東方博麗社〜もし博麗神社に参拝客が来ていたら   作:だぴょん

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まだ生きてます。なんとか復活です。
絶賛スランプ中だったので、かなり時間がかかってしまいました、楽しみにしてくださった方、心配してくださった方、すみません。

さて、3人の思いが交錯し、行き過ぎてしまいます。やがて1つになるのか…。

というわけで、本編どうぞ。(今回も展開、文章ともにガバガバです)

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錯綜する3つの思い

「詠夢ー、どこにいるのー?」

 

臨時休業となった神社に霊夢の声が響く。

 

もう太陽も上がっているというのに、一向に弟の姿は見当たらない。

 

あの詠夢が急に家を飛び出す理由なんてあるわけがない。あるとしたら、幻想郷内で秩序を乱す者が現れた時だけだ。

 

ただし、今は月の手によって幻想郷を侵略されかけた異変も解決され、主に詠夢や紫を中心に各エリアごとに自治がなされ、幻想郷は平和なはずだ…………ん?

 

 

 

「月」……?

 

 

 

そういえばルナチャイルドがさっき、詠夢らしき人が大量な人たちによってどこかに運ばれていったって言ってたような……

 

そんなことを考えつつ、このシーンに月を代入する。

 

強力な能力を持った詠夢が月の玉兎によってどこかに運ばれていった、となる。

詠夢の実力を知っている月の民にとって、幻想郷を攻めるならば邪魔で早く消えて欲しい存在。しかも純狐やヘカーティアが用事で幻想郷にいない今、詠夢の無力化には最適の時期だ。

 

霊夢は全てを悟ったその瞬間、家のことを全てを放り出し、一目散に幻想郷を駆け巡った。

 

「あんたは絶対守る」

 

そう言った霊夢の目には、少し涙が浮かんでいた。

 

その涙は、後に大粒となって溢れ出るのだった…

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その少し前…

 

月でも、不穏な雰囲気が漂っていた。

 

豊姫と依姫、そしてサグメは、幻想郷に侵入しようとしている軍を説得して止めていた。

 

「あなたたち!八意様と姫様はそんなことを望んでいないわ!」

 

依姫は嫦娥の夫に従えられてしまった自分の部下の玉兎に叫ぶ。もちろんのこと、玉兎にとっても辛い。ここで依姫の方へ行ってしまえばずっと月の都にいられるが、嫦娥の夫に殺されてしまうだろう。

 

幻想郷に行ったら永琳がいる。が、彼女はそんなに優しい人ではないだろう。大人数で襲撃をした兎を家に泊めてくれるほどの慈悲の心は永琳どころか詠夢ですらあるか怪しいというのに。というかそもそも地上に行ったら2度と月には帰ってこれなくなるだろう。

 

 

穢れた土地、地上で生きるか。

 

月に残って穢れがない世界を手に入れるか……。

 

 

普通だったら後者しか選ばない、いや、選ばざるを得ない選択肢を、無理やり前者にしようとしているのだ。流石に無理がある。

 

「そんな抵抗をしても無駄だ、綿月の姉妹よ。八意様はみんなが求めているのだ。抵抗する理由すらないだろう?悔しかろう!?」

 

「だったら幻想郷の皆さんも求めていると思うわ!あなたは何も考えていない!」

 

「地上の穢れた民のことなど今の今まで忘れておったわ!そんなものはどうでもいい」

 

「お前なぁ…!」

 

ついに怒りが頂点に達した依姫は男の胸ぐらを掴み、殴りかかる。

 

しかし、やはり男は強い訳で。

その男は依姫を軽くあしらい、何処かへと消えていった。

 

「ねえ依姫、追わないの?」

「大丈夫ですお姉様、詠夢ならきっと、いや絶対やってくれるはずよ…」

 

依姫は怒りと呆れ、そして詠夢への絶大な信頼からその日は消えた男を探しに行くことはなかった。

それが、さらなる不幸の連鎖の始まりだということは、知る由も無かったのだ……。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、詠夢はというと……

 

拘束されていた。月の兎たちに連れていかれた後、どこかへ連れていかれてしまったのだ。

 

(どこだここ……じゃない、ここは確か、52,53話で来た地下要塞…)

 

以前来た時は気絶させられてその殆どを覚えてはいない。しかし、明確に覚えているものが1つあった。

 

拘束装置。

 

何に使われるのか分からないかつ、無駄に巨大だった装置。それに今、自分は拘束されていた。

 

「詠夢さん……本当にごめんなさい…でも、こうしないと私……っ!」

 

大粒の涙を流し謝罪の言葉を語る月の兎たち。しかし詠夢は自分がするべきでないと思いつつも優しい笑顔で返した。

 

「いいんだ、いずれこうなるだろうとは分かっていたから。それより、これからどうせ奴がここに来るんだろう?みんなは早く逃げたほうがいい。」

 

「でっ、でも!」

「流石に詠夢さんでも1人は…」

 

「大丈夫だ、きっと抜け出せる…いや、絶対だ」

 

そのことばを聞いて玉兎一同はホッと息をつく。そして、次々と脱出していった。

 

最後に残ったレイセンが一礼をし、出て行った。

 

 

1人になった詠夢。取り敢えず、ここからの脱出方法を考えなければといろいろ体を動かしてみる。

そして、前にも経験した嫌な感覚が自分の体を襲う。

 

(まさか…っ!?霊力が無い!)

 

そう、知らないうちにこの拘束装置に霊力を奪われてしまっていたのだ。それどころか、能力さえも発動不能になってしまい、いよいよ詠夢は奴を待つのみとなった。

 

 

 

 

 

そして数分後、急に何処かから声が聞こえた。

 

「おやおや、ようやく君も負け犬っぽく振る舞う気になったのかな」

 

挑発するように、どこかから表れた嫦娥の夫。

 

詠夢を見つめ、不自然な笑みを浮かべる男。詠夢は反抗的に睨みつけ、殴りかかろうとするが、なにせ拘束装置のせいでガチャガチャと金属音が響くだけ。

 

「今更なにをしようが無駄だ。さて、始めようじゃないか」

 

そう言い、なにやらマシンが動く音がした。詠夢の本能が逃げなければと告げる。しかし拘束装置が詠夢の体を離す気配はない。

 

すると、巨大な鉄球が詠夢の体を目掛け迫る。抵抗する術もなく詠夢はそれを食らうしか無かった。

 

「カッ…ッハァ!」

 

「その声、その抵抗しようとする無様な格好……。ゾクゾクするなあ!」

 

男は着実と、詠夢を無力化する為の手順を踏んでいっている。このままでは、永琳だけでなく、幻想郷が危ない。

そう思いつつも、今はただこれに耐えるしか、無かったのだ。

 

そう、希望の光は、閉ざされていたのである。




取り敢えず高校の推薦の為に学業に専念していたのと、大スランプに陥っていたので8ヶ月も空いてしまいました。

これからはぼちぼち再開していくので、ご支援宜しくお願いします。

ではまた次回。

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