ではどうぞ!三人称視点でのお送りです。
コラボ?
絶対に次はやる!
朝から詠夢は台所にいた。その理由は今日、『あること』があるからだ。
「………っと、焼けた!美味しそ〜♪」
そう、クッキーを焼いていたのだ。今日は10月31日、待ちに待ったハロウィンの日なのだ。
「朝から良い匂いがすると思ったら……お菓子焼いてたのね〜、一個ちょうだい!」
すると詠夢は自分の顔の前で人差し指を横に振る。
「そういう時は……『アレ』でしょ!」
「そうね。じゃあ……トリックオアトリート!」
「はい、クッキーあげる!焼きたてだよ!」
霊夢は焼きたてのクッキーを口に運ぶ。クッキーから広がる深い甘みが霊夢を魅了する。
「〜〜!おいっしぃーーっ!」
「でしょ!?今日は上手にできたんだ!」
クッキーを食べ終わったあと、遠くの方からとてつもない速さで神社に向かってくるのを気配で感じ取る。
そして来たのはやっぱり……
「おはよ霊夢、服の交換しようぜ!」
魔理沙だ。どうやら魔理沙も仮装したくてうずうずしている様子だった。
「えっ?どういうこと?」
「それについては僕が説明するね」
詠夢はとりあえずハロウィンのこと、そして仮装のことを霊夢に話した。すると霊夢は納得した様子でうんうんと頷く。
「じゃあ今日1日だけ魔理沙の服を着ようかしら?」
そう言って神社の奥へと消えていった。
その間にも詠夢はどんどんお菓子の準備をしていく。今日は来客が多いと見込んだからだ。
その間に針妙丸も起きてきて、
「トリックオアトリート!お菓子くれなきゃイタズラするぞ!」
「はい、クッキーどうぞ」
「ありがと!」
てな感じで家族って良いなと改めて詠夢は感じた。
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そして約10分後。
霊夢と魔理沙が着替えを済ませ、表に出てきた。
「「ど、どうかな?」」
「………似合ってるよ!」
異性に褒められたせいか少し頬を赤く染める2人。
「そ、そう?」
「その……ありがとだぜ」
「それにしても、黒髪に魔女っ子帽子、白黒の服装が霊夢に似合い過ぎていて違和感の欠片もないね……かわいい」
その瞬間。
霊夢の顔がボンッ!て赤くなった。そのまま顔を隠した。その素振りは普段見せない霊夢の乙女っぷりがたっぷりと詰まっていた。
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お昼。
『詠夢先生、トリックオアトリート!』
寺子屋の子どもたちがお菓子を求めて博麗神社にやって来た。
「はーい、クッキーどうぞ!」
『うわー!おいしー!』
「ありがとな、詠夢」
子どもたちが騒いでいると、詠夢に話しかけた。慧音だった。
「いや、むしろクッキー焼いてて楽しかったので大丈夫です。……あれ、今日は妹紅も一緒なんだ」
付き添いには妹紅もいた。幻想郷各地を回るので妹紅も一緒だという。
無邪気に遊ぶ子供を見ている詠夢には大人特有の雰囲気が漂っていた。これでもまだ12歳である。
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その後も来客は絶えない。
天「トリックオアトリート!お菓子くれないと要石よ!」
とても物騒な言葉を口にしながら神社にやって来たのは天人の比那名居天子とその付き添いの永江衣玖だ。
「あ、天子!久し振り!クッキーどうぞ、流石に止めてよ?要石は」
詠夢は天子と仲がよく、たまに地上に彼女が降りてくる時は絶対に詠夢のところまで行くくらいだ。
「衣玖さんもどうぞ」
衣「あ、ありがとうございます」
天「それにしてもやっぱりあんた料理うまいわよね〜」モグモグ
衣「今度教えて欲しいですね」パクッ
「みんなに言われるし、今度料理教室でも考えておこうかな?」
天「ありがとね詠夢、また来るわ!」
天子はふわあ、と、飛び立っていった。
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その後来たのは妖精&妖怪組だ。
チルノ「トリックオアトリート!お菓子くれ!」
大妖精「今日は詠夢さん」
リグル「お菓子ちょうだい!」
「ちょっと待ってねー……はい、どうぞ!」
みんなはクッキーを無我夢中で食べる。とても子供らしくて詠夢はその姿が好きだった。
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夕方。
博麗姉弟は縁側でゆっくりとしていた。
霊「今日人里に行ったら、私の格好している子が多かったわ。女子はだいたい私か早苗、男子はだいたいあんたの服装してたわ」
詠「へぇ……でも良かったね、それだけお姉ちゃんもみんなに愛されてるっていう証拠じゃん?」
霊「嬉しいこと言ってくれるじゃない」
詠「えへへ……僕が一つだけ思ったことは、みんな目が輝いてた。とっても楽しそうだったよ」
霊「あんたは本当に良かったの?遊ばなくて」
詠「うん。寂しいけど、僕はお姉ちゃんが楽しんでくれれば良いかなって。お姉ちゃん、輝いてたもん」
霊「………ありがとね」
姉は弟をえがおで抱きしめた。その目には涙が溢れていた。
良い話風?
では、また次回。
次回こそ本当にコラボやります!