイドたる者、走ることは無い。――早歩きだ。
体はメイド服で女性なのだが、頭だけがダックスフント系の犬頭。おまけに頭には正面から真っ二つにされたのを縫い付けた傷跡が付いている。彼女の種族はホムンクルスである。
「あらら?」
ここで、メイド長からの視線が、二人の握られた手へと向かった。
アインズは、ナーベラルともう手を繋いでいる理由を聞かれる前にと、正当性を伝えるべく先手を打つ。
「これより、
「分かりましたわん。で、では、お手へ失礼しますわん」
アインズの指示に従い、ペストーニャは絶対的支配者の手を緊張のもと、静々と握る。顔は犬だが、身体は女性なので手は普通に柔らかい。肉球はなくとも。
「セバスよ、大儀であった。用があれば再び呼ぼう」
「はい、お待ちしております」
セバスの礼を合図のように、二人を連れたアインズは地上へと〈転移〉した。
アインズら3名は、ナザリックの正面出入口の外へ現れる。
「〈
アインズは手を引いた二人を引き上げつつ、午前中の日の差す清々しい上空へと上がる。二人も直ちに〈
上空からの眼下に、ナザリックの周囲へ多くの起伏を持つ平原が広がっていた。
「す、凄いです。これをマーレ様はたったお一人で?」
「ほ、本当に大変なお力です、わん。流石は階層守護者様……わん」
「ああ、確かに凄い。だが最重要である案件にしても、少し頑張りすぎだ。だから色々労ってやらねばな」
ナーベラルは魔法職であるため、尚更その力の凄さが分かっていた。アインズですら職業レベルの壁もあり、アンデッドの万を超える軍勢による造成でも同じ時間内でここまではまず困難。もはや超位魔法の〈
絶賛作業中のマーレも、精神力を振り絞っている感じでいた。
「……デートっ、……デート、……デート、……ふぅ……デートっ」
それでも顔には笑顔が浮かぶ。
(!――)
ふと、彼女は作業をしながらも、近付くアインズの存在へ直ぐに気付いた。滅多な事で作業を中断しないが、直ぐに中断するとその場へ降りて片膝を突き、敬愛する者の到着を笑顔で迎えた。
ナーベラルとペストーニャはアインズの後ろで控えている。
「マーレ、ご苦労である」
「モ――アインズ様、お帰りでしたか。ご安心ください、今日中に作業が終わると思いますっ」
「そうか、流石はマーレだな、私も安心している」
アインズは膝を突いているマーレの頭を、優しく労いナデナデしてあげる。
彼の優しい言葉とその行為を受け、マーレは疲労を感じなくなる自分に気が付いている。うっとりとしてくるのだ。
(モモンガ様、モモンガ様、モモンガさまぁ……)
マーレとしては、御方はやはり〝モモンガさま〟なのであった。
「立つが良い、マーレ」
そう言われつつ、マーレはモモンガから優しく腋下を抱えられて立たせてもらう。マーレは頬を染め、可憐にスカートを揺らす。モモンガ様にこの身体を触れてもらえただけで幸せである。この身体と心は、もうすべてモモンガ様のものなのだから。もっとよく見てもらいたい、もっと触れてもらいたいのだ。
「あ、あの、何か御用ですか? またみんなを率いればいいですか?」
モモンガ様の敵はすべて薙ぎ払いブチ殺す――マーレの満面の笑顔にはそういうものも含まれていた。モモンガから戦いを命じられれば、最狂のNPCにもなり得る存在である。
「いや、可愛いマーレが頑張ってくれているので、癒しに来たのだ」
自分を大事に想って貰え、わざわざここまで足を運んで頂き、なんと嬉しいお言葉だろう。
マーレは、すでに随分気持ちが癒されていた。
「マーレ、近くへ来るがよい」
「は、はい」
穏やかな言葉に、マーレがアインズへ一歩近付くと――静かに優しくお姫様抱っこされた。
「あ……」
「じっとしていろ、マーレ。ペストーニャ、癒しを頼む」
「しかし……わん」
「構わん、私は大丈夫だ。〈
「は、はいですわん。〈
高位の神官でもあるペストーニャは、MP回復魔法を第10位階まで引き上げる強力な癒しの力を行使出来る。これで、マーレの膨大なMPの3分の1は一気に回復されるだろう。
マーレは癒しの光に包まれる。だが、この光はアンデッドには限りなく有害。
「モ……アインズ様っ……」
「マーレがこれだけ頑張っているのだ、どうと言うことは無い。だが、愛する配下の可愛いお前達が無理をし過ぎると、私も無理をしてしまう事があるという事は忘れないでほしい」
「……ぁ、ぅっ……」
アインズの体は、魔力を増大させ抵抗力を強化されたが、マーレを〈重力操作〉で僅かに浮かせて支えている腕には魔法盾は掛かっていない。第10位階まで高めた神聖系の魔法を耐性強化だけでの完全相殺は無理と言えた。体に装備している神器級のアイテム類を以ってしても僅かであるがダメージを受ける。まあこの僅かというのは、Lv.100のアインズにとっての数値だ。下位のアンデッドならHPは0になるだろう。
マーレへ掛けられた癒しの光は、30秒ほどで消えて行った。
「ア、アインズ様っ、大丈夫ですか?」
「問題ない。数分もすれば自己回復で元に戻る。どうだ、大分MPが戻っただろう? あまり無理はするなよ」
「うぅ……は、はい、アインズ様。ゴメンナサイ。特別のお計らい、ありがとう……ございます。ぺスもありがとう」
マーレは、涙を浮かべていた。
アインズは、無茶をするマーレへの戒めも込めて、抱っこしての癒しを行なっていた。マーレも余り無理をすれば大切な者に、無茶をさせる時が出てくる事もあると噛みしめる。
「マーレが回復してよかったですわん」
第六階層守護者の姉妹と、プレアデスの副リーダーであるユリ・アルファと、ペストーニャは、造物主達が全員女性メンバーという関係を引き継いでおり非常に仲が良い。
それでも、戦闘時等の非常時を除いて、アインズへ断らず勝手に全力での癒しを使うことは躊躇われる。
このナザリックは、至高の41人の意志が尊重される場所であるからだ。
「ペストーニャも良くやってくれた」
彼女の犬頭を撫でてやる。目を細めてヨシヨーシとナデナデされる。正にワンコ状態。非常に嬉しそうである。
「な、なんと素晴らしい……主様のナデナデ……」
後方でナーベラルが、羨ましそうにそれらを眺め、ぽつりと呟いていた。彼女のナデナデを受けた回数――未だ0回。
マーレの陣中見舞いを終えた一行は第五階層の『氷河』へとやって来た。ペストーニャはここで「アインズ様、それでは失礼します……わん」と別れていく。伊達にメイド長はしておらず、第九階層と第十階層は広く、メイド達への指揮も忙しい。
アインズがここへ来たのは、コキュートスへの陣中見舞いだ。今のナザリックは、武器使いとして無双の攻撃力を誇るLv.100の彼を中心に防衛陣を組んでいる。
現状でも実際の戦闘になれば、Lv.100のマーレやセバスに加え戦闘メイドプレアデスの4名と各階層のLv.80を超えるシモベ達も動き出すので、主力が戻って挟み撃ちにするまで十分戦えるだろう。
「コキュートス様は居られますか? アインズ様がお越しです」
ナーベラルが、現れたコキュートスのシモベの
「こ、これは、アインズ様っ。ナーベラル様も、第五階層へ良くいらっしゃいました。コキュートス様ですね、どうぞこちらにてお待ちください」
一人の雪女郎により、丁重に案内される。
氷の館と言うべきクリスタル状の建物、ススメバチの巣をひっくり返した感じの
間もなく扉が開かれ、コキュートスが現れる。
するとナーベラルは跪いて控える体勢となり階層守護者を迎えていた。もちろんアインズは奥中央で立ったままだ。
蟲王の彼は御方の手前へ進むと、四本腕を持ち2メートル半を越える巨体の片膝を突き、恭しく畏まる。誇り高い武人であるコキュートスが、自ら膝を突くのは主である至高の41人の前だけ。
「アインズ様、オ待タセヲ。コキュートス、タダイマ参リマシタ」
「うむ、コキュートス。ナザリックを良く守ってくれているな。安心して過ごせることへ、大いに満足している。お前の働きは決して今、外に出ている他の守護者達に劣る者では無い。私が、ナザリックを今外せるのもコキュートスが中心にしっかりと守っているからだ。まだ数日、この状況は続くがよろしく頼むぞ」
「ハッ。有リ難キ幸セ。今ノ言葉ヲ直々ニ頂キ、心ハ晴レ渡ルヨウナ思イデゴザイマス」
セバスは兎も角、コキュートスこそ戦場の前線での活躍を欲している武人。本来、防衛は彼の気質的に合わないものだろう。だからこそ、今は主であるアインズがこうして直接評価を伝えることが、武人コキュートスの喜ぶ事と思ったのだ。
「うむ、皆が帰ってくれば私の得た情報も合わせ、ナザリックの今後についての戦略会議を開く。コキュートスにも前線で働いてもらう事になろう」
「オオォォォ」
「戦いには防衛も重要な事だ。この数日の経験も今後に活かすことを考えて守ってほしい」
「ハハァァァァ。コノコキュートス、今後モ全力ニテ、ナザリックノ守リヲ務メサセテイタダキマス!」
「うむ。頼りにしている。そういえば地上で面白い能力を見たぞ。〝武技〟というものだ。コキュートスよ、それが体得できればLv.100を超えた強さを見ることが出来るぞ」
「ソ、ソレハ! 一体……如何ナルモノナノデショウヤ?」
武人の性というべきだろう。主の言葉に、強さへの渇望が彼を激しく驚かせていた。
「確か……体の中での力の総量を把握し精神内で配分し、瞬間的に各種能力を組み合わせ高めるとか……細かい事はすでに体得したと思われるルベドへ聞くといい。私からコキュートスが聞きたいと話を通しておこう」
「ル、ルベド殿デスカ……ヨ、ヨロシクオ願イイタシマス」
流石のコキュートスも、ルベドにはやはり一目置いているらしい。
こうして、コキュートスの陣中見舞いを終えると、アインズとナーベラルは第十階層へと降りて来た。ナザリックへ戻り、おおよそ1時間程経過している。二人はギルドメンバーの個室が並ぶ領域に近付いて来た。ここから先は、至高の者らに付随しなければNPC達やシモベ達は立ち入れない決まりである。
「ナーベラルよ、ここから先は私一人で行く。ここまでの護衛ご苦労であった」
「アインズ様、せめてナザリックに居る間は、わたくしを警護へお付けください」
ナーベラルは、アインズの傍らで跪き訴えた。主の傍に常に居て、守ってこそのプレアデスである。
するとアインズは、その忠臣の頭を優しくナデナデしてやる。黒髪はキューティクルが最高なのかサラッサラであった。
「ア、アインズ様……」
不意に貰えた初めてのご褒美に、ナーベラルの頬や耳は静かに赤く染まってゆく。
「ナーベラルよ、すまないな。私が一人で行くのは、これから部屋で行う作業に対して、ギルド内の……至高の者らでの決まりみたいなものなのだ」
「……左様でしたか」
「ではナーベラル、私が部屋からここへ戻るまで、この場を1時間程守っていてくれるか?」
「はっ、喜んでお守りさせて頂きます、アインズ様」
「うむ、では頼むぞ」
この区画には、指輪『リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン』の総個数と同じ100の部屋が存在する。アインズはその中の自分の部屋へと入って行った。彼はギルドの長として一応、全部屋へ入れるマスターキーを持っている。すでに、退会した37名については入室と自由使用の許可をギルド統括として受けてもいる。だが、この新世界へ来てから自分の部屋を含め、まだどこにも入っていない。ここはかつての仲間達のもっとも思いの詰まる神聖といえる場所であるから。
ナーベラルは通路の脇へ直立にて警戒に当たる。主の命を受け、アインズが戻るまでは
その時、傍の通路をメイドの一人、ショートめな黄色髪のフォアイルが通る。通常のメイドはスカートの裾がいささか短めのデザインである。彼女は上位のメイドであるナーベラルへ気が付き、にこやかに挨拶する。
「これはナーベラル様、警備でございますか? こちらは至高の方々のお部屋の領域でございますね」
「そうです、フォアイル。この周辺へは1時間ほど近付かないでください。至高の御方の命により排除の対象になりますから」
アインズの命を受けたと言う、戦闘メイド服姿のナーベラルの真剣味漂う表情に、フォアイルは慌てて身を正す。彼女らは、同じ至高の者らに生み出されたメイドであってもあくまで量産型ベース。対して、一体ごとに入魂で作成されており、支配者様の傍にて直接守ることが出来、意見も可能であるプレアデス達は少し近寄り難い尊い存在なのだ。
「は、はい、ナーベラル様っ。では失礼いたします」
フォアイルは、メイドらしく走ることなく、早歩きでこの場を急ぎ立ち去った。
自室に入ったアインズは、久しぶりの室内を見回す。新世界へ来て初めての入室だ。幸いなことに、見た目では特に変わった様子はない。ただ全てが、物としての現実感を増している気がする。
壁際へと進む。そこにはNPC作成・調整装置が収納されている。慣れた手つきで操作し展開する。
これは、ナザリックの管理システムである『マスターソース』へも直結されているようで、ゲーム同様にコンソール等が表示された。
「ふーん、どうやらゲーム同様の手順で、作成や調整は行えるみたいだなぁ」
そう言いつつ目を向ける先には、1体のNPCが無色透明な液体の充てんされた縦に置かれたシリンダーカプセルで眠るように入っている。
身体の肌や表情は白く、髪が長めの銀髪で胸の形が良い感じの――全裸の娘だ。
流石に、こんな個人趣味丸出しと言える創作世界をナーベラルを初め、他の者へ見せる訳にはいかないっ。
こいつの名前は、まだいくつか候補だけしか決めていない。レベルの配分も幾通りかシミュレートした程度で放置していた。キャラ設定についても暫定モノしか用意していない……。
ユグドラシルにおいて、NPCへ付与できるレベルは、攻略したギルド拠点に対して特典として与えられている。小さな城程度の拠点を落とした場合でも、最低で700レベルが使えるようになる。そして、落とした拠点を守る為や、ギルド拠点にして特色を出すことが出来るように、一からNPCを自由に自作出来る権利も同時に得る。ただし、NPC1体で設定出来るレベルはユグドラシルで上限である100までだ。また、攻略拠点の規模が大きい場所ほど使えるレベル数も上昇する。ナザリック地下大墳墓の拠点ポイントは5000レベルである。しかしすでに4600程はNPC等を、
容姿と共に装備だけは、至高の一人であるホワイトブリム氏に貰っていたデザインからすでに起こして装着出来る状態ではある。
アインズは地上に於ける諜報組織の新設を考えている。それを指揮する者が新たに必要であると思ったのだ。それも特化した職業レベル、ニンジャやアサシン辺りを持つ者をと。
しかし大きい不安もある。
それは――新たに生み出すNPCが、どういった人格や性格になるのかである。
今のところはNPC達は設定通りに動いている。しかし、それはあくまでも『移転前』にそう設定されていたからかもしれない。今から設定する内容がNPCへ反映されるかは完全に、『賭け』である。いきなりLv.100は流石にハイリスクな気がした。90にするか80にするか。
「うーん、どうしようかな……」
彼はとりあえず、レベルの配分から見直すことにした。
そうして50分程が経過し、アインズは自室を後にする。
(結局、レベル配分の新パターンが少し増えたのと、設定をちょっと考えて追加したぐらいか)
もう少し、きちんとした時間が欲しいところ。直近の今後を考えると、後になるほど余り時間は取れないだろう。
カルネ村の状況を確認した後で、午後もこちらへ来ようかとアインズは思案しながら、ナーベラルの所まで戻って来る。
彼女は主人の前に跪き、報告を行う。
「こちらは特に異常ありませんでした、アインズ様」
「そうか。待たせたな、ナーベラル、ご苦労」
そう言って、主はナーベラルをナデナデしてあげる。
彼女は考えていた――跪いていた方が撫で易いのではないだろうかと。
ナーベラルは目を閉じ頬を染めながら、小さな作戦成功の喜びと支配者のナデナデを静かに味わっていた。
彼女のナデナデを受けた回数――2回目が刻まれる。
至高の御方を、ナザリックへと送り出して2時間ほど経過した、カルネ村のエモット家の居間。
エンリ達は、忙しく外で畑仕事に精を出していて不在である。
一方、シズとソリュシャンは暇であった。盾として守るべき主が居ないのだ。この場には生きがいが無いと言っていい。だが主の配下となったエモット姉妹と、この村の現状は命令として守らなければならないだろう。
窓際のルベドは、プレアデス姉妹を堪能出来ているので不満は特にない。
ただ、こうしていてもソリュシャンは、エモット家の周囲100メートルへの確認は怠っていない。誰かが突然家へ来たとしても、アインズが奥で休んでいるかのように対応するためだ。
残念ながら他の二人に、下等生物との満足といえる会話は期待出来ない……。
支配者の決めた2時間が近付いたので、シズとソリュシャンは席を立つと直立し、主を出迎える準備に入る。
するとナント――ルベドも窓際から降り起立した。
一瞬だけソリュシャンは驚きの表情を作る。シズも視線を僅かに向けるも戻す。
これはナザリックの者達では当然の行動。ルベドもナザリックの者であり不思議では無い事。
ルベド自身も変な気持ちである。至高の者達に敬意はない。だが姉妹をとても大事にしてくれ、アンデッドの天敵でもある天使の自分へも褒めてくれたり気持ちの癒しをくれる指導者アインズには、そうして待っていてもいい気がした。
天使は元々神へ仕える者――それがたとえ『死の神』であっても。そんな天使が居てもいいのではないだろうかと。
1分もしない内に仮面を付けながらアインズが〈
あれからアインズはナーベラルを従え『玉座の間』へ戻ると、そこにはセバスが時間を見越したかのように待っていた。
だが新しい情報は無いという事で、こうして速やかにエモット家の居間の床を踏みしめている。
「お戻りをお待ちしておりました、アインズ様」
「……アインズ様、無事のお戻り……嬉し……です。……1時間57分58秒……です」
「うむ」
アインズの目が礼で迎えるプレアデス二人を見た後、窓際で起立しているルベドを捉えていた。
「(……ルベドの、俺への対応が先ほどから続いてる。これは偶然ではない気がするなぁ。少しは俺を認めてくれたという事かな)――こちらも、変わり無さそうだな」
ルベドはアインズを迎え終わったので、再び窓際へ座り込んでいた。
「エンリ達は畑か?」
「はい。
ソリュシャンは左目を閉じ〈
「ほう……命じたとはいえデス・ナイトは中々自意識が高く、扱いは難しい気もするが。エンリは――何かクラスでも持っているとか……まさかな」
出合いからソリュシャンは、エンリについて下等生物と決め付け全く詮索していなかったが調べてみる。
「――! アインズ様、エンリは――コマンダーLv.2ですっ。そ、それよりも――――」
アインズは、ソリュシャンから告げられたエンリの持つLv.1ながら特殊な別の職業クラスに内心驚く。
「(えっ? エンリはどうやってそんな特別な職業クラスを得たんだ!?)……そうか」
アインズは後で聞いてみる事にした。
昼を迎え、エンリはネムが名付けた
すると「オォォ……」と答えてタワーシールドとフランベルジェを置き場へ取りに行くと風のように村の中へと戻って行った。
エンリとネムは村へ戻ると、井戸端で村人達と話をしながら、手と顔を洗いエモット家へ帰って来た。
「只今畑から戻りました、アインズ様」
「ただいまですっ、アインズさまっ」
「うむ、二人ともお帰り。デス・ナイトを上手く使っているようだな?」
「は、はいっ、凄く助かっています」
「ルイスくん、力持ちで、すごいすごいすごぉーい」
エンリは終始ニコニコしている。敬愛する優しい旦那様からの気遣いある助力に笑顔が止まらない感じであった。ネムは、デス・ナイトのパワーに感動しているようだ。確かに膂力だけで熊や馬以上だろう。
「そうか、良かった。ところでエンリよ、ソリュシャンがお前の能力を調べて初めて分かったのだが、お前はそのコマンダーの職業クラスをどうやって得たのだ?」
「えっ?」
エンリは、アインズの聞かれた内容が良く分からなかった。
「あ、あの、アインズ様。コマンダーって、私は特に何も……って、えぇっー?! 私って……」
エンリは何かに気が付いたらしい。自分自身に驚いている雰囲気であった。そうしてアインズへすぐに伝える。
「私は、
「(なんだそれは……?)そうか、
「生まれた時から備わっていたのかも。これまで私は全く気が付いていなかったのですが……」
まあ、農家の娘が普段使う能力ではないだろう。気付くことは確かに無いか。だが、自然と優れた工程を組み立て指示出来たり、注目され、皆従うようにさせる力があるはずだ。
どうやら新世界にはまだ、アインズの知らない事が有るらしい。村長から話を聞けなかったが、エンリが知っているぐらいの知識だ。一般的で単に話から漏れただけだろう。しかし、警戒感は高まった。
人間種も無能者ばかりではないという事だ。だがどれぐらいの頻度なのかとの考えが浮かぶ。あのあと、ソリュシャンには一応村人80人余を皆調べてもらったが、職業クラスを持っているのは15人ほど。それらはファーマー等、生活に直結しているだけで、危険度は無さそうなものであった。
「エンリよ、他に
少女は、アインズの雰囲気に厳しさが出てきたことに気付く。ここからの話は、彼の望んでいる重要な事柄なのだと。だから、知る事を何一つ隠さず『旦那様』へ正直に伝える。
「は、はい。以前お話しした、時々村へ来る友人の薬師が、すごい
「ほぉ、どんなものだ?」
「――彼の
彼女は、アインズと周りの上位の者達の視線が明らかに鋭くなったと感じる。
「エンリよ、良く教えてくれた。疲れただろう、ネムと共に食事をするといい」
アインズは、配下のエモット姉妹を労い優しくそう告げた。
「は、はいっ。では、あちらで取らせていただきます」
彼女が大事なのは、
エンリは――すでに全てを割り切っていた。
薬師の友人を一言弁護はした。自分に出来ることはもう、友人がアインズ様の協力者側になるように導いてあげるぐらいだと。
いつの間にか、シズが可愛いネムの後ろに立ち優しく大事そうに撫でてくれていた。
「シズ様ありがとうございます。ネム、ご飯にしましょう」
「はーい」
エンリは妹を連れ、旦那様からの労いに嬉しさの笑顔のまま家事室へと向かった。
ルベドは、片方の姉妹の姿が見れなくなり、少し寂しそうだ。
エンリ達がいなくなった居間では、シズがその気持ちを最初に述べる。
「……脅威……です、アインズ様」
「アインズ様、全てのマジックアイテムが使用出来るというのは、非常に危険度が高い能力です。速やかに排除すべきかと進言します」
「確かにな……。だが、数的や難解な使用制限すら無効化するなら、非常に貴重といえる存在だ。ちょっとした世界級アイテム並みの能力だからな。可能なら手元に置いておきたい気もする」
ルベドは傍観している。まだ敵でもない状況。エンリの話では現状、その者が驚異的なアイテムを所持している訳でもない。
ソリュシャンは主人の言葉を受け具申する。
「エンリの友人とのこと、であればあの者を使い、何某か手があるのでは?」
ソリュシャンとしては属性の邪悪に相応しく、相手が男という事で、エンリにはドロドロとしたハニートラップを期待している。
アインズの考えとして、これはエンリにとっても手柄のチャンスと言える。世界級アイテム並みの能力の者を味方にしたのならば、階層守護者達も評価しない訳にはいかないだろう。ナザリックの皆に認められるには、己の力を示さねばならないのだ。
「うぅむ。まずはこれもエンリにやらせるか。ただし、方法はあの者に任せる」
「畏まりました」
「……承知……です」
その時、エモット家の玄関を大声で叩く者が現れた。
「アインズ様っ、
その声は村長のものであった。エンリが家事室から直ぐに現れると、玄関へ向かい扉を開く。
「村長さん、何かありましたか?」
「エンリ、アインズ様は? 王国戦士長様の出立が早まったのだ。馬が10頭以上見つかったとの事で、あと2時間ほどで出ると言われてな」
アインズが入口へと現れる。
「おお、アインズ様」
「村長殿、話は分かりました。昼食中なので、後30分ほどしたら伺うと王国戦士長殿にお伝えいただけますか? それで、少しあの方に話があるのですが、お呼びだてするのも悪いので、どこか一室お貸し願えませんか?」
「分かりました。では、わが家へお越しください。王国戦士長様へもそうお伝えしておきます」
「よろしくお願いします」
「では」と言って村長は笑顔で去って行く。
村長を初め、村人達はアインズ一行へ非常に尊敬を持ち好意的である。エモット家に泊まるも、エンリと妹のネムは朝から笑顔で普通に作業をしており、皆との会話等もこれまでの普段と変わらない。
つまり、アインズは多くの悪行を重ねる一般的な貴族達のように、弱者を虐げ閉じ込め酒池肉林の形で欲に興じる人物では無く、本当に立派な御仁なのだと村人達には密かに広まっていた。
30分は間もなく過ぎ、アインズは単身、村長の家へと向かう。状況から、ソリュシャンらが同席するのは不自然であった。
彼女らは、不可視化にて村長宅向かいの家の屋根上で見下ろし待機していた。状況詳細はソリュシャンが探っている。
アインズが村長宅の玄関に入って間もなくガゼフもやって来た。二人は村長から二階のあの小部屋へと案内される。
アインズ達は小さいテーブルを挟み座った。
「馬が見つかって、良かったですね」
「ああ、よく遠くへ逃げずにいてくれたと馬達を褒めたよ。はははっ」
ガゼフは、友に話す様で楽しそうに優しい笑いを浮かべる。
アインズは王城への道程の情報を期待し尋ねる。
「私はこの辺りの地理には疎いのですが。今日お出になると、いつ王城へは到着されますか?」
「我々は日頃の訓練で慣れてますから、普通なら明後日の夜には着きますな」
「ほお……この村から王城までの位置と距離はどれほどでしょう?」
「そうですね、西北西へ300キロ程というところですかな」
「それは早いですね」
アインズは、通常馬による行軍は1日60キロ程だと何かの歴史書で読んだ気がした。まあ、千里駆ける馬の話や戦士長達は少数だし、この世界の馬は結構違うのかもしれないのだが。
「王城ロ・レンテや、王都リ・エスティーゼへ興味がお有りかな、ゴウン殿?」
いよいよ本題になって来た。
アインズは頷く。
「ええ、昨日から色々考えました。長期的には路銀も考えますと折角のお話ですしね」
ガゼフは仮面の男の話を不自然には感じない。ゴウン氏達が旅をするにしろお金が必要なのは自然。そして彼らが成し遂げた事への貢献に対する対価を受け取るのも当然なのだ。
逆に辞退する方が裏があると怪しく感じる。
これほどの人物なのだ、正しい判断力を持っていると納得するのみである。
「では、ゴウン殿、王城に来て下さると?」
「ええ。ですが、同行の件については皆さまの足を引っ張ってもいけませんので、半月後に王城へ我々が伺うということでどうでしょう?」
ガゼフに異論は無かった。いや、有り難いぐらいである。
正直、同行でと声は掛けたものの、その一点は後で困っていたのだ。ガゼフ達は急いで王城へ状況を知らせるべきであるのに、ゴウン氏達へ速度を合わすと遅れてしまうだろうし、急いては彼らに無理をさせてしまうだろうと。
「ゴウン殿、そう言って頂けるとありがたい。では、半月後に王城へお越しいただければと思う」
「はい、そうさせて頂きます、王国戦士長殿」
ガゼフは笑顔で頷いた。この底の見えない御仁と配下達である。可能であれば王国の力になってもらいたいと思っている。それに向け、ガゼフは一考していた。賭けでもあるが、強者と強者は引かれやすいと。
「ふふっ、良かった。是非、最強のアダマンタイト級冒険者チーム『蒼の薔薇』の面々に会わせたいと思っておりましたので。今から彼女らの驚く顔が楽しみだ」
「(!――最強だと……とりあえず話を合わせておこう)……蒼の薔薇、アダマンタイト級冒険者チーム。有名ですよね?」
「ええ、この近隣周辺国でも知らない者はいないでしょうな。メンバーに恐らく私よりも強者がいるのでね」
どうやら、周辺国でも有名で最高クラスの冒険者チームなのだろう。ガゼフを単独で上回るという者もいると言うが、果たしてその強さはどれほどだろうか。だが、ガゼフの目算ではアインズ達に分がありそうな様子。
(……名前を売るなら一時加入するか、或いはメンバーを引き抜く等した方がいいのか。それとも――やはり、試合等を吹っかけて倒してしまうのが早いか?)
先程まで、頭の片隅に名声と情報集めの一つとして冒険者チームを作り、立身していく手も少し考えていたが、すでに有名である最強のチームを利用する方が断然早いと思われた。
(これで、王城行きにも楽しみが増えたかな)
アインズは仮面の裏で静かにほくそ笑んだ。
だがこの時、彼は大きな問題があることに気付けていなかった。デミウルゴスやアルベドであれば、ガゼフの『彼女ら』という言葉で相手チームの構成員を確認出来ただろうが……。
王国戦士長ガゼフとの話はその後、「狭い家だが、王城へ来た際には是非ウチにも寄ってもらいたい」「分かりました」と和やかに終了した。
日が少し傾き出した昼下がりの午後、村に駐留していた王国戦士騎馬隊が、広場で皆の笑顔により見送られる。
広場には村長を初め、多くの村人達とエモット姉妹やアインズ達も見送りに出た。
馬は計11頭見つかり、荷馬車を金銭で譲り受けた配下の者達も、エ・ランテル経由の別路で王城を目指すことになる。故にこれで王国戦士騎馬隊はカルネ村より完全撤収する。
騎馬隊の先頭には、王国戦士長ガゼフ・ストロノーフが立っていた。
「それでは、カルネ村の者達、さらばだ。ゴウン殿と一行の方々、本当に世話になった。王城にてお待ちしているぞっ、ハァッ!」
掛け声と共に、ガゼフを先頭として手を振る戦士騎馬隊は、勢いよく馬を走らせ出発して行く。
こうしてアインズの思惑に少し邪魔だった王国戦士騎馬隊はカルネ村内から去った。
絶対的支配者から、エンリへの指示は間もなく下された。
よく考えると原作のルベドって、どこで『起動実験』されたのだろう……。
次でやっと、マーレがご褒美を……
補足)
ナザリックの拠点総ポイントと未使用レベルについてはおそらくかなりの捏造になっています。
凄まじい重課金とワールドアイテム使用での拡張を用いて凌いでいるとのことから、原作側ではかなりギリギリなんだと思います。
ただ、重課金の後にワールドアイテム使用のパターンだと、余裕がある可能性もゼロではないかも。
それがなくても、まあ50ぐらいは余っていそうかなと。