東方博麗社〜もし博麗神社に参拝客が来ていたら   作:だぴょん

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今回はほのぼの日常回です(フラグ)

というかタイトルからして普通そうだよね?ね?(2本目)

では三人称視点でどうぞ


詠夢の実力

朝5時。

 

詠夢は起床し、朝ごはんを作りに行く。

 

「はぁ……」

 

ため息を漏らしながらも手際よく朝食を作っていく。というかもう手際よくとかいうレベルではない。完全にプロである。

 

しかし、詠夢の顔がいつもより幾分か暗かった。何か心に突っかかるものがあったのだろう。

 

一方、霊夢は詠夢が起きた約1時間後に起床。

 

起きようとしたのだが、

 

「いだだだだだだだっ!」

 

体に激痛が走り、上手く体を動かせない。

 

「あっ!れ、霊夢、おはよ」

 

「おはよー、早速なんだけど、手伝って」

 

「わかってるって」

 

そう言いつつ、詠夢は霊夢を起こして食卓へと連れて行った。

 

「あ、朝ごはん食べてて、僕洗濯物干してくる」

 

と言いながら庭へ駆けて行った。詠夢はやはり忙しそうだった。

 

何せ、今3時間でやるべきことは

 

朝ごはん作り、洗濯、洗濯物干し、朝ごはんの片付け、境内の掃除、母屋の掃除、神社の品物の準備、自分の身支度。

 

と、こんなに盛りだくさんのことを詠夢はこなさなければいけない。

 

が、

 

それをやってしまうのが博麗詠夢。さすがしっかり者の弟である。

 

「詠夢ー?朝ごはんくらい食べなさーい?」

 

霊夢の声が聞こえた。霊夢は心配していた。詠夢がまた倒れてしまうのではないかと心配していたからだ。

 

「食べてるよー」

 

外から声がした。詠夢自身で握ったおにぎりを片手に神社のおみくじやお守りの在庫数を確認している。

 

「そう……頑張ってねー」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

午後3時 霊夢視点

 

私はお茶を飲みながらそこにある煎餅を頬張る。奇跡的に腕には何もなかったのでご飯は自分で食べられる。

 

こんなの何年ぶりだろう。そう思いながらのーんびりとしていたその時。

 

「ーーー!!ーーーー?!〜〜〜!」

 

何者かに後ろから襲われ、私は意識を手放した。

 

 

 

 

 

起きると、そこは見知らぬ場所。妖怪たちに取り囲まれていた。

 

「あ、起きたか。さて、お前は俺たちの今日のおかずだ!」

 

私は喋る事も動く事も出来なかった。

 

こんなところに詠夢が来るわけないだろう。私は絶望していた。

 

私は服を脱がされている。何をされるのかも分からず、ただ震えていただけだった、その時。私に見えたのは、

 

「お……札…?」

 

そう、詠夢が投げたであろうお札。それは妖怪たちを拘束すると同時に、消滅させて行った。

 

「れーいーむー?大丈夫だった!?」

 

詠夢は心配そうな声で私に話しかけてくる。

 

「ええ、大丈夫よ」

 

そうはいうものの、男の子にボロボロに裂けた服のまま見られるのは恥ずかしい。

 

「そう……じゃあ、帰ろうぐっ……ぐはっ…!」

 

隣で詠夢の苦しい顔が見えた。詠夢は……鎖で拘束されていたのだ。

 

その妖怪は鎖を自分の方に手繰り寄せ、詠夢を苦しめていく。

 

詠夢は全身を鎖で縛り上げられた。

 

「がっ……れ、霊夢……逃げて……あぁっ!」

 

こんなに私を助けてくれた人、見棄てる訳にはいかないわ。

 

「悪いけど、私の弟を見捨てる訳ないでしょ」

 

私は怒りを込めて妖怪の大群を睨む。しかし、そのリーダーは動じもしなかった。

 

「はっ!お前も所詮人間か」

 

そう言い、詠夢にナイフを突きつける。

 

「………っ!おい!そのナイフを離しなさい!」

 

私は怒鳴るが、その要求にも応じなかった。

 

「フフフフフ。やはり殺されるのは怖いか」

 

「いや、別に怖くない」

 

詠夢から聞こえた言葉は、想像を絶するものだった。

 

そしてその言葉は、あの過去を持つ詠夢だからこそ言える言葉だった。

 

「そうか……では、このナイフに悶え苦しむが良いだろう!」

 

「待ちなさい!」

 

私の呼びかけも虚しく、血を浴びる。彼の左胸には血に染まる鋭利なものが刺さっていた。

 

まあ、そのうちまた復活するのだろう。と、私はわかっていたので、静寂の中、詠夢の復活を待った。

 

「な!?こ、こいつ、化け物か!?」

 

その妖怪集団のリーダーは叫んだ。

 

「うあぁあああぁぁぁあっ!」

 

詠夢は奇声を発するとともに彼を拘束していた鎖を一本ずつ、ブチッ…ブチッ…と切っていった。

 

「ハア…ハア…霊夢……ただいま」

 

「お、おかえり……」

 

私は絶句していた。なんで鉄で作られた鎖を切れたのよ…

 

「おいお前ら!奴らをやっつけろ!!」

 

向こうから声が聞こえた。襲い掛かってきたので私たちはとりあえずお札で応戦する。

 

詠夢は自分の足りない力を、知能にてカバーしている。彼の戦いはとてもムダがなく、美しい。

 

また、詠夢は普通の人では考えられないような事を戦いの中に取り入れる。それもまた彼の面白いところ。

 

私も応戦しつつ、最後までグループを壊滅させる。

 

私は詠夢に見とれていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

夜8時 博麗神社にて 宴会中 三人称視点

 

宴会では詠夢の弾幕ごっこの戦い方から知能の話に変わり、寺子屋の500点試験の話になっていった。

 

500点試験。幻想郷の寺子屋で代々行われている、1年に一回のテスト。

 

教科は国語、算数、歴史、理科、体育の5科目で、450点を越えるともはやもう人間離れしているそうだ。

 

霊夢「そういえば魔理沙、貴女の最高得点は?」

 

魔理「うーん…確か、320点くらいだった気がするぜ」

 

アリ「そういう霊夢は何点くらいなのよ」

 

霊夢「470点くらいかしら?」

 

霊夢曰く勘で解いたらできたという。そこにいるものたちはもうこいつ人間じゃないと哀れみの目で見つめていた。

 

詠夢「ぶっ…!低っww」

 

詠夢は霊夢や魔理沙をあざ笑った。

 

詠夢「そういえばアリスさんは何点くらいなんですか?」

 

アリ「うーん…私は476点…だったかしらね?」

 

詠夢「低いですねーまだまだですね」

 

そういうと周りの空気が一瞬にして凍った。チルノのせいではない。

 

霊夢「じゃああんたは何点取ったことがあんのよ」

 

霊夢は最大限の怒りを込めてその言葉を言い放ったが、それは次の詠夢が発する言葉にて打ち砕かれることを周りのみんなは知る由もなかった。

 

詠夢「えーとね…確か…」

 

霊夢「確か?」

 

詠夢「498点だったかな」

 

498。その数字は満点から−2をしただけのとても大きな数字。

 

霊夢や魔理沙たちは唖然としていた。

 

アリ「それ…本当?」

 

詠夢「そうですけど…」

 

詠夢はその瞬間に498点と言ってしまったことを悟った。周りの空気が急に暑苦しくなる。妹紅のせいではない。

 

霊夢「じゃあ…勝負よ!詠夢!」

 

詠夢「いい度胸してるじゃないか、霊夢」

 

そうして、テスト点数合戦は始まったのであったーーー




詠夢くんは何でも出来るようです。

ということで次回は詠夢の実力を見せつける回になりそうです…

てなわけでまた次回!

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